緋扇邸のオオカミくん   作:アニアス

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今年最後の投稿です


第30話 アクティブツアー

 

~山道~ 午後1時

 

秋宗とかるらが大喧嘩した2日後の昼過ぎのことだった。

 

 

 

秋宗「待てぇ!!」(スタタタッ!

 

 

 

秋宗は獣人化した状態で山道を走っていた。

その表情はなにがなんでも成し遂げる勢いでもあった。

 

 

 

「はぁ!はぁ!はぁ!」(タッタッタッ

 

 

 

秋宗が走っている先には、カッパが必死になって逃げていた。

 

何故秋宗がカッパを追いかけているのかというと、昨日の夜に何者かが緋扇邸に忍びこみ金品を盗もうとしていた。

幸い金品は盗まれずに済んだが、盗人は逃げてしまった。

かるらとスズツキの調べにより西軍にも東軍にも属していないカッパの仕業と判明し、かるらが天通眼で探すと温泉郷まで逃げていたため秋宗と黒服たちで捕まえることになったのである。

 

そして現在、

 

 

 

秋宗「おりゃ!!」(バッ!

 

 

 

ズサァァァ!!

 

 

 

「ガァッ!?」

 

 

 

秋宗がカッパに追い付きタックルをして動きを封じた。

その拍子にカッパはうつ伏せで倒れてしまい、秋宗は上に乗って両手を抑えた。

 

 

 

秋宗「大人しくしろっ!」

 

 

「クソッ!放せ!」(バタバタ

 

 

 

秋宗に取り押さえられながらもカッパはなんとしてでも逃げようとしていた。

 

するとそこへ、

 

 

 

黒服1「西条はーん!」

 

 

黒服2「あれは!盗人のカッパ!」

 

 

黒服3「もう見つけられたのか!」

 

 

 

黒服たちが空から秋宗たちの元へ降りてきた。

そして黒服たちによりカッパには拘束具が取り付けられ逃げられないようにした。

 

 

 

黒服2「よし、あとは雀天狗に連絡を取れば問題はないな」

 

 

黒服1「にしても、流石は西条はんやな」

 

 

黒服3「見事なお手並みです」

 

 

 

黒服たちは自分たちよりも先にカッパを捕らえた秋宗を絶賛していた。

 

 

 

秋宗「別に対したことではありませんよ。あと、俺なんかに敬語を使わなくても・・・」

 

 

黒服2「何をおっしゃってるのですか!西条殿はお館様のご友人のご子息!」

 

 

黒服3「無礼な態度など取れません!」

 

 

 

秋宗と黒服たちが話していると、

 

 

 

黒服1「ん?」

 

 

 

黒服の1人が向こうに誰かがいることに気がつき、目を凝らしてよく見てみた。

 

 

 

黒服1「・・・西条はん、あそこにおるのって八咫鋼ちゃいます?」

 

 

秋宗「えっ?」

 

 

 

黒服に言われて秋宗が黒服の視線の先を見ると、そこには確かにコガラシがいた。

更にコガラシだけでなく、千紗希と紫音、日焼け肌の女性の姿もあり、みんな登山用の服装で木製の建物の前に立っていた。

 

 

 

秋宗「アイツらこんなところで何やってんだ?ちょっと聞いてみるか」

 

 

黒服1「あっ、待ちぃや西条はん」

 

 

 

秋宗がコガラシたちの元へ歩くと同時に黒服の1人は秋宗の後ろを慌てて追いかけて行った。

 

 

 

秋宗「よぉお前ら、こんなところで何やってんだ?」

 

 

コガラシ「え?西条?」

 

 

紫音「あ、秋宗兄さん!?」

 

 

千紗希「西条くんこそ何やってるの?」

 

 

 

コガラシたちは茂みの奥からいきなり出てきた秋宗と黒服に驚いてしまう。

 

 

 

