~羽田空港~ 午前9時
朝にも関わらず、人が込み合っている中、ある1人の男性がいた。
男性の見た目は30代前半の日本人、白髪の髪を整え眼鏡を掛けており、深い緑色のスーツを着ていた。
手にキャリーバックを持って。
男性は空港ロビーの椅子に腰を掛けてスマホを取り出して、何処かへ電話を掛けた。
ガチャッ
???『はい、もしもし?』
???「やぁ、久しぶりだね」
???『ッ!君か!久しぶりだな!もう日本に着いたのか?』
???「まぁね、今到着したところだけど」
話の内容を察するに、2人の仲は親睦深いように思える。
???『そうか、これから向かうのか?』
???「いや、今から行っても早く到着してしまうし、そっちにも寄りたい所だけど、それだと遅れてしまうから、取り敢えずは故郷の日本を見て回ろうかなって」
???『フッ、君らしいな』
???「近いうちにそっちに行くさ。じゃあそろそろ切るから。また会って酒でも飲もう、我流駄」
ピッ
男性が通話を終えると、スマホを懐へ戻し立ち上がり、
???「さて、行くとするか」
キャリーバックを転がしながら、男性は空港を後にした。
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~湯煙高校~ 午後5時
湯煙高校は三者面談の期間に入っていた。
これからの進路を担任と教師と一緒に考えて決めて行く大切な時期でもある。
秋宗も今日三者面談を受けることになっており、図書室で順番を待っているのだが、
秋宗「くぅ、くぅ、くぅ・・・」
秋宗は机に顔を伏せて眠ってしまっていた。
待っているのも退屈だったため、本を読んでいたのだが、つい眠ってしまったのだ。
ガラガラッ
???「し、失礼します・・・あの、西条くん、居ますか・・・?」
すると、短髪の黒髪で前髪で目元を隠した女性で、秋宗たちのクラスの担任の夢咲先生が入って来た。
この夢咲先生、実はサキュバスの血が流れている半妖で、彼女の目を直接見ると卑猥な幻が見えてしまうのだ。
秋宗を探しに来た夢咲先生は寝ている秋宗を見つけると近寄って起こそうとした。
夢咲先生「さ、西条くん・・・!西条くん!」(ユサユサ
秋宗「んん・・・?」
体を揺さぶられた秋宗は、身体を起こしてゆっくり目を開けた。
秋宗「・・・あれ?夢咲先生?どうしてここに?」
夢咲先生「え、えっと、西条くんの順番が回ってきたから、探してたんですど。お、親御さんは、まだ来てないんですか?」
秋宗「え?もう時間なんですか?えっと、ちょっと待ってて下さい」
秋宗が懐からスマホを取り出して、連絡が来てないか確認した。
秋宗「・・・連絡の履歴がないな。もしかして学校内で迷ってるんじゃ?」
夢咲先生「えぇ!?じゃ、じゃあ、一緒に探しましょうか?」
秋宗「いえ大丈夫です。俺が探して来るので、先生は教室で待ってて下さい」
秋宗は立ち上がって、図書室から出て廊下を歩いて中庭へ向かって行った。
中庭は、既に三者面談を終えた生徒と親が数多く見られており、秋宗は辺りを見渡していた。
秋宗「いないな、まだ来てないのか・・・ん?」
ふと秋宗は、コガラシ、幽奈、狭霧、雲雀、千紗希、仲居さんが集まって話しているのを見つけた。
何故仲居さんが学校にいるのかというと、コガラシの保護者代表として三者面談を受けに来たのである。
秋宗「聞いてみるか・・・。おーい!」
秋宗は歩きながら、コガラシたちに呼び掛けた。
コガラシ「あ、西条。三者面談もう終わったのか?」
秋宗「いや、まだ始まってないんだが。ちょっと聞きたいことが・・・」
???「そうか、お主が西条秋宗じゃな?」
秋宗がコガラシたちにあることを聞き出そうとした途端、声を掛けられて振り向くと、そこには1人の老婆が秋宗を興味深そうに見ていた。
秋宗「えぇっと、そうですけど・・・?あの、どちら様ですか?」
狭霧「紹介するぞ西条秋宗、こちらは私と雲雀の祖母だ」
戸惑っている秋宗に、狭霧は自分の祖母だと紹介した。
雨野祖母「狭霧と雲雀から聞きておるぞ。なんでも異国の獣だとか。あと秘伝の生薬を絶品料理に変えたとか。今度食べさせてはもらえんかのう?」
秋宗「いいですよ。機会があればいつでも作りますよ、マダム」
