緋扇邸のオオカミくん   作:アニアス

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第2話 天狗と鵺とオオカミ

場所は変わり、ここはどこかの場所にある温泉街『湯煙温泉郷』。

そこには『ゆらぎ荘』と呼ばれる民宿がある。

地元では幽霊が出てくると噂されている民宿である。

 

今ゆらぎ荘では、大きなイベントが開催されていた。

それは、ゆらぎ荘に入居している肉体派霊能力者高校生、冬空コガラシの誕生日パーティーのことだ。

彼の誕生日を祝ってくれているのは、ゆらぎ荘の住人たちである。

 

地縛霊 湯ノ花幽奈

誅魔忍 雨野狭霧

酒呑童子の末裔 荒覇吐呑子

猫系少女 伏黒夜々

座敷わらし 中居ちとせ

狭霧の従妹の誅魔忍 雨野雲雀

龍雅家に仕えている神刀 朧

化け狸 信楽こゆず

そして、ゆらぎ荘の住人ではないが、コガラシのクラスメイトの宮崎千紗希。

 

みんなコガラシのためにサプライズとして盛大に祝ってくれていた。

 

今は全員、ゆらぎ荘の露天風呂で水着姿となっており和気あいあいと楽しんでいた。

 

仲居さん「さあ皆さん、次は大広間で宴会ですよ~」

 

 

ちとせの呼び掛けに皆は露天風呂からあがろうとする。

その時、コガラシの頭に何かが降ってきて何かと確認すると

 

 

コガラシ「黒い羽?」

 

 

そう、それは黒い羽であった。彼はなぜこんなものが?

と疑問に思った。

次の瞬間、突如突風が吹き荒れて全員に襲いかかってきた。

まるで意思があるかのように全員の水着を吹き飛ばしてしまう。

 

 

雲雀「きゃぁぁぁ!?///」

 

 

千紗希「何!?何なの!?///」

 

 

突然の出来事に全員は訳が分からなくなってしまう。

 

 

???「久しいな、八咫鋼、忌まわしき我が父の仇よ!」

 

 

今度は声は空から声が聞こえ全員が顔を向けるとそこには、二人の少女、緋扇かるらと巳虎神マトラがいた。

かるらは背中から黒い翼が生え、マトラは雲の様なものに乗っていた。

かるらはコガラシをずっとにらみつけていた。

 

 

幽奈「あの、八咫鋼とは?」

 

 

朧「宵ノ坂や天狐と並ぶ御三家の一つだ、神々をも凌駕する力があると言われている」

 

 

狭霧「じゃあ冬空コガラシはまさか!・・・」

 

 

コガラシ「いや、違うんだ、俺の師匠が八咫鋼の末裔なんだよ」

 

 

雲雀「コガラシくんの師匠!?」

 

 

こゆず「どんな人なの~?」

 

 

呑子「気になるわ~ 」

 

 

マトラ「・・・おひいさん、あの人ら完全にあたしらのこと忘れてるよな?」

 

 

いつの間にか置いてきぼりされているかるらはとさかにきていた

 

 

かるら「貴様ら、妾を無視するとはいい度胸じゃな。妾こそ、京の妖怪を束ねる大天狗の嫡子、緋扇かるらじゃぞ!」

 

 

幽奈「すいませ~ん、とりあえず着替えてきますので、お話は後程」

 

 

夜々「このままだと、風邪ひいちゃう」

 

 

自己紹介を軽く流して着替えへ行こうとするコガラシたちにかるらは完全に怒りが頂点に達していた。

 

 

その時

 

 

???「クククッ、お嬢を前にして着替えに行こうとするなんて、よほどの身の程知らずか、それとも肝が据わっているのか、分からねえ連中だなぁ」

 

 

今度は男の声が聞こえ、全員が振り向くとそこには、革ジャンを羽織り灰色の髪が特徴的な男、西条秋宗が腕を組み、岩に背もたれしていた。

 

 

千紗希「だ、誰!?///」

 

 

雲雀「ちょっと!こっち見ないでよ!!///」

 

