緋扇邸のオオカミくん   作:アニアス

38 / 58
今回はオリジナル回です!

どうしても投稿が遅れてしまうな~・・・


第37話 離れない、否、離れたくない

~ゆらぎ荘~ 午後3時

 

 

 

浩介「はい宮崎さん、頼んでた物だよ」

 

 

千紗希「ありがとう平賀くん!」

 

 

 

コガラシと幽奈の部屋204号室に、浩介と千紗希、そして幽奈の姿があった。

珍しい組み合わせである。

 

浩介は千紗希に箱を渡していた。

 

千紗希が箱を開けると、中には柄がピンク色のメガネとコードレスの黒いインカムが入っていた。

早速千紗希はメガネを掛けてインカムを耳につけて辺りを見渡した。

 

 

 

幽奈「千紗希さ~ん、どうですか~?」

 

 

 

幽奈は千紗希の前で手を振った。

本来霊力が少ない千紗希には幽奈が見える筈がないのだが、

 

 

 

千紗希「凄い!幽奈さんが見えるし声も聞こえるよ!」

 

 

幽奈「ホ、ホントですか!?」

 

 

 

なんと幽奈の姿がはっきり見え話すことも出来た。

幽奈は千紗希と話が出来たことに喜び思わず千紗希の手を取ってしまう。

 

何故千紗希が幽奈の姿を確認できているのかというと、

 

 

 

浩介「どうやら成功したみたいだね」

 

 

 

浩介が渡したメガネとインカムのおかげだった。

 

数週間前、千紗希が浩介に幽奈と直接会話が出来るようになる発明品を作ってくれないかとお願いしたことが始まりだった。

この前持ってきた幽霊探索ゴーグルは幽奈の姿が見えるだけで声が聞こえなかったため会話が出来なかった。

いつもは幽奈がメモに書いて意志疎通を行っているが千紗希はどうしても幽奈と会話がしたかった。

そこで霊能力専門の発明家の浩介に頼んで今に至ったのである。

ちなみに幽霊探索ゴーグルをVRゴーグルからメガネに変えたのは浩介の粋な計らいである。

 

 

 

千紗希「ホントにありがとう平賀くん!これでいつでも幽奈さんとお話出来るよ!」

 

 

幽奈「ホントにありがとうございます~!」

 

 

浩介「いいよ別に」

 

 

 

女子2人からお礼を言われて浩介は照れくさそうに頬を掻いてしまう。

 

すると、

 

 

 

スゥッ

 

 

 

雲雀「あ、平賀くんいた」

 

 

狭霧「平賀浩介、ここにいたのか」

 

 

 

誅魔忍コンビの狭霧と雲雀が襖を開けて入って来た。

 

 

 

浩介「どうしたの?雨野さんに雲雀さんまで?」

 

 

狭霧「実は先程まで、雲雀と模擬戦をしていてな」

 

 

雲雀「霊力をかなり使っちゃってさ~。平賀くんに『アレ』を貰おうかなって」

 

 

 

狭霧はポーカーフェイスだが雲雀は疲れが顔に出ており気だるそうに見えた。

 

 

 

浩介「あぁアレ?いいよ、ちょっと待ってて」

 

 

 

浩介はアタッシュケースを開けて狭霧と雲雀が言っているアレを取り出そうとした。

幽奈と千紗希はアレとは何のことか分からず顔を見合わせてしまう。

 

 

 

浩介「はいどうぞ」

 

 

 

そして浩介が取り出したのは自販機とかで売られてそうな缶のようなものだった。

浩介は狭霧と雲雀に1本ずつ渡した。

受け取った2人は缶のプルタブに指をかけると、

 

 

 

カシュッ

 

 

 

と音を立てて口を開けた。

 

すると口から何やら緑色の煙が吹き出して狭霧と雲雀を包み込むと、

 

 

 

狭霧「ふぅ~・・・」

 

 

雲雀「はぁ~生き返る~」

 

 

 

2人ともとてもリラックスした表情になった。

 

 

 

幽奈「あ、あの浩介さん・・・?今のは?」

 