雨野祖母「ほぉ!マダムとな!面白いお方じゃのう!」
秋宗のジョークに雨野祖母はホッホッホッと笑ってしまった。
???「ちょっと千紗希!誰なのあの子!?もしかして冬空くんのライバルで千紗希の取り合いでもしてるの!?」(ワクワク
千紗希「そんなのじゃないよぉ!///」
何やら話声が聞こえたため振り向くと、千紗希の隣に千紗希とそっくりな顔立ちでスーツを着ている女性がひそひそと千紗希と話していた。
秋宗「・・・そうか、宮崎は親御さんの変わりにお姉さんが来たのか」
千紗希「えっ?」
秋宗に言われて千紗希は目を丸くしてしまう。
雲雀は勘違いしているであろう秋宗に話した。
雲雀「秋宗くん!その人千紗希ちゃんのお姉さんじゃなくて千紗希ちゃんのお母さん!」
秋宗「・・・はぁ!?」
秋宗は思わず千紗希母を2度見してしまった。
何せ千紗希母の見た目は20代にしか見えなかったからである。
秋宗「宮崎!マジでお前の母さんなのか!?」
千紗希「う、うん。よく若いって言われるよ」
千紗希母「嬉しいわ。お姉さんと間違えられて」
驚きを隠せない秋宗に千紗希は苦笑いをして答えて、千紗希母は照れていた。
仲居さん「ところで秋宗くん、何か私たちにご用でもあったのですか?」
秋宗「あぁそうだった!実は聞きたいことが・・・」
秋宗が本題を切りだそうとしたその時、
???「おーい!秋宗ー!」
名前を呼ばれて秋宗が振り替えると、白髪の髪を整え眼鏡を掛け、深い緑色のスーツを来た男性がこちらへ歩いて来た。
秋宗は男性を見て少しため息をついてしまった。
秋宗「遅いよ。どこで道草食ってたんだよ?」
???「いや~ごめんごめん、ここの町には慣れてなくて、なんとか地図を見たり人に聞いたりして来られたんだけど、少し遅くなってしまったね」
秋宗「呑気だなぁ・・・」
少し怒っている秋宗に男性はアハハと軽く笑って誤魔化した。
そのやり取りを見ていたコガラシたちは秋宗に聞いてみた。
コガラシ「西条?もしかしてその人・・・」
秋宗「ん?あぁ紹介するよ、俺の父さんだ」
夏希「初めまして、西条夏希≪さいじょうなつき≫です。いつも息子の秋宗が世話になってるね」
秋宗の言葉を繋げるように、秋宗の父、夏希はコガラシたちに自己紹介をした。
コガラシ「どうもッス。冬空コガラシっていいます」
狭霧「初めまして、雨野狭霧です」
雲雀「狭霧ちゃんの従妹の雨野雲雀といいます」
千紗希「宮崎千紗希です」
コガラシたちはそれぞれ自分の名前を言って夏希に挨拶をした。
夏希「みんなのことは秋宗から聞いてるよ。随分と仲のいい友人だって。それに・・・」
夏希は目線をコガラシたちから幽奈へ移した。
夏希「まさか幽霊の友達もいるなんてね。この目で見るまでは信じられなかったよ」
幽奈「えぇっ!?わ、私が見えてるんですか!?」
夏希に話しかけられた幽奈は驚きを隠せなかった。
それは、コガラシたちも同じだった。
夏希「うん、見えてるよ。こう見えても僕は、霊力が高い方だからね」
幽奈「そうなんですか。あっ!申し遅れました!私は地縛霊の湯ノ花幽奈と申します!」
夏希「君のことも秋宗から聞いてるよ。何でも物凄い霊力を秘めてるとか」
幽奈「そ、そんなことないですよぉ///・・・」
幽奈は少しだけ照れてしまう。
次に夏希は、仲居さんたちの方へ目線を向けた。
夏希「改めまして、西条夏希と言います。いつも息子がお世話になっています。話をしたいところですが、時間が過ぎていますので、また後程」
仲居さん「いえ、大丈夫ですよ」
秋宗「早く行こう父さん、先生待ってるから」
仲居さんたちに丁寧に挨拶した夏希は、秋宗と共に夢咲先生のいる教室へと向かっていった。
狭霧「・・・とても西条秋宗の父親とは思えんな」
雲雀「もしかして、あの人もオオカミ人間なのかな?」
雨野祖母「いや、どうやら霊力が高いだけの人間のようじゃのう」
千紗希母「パパさん若いわねぇ」
千紗希「ママも人のこと言えないよ・・・」
コガラシ「あの人が西条の親父さんか・・・」
幽奈「とてもいい人でしたね」
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夏希「いや~、申し訳ありません。少し道に迷ってしまいまして」