秋宗「まぁこっちにも色々あってな、3人はこれから登山でもするのか?」

 

 

コガラシ「いや、登山じゃなくてだな・・・」

 

 

 

コガラシの話によると、紫音の先輩が沢登りのツアーガイドの仕事をしており、カップル客が楽しんでもらえるツアー、名付けて『らぶらぶシャワークライミング』を発案し、今回はその試験としてコガラシと千紗希が呼ばれたらしいのである。

 

 

 

秋宗「ちょっと待て、お前ら付き合ってたっけ?」

 

 

コガラシ「付き合ってねぇよ・・・///」

 

 

千紗希「まぁ仕方なくって感じで・・・///」

 

 

 

コガラシと千紗希は揃って顔を赤くして気まずそうに答えた。

 

 

 

秋宗「にしてもシャワークライミングか・・・。面白そうだな」

 

 

 

一通り話を聞いた秋宗は沢登りに興味をもった。

その様子を見た黒服は、

 

 

 

黒服1「西条はん、せっかくやからやってみたらどないですか?」

 

 

秋宗「えっ?」

 

 

 

秋宗は黒服に言われて思わず振り向いてしまう。

 

 

 

秋宗「いや、でも・・・」

 

 

 

秋宗は先程捕らえたカッパのこともあるため遊ぶ訳にはいかないだろうと考えてしまう。

 

 

 

黒服1「あとのことは任しといて下さいな。雀天狗にも事情は説明しときますさかい」

 

 

秋宗「ですけど、飛び入り参加は流石に・・・」

 

 

ガイドさん「別にいいよ!むしろ大歓迎さ!」

 

 

 

秋宗と黒服の会話に入り、ガイドさんは秋宗のツアー参加を認めた。

 

 

 

秋宗「・・・いいんですか?」

 

 

ガイドさん「あぁ!予備ならたくさんあるし!紫音とカップルってことで!」

 

 

秋宗「はぁっ!?///」

 

 

紫音「ちょっ!?///えぇっ!?///」

 

 

 

ガイドさんが勝手に話を進めて秋宗と紫音をカップルとしてツアーに参加させようとすることに2人は顔を赤くして慌ててしまう。

 

 

 

黒服1「話はまとまったみたいやな。じゃあ西条はん、楽しんできて下さいな~」

 

 

 

黒服は秋宗をガイドさんに任せて他の黒服たちと合流するために森の奥へ行った。

 

 

 

秋宗「えっと、じゃあよろしくお願いします」

 

 

ガイドさん「よろしく!じゃあ早速中に入って着替えるよ!」

 

 

 

ガイドさんについて行くように秋宗たち4人も建物の中へ入って行った。

 

 

 

秋宗「なんか悪いな、3人で楽しむ予定だったんだろ?」

 

 

コガラシ「別にいいさ」

 

 

紫音「そうッスよ!気にしないで下さい!」

 

 

千紗希「こういうのって人数が多い方が楽しいと思うし」

 

 

 

秋宗たちは歩きながら楽しそうに話していたが、内心では、

 

 

 

秋宗(カップルか・・・。紫音には悪いな、好きでもない男とカップルにさせられて。今度何か奢るか)

 

 

コガラシ(男1人だと気まずかったし、西条が来てくれて本当に助かった)

 

 

紫音(今回は千紗希姐さんとコガラシ兄さんの距離を縮めようとしたのに何で秋宗兄さんまで来たんスか!?///しかもカップルって!///余計意識しちゃうじゃないッスか!///)

 

 

千紗希(確か紫音ちゃんって西条くんのことが好きなんだよね?なるべく2人きりにさせたほうがいいかな?)