 

 

幽奈は浩介に狭霧たちが使った缶について聞いてみた。

 

 

 

浩介「あれは霊力補給装置って言ってね、口を開けると開けた人の霊力が5割回復するんだよ」

 

 

 

浩介は狭霧たちの任務に同行しているため何か霊力を回復出来る発明品を作れないかと考えた結果、霊力補給装置が完成した。

これが意外にも好評で他の誅魔忍から依頼されて何個か作ったりしている。

 

 

 

狭霧「すまないな、こんなことで補給装置を使ってしまって」

 

 

雲雀「そう言えば、何で千紗希ちゃんメガネ掛けてるの?」

 

 

 

千紗希がメガネを掛けていることに気がついた雲雀は何故彼女がメガネを掛けているのか不思議に思い首を傾げてしまう。

 

 

 

千紗希「平賀くんに頼んで作って貰ったんだよ」

 

 

幽奈「凄いんですよ!このメガネを掛けると私が見えるようになってですね!」

 

 

 

幽奈と千紗希が自慢するように話していると、

 

 

 

浩介「あれ?」

 

 

 

浩介がアタッシュケースの中をあさって何かを探していた。

しかし中々見つからず何処だ何処だと必死になっていた。

 

 

 

狭霧「どうした?」

 

 

浩介「いや、朧さんから頼まれてある発明品を作ったんだけど、それがないんだよ・・・」

 

 

 

アタッシュケースから発明品を1つずつ外へ出しながらその発明品を探したが見つからず何処へやったのだろうと頭を抱えてしまう。

 

 

 

雲雀「・・・ちなみに朧さんから頼まれて作った発明品って何?」

 

 

 

コガラシに裸で抱きついてくる朧のことだからどうせ録でもないものだろうと雲雀は思うが一応聞いておくことにした。

 

 

 

浩介「大丈夫だよそんな卑猥なものじゃないから、作ったのは・・・」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

秋宗「♪~」

 

 

 

一方その頃、秋宗は鼻唄を歌いながら廊下を歩いていた。

ゲームでハイスコアを記録したためかなり上機嫌である。

 

 

 

秋宗「お?」

 

 

 

廊下を歩いていると、目の前に箱が落ちているのに気が付いた。

気になるためそれを拾い上げて用心深く観察した。

振ってみるとカランカランと中から何かが転がる音が聞こえて、匂いを嗅ぐと金属の匂いが出ていることが分かった。

 

 

 

秋宗「取り敢えず開けてみるか」

 

 

 

恐る恐る箱を開けると、

 

 

 

秋宗「・・・これって、ブレスレット?」

 

 

 

中に入っていたのは2つのブレスレットだった。

1つは黒を基準とした龍が彫られているデザインでもう1つはピンクを基準とした花が彫られているデザインだった。

 

 

 

秋宗「何でブレスレットが落ちてんだ?」

 

 

紫音「どうもッス秋宗兄さん!」

 

 

 

後ろから声を掛けられて振り向くとそこに紫音が立っていた。

 

 

 

秋宗「おう紫音、遊びに来たのか」

 

 

紫音「ウスッ。って何持ってんスか?」

 

 

 

軽く挨拶すると紫音が秋宗の持っている箱に食いついて覗き込んだ。

 

 

 

紫音「ブレスレットッスか?」

 

 

秋宗「あぁ、どういう訳か廊下に落ちててな」

 

 

 

箱からブレスレットを取り出してジッと見てみることにした。

見た感じは綺麗でいかにも新品らしさを漂わせていた。

 

見れば見る程ブレスレットのデザインに引かれてしまった2人は、

 

 

 

秋宗「・・・つけてみるか」

 

 

紫音「・・・そうッスね」

 

 

 

つい魔が差してしまいブレスレットをつけることにした。

秋宗は黒のブレスレットを右手首に、紫音はピンクのブレスレットを左手首につけた。

 

 

 

秋宗「似合ってるじゃないか紫音」

 

 

紫音「秋宗兄さんこそ似合ってるッスよ!」

 

 

 

互いにブレスレットが似合ってると褒めていると、

 

 

 

ブゥゥゥンッ

 

 

 

秋宗「ん?」

 

 

紫音「え?」

 

 

 

急に2つのブレスレットが青白く光り出した。

ブレスレットから蛇のように光が伸びて出会うかのように繋がった。

 

そして次の瞬間、

 

 

 

ギュゥンッ!!

