緋扇邸のオオカミくん   作:アニアス

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第27話 フェスティバル

~ゆらぎ荘~ 午後7時

 

会場から戻って来た秋宗たちは、千紗希たちと合流して明日へ向けての仕上げに掛かっていた。

ダンスの振り付けや歌の音程、演奏などそれぞれのミスがないかを確認しながら、

 

 

 

ジャアーン!!

 

 

 

最後までやりきり、みんなは達成仕切った表情になった。

 

 

 

幽奈「い、今の完璧でしたよね!?」

 

 

こゆず「すごいすごーい!」(パチパチ

 

 

うらら「エエ感じに仕上がっとるや~ん!」

 

 

七海「これなら明日は問題なさそうね」

 

 

 

練習を見ていたこゆず、うらら、七海の3人はみんなの成果を誉めていた。

これを明日の本番でもできるようになれば大いに盛り上がるだろう。

こゆずの方も葉札の成長も順調で明日までには幽奈の身体を作れて今のところ支障もない。

 

しかし、千紗希、紫音、柳沢は複雑な表情になり七海の方を見た。

 

 

 

千紗希「・・・七海ちゃん、明日私たちがトゥインクルス以上に盛り上がらなかったら、本当にそのプロデューサーさんの靴を舐めるの?」

 

 

七海「そうよ」

 

 

柳沢「冬空たちから聞いた時はマジで驚いたぞ」

 

 

紫音「・・・今からでも謝って賭けをなしにした方がいいんじゃないんスか?」

 

 

 

コガラシたちから七海とプロデューサーの賭けを聞いて千紗希たちは心配になり、七海にその賭けを止めさせるように促すが、

 

 

 

七海「いやよ」

 

 

 

七海はキッパリ断った。

そして七海は秋宗とコガラシの方を見て、

 

 

 

七海「大丈夫よ、オオカミさんとやっさんなら、きっと盛り上げてくれるから」(ニコッ

 

 

 

優しく微笑んだ。

この笑顔を見れば、多くの人たちはメロメロになってしまい、可愛いものには目がない千紗希母も思わず抱きついてしまうだろう。

 

 

 

秋宗「ったく、そこまで言われちまったら、頑張るしかねぇな」

 

 

 

秋宗は頭を掻きながら照れ臭そうに七海の期待に答えようとした。

すると七海は手を差し出し、

 

 

 

七海「はい、ワンスマイル1人につき五千円になりま~す!」

 

 

幽奈「お金取るんですか!?」

 

 

 

お金を請求しようとした。

もちろん冗談だが、空気が一気に和んでみんなは笑ってしまう。

すると、夜々が七海にあることを聞いた。

 

 

 

夜々「何でコガラシを『やっさん』って呼んでるの?」

 

 

 

七海は秋宗たちをあだ名で呼んでおり、中には少し『ん?』となってしまうあだ名もある。

 

 

 

七海「簡単よ、八咫鋼だから『やっさん』よ」

 

 

コガラシ「なんか適当な気がするなぁ・・・」

 

 

雲雀「コガラシくんなんかまだいいよ!雲雀なんて『まな板さん』なんだよ!?」

 

 

千紗希「私なんて『お母さん』だよ・・・」

 

 

紫音「まぁ千紗希姐さんは母性の塊ッスからね」

 

 

柳沢「意義なし」

 

 

 

ちなみに幽奈は『幽霊さん』、狭霧は『堅物さん』、呑子は『酔っぱらいさん』、夜々は『ネコさん』、朧は『眼帯さん』、仲居さんはそのまま『仲居さん』、こゆずは『タヌキちゃん』、うららは『裏さん、』紫音は『ヤンキーちゃん』、柳沢は『番長さん』、兵藤に至っては『アッシーくん』と七海から呼ばれている。

 

 

 

秋宗「さてと!じゃああのプロデューサーを見返すためにもうひと踏ん張りいくぞ!」

 

 

一同『オーーー!!』

 

 

 

秋宗の呼び掛けにより、練習は再開された。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

~翌日~ ライブ会場

 

 

 

ワァァァァァァ!!!