 

 

 

と思いながらも更衣室へ着いた。

 

更衣室は広くヒノキの匂いが漂っていた。

 

 

 

ガイドさん「じゃあここでウェットスーツに着替えてくれ。君は先にシャワー室でこっちを着て。後でウェットスーツを渡すから」

 

 

 

ガイドさんからコガラシたちはウェットスーツ、秋宗は水着を受け取った。

コガラシたちは事前に紫音から水着着用と聞かされていたため、既に下に水着を着ていた。

 

 

 

秋宗「・・・あの、ウェットスーツも渡してくれればすぐに着替えらるのでは?」

 

 

ガイドさん「ダメダメ!皆この部屋で着替えるんだから!」

 

 

千紗希「・・・はい?」

 

 

 

ガイドさんの言葉に千紗希を始め残りの3人も一瞬思考が止まってしまう。

 

 

 

ガイドさん「そっちの2人は紫音から聞いてるだろ?水着着用って。カップルで互いの着替えを手伝おうっつうイチャラブイベントだ!」

 

 

秋宗たち(((えぇぇぇぇぇ!!??///)))

 

 

 

確かにこれはカップルが楽しむツアーなのだがまさかここまで徹底するとは思わず、秋宗たちは顔を赤くしてしまう。

 

 

 

ガイドさん「分かったらさっさと着替えてきなさい!」

 

 

秋宗「は、はい・・・」

 

 

 

ガイドさんに促されて秋宗は水着を持ってシャワー室へと入って行った。

シャワー室に入った秋宗は革ジャンとジーンズを脱いで水着を着用した。

幸いにも水着のサイズは秋宗にピッタリですんなり履けた。

 

水着に着替えた秋宗がシャワー室から出ると、衣服を脱いで水着姿のコガラシたちがウェットスーツを着ようとしていた。

 

 

 

ガイドさん「あっ、着替えたみたいだね。サイズは大丈夫だった?」

 

 

秋宗「はい、ちょうどでした」

 

 

ガイドさん「なら良かった。じゃあ次はこれに着替えて」

 

 

 

ガイドさんからウェットスーツを渡された秋宗は下の方から足を入れた。

ウェットスーツを初めて着るため、足を通すのに少し苦労した。

 

一方で千紗希がウェットスーツを着終えて背中のファスナーを締めようとすると、

 

 

 

千紗希「ん・・・。これ背中締めにくいね?」

 

 

 

何とかしてファスナーを上まで上げようとするが、上手い具合に締まらずにいた。

 

 

 

ガイドさん「本来は自分で上げ下げできるように長い紐が付いているんだが、今回は敢えて紐は外してある。パートナーに締めてもらえるようにな!」

 

 

千紗希「なっ!?///」

 

 

秋宗「成る程。それはいいかもしれませんね」

 

 

 

ガイドさんの説明に千紗希は顔が赤くなってしまい、秋宗はカップル同士の仲を深めるにはいい効果かもしれないと肯定してしまう。

 

 

 

秋宗「となるとここは必然的にコガラシが宮崎のファスナーを上げることになるな・・・」

 

 

コガラシ「はぁっ!?///何で俺が!?///」

 

 

紫音「そういうツアーッスから!」

 

 

コガラシ「・・・そ、そんじゃ上げるぞ?」

 

 

千紗希「よ、よろしく!」

 

 

 

コガラシは秋宗と紫音に流されて千紗希のファスナーを上げることになった。

コガラシが千紗希の背中のファスナーに手を掛けて上まで上げようとするが、

 

 

 

コガラシ「あれ?これちょっとキツメだな」

 

 

 

ファスナーが上手く上がらず、少しずつしか上がらなかった。

 

 

 

紫音「胸のせいッスよ胸の!///千紗希姐さんおっきいから!///」

 

 

秋宗「コラ紫音。そういうのはもう少しオブラートに包んで言え。この場合は、胸に夢と希望がたくさん詰まってると言うんだ」

 

 

千紗希「そっちの方がなんかヤダよ!!///」

 

 

 

紫音と秋宗から胸のことを言われて千紗希は咄嗟に自身の胸を手で隠してしまう。

 

 

 

コガラシ「えっと、じゃあ宮崎。一気にいくぞ」

 

 

 

コガラシはファスナーに力を入れて一気に上まであげた。

 

 

 

千紗希「んう・・・!///」

 

 

 

急にファスナーが上がり自分の体が締め付けられた感覚に襲われた千紗希は思わず声を出してしまう。

 

 

 

千紗希「あ、ありがと///」(変な声出ちゃった・・・!)