 

 

 

秋宗「うおっ!?」

 

 

紫音「どわぁっ!?」

 

 

 

ガキィィィン!!

 

 

 

まるで磁石に引っ張られるかのように秋宗の左手首と紫音の右手首が勝手に動いて2つのブレスレットが金属の音を立てて当たった。

 

 

 

秋宗「な、何だ!?」

 

 

紫音「何が起きたんスか!?」

 

 

 

秋宗も紫音も何が起きたのか全く分からなかった。

急に自分たちの腕が動いてブレスレット同士が当たったのだから。

 

取り敢えず腕を離そうとすると、

 

 

 

秋宗「・・・ん?」

 

 

紫音「・・・あれ?」

 

 

 

2人とも怪訝な表情を浮かべてしまう。

離そうとしているがブレスレットがまるでくっついたかのように動かず、どんなに力を入れても全く離れる様子がなかった。

 

 

 

秋宗「これって・・・!?」

 

 

紫音「まさか・・・!?」

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

『せーのっ!!!!』

 

 

 

グイィィッ!!

 

 

 

場所は変わり大広間。

コガラシたちが集まり秋宗と紫音がつけたブレスレットを力ずくで離そうとしている。

秋宗にコガラシ・浩介・かるら・マトラ・呑子・朧がつき、紫音に幽奈・千紗希・狭霧・雲雀・夜々・こゆず・仲居さんがついてそれぞれ反対方向へ思いっきり引っ張るも、

 

 

 

秋宗「イタタタタッ!!」

 

 

紫音「もげるッス!腕がもげるッス!」

 

 

 

まったく外れず秋宗と紫音は苦痛の悲鳴を上げてしまう始末である。

これ以上やったら本当に腕がもげてしまいそうなためコガラシたちは引っ張るのをやめた。

 

 

 

マトラ「ダメだ、全然外れねぇ・・・」

 

 

幽奈「びくともしませんね」

 

 

夜々「取れないの」

 

 

 

何故2人がこのようなことになったのか、原因は浩介の発明品にあった。

秋宗と紫音がつけたブレスレットは浩介が朧に頼まれて作った発明品『コネクトリング』。

これをそれぞれ1人1つずつ手首に嵌めると互いの霊力をN極とS極のように磁力に変化させて手錠のように離れなくする効果がある。

霊力が大きい程引き付ける力も大きくなるため秋宗の大きい霊力が紫音の霊力を引き付けてしまい外れなくなってしまった。

 

 

 

浩介「ごめん2人とも、こんなことになっちゃって」

 

 

 

浩介は申し訳なさそうに秋宗と紫音に謝った。

 

 

 

紫音「別にいいッスよ、気にしてないッスから」

 

 

秋宗「それより早くこれ外してくれよ」

 

 

 

しかし秋宗も紫音も怒っておらず早く外してくれと浩介に言った。

コネクトリングを作った浩介なら外せる筈と思っていたが、

 

 

 

浩介「え~っと・・・じ、実はさ・・・僕にも外せないんだ・・・」

 

 

秋宗・紫音『・・・え?』

 

 

 

浩介が額に汗をかきながら目も泳いでいた。

秋宗と紫音はポカンとなってしまいどういうことなのだと思った。

 

 

 

狭霧「どういうことなのだ?」

 

 

浩介「これ、鍵とか何にもないから・・・磁力が弱くなるのを待つしかないんだ・・・多分、半日でほぼ磁力がなくなると思うんだけど」

 

 

 

半日、つまり約12時間。

2人がブレスレットをつけたのは午後の3時ごろ。

つまり、

 

 

 

呑子「ブレスレットが取れるのは明日の午前3時ごろってところかしら」

 

 

 