 

 

 

ライブ会場は多くの観客で埋めつくされており、舞台ではプロのミュージシャンが演奏を繰り広げていた。

そして、兵藤たちもライブに出る秋宗たちを応援するために観客の中にいた。

 

一方、仮設プレハブがいくつも建てられている舞台の裏に秋宗はいた。

幽奈たちはプレハブの中でミュージシャンの舞台をテレビ越しで観ていた。

 

 

 

秋宗「・・・ふぅ」

 

 

 

衣装に着替えている秋宗はプレハブの壁にもたれ掛かりライブの様子を聞いていた。

流石にプロというだけのこともあり、ミュージシャンの熱と観客の盛り上がりが響いており、秋宗もいざとなると緊張してしまう。

 

 

 

秋宗「・・・昨日あれだけ啖呵切って置きながら緊張して何もできませんでしたじゃあ済まねぇし・・・。どうしたもんか・・・」

 

 

 

悪霊退治とは訳が違うため、秋宗は思わず愚痴を溢してしまう。

 

 

 

秋宗「にしてもあのプロデューサーはともかく、トゥインクルスには失礼なこと言っちまったなぁ・・・」

 

 

「私たちがどうかしたの?」

 

 

 

急に話しかけられた秋宗は声のした方を見ると、そこにはトゥインクルの3人がいた。

トゥインクルスたちは昨日の秋宗の発言などまったく気にしてない様子であり、笑顔の表情だった。

 

 

 

秋宗「・・・どうも」(プイ

 

 

 

昨日の発言を気にしている秋宗は咄嗟に顔をトゥインクルスと反対方向へ向けてしまう。

するとトゥインクルのツインテールの子が秋宗が顔を向けた方へ周りこみ、短髪と長髪の子も秋宗を逃がさないように取り囲んだ。

 

 

 

「なぁなぁー!どうして顔反らすのー?人と話す時はちゃんと顔を見ないとー!」

 

 

「へぇ、妙にいい顔してんじゃん」

 

 

「そういえば、昨日の子たちも可愛いかったよね。まぁ私ほどじゃないけど?」

 

 

 

何やら傲慢のような発言が聞こえたが、取り敢えず秋宗はそこに触れないで渋々トゥインクルスと向き合った。

流石はアイドルというだけのこともあり彼女たちの放つオーラが秋宗には眩しくも思えた。

 

 

 

秋宗「・・・いいんですか?こんなところで油売ってて?もうすぐ出番のはずですよね?」

 

 

 

一刻も早くこの状況を脱したい秋宗はトゥインクルスに呆れた目線を向けながら舞台へ向かわせるように促した。

しかし、そんなことなどお構い無しに話を進めた。

 

 

 

「私たちは大丈夫だよ。それにオオカミくん、少し緊張してそうに見えたからさ気になって」

 

 

 

おそらくトゥインクルスのリーダーであろう長髪の子が気軽に秋宗に接して緊張をほぐそうとした。

すると秋宗は「ん?」と思った。

 

 

 

秋宗「えっと・・・オオカミくんって俺のことですか?」

 

 

 

長髪の子が秋宗をオオカミくんと呼んだため、秋宗は少し動揺してしまう。

 

 

 

「だってあの七海ちゃんって子が呼んでたでしょ?オオカミって珍しいあだ名だよなー!」

 

 

「見た感じ、妙にオオカミに似てる気がする」

 

 

「へぇ、目は緑色なんだ。もしかしてオオカミくんって外人さん?」

 

 

秋宗「・・・えぇ、そんなところです」(この人ら近すぎだろ!つうかメチャクチャいい匂いもするし!こんなの余計緊張するだろ!)