 

 

コガラシ「お、おう」

 

 

 

千紗希はファスナーを上げてくれたコガラシに照れながらもお礼を言った。

 

 

 

秋宗「じゃあ次は俺らだな。紫音、背中向けろ」

 

 

紫音「えっ!?///いやいや自分はいいッスよ!///」

 

 

ガイドさん「何言ってんだよ紫音。今回は彼とカップルなんだから締めてもらいな」

 

 

紫音「うぅぅ///じゃ、じゃあお願いするッス///」

 

 

 

紫音は頬を赤くしながら秋宗に背中を向けた。

秋宗はファスナーに手を掛けてファスナーを上げようとすると、

 

 

 

ジィーーーーー

 

 

 

ファスナーは一度もつっかえることもなく首の後ろまで上がった。

千紗希は胸が大きいせいでファスナーが上手く上がらなかったが、対照的に紫音は胸が小さいためすんなり上がってしまったのだろう。

 

 

 

秋宗「・・・紫音はスレンダーだからすんなり締まったな」

 

 

紫音「胸が小さいって言いたいんスか!?///」

 

 

 

秋宗は紫音を傷つけないようにフォローを入れたが、かえって逆効果になってしまった。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

そして全員が着替え終わり、いよいよ沢登りが開始された。

ガイドさんを先頭に、千紗希、コガラシ、紫音、秋宗と列を作り川を登って行った。

秋宗とコガラシと千紗希は初めてのため上手く進めないが、紫音は慣れているせいかスイスイと歩いていった。

 

 

 

千紗希「こんな風に川を登るなんてなんか新鮮!」

 

 

秋宗「こりゃあ面白いなぁ!」

 

 

紫音「こっからどんどん激しくなっていくッスよ~!」

 

 

 

沢登り初体験の秋宗と千紗希とコガラシは少し足を取られながらも楽しんでいた。

進んで行くと、川の地形が急斜面になっているところにたどり着いた。

ガイドさんは岩の出っ張りを利用して慣れた感覚で一気に上まで登っていった。

 

 

 

ガイドさん「まぁゆっくり登っていいから!気を付けてね!」

 

 

秋宗「分かりました!」

 

 

 

それに続いて秋宗たち3人は岩を利用しながら落ちないように慎重に登って行った。

 

 

 

千紗希「うわ、結構高いね・・・!」

 

 

コガラシ「心配すんな!下に俺がいる!」

 

 

 

千紗希が不安になりながらも下にいるコガラシを信用して上まで一気に登ろうとしたその時、

 

 

 

ズルッ

 

 

 

千紗希「きゃっ!?」

 

 

 

千紗希が足を滑らせてしまいそのまま後ろへ退いて、

 

 

 

ドシィーン!!

 

 

 

コガラシの顔面にお尻が覆い被さる体制になってしまった。

 

 

 

紫音「大丈夫ッスか!?」

 

 

秋宗「流石はラッキースケベ症候群患者、こんなところでも発揮するとは」

 

 

 

紫音は心配する方が、秋宗は呆れた表情になっていた。

 

 

 

千紗希「ご、ごめん冬空くん!///」

 

 

コガラシ「き、気をつけてな!///」

 

 

 

千紗希は慌ててコガラシから離れて互いの顔は真っ赤になっていた。

 

 

 

コガラシ「じゃあ俺が先に登って引き上げてやっから!」

 

 

千紗希「う、うん!」

 

 

 

そう言ってコガラシが千紗希より先に登り手を掴んで安定した場所まで引き上げた。

 

 

 

紫音(おおっ!いい感じッス!誘った甲斐があったってもんッス!)