みんなを代表して呑子が大広間の時計を見ながらコネクトリングが外れる時間を当てた。

時間を聞いた紫音は、

 

 

 

紫音(ってことは明日の朝までこのままってことッスかぁ!?///)

 

 

 

今日はずっと秋宗と近距離で居なければならないと理解して顔が赤くなってしまう。

 

 

 

秋宗「ふざけんな浩介!今日ずっとこのままでいろってことか!?」

 

 

浩介「ホントにごめん!今度何か奢るから!」

 

 

秋宗「コガラシ!お前の拳でこれ壊せ!そんくらい出来るだろ!?」

 

 

コガラシ「出来るは出来るけどよ、壊したらお前はともかく轟が破片とかで怪我するだろ」

 

 

秋宗「あぁそっか、じゃあ・・・!」

 

 

 

何か方法がないかと頭をワシャワシャと掻き乱して考えるもまったく思いつかず、

 

 

 

秋宗「・・・仕方ねぇ、磁力がなくなるのを待つか」

 

 

 

コネクトリングの効果がなくなる明日の午前2時までこのままでいることを決めた。

 

 

 

かるら「まぁこやつらのことはそれで良しとして、少し聞きたいことがあるのじゃが?」

 

 

 

かるらはジロリとある人物に目線を移した。

 

それは、

 

 

 

朧「・・・何だ?」

 

 

 

コネクトリングが完成した原因を作った張本人、朧だった。

かるらから睨まれても朧はポーカーフェイスのまま動じなかった。

 

 

 

かるら「朧、お主平賀に頼んでこのブレスレットを作らせたそうじゃのう?」

 

 

朧「私はただ『冬空と常に共にいられるようにできる発明品を作ってくれないか?』と頼んだだけだ、別にやましいことは何も・・・」

 

 

かるら「お主のことじゃ!これを使うてコガラシ殿にやましいことをするつもりだったのじゃろうが!」

 

 

 

かるらは鬱憤を晴らすように朧の頬を上下左右に引っ張り回した。

コガラシたちも同じようなことを考えていた。

 

 

 

秋宗「にしてもこのリングすげぇ硬いんだが、何で出来てんだ?」

 

 

浩介「素材はロンズデーライトだけど」

 

 

秋宗「ロンズデーライト!?」

 

 

 

※ロンズデーライトとは地球上で2番目に硬い物質で『六方晶ダイヤモンド』とも呼ばれている。

 

 

 

千紗希「何でそんな物質で作ったの!?」

 

 

浩介「どうせなら硬く作った方がいいかな~?って感じで」

 

 

こゆず「匠の粋な計らいだ!」

 

 

雲雀「粋が良すぎるよ!」

 

 

マトラ「つーか改めて思うんだがスゲェよなコイツの技術力」

 

 

仲居さん「確かにそうですね、この前も壊れた洗濯機とか直してもらいましたし」

 

 

 

高度な霊能力専門の発明品に限らず家電製品の修理もこなせる浩介の腕にみんなは感心してしまう。

そもそもロンズデーライトなんてどこで手に入れたのだろう。

 

 

 

秋宗「まぁ今日だけの辛抱だし我慢するか、って紫音?どうした?」

 

 

紫音「///・・・」(モジモジ

 

 

 

頬を赤くしながら身体を揺らしている紫音を見て秋宗は疑問に思い声を掛けた。

紫音は口で何かモゴモゴ言っており何を言っているのか聞き取れない。

 

 

 

紫音「えぇっと///その、ッスね///・・・」

 

 

秋宗「なんだよ?言いたいことがあるなら言ってみろ」

 

 

 

困っている後輩を放っておけない秋宗は先輩として紫音の悩みを聞こうとした。

紫音は言うべきか黙っておくべきか悩むがとうとう観念してはっきり言葉にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫音「ト///トイレ、行きたいんス・・・!!///」

 

 

 

 

 

ピシッ・・・

 

 

 

紫音の発言によりその場の空気が一気に固まった。

当の本人は恥ずかしいあまりに涙目になっている。

 