 

朧「なんだあいつは?冬空と同い年に見えるが」

 

 

突然現れた男にコガラシたちは混乱していた。

 

 

マトラ「秋宗、お前どこ行ってたんだよ?」

 

 

秋宗「悪いな姐さん、俺はお嬢や姐さんみたいに空を飛べる術がないんでね、玄関から堂々と入ってきたのさ。

とりあえず落ち着けよお嬢、怒りで冷静さが欠けてたら計画が全部台無しになるぞ。」

 

 

かるら「・・・それもそうじゃな」

 

 

かるらが冷静さを取り戻して落ち着いた。

かるらとマトラの二人と会話をしている秋宗を見てコガラシたちは、かるらたちの仲間だと理解した。

秋宗はコガラシたちの方に振り向き、

 

 

秋宗「はじめまして、ゆらぎ荘の皆さん。俺は西条秋宗、お嬢である緋扇かるら様のお家の用心棒をしているものだ。無駄な抵抗をするなよ?はっきり言ってお前らごとき、俺とマトラの姐さん二人だけで圧倒できるからなぁ。」

 

 

挑発と捉えてもいい自己紹介をはじめた。この発言で頭にこない輩などいないだろう。

 

 

狭霧「・・・減らず口を叩くではないか、西条秋宗とやら。たった三人で私たちに勝てると思っているのか?」

 

 

狭霧は霊装結界を身に纏いクナイを構えていた。

 

 

秋宗「いやいやいや、雨野狭霧。俺らが無謀に襲撃するほどの間抜けに見えるのか?」

 

 

狭霧「・・・確かにそうは見えないな。っ!?ちょっと待て!なぜ私の名前を知っている?」

 

 

話の中で秋宗が自分の名前を口に出したことに少し驚いてしまった。

 

 

秋宗「俺は用意周到でね、相手のことは徹底的に調べるタイプなのさ、プロに負けず劣らずの雨野家の誅魔忍、雨野狭霧さん」

 

 

狭霧「っ!雨野家のことまでも!」

 

 

秋宗「他にも色々知ってるぜ。記憶をなくした謎の多い地縛霊、湯ノ花幽奈。酒呑童子の末裔にして酒好きの漫画家、荒覇吐呑子。猫神を宿している猫少女、伏黒夜々。このゆらぎ荘の仲居にして座敷わらし、仲居ちとせ。先代黒龍神の尾から誕生した黒龍神の護り刀、朧。一人前の化け狸を目指している、信楽こゆず。湯煙高校のアイドルと呼ばれている高校生、宮崎千紗希。

んで、狭霧の従妹の"ギリギリB"の誅魔忍、雨野雲雀。」

 

 

雲雀「・・・は、はぁぁぁぁ!!??///」

 

 

秋宗の調べた情報に雲雀は思わず声を荒げた。

 

 

雲雀「あの人!今雲雀のことBって言ったよね!?///しかもギリギリって言ったよ!!///何なのあの人!?///」

 

 

狭霧「雲雀落ち着け!迂闊に突っ込むな!」

 

 

朧「師匠、Bとは何のことだ?」

 

 

千紗希「ええっと、その//」

 

 

自分の胸のことを言われた雲雀を狭霧が押さえて、朧は千紗希にBのことについて聞いている。

 

そして秋宗はコガラシに視線を移した。

 

 

秋宗「そして、借金まみれの肉体派霊能力者の高校生にして、今回のお嬢の目的でもある、冬空コガラシ。」

 

 

コガラシ「目的?」

 

 

仲居さん「狙いは、コガラシくん?」

 

 

こゆず「目的って、コガラシくんをどうする気なの?」

 

 

かるらたちの目的がコガラシと聞いた幽奈たちは彼をどうするのかと尋ねるも、秋宗はかるらたちの方を見てしまう。

 

 

秋宗「お嬢、ここは俺と姐さんに任せといてくれ、すぐに終わらせるからさ」

 

 

マトラ「おひいさん、そろそろ始めようぜ、あたしも宵ノ坂と勝負したいしよ」

 