 

 

 

コガラシと千紗希を見て、紫音は2人の距離が縮まったように感じた。

 

 

 

コガラシ「ほら、轟も!」

 

 

 

千紗希を引き上げたコガラシは紫音を引き上げようと手を伸ばしたが、

 

 

 

紫音「いえいえ!自分は大丈夫ッスから!」

 

 

 

2人の邪魔をしたら悪いと思った紫音は遠慮して自力で登ろうとした。

 

しかし、

 

 

 

ズルッ!

 

 

 

紫音「あぁぁぁぁぁ!?」(ズザァ!

 

 

 

足を滑らせてしまい一気に下の方へ滑り落ちてしまう。

 

 

 

千紗希「紫音ちゃーん!?」

 

 

コガラシ「西条ぉ!受け止めろぉ!」

 

 

秋宗「は?」

 

 

 

秋宗が足元に注意しながら登っていた時、急にコガラシが叫んだため顔を上げると紫音がこっちへ滑り落ちてきていた。

 

 

 

秋宗「し、紫音!?」

 

 

紫音「秋宗兄さーん!退いて下さいッスー!」

 

 

 

紫音は秋宗に退くように言うが、秋宗は退こうとはしなかった。

秋宗の後ろには大きな岩があるため、もし退いてしまえば紫音が大怪我を負ってしまう。

だから秋宗は紫音を受け止めようとした。

 

そして、

 

 

 

トスッ

 

 

 

秋宗は自分の体を盾にして紫音を優しく受け止めた。

 

 

 

秋宗「大丈夫か!?」

 

 

紫音「ウ、ウス!///すんませんッス!///」(ドキドキ!

 

 

 

秋宗と体を密着させているため紫音の顔は真っ赤になり胸の鼓動も激しくなっていた。

そして秋宗と紫音は互いに支え合いながらコガラシたちの元まで登って行った。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

ある程度進んで行くと小さい滝の所へたどり着いた。

周りは木々で囲まれておりまさに絵に描いたような光景だった。

 

 

 

千紗希「上流に上がるにつれてどんどん水が棲んできてるね!」

 

 

コガラシ「おぉ~!言われてみれば!」

 

 

秋宗「カメラ持ってくりゃあ良かったなぁ」

 

 

 

秋宗たちが滝を眺めているのを紫音は少し頬を赤らめながら遠くから見ていた。

 

 

 

ガイドさん「あの灰色髪の彼に惚れてんの?」(ポンッ

 

 

紫音「ハイッ!?///」

 

 

 

すると、ガイドさんが紫音の肩に手を乗せて紫音を宥めた。

ガイドさんは紫音をずっと見ていたため秋宗のことになると顔を赤めていることに気が付きそこから紫音が秋宗に好意を抱いていることを推測した。

 

 

 

紫音「何言ってんスか!?///そんなワケ・・・!///そ、そりゃあ秋宗兄さんはコガラシ兄さんと同じくらい激強で憧れるッスけどあくまで漢としてっつーか!///」

 

 

 

紫音は必死になって秋宗に対して好意を抱いていないとガイドさんに弁解した。

実際は好きなのだが、あまり他人に知られたくないからである。

 

 

 

ガイドさん「ふ~ん?でも彼アタシから見ても結構イケてるし、今の内にガンガン攻めとかないと他の子たちに取られちゃうかもしれねぇよ?」

 

 

 

ガイドさんはあまり詮索はしなかったものの、紫音に恋のアドバイスを授けた。

紫音はガイドさんのアドバイスを聞いて2日前のマーレの言葉を思い出した。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

~2日前~

 

