バタバタして忙しかったものでして!
それではどうぞ!
~ゆらぎ荘~ 午前7時
玄関では幽奈と夜々、雲雀は学校へ登校するために靴を履いており、朧が見送ろうとしていた。
ちなみに狭霧は部活の助っ人のために既に学校に向かっている。
雲雀「えぇっ!?また朧さんコガラシくんの部屋に忍び込んだの!?」
幽奈「は、はい。私が滝行へ行っている間に・・・」
幽奈から今朝の出来事を聞いた雲雀は朧の方を見てしまう。
今朝朧はコガラシの部屋へ赴き一緒に横になり暗示を掛けていたのだが、当然コガラシには効果がなく戻ってきた幽奈に止められてしまった。
雲雀「も~!朧さんってなんでそういう常識ないの!?」
夜々「まぁ人間じゃないし・・・」
朧「全ては、龍雅家のためだ」
コガラシは日本最強の御三家の一角『八咫鋼』を継いでいるため、朧はその子供を産み育てて龍雅湖の守護に就いてもらうために必要なことなのだと外へ出ながら朧は言うものの、幽奈たちは全然納得はしてくれない。
朧「それに何度も言っている通り、私は結婚などするつもりはない。冬空がお前たちの誰と結婚しようと私は気にしない。私は私で愛人として冬空と子作りするのみだ」
雲雀「少しは気にしろよ!///」
真顔で非常識すぎることを言っている朧に雲雀は思わず口調が変わってしまいながらも突っ込んだ。
雲雀「雲雀は愛人なんて許さないんだから!///」
朧「何だと!?それは狭量というものだろう!?」
雲雀「フツーだよ!///」
夜々「みんな、そろそろ学校行く時間」
幽奈「コガラシさんと秋宗さんがまだ・・・」
朧と雲雀が言い争っているのを余所に夜々は学校へ行こうと促すがコガラシと秋宗がまだ来ていないため幽奈はまだかと玄関の方を見た。
朧「ふむ、もうこんな時間か」
朧が腕を振るうと空間に転送門が開いた。
朧はゆらぎ荘で暮らしながらも龍雅家の勤めを毎日欠かさず行っている。
朧「では私も龍雅家へ行ってくる」
幽奈「お勤めご苦労様です~!」
朧が龍雅家へ繋がっている転送門へ入ろうとした時、
ぬぅっ
『!?』
突如転送門から誰かが出て来たため幽奈たちは驚いてしまう。
それは身長が2メートルもある色黒の男だった。
黒い髪が逆立ちデコには何やら紋章のようなものが刻まれている。
格好はタンクトップのような服を着ているがその下から筋肉の形が露になっており、下は袴を履いている。
???「おぉ朧!久しいな!」
男は朧を見掛けると笑顔で挨拶をした。
朧「玄士郎様!?」
朧は男の姿を見て更に驚いてしまう。
この男こそ龍雅家の現当主にして朧が仕えている、玄士郎である。
雲雀「えっ?この人がさっき言ってた朧さんのお殿様・・・!?」
雲雀と夜々は玄士郎と初対面のため少し緊張してしまう。
一方で玄士郎を見たことがある幽奈は、
幽奈(・・・でもなんだか少し、雰囲気が変わられたような?)