 

かるら「・・・いいじゃろう、ではお前たち二人に任せるぞ」

 

 

マトラ「よっしゃっ!愛してるぜおひいさん!」

 

 

 

かるらの許可をもらい、マトラは秋宗の隣に降り立つ。

 

 

 

秋宗「・・・なぁ冬空コガラシ、大人しく俺らに着いてきてくれねぇか?俺はどちらかと言うと、平和的に物事を進めたいんだが」

 

 

秋宗はコガラシに交渉を持ち掛けるが、

 

 

コガラシ「何が平和的にだ、てめぇらはもうみんなを巻き込んでんじゃねぇか、師匠と何があったか知らねぇけど、そう素直に従うかよ、幽奈たちを危険な目にあわしたからには、覚悟できてるんだろうな?」

 

 

幽奈「コガラシさん///・・・」

 

 

コガラシが拳を構える姿と自分たちを守ろうとする気持ちに幽奈は嬉しくなり、顔を赤くしてしまう。

 

 

秋宗「そうか、じゃあ交渉決裂ってことでいいんだな?」

 

 

秋宗の声のトーンが低くなったことにコガラシたちは警戒を高める。

 

 

狭霧「冬空コガラシ!!貴様だけに見せ場は作らせないぞ!私だってゆらぎ荘の一員だ!」

 

 

呑子「コガラシちゃんかっこいいわぁ、なら私もやるしかないわねぇ、中居さーん、日本酒の用意よろしくねぇ」

 

 

夜々「夜々も戦う」

 

 

朧「私も加勢するぞ、相手は二人だけのようだが油断するなよ冬空」

 

 

雲雀「雲雀だって戦えるもん!それにアイツ!あの秋宗って人は徹底的にとっちめないと!雲雀のことBって言ったんだから!!」

 

 

狭霧、呑子、夜々、朧、雲雀がそれぞれ戦闘準備を取りはじめている。

 

秋宗「・・・姐さん、宵ノ坂任せていいか?」

 

 

マトラ「ん?別にいいけどよ、いきなりあれやるのか?」

 

 

秋宗「あの雲雀とかいう誅魔忍が言ってただろ?徹底的にやるって、だったら俺も徹底的にやってやるさ」

 

 

秋宗が空を見上げると、夜空には満月が浮かんでいた。

そして突然、

 

 

秋宗「う、うぅぅぅぅぅ!!」

 

 

コガラシ「なっ!?」

 

 

秋宗の体に変化が起こり始めた。

体が少しずつ大きくなりはじめ、灰色の髪も背中へ伸び、顔が獣へと変化し始めた。

 

 

狭霧「な、何だあれは!?」

 

 

呑子「あの子、まさか!」

 

 

夜々「フシャー!!」

 

 

朧「ただの妖怪かと思っていたが、これは!」

 

 

雲雀「なんなの!?なんなのあの人!?」

 

 

こゆず「千紗希ちゃん、ボク怖いよぉ!」

 

 

千紗希「大丈夫だよこゆずちゃん!大丈夫だから!」

 

 

仲居さん「初めて見ます!あの人まさか!」

 

 

幽奈「コ、コガラシさん!」

 

 

ある者は驚き、ある者は動揺し、ある者は警戒し、ある者は怯え、ある者はその者を安心させようとする。

 

 

コガラシたちは秋宗の変化に驚きを隠せなかった。

 

 

それを空から見ていたかるらはうっすらほくそ笑んでいた。

 

 

かるら「頼りにしておるぞマトラ、特に秋宗、何せ貴様はただの用心棒ではなく、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

欧米に伝わる妖怪、オオカミ人間なのじゃからな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

秋宗はもう先ほどの人間の面影はどこにもなく、身長は3mほど大きくなり、服も上半身が破けて全身体毛で覆われていて、顔も完全なオオカミとなっていた。

秋宗は再び空を見上げ、そして、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウオォォォォォォォォン!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その場にいる全身が耳を塞ぐだけで精一杯な咆哮をあげた。

 




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