秋宗とかるらが大喧嘩をして仲直りをした後、大広間で秋宗、かるら、コガラシ、幽奈、千紗希、紫音、夜々、こゆず、そしてマーレが千紗希の手作りクッキーを食べている時だった。

 

 

 

マーレ『ねぇねぇシオン、アキムネのどんな所が好きなノ?』

 

 

 

マーレが隣に座っている紫音に周りに聞こえない程度の小声で質問をした。

 

 

 

紫音『はっ!?///ちょっ!?///えぇ!?///』

 

 

 

唐突にマーレから質問された紫音は思わず大きな声を出そうとしたが何とか堪えてマーレの方を見た。

 

 

 

紫音『何ワケわかんねぇこと言ってんスか秋宗兄さんのお母さん!?///』

 

 

マーレ『別に隠す必要はないわヨォ?確かにアキムネはいい顔してるシ、好きなってもおかしくはないワ』

 

 

 

マーレが秋宗の方を見ると秋宗はかるらの湯飲みにお茶を注いでいた。

それに吊られて紫音も秋宗の方を見た。

 

 

 

マーレ『でも今の内に色々アピールしとかないと後悔するわヨォ』

 

 

紫音『・・・・・』

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

~現在~

 

沢登りを再開した秋宗たちは更に上へ目指して登って行った。

 

 

 

紫音(って、何思い出してんスかね・・・?)

 

 

 

 

紫音はマーレから言われたことを思い出しながらも慎重に登って行った。

 

すると、

 

 

 

スッ

 

 

 

紫音「ヒャアッ!?」

 

 

 

突然誰かに腰に手を添えられて紫音は思わず変な声を出してしまう。

誰が手を添えているのかと確認すると、隣で秋宗が紫音を支えながら一緒に登っていた。

 

 

 

紫音「あ、秋宗兄さん・・・」

 

 

秋宗「気を付けろよ、この辺りさっきよりも滑りやすくなってるから」

 

 

 

秋宗は足元を注意しながらも紫音が滑り落ちないように支えながら慎重に登って行った。

そんな秋宗を見て、紫音は改めて実感した。

 

 

 

紫音(・・・そうッス!自分は!この人が!秋宗兄さんが好きなんス!)

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

そして空が夕焼けになるまで一通り遊び尽くした秋宗たちは小屋へ戻り中にある温泉に浸かることになった。

 

 

 

千紗希「楽しかった~!今日は誘ってくれてありがとね紫音ちゃん!」

 

 

紫音「いえ!礼を言うのはこちらのほうッス!先輩も参考になったって感謝してるッスよ!」

 

 

 

女湯では、千紗希と紫音が湯に足を浸けて今日の沢登りの感想を談笑していた。

 

 

 

千紗希「・・・紫音ちゃん、私応援するよ、頑張ってね」

 

 

紫音「えっ・・・?ハッ!?///」

 

 

 

紫音は千紗希が何を言っているのか分からなかったが、後になって理解して一気に頬が赤くなった。

 

 

 

紫音「い、いや何言ってんスか!?///別に秋宗兄さんとは・・・!///」

 

 

千紗希「誰も西条くんなんて言ってないけど?」

 

 

紫音「あっ!?///えっとその!///うぅ~!///」

 

 

 

千紗希から少しからかわれてしまい千紗希は顔を附せてしまう。

しかし、千紗希が自分の恋を応援してくれていることも嬉しく思った。

 

すると、

 

 

 

ガラララッ

 

 

 

千紗希・紫音『?』

 

 

 

扉が開く音が聞こえてガイドさんでも入ってきたのだろうかと振り返って確認すると、なんとコガラシと秋宗が入ってきたのである。

コガラシと秋宗は既に入っていた女子2人を確認すると一瞬固まってしまい、

 

 

 

『・・・・・!!??///』(カァァァァァ

 

 

 

4人揃って顔を赤くしてしまった。

 

ちなみに何故秋宗たちが女湯へ入って行ったのかというと、秋宗たちは男湯の暖簾を確認して中へは入って行った。

しかし、これはガイドさんの仕掛けた罠でもあった。

男湯と女湯の暖簾をすり替えてわざと秋宗たちを女湯へ入るように仕向けたのである。

これぞ『らぶらぶシャワークライミング』最後のイベント、『混浴ドッキリ大作戦』だったのだ。

 

そして女湯では、

 

 

 

秋宗「テメェコガラシ!///何俺にまでラッキースケベ症候群を伝染させてんだ!///」(グィ!