以前会った時は髪も整えて着物を着こなしており堂々とした風格があったのだが、今はその風格も変わり荒々しくも思えてしまう。
一体何があったのだろうと幽奈が疑問に思っていると、
玄士郎「んん?」
玄士郎が幽奈たちがいることに気がついた。
玄士郎「おぉう!また会えて嬉しいぞ幽奈!そして見知らぬ見目麗しい女子が2人も・・・!?」
玄士郎は幽奈と初見の雲雀と夜々を見ると声を震わせて、
玄士郎「よかろう!3人とも余の妻にしてやろうぞー!」(ダッ
雲雀「うきゃぁ!?」
幽奈「やっぱり変わってませんこの方!」
一気にだらしない表情になり幽奈たちへ駆け出した。
玄士郎は実力はあるものの筋金入りの女好きで見境なく見かけた女性を自分の妻にしてしまう程である。
朧「玄士郎様!みっともない真似はお止めくださいませ!」(ゴンッ
朧は呆れながら玄士郎の脳天に手刀を当てた。
玄士郎が暴走したら付き添いの朧が手刀を当てていつも止めている。
しかし、
スッ・・・
朧「!?」
当たっていた筈の朧の手刀が玄士郎に届かずまるで空を切るかのように空振りで終わってしまった。
雲雀「朧さんの攻撃を避けた!?」
雲雀は朧の攻撃が玄士郎に当たらなかったことに驚いてしまう。
朧は神速の力を持っているためコガラシでもその速さを捉えることは出来ない。
そんな朧の攻撃をいとも簡単に玄士郎は避けたのだ。
朧「いや、手刀は確かに届いていた・・・。まさか、会得されたのですか玄士郎様!?極龍洞に伝わるあの秘術を!」
朧は何やら心当たりがあるようだが、幽奈たちには何のことだかさっぱり分からなかった。
すると玄士郎はゆっくり口を開いた。
玄士郎「・・・朧よ、1つ聞くが、成仏したはずの幽奈が何故未だ現世に?」
朧「!」
玄士郎に幽奈のことを聞かれて朧の肩がはね上がってしまう。
玄士郎は幽奈を連れ去った時に助けに来たコガラシに殴られて気を失ってしまったのだが、朧が龍雅家の誇りを守るために相討ちでコガラシを倒したと玄士郎に嘘をついてしまい、更に目的の幽奈も成仏したと嘘を重ねたことにより玄士郎は幽奈を諦めたのだ。
このことを龍雅家の中で知っているのは当人の朧と衛兵たちだけだった。
しかし、玄士郎が衛兵たちの話を聞いてしまい幽奈が成仏していないことと自分がコガラシに倒されて尚且つそのコガラシが八咫鋼であることを知ってしまったのだ。
玄士郎「よくも余を謀ってくれたな朧!」(ゴゴゴ・・・
玄士郎の身体から怒りがオーラが溢れており今にでも朧に危害を加えそうな勢いでもあった。
朧「申し訳ございません、必要なことでした。処罰はなんなりと」
朧は地面に膝をついて玄士郎に頭を下げて嘘をついたことを謝罪したがとても許してくれそうには思えない。
幽奈「あ、あの、玄士郎さん?朧さんは仕方なく・・・」
見ていられずにいた幽奈は玄士郎に朧を許してもらえないかと声を掛けようとした時、
ガラララッ
コガラシ「すまん!おまたせー」
秋宗「悪い、ちょっと身支度に時間が掛かった」
玄関からコガラシと秋宗が鞄を持って出てきた。
雲雀「コガラシくん!秋宗くん!」
雲雀はコガラシと秋宗が来てくれたことでこの場がどうにかなると思い少しホッとした。
状況が飲み込めていないコガラシと秋宗は何かあったのかと疑問に思っていると玄士郎がいることに気がついた。
コガラシ「お前、あん時の・・・!」
秋宗「まさか、黒龍神か・・・!?」
コガラシはかつて幽奈を自分の妻にしようとした身勝手すぎる玄士郎を見て少し眉間にシワが寄り、秋宗はコガラシたちのことを調べていた時に玄士郎のことも顔だけは把握しておこうと覚えているため目の前にその玄士郎がいることに驚いてしまう。
玄士郎「現れたな、八咫鋼!」(フッ
玄士郎はコガラシが来たと分かった瞬間、指に霊力を溜めだし、
カッ!!
辺りが強い光に呑まれてしまった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
コガラシ「ん・・・?」
秋宗「一体、何が・・・?」
強い光で目を瞑っていたコガラシと秋宗がゆっくり目を開けると、辺り一面の景色が一気に変わっていた。
秋宗たちが立っている足場は地面なのだが形は円状でその周りを龍の身体をモチーフにした装飾が囲んでいた。
今分かることは、自分たちが球体の中にいることだけだった。
そして目の前には玄士郎が立っていた。
コガラシ「何だここ・・・?」
秋宗「多分、転送術で飛ばされたんだろうな」
秋宗とコガラシは辺りを見渡しながらも冷静に心を落ち着かせている。
秋宗たちのいるここは、極龍洞。
龍雅家に伝わる古代の闘技場で玄士郎も今までこの場所で修行をしていた。
『いやぁぁぁぁぁ!・・・』
すると、球体の向こう側から聞き覚えのある悲鳴が聞こえてきた。
コガラシ「この声は・・・!?」
秋宗「間違いなく幽奈たちだな・・・」
コガラシは幽奈たちの悲鳴を聞き心配になり何とかして助けに行けないかと考えた。
ドプンッ
朧「下手に動くなと言ったのだが、ここは罠だらけだからな」
秋宗たちの後ろに転送門が開き中から朧が出てきた。
朧は自分の警告を無視した幽奈たちに少し呆れてしまう。
玄士郎「ふははは、観戦客の1人もなしではつまらぬだろう?」
玄士郎は余裕の態度でコガラシと向かい会った。
玄士郎「八咫鋼よ、幽奈たちを解放して欲しくば余と戦え!貴様には一年前の礼をせねばならぬのでな・・・!」
コガラシは玄士郎が自分へのリベンジのためにゆらぎ荘へ来たことを知り目付きを鋭くした。
秋宗「・・・手ぇ貸してやろうか?」
秋宗は勝手に自分までここに連れて来た玄士郎にイラついているため、コガラシと協力して倒そうかと持ちかけるが、
コガラシ「大丈夫だ。西条は手を出さなくていい。これは俺の問題なんだ」
玄士郎「そういうことだ。よそ者は引っ込んでおれ」
秋宗「あんたもよそ者だろ!まぁいいや、5分で終わらせろよ」
コガラシと玄士郎から手出しは無用と言われてしまい、秋宗は玄士郎に突っ込みながらもあっさり引き下がり朧の隣に立ち観戦することにした。
コガラシと玄士郎が睨み合っている中で秋宗は朧に話し掛けた。
秋宗「・・・止めなくてもいいのか?弟なんだろ?」
朧「私が止めに入っても、玄士郎様は止まらん」
2人が話していると、
ダッ!!