 

 

 

トゥインクルスは秋宗の顔をジロジロと観察して、見られている秋宗も心臓がバクバクの状態になっていた。

 

 

 

秋宗(にしても・・・)

 

 

 

照れながらも、秋宗はトゥインクルスの様子を見てふと思ったことがあった。

それは、昨日の七海とプロデューサーの賭けのことである。

もし秋宗たちが盛り上がらなかったら七海がプロデューサーの靴を舐めることになっているのだが、そんなことなどまるで忘れているかのような様子でもあった。

 

 

 

秋宗(・・・ひょっとしてこの人たち、七海の賭けを冗談と思ってるんじゃ?)

 

 

 

普通に考えてみれば、あんな女の子が本気で靴を舐めるなど誰も信じないだろう。

おそらくトゥインクルスとプロデューサーも信じてないのかもしれない。

 

秋宗は七海は本気だと教えようとしたが、あえて黙っておくことにした。

もし教えたら、これからのライブに影響が出てしまうかもしれないと予測したためである。

 

 

 

「トゥインクルさーん!スタンバイお願いしまーす!」

 

 

 

そうこうしている内に、フェスのスタッフがトゥインクルスにスタンバイするように呼び掛けた。

 

 

 

「はーい!じゃあオオカミくん!またあとでね!」

 

 

 

そう言って、トゥインクルスはライブの準備のために秋宗と別れた。

 

残された秋宗はというと、

 

 

 

秋宗「・・・アイドルって、いい匂いするんだな」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

トゥインクルスのパフォーマンスも終わり、いよいよ秋宗たちの出番がすぐそこまで来ていた。

トイレを済ませた秋宗はギターを持って舞台袖へ向かっていた。

 

秋宗が舞台袖へ到着すると、幽奈とコガラシ、トゥインクルスとプロデューサーが話していた。

 

 

 

プロデューサー「ステージに立つ以上、お客にとってはプロと一緒。せいぜい盛り下げないでおくれよ」

 

 

 

プロデューサーがコガラシたちにキツいことを言ったため、秋宗はまたイラッとなってしまい、

 

 

 

秋宗「相変わらず上からものを言う態度ですね」

 

 

 

プロデューサーに対して声のトーンを低くして話しかけてしまう。

プロデューサーは振り向くと昨日の青年と分かると顔をしかめた。

 

 

 

プロデューサー「・・・私は正しいことを言ったまでよ。西条くんだっけ?あれだけ言ったからにはプロ並みのパフォーマンスを見せてもらうよ」

 

 

秋宗「・・・あとでコガラシたちに謝ってくださいよ」

 

 

 

2人の間はギスギスしており、プロデューサーは秋宗の隣を通りすぎて行った。

トゥインクルも慌ててプロデューサーの後を追っていった。

 

その後、こゆずの葉札で幽奈の身体もできてみんなは所定の位置に着いた。

泣いても笑っても今まで取り組んできたことを発揮するだけ、みんなの心は一つになった。

 

そしてついに、秋宗たちのパフォーマンスが始まった。

 

幽奈たちのダンスもミスがなくキレがあり、秋宗たちの演奏も何事も問題はなかった。

 

 

 

秋宗(よし!いい感じだ!これで盛り上がるはずだ!って・・・は?)

 

 

 

秋宗は演奏をしながら観客の様子を確認すると唖然となってしまう。

なぜなら、先程までの観客の熱が一気になくなっていたからだ。

 

 

 

「なんか素人っぽくね?」

 

 

「地元の高校生だってよ」

 

 

 

それどころか、観客は呆れていた。

やはりトゥインクルスの後だと、たった一週間程の練習しかしていない自分たちのパフォーマンスでは雲泥の差にも思えてしまう。

 

 

 

兵藤「気にすんなー!いけいけー!」

 

 

呑子「フゥゥゥ!!」

 

 

 

観客に混じり、兵藤たちは必死に盛り上げようとしていた。

 

 

 

秋宗(くそっ!マジでどうにかしねぇと!)

 

 

 

秋宗が頭をフル回転させてどうするか考えていた時、

 

 

 

 

 

ポムンッ!

 

 

 

 

 

幽奈「・・・えっ?」

 

 

 

なんと、幽奈の身体が煙を立てて消えてしまい、観客からは突然1人の女の子が消えたように見えてしまった。

 

 

 




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