 

 

 

沈黙を破った秋宗がコガラシの首を掴み上げて睨み付けていた。

咄嗟のことだったため、コガラシは秋宗の手をさばけず首を締め上げられてしまった。

 

 

 

コガラシ「何ワケ分かんねぇこと言ってんだ西条!?///これは俺のせいじゃ!///」

 

 

秋宗「うるせぇ!ラッキースケベを受けるのは!テメェだけで十分だぁ!」(ブォン!

 

 

 

秋宗は持ち上げたままのコガラシをそのまま千紗希目掛けて投げ飛ばし、

 

 

 

ドシィーン!!

 

 

 

見事千紗希にぶつかり、コガラシの顔が千紗希の胸に埋める体制になってしまった。

 

 

 

千紗希「キャアアアアア!?///」

 

 

コガラシ「西条!///お前マジで覚えてろよ!///」

 

 

秋宗「知るか!俺は出るからどうぞごゆっくり!」

 

 

 

2人がごちゃついてる隙に秋宗は女湯から出ようとした。

その時、紫音の脳裏にガイドさんとマーレの言葉がよぎった。

 

 

 

 

 

ガイドさん『今の内にガンガン攻めとかないと他の子たちに取られちゃうかもしれねぇよ?』

 

 

マーレ『今の内に色々アピールしとかないと後悔するわヨォ』

 

 

 

 

 

これはチャンスと思い紫音は立ち上がり、

 

 

 

紫音「あ、あぁ~!足が滑ったッス~!」

 

 

 

わざと秋宗の方へ飛び付くように飛び付いた。

 

 

秋宗「えっ?」

 

 

 

秋宗が振り向くと紫音がこちら目掛けて飛び掛かってきていた。

咄嗟のことに秋宗は反応できず、

 

 

 

ドシィーン!!

 

 

 

秋宗「うおっ!?」

 

 

 

2人同時に倒れてしまった。

 

 

 

秋宗「イタタタ。何が起こったんだ?」

 

 

 

仰向けに倒れた秋宗が体を起こそうとすると、

 

 

 

フニュッ

 

 

 

秋宗「ん?」

 

 

 

左手に何やら柔らかい感触があり目を開けて確認すると、

 

 

 

紫音「~~!!///」(カァァァァ

 

 

 

紫音が秋宗に覆い被さるように四つん這いになっており、更に秋宗の左手は紫音の左胸をガッチリ触っていた。

 

 

 

秋宗(ヤ、ヤバい!///殴り殺される!///)

 

 

 

元番長の紫音のパンチを受けてしまえばいくら秋宗といえど無事では済まないだろう。

秋宗が殴られる覚悟を決めていると、

 

 

 

紫音(や、やっぱ恥ずかしすぎるッスよ~!!///)

 

 

 

紫音は裸を見られたことと胸を触られたことで頭の中がごちゃごちゃになってしまい、

 

 

 

バタリッ

 

 

 

体験したことのない恥ずかしさにオーバーヒートしてしまい、そのまま秋宗と体を重ねるように倒れこんでしまった。

 

 

 

秋宗「し、紫音!?///大丈夫か!?///紫音!?///」

 

 

 

今この女湯はとてつもないカオスな空間に包まれていた。

 

そして、このツアーは色々危険と判断されてお蔵入りになってしまった。

 

 

 




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