コガラシが玄士郎へ駆け出して行った。
玄士郎は反応が少し遅れてしまい回避できず、
ボンッ!!
コガラシの拳が玄士郎の腹に炸裂した。
しかし炸裂はしたものの、なんと受けた腹の後ろの背中から何やら液状のものが飛び出しており、端から見たらコガラシの拳が玄士郎の身体を貫通したように見えてしまう。
秋宗「オイオイやりすぎだろ!」
朧「玄士郎様!」
秋宗はコガラシのやりすぎな攻撃に冷や汗をかいてしまい、朧は玄士郎がやられたことにより心配になってしまう。
ちなみに当人のコガラシも流石にやりすぎたと内心で焦ってしまうが、
玄士郎「・・・かつて余を一撃で沈めたとういその御三家の力。余の防御結界をこう易々と破るとは・・・成程、恐るべき霊力よ。朧、貴様がこの男との子を欲しがるのも頷ける・・・だが・・・」
コガラシ「!?」
秋宗「なっ!?」
朧「!!」
玄士郎「もはや無用」(ドロッ
なんと玄士郎は腹を突き抜けられたにもかかわらず、まるで身体が液体になっているかのようにコガラシの拳をかわしており、秋宗たちも玄士郎の状態に目を見開いてしまう。
玄士郎が右手を上げると、
ギュルルルルルッ!!
ドリルのように回転をしてコガラシの眼球を貫こうとした。
コガラシは咄嗟に反応できず眼前には玄士郎の右手が迫っており、
ギャリギャリギャリギャリ!!
鋼鉄を重機で削るような鈍い音が響いた。
既に手遅れ、コガラシの眼球は抉られてしまっただろう。
玄士郎「・・・ふはは!」
玄士郎はコガラシを見て思わず笑ってしまった。
その笑いは自分の攻撃が届いたことに喜んだ笑いではなく、
玄士郎「流石は八咫鋼を継ぐ者よ・・・!」
なんと玄士郎の当たる筈だった右手がコガラシの眼球の紙一重で粉々に散っていた。
コガラシの防御結界は一般の霊能力者よりも桁違いに頑丈なため玄士郎の攻撃を上回ったのである。
朧「・・・ふぅ」
朧はコガラシが無事だったことに思わず安堵の息を漏らしてしまう。
しかし秋宗は険しい表情になっていた。
秋宗(身体を液状化させるなんてスゲェけど、コガラシの防御結界を破れなきゃあ攻撃が届かないことなんて分かってる筈だ。コガラシが八咫鋼であることも知ってるのにも関わらず、この程度であの黒龍神が終わりなのか・・・?)