夢咲先生「い、いえ・・・!大丈夫ですよ」
教室にて、机を集め寄せたところで、夢咲先生と向かい合わせに秋宗と夏希が座っていた。
夢咲「で、では、三者面談を始めさせていただきます!えっと、進路希望調査では、進学になってますけど、具体的には、どの分野の進学を希望しているんですか?」
秋宗「そうですね、まだはっきりとは決まってないんですけど、ちゃんと勉強したいという気持ちが強いですかね。父さんの大学にも興味がありますし」
夏希「そうか、じゃあ父さんが学園長にお願いして推薦入学させようか?」
秋宗「いいよ、その時は自分の力で入学するから」
夏希のジョークに秋宗は笑いながら自身の実力で入学すると言い切った。
夢咲先生「あ、あの、もしかして、お父さんの職業って・・・」
夏希「はい、アメリカの大学で生物学の教授を務めています」
夢咲先生「きょ、教授!?す、凄いですねぇ!」
夏希「そんな対してものじゃないですよぉ」
夢咲先生から凄いと言われて、夏希は頬を掻いて照れてしまう。
すると、夏希があることを秋宗に聞いた。
夏希「秋宗、就職は考えなかったのか?」
秋宗「就職?」
夏希「あぁ、母さんの会社に就職すれば将来も安定するぞ?」
秋宗「うーん、それも考えたんだけど、やっぱり進学かと思って・・・」
西条親子の会話を聞いて、夢咲先生は恐る恐る質問してみた。
夢咲先生「え、えっと、お母さんは、どのような、お仕事を?」
夏希「妻は、IT企業の社長を務めています」
夢咲先生「しゃ、社長!?」
突然のカミングアウトに、夢咲先生は驚いて声を上げてしまう。
夢咲先生「凄いじゃないですか!大学教授とIT企業の社長なんて!」
秋宗「凄いなんて意識なかったですけどね」
夏希「だよなぁ~」
秋宗と夏希は対したことはないですよと言わんばかりに相づちをうった。
夢咲先生「えっと、じゃあ西条くんは、何か将来の夢とかありますか?もしくは、やりたいこととか?」
秋宗「そうですね・・・」
夢咲先生から言われて、秋宗は少し考えて答えた。
秋宗「・・・お嬢と姐さん、2人と一緒にいたいです」
夢咲先生「えっ?」
夏希「お嬢と姐さんって、かるらちゃんとマトラちゃんのことか?」
意外過ぎる答えに、夢咲先生と夏希は驚いてしまった。
秋宗「別に2人を恋愛対象として見てはいませんが、あの2人がいたからこそ、今の俺があるんです。上手く説明出来ないんですけど、2人には、いつか恩返しがしたいんです」
夏希「秋宗・・・」
夢咲先生「・・・・・」
秋宗の何一つ曇りのない答えに、2人は何も言えなかった。
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千紗希母「へぇ~!アメリカ大学の教授なんですか!?凄いですねぇ!」
夏希「そこまで対したものではありませんよ」
雨野祖母「ご謙遜なさりおって!素晴らしいことではないか!」
仲居さん「それに奥様は社長なんですよね?羨ましい限りですよ」
中庭にて、三者面談が終わった後、夏希は仲居さんたちと談笑していた。
それを秋宗たちは遠くから見ていた。
コガラシ「結構いい人じゃねぇか、お前の親父さん」
秋宗「まぁな」
幽奈「あの、秋宗さんのお父様って、人間ですよね?」
秋宗「あぁ、父さんは正真正銘の日本人で母さんがオオカミ人間なんだ」
千紗希「・・・そういえば、西条くんって、どうして日本人の名前なの?」
秋宗「母さんが日本がとても好きで、名前をつけるなら日本人の名前にしよう!ってことになったらしくて」
雲雀「そんなことがあったんだ・・・」
狭霧「ん?どうやら終わったらしいぞ」
仲居さんたちが会話を終えて、秋宗たちの方へ歩いて来た。
雨野祖母「では狭霧、雲雀。儂は里へ戻るからのう。コガラシ殿を婿として迎える準備をしておくからのう!」
狭霧「お止め下さいおばば様!///こんな公衆の場でそのようなことを!///」
千紗希母「千紗希!今日はゆらぎ荘でご飯食べていきなさいよ!ついでに冬空くんを彼氏にして!」
千紗希「もうママ!///」
何やらヒソヒソと話し声が聞こえるが、取り敢えずは聞かないようにした。