秋宗は玄士郎の余裕な表情を見てまだ何かあるのではないのかと疑心暗鬼になっていると、朧が玄士郎に話し掛けた。
朧「玄士郎様!もう十分でしょう!己の肉体を液状化させ攻撃を無効にするその秘術、確かに冬空の拳であっても打ち破れはしないでしょう。しかし玄士郎様の拳とて冬空の防御結界は破れない、不毛な争いです。ゆらぎ荘には御三家の一角、宵ノ坂の娘もいますし、更にそこにいる西条は西軍の幹部の軍に所属しています。これ以上彼らの怒りを買う前に引くべきです」
これ以上コガラシたちに迷惑がかからないように朧は呑子と秋宗を脅しに使い玄士郎を引かせようとした。
朧「冬空、西条、玄士郎様は私が諌めておく。私にできることならばどんな償いでもしよう。許してもらえないだろうか」
朧はコガラシと秋宗を見て今回の件を玄士郎に変わって謝罪をした。
コガラシ「まぁすぐに幽奈たちを解放してくれりゃそれでいいけどよ・・・」
秋宗「コガラシ、構えとけ。まだ勝負は終わってねぇぞ」
コガラシの言葉を遮って秋宗は構えを解いているコガラシに忠告をした。
コガラシ「は?どういうことだよ?」
理解ができていないコガラシは拍子抜けな顔になってしまい秋宗は呆れてため息が出てしまう。
秋宗「あのなぁ、こういうリベンジに来るヤツってのは前回の戦いの反省点を踏まえてくるもんなんだよ。二の手三の手と、ありとあらゆる作戦を考えて置いた上で勝負しに来る。しかも相手は黒龍神だ。これで終わりだとは思えねぇ」
冷静な分析をコガラシに説明して秋宗は視線を玄士郎へと移した。
玄士郎「ほう、貴様は八咫鋼とは違い、物事を冷静に考え判断するようだな」
玄士郎は秋宗の解説に感心して頬が上がってしまう。
玄士郎「それに比べ朧よ、貴様は余の勝利が信じられぬようだな・・・」
朧「玄士郎様・・・!?」
玄士郎の表情が段々険しくなっていき、朧の心中を貫く一言を発した。
玄士郎「朧よ、ゆらぎ荘とやらで過ごしたせいで貴様はおかしくなってしまっている」
玄士郎に言われて朧はハッとなり冷静になって考えた。
自分は玄士郎の守り刀だというのにも関わらず、玄士郎の敵のコガラシが無事であることに安心してしまい、自分の主の勝利をも信じられていない。
どうしてこんな風になってしまったのだろうと朧自身も理解できなかった。
玄士郎「・・・ところで八咫鋼。貴様の結界に砕かれたこの余の右手、今何処にあると思う?」
玄士郎はなくなっている右手を見せながらコガラシに質問をした。
聞いていた秋宗も何処かに落ちているのではないのかと辺りを見渡すも何処にも右手は落ちていなかった。
では一体何処に?と秋宗が考え込んだその時、
ボンッ!!
コガラシ「!?」
突如コガラシの身体の中から衝撃音が響いてコガラシは口から血を吹き出して気を失ってしまった。
朧「冬空!?」
朧は慌ててコガラシの元へ寄り体を支えた。
秋宗「何が、起こったんだ・・・!?」
ずっと見ていた秋宗も理解が出来なかった。
玄士郎はその場から動いていないためコガラシに攻撃が届く筈もなく、例え届いたとしても防御結界を破れる筈もない。
では一体どうやって攻撃をしたのだろう。
秋宗が頭をフル回転させて考えていると、コガラシの身体から黒い煙のようなものが吹き出してそれが玄士郎の右手へと戻っていった。
秋宗「ッ!そういうことか!」
玄士郎「気付いたようだな」
秋宗が事の全てを理解して玄士郎は術を見破った秋宗を称賛した。
玄士郎「余の右手は液体から気体となって八咫鋼の吸う息と共にその体内に侵入しておったのよ!これぞ極龍洞に伝わる龍雅家の秘術、極龍如水《ごくりゅうみずのごとし》!!御三家など余の敵ではない!!」
身体を液状化させて攻撃を無効化、気化させて体内から攻撃。
玄士郎はまさに無敵の秘術を習得してしまった。
朧「冬空!?しっかりしろ冬空!」
秋宗「マズイんじゃねぇか!?多分これ内臓が破壊されてるぞ!」
意識がなく見るからに死にかけているコガラシを見て朧と秋宗は焦ってしまう。
朧「玄士郎様!勝負は着きました!早く我々をこの極龍洞から解放してください!」
このままでは死んでしまうコガラシに手当てをさせようと朧は玄士郎にゆらぎ荘へ戻すようにお願いした。
玄士郎「・・・やれやれ、余の勝利を祝うどころか敵の心配か」
玄士郎はコガラシを心配している朧を見て呆れてしまう。
そして玄士郎は朧に冷酷な命令を出した。
玄士郎「朧よ、ゆらぎ荘を出て龍雅湖に帰ってこい」
朧「・・・・・」
秋宗「は・・・?」
玄士郎の発言に朧と秋宗は目を丸くしてしまう。
朧「・・・玄士郎様、私は今も日々龍雅湖に勤めております。ご存知の通り私には転送術があります故、住居は何処でも構わぬ筈・・・」
秋宗「まったくその通りだ。大体、朧がゆらぎ荘にいる理由はあんたら龍雅家のためなんだぞ?」
朧は玄士郎の命令に反論して、秋宗も肯定するように玄士郎に反論した。
玄士郎「それはそうだが、朧よ。貴様は本当に八咫鋼との子を成せるのか?」
玄士郎の指摘に朧は意表を突かれてしまう。
ゆらぎ荘に来て1年、何度もアタックしているもののコガラシは一度も自分に惚れたことがない。
今まで行ってきた色気作戦はすべて本などの知識によるもので自身にその技が在るわけではない。
考えた末、朧は自分がコガラシの籠絡作戦には向いていないと実感してしまった。
玄士郎「だから帰ってくるのだ!そして今後一切、ゆらぎ荘と関わることを禁ずる!元の貴様に戻れ!朧!」
催眠を解くように玄士郎は強く声を張って朧に戻ってくるように命令した。
このまま口論を続けていたらコガラシは死んでしまう。
そう考えた朧は玄士郎の命令に従った方が最善の手だと思ってしまった。
朧「それに従えば、冬空を、他の皆を解放していただけま・・・」
秋宗「待て朧」
玄士郎に従おうとしたその時、秋宗が朧の前に出て玄士郎と向き合った。
朧「西条・・・?」
秋宗「さっきから黙って聞いてりゃ、まるで朧の意思をまったく尊重してねぇことばかり言いやがって・・・。朧はあんたの姉だろ・・・!だったら姉の気持ちくらい弟のあんたが尊重してやれよ!」(グググッ
朧の意思など聞く気もない玄士郎の態度に我慢の限界がきた秋宗は怒り任せに玄士郎に怒鳴ってオオカミ人間へと姿を変えていった。
玄士郎「ほう。貴様、異国の獣だったか・・・。まぁどうでもよいが、朧は余の守り刀だぞ?ならば持ち主の我がどうしようと貴様には関係ないだろう?」
玄士郎は嘲笑い朧のことを道具としか思っていない発言をした。
そしてついに秋宗の怒りのボルテージはMAXを超えた。
秋宗「・・・テメェ朧をそんな風に見てんのか?後で詫び入れても手遅れだからな!!」
朧「西条よせ!冬空のようにやられるだけだぞ!」
これ以上犠牲を出したくない朧は秋宗を必死に止めようとしたが、秋宗は振り向いて、
秋宗「心配すんな。それよりコガラシを頼むぜ」(グッ
親指を立てて朧に大丈夫だと断言して玄士郎と向かい合った。
秋宗「取り敢えず、先手必勝だ!」(ダッ
両者が睨み合う中、先に切り出したのは秋宗だった。
秋宗は一気に玄士郎との間合いを詰めて右手を振り上げて、
ズバッ!!
すれ違いざまに爪で玄士郎の右腕を斬り身体から分離させた。
右手を斬られた玄士郎は、
玄士郎「・・・貴様は余と八咫鋼の戦いを見て何も学ばなかったのか?」
まったく攻撃が効いておらず呆れた表情になっていた。
斬られた箇所の断面は液状化していた。
玄士郎「時間の無駄だ。これで終わりにしてやろう」
玄士郎は秋宗に背を向けたまま右腕を気化させてコガラシと同様に秋宗の体内に侵入させようとした。
玄士郎「・・・?」
しかし、玄士郎にはある違和感があった。
身体の何処かを気化させる時、必ずその感覚が伝わってくるのだが、その感覚がまったく伝わってこなかった。
ゴトッ
それと同時に何かが落ちた音が聞こえて玄士郎が音のした方を見ると・・・
そこにはなんと凍りついた右腕が落ちていた。
玄士郎は理解出来なかった。
極龍如水は身体の液状化と気化のどちらかしかできないため凝固することはあり得ない。
それなのに自分の右腕が凍ってしまっている。
見ていた朧も何が起こったのかまったく分からなかった。
玄士郎「・・・貴様、一体何をした・・・!?」
玄士郎は右腕を凍らせたであろう秋宗の方を振り向くと、秋宗を見て目を見開いてしまった。
何故なら、秋宗の両腕も凍っていたからなのだ。
玄士郎のただ凍っている右腕とは違い、まるで氷の籠手をつけているようで手の指は爪よりも鋭利になっており龍の手をイメージさせるような形だった。
秋宗「・・・俺もあんたと同じく秘術を習得してるのさ。これぞカナダに伝わりし秘術・・・
氷河獣王
《グレイシャー・ライオンキング》!!」
今回は秋宗くんをなかり強化させました!
感想の程、よろしくお願いいたします!