秋宗「そういや父さん、いつアメリカに戻るんだ?」
夏希「明日の朝の便に乗って帰る予定だよ」
コガラシ「えっ?もう明日にはアメリカ行くんスか?」
夏希「うん、また忙しくなって来たからね」
コガラシは緋扇邸で秋宗から両親の仕事が多忙とは聞いていたのだが、まさかここまで忙しいとは思わなかったのだ。
秋宗「・・・そっか」
少し寂しい表情をした秋宗を見て、仲居さんはあることを提案した。
仲居さん「・・・夏希さん、よろしければ今夜、ゆらぎ荘でお泊まりになりませんか?」
夏希「え?いいんですか?何かご迷惑では?」
仲居さん「そんなことありませんよ。それに家族との時間を大切になされた方がいいですし」
仲居さんに言われて、夏希は秋宗の方を見て、
夏希「・・・では、お言葉に甘えます」
ゆらぎ荘で泊まることを決めた。
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秋宗たちは、ゆらぎ荘へ帰っていた。
夏希は駅のコインロッカーに預けてある荷物を取りに行っているため、一緒にはいなかった。
秋宗「ありがとうございます、仲居さん」
歩きながら、秋宗は仲居さんにお礼を言った。
仲居さん「いえいえ、そんな大したことはしてないですよ。せっかくお父様と一緒にいられるのですから、家族団欒ゆっくりして下さいね」
秋宗「はいっ!」
幽奈「・・・あれ?」
そんな時、幽奈が首を傾げた。
コガラシ「どうした幽奈?」
幽奈「その、あれ・・・」
幽奈の視線の先にはゆらぎ荘が見えるのだが、そのゆらぎ荘前に誰かが立っていた。
金髪のロングウェーブに黒いサングラスを掛けて、白のシャツブラウスで花柄のロングスカートを着て、胸が豊満で旅行鞄を右手に持っている女性だった。
雲雀「・・・誰だろう?」
千紗希「外国人観光客かな?」
狭霧「大方、道にでも迷ったのだろう」
雲雀たちはそれぞれ話しているが、秋宗だけは開いた口が塞がらなかった。
すると、女性がこちらに気づき、
???「・・・ッ!」(ダッ
旅行鞄をその場に投げ捨てて、こちらへ駆け出した。
コガラシたちが動揺する中、近くまで来ると、
ガシッ
女性は秋宗に飛びつくように抱きついた。
???「久シブリ~!元気にシテタ~?」
秋宗「は!?えっ!?えぇっ!?」
女性は親しげに秋宗と接しているが、秋宗は動揺を隠せなかった。
そしてコガラシたちも呆気にとられていた。
コガラシ「お、おい西条?その人誰だ?」
秋宗「え、ええっと・・・」
夏希「おーい!」
秋宗が答えようとした時、荷物を取りに行っていた夏希がこちらへ歩いて来た。
夏希「いや~、少し道に迷ったけど、なんとか来られた・・よ・・・?」
夏希が秋宗に抱きついている女性に気がつくと、言葉が途切れてしまった。
女性が夏希に気づくと、
???「ッ!ナツキ~!」(ガシッ
今度は夏希の方へ抱きついた。
しかし、それだけでは終わらず、
???「ン~!」(チュゥゥッ
幽奈たち『なぁっ!?///』
夏希に熱いキスをしてきたのだ。
それを見て、幽奈たちは揃って顔を赤くしてしまった。
そして、数十秒に渡るキスが終わり、2人は顔を離した。
夏希「な、なんで日本いるの!?仕事は!?」
???「ナツキとアキムネに会イタクテ~、全部部下に押シ付ケテ来チャッタ!」
夏希「来ちゃったって・・・!そんなあっさりと・・・!」
可愛くテヘッ、としている女性を見て、夏希は呆れながらも、うっすら笑っていた。
仲居さん「な、何が起こったんですか!?///」
千紗希「い、今!///キ、キキ、キスを!?///」
雲雀「こ、こんな人目がつくとこで!///あんな熱いキスを!?///」
幽奈「見ているこっちが恥ずかしいですぅ!///」
狭霧「西条秋宗!///説明しろ!///これはどういうことだ!?///」
コガラシ「おい西条!///まさかあの人・・・!///」
コガラシと狭霧から問い詰められた秋宗は、気まずそうに話した。
秋宗「あぁ、俺の母さんだ・・・」
幽奈たち一同(((や、やっぱりかぁぁ!!///)))
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