本来ならここまで切迫詰まって言うことではないのだが、秋宗と紫音は今はコネクトリングで離れることが出来ない。

 

つまり今の段階で紫音がトイレに行くということは秋宗も一緒にトイレへ入らなければならないということ。

 

 

 

かるら「秋宗!///分こうとると思うが共に厠へ入ることは社会的に死を意味することになるぞ!///音を聞くだけでもお主は終わるぞ!///」

 

 

秋宗「分かってるわそんくらい!///」

 

 

夜々「でも秋宗も一緒に入らないと紫音がトイレに行けないの」

 

 

雲雀「じゃあどうするの!?」

 

 

紫音「ヒック・・・!///グスッ・・・!///」

 

 

千紗希「紫音ちゃん泣かないで!」

 

 

 

紫音はとうとう泣き出してしまい千紗希が必死になって慰めている。

一体どうすれば秋宗は助かり紫音はトイレに行けるのか考えていると、

 

 

 

幽奈「あっ!じゃ、じゃあこういうのはどうですか!?」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

しばらくして、

 

 

 

スゥッ

 

 

 

秋宗・紫音『///・・・』

 

 

 

秋宗と紫音、そして幽奈の3人がトイレから戻ってきたが、秋宗と紫音は顔を赤く染め互いに目を合わせないようにしていた。

 

 

 

かるら「・・・どうじゃった?」

 

 

 

恐る恐るかるらが幽奈に2人はどうなったか尋ねると、

 

 

 

幽奈「多分、大丈夫だと思いますよ、ですよね秋宗さん?」

 

 

秋宗「・・・あぁ///」

 

 

 

幽奈は大丈夫だと言うものの秋宗は少し元気がなく返答をした。

 

幽奈が立てた作戦はこうだった。

まず秋宗を目隠しさせて現場を目撃させないようにする。

次に紫音と一緒にトイレに入り幽奈が扉をすり抜けて秋宗の耳を塞いで音を聞こえなくさせる。

そうすれば秋宗は何も目撃せず何も聞かずで事なきことを得る。

秋宗も何も見えず何も聞こえずで問題はなかったが、

 

 

 

秋宗「俺もう、明日から学校に行けねぇよ・・・」

 

 

紫音「自分なんかもうお嫁に行けないッスよ・・・」

 

 

 

男女が一緒にトイレに入ったことがかなり効いてしまい2人は死んだ魚のような目をしていた。

このままでは鬱になってしまうことを恐れた浩介は急かさずフォローに入った。

 

 

 

浩介「大丈夫だよ秋宗くん!轟さんも!冷静になって考えてみてよ!冬空くんだって覗き魔の如く毎度毎度女の子の裸ばっかり見てるし!雨野さんに宮崎さんだって露出狂の如く冬空くんに裸見られてんだよ!それに比べれば大したことないって!」

 

 

コガラシ「オイ!」

 

 

 

フォローのためにディスられたコガラシは浩介に声を上げてしまう。

 

 

 

秋宗「・・・確かに、そう考えると」

 

 

紫音「自分ら、まだマシかもしれないッスね」

 

 

 

浩介の言葉にそれもそうだと思い秋宗と紫音は少し立ち直ることができた。

 

 

 

浩介「よかった、2人とも立ち直れて」

 

 

狭霧「それはそうと平賀浩介は後で話がある、いいな?」

 

 

浩介「・・・はい」

 

 

 

立ち直させるためとはいえディスられた狭霧の怒りは治まらず睨みを効かしており浩介は冷や汗を掻いている。

 

 

 

仲居さん「あっ!もうこんな時間!」

 

 

 

仲居さんが時計を見ると針は4時を差していた。

つまりは夕食を作らなければならない時刻である。

 

 

 

仲居さん「では私は夕飯の支度をしなければなりませんので皆さんはお先にお風呂に入っておいて下さいね」

 

 

 

そう言って仲居さんは厨房へ向かうために大広間から出て行った。

 

 

 

夜々「紫音はゆらぎ荘にお泊まりなの」

 

 

紫音「まぁそうなるッスね」

 

 

コガラシ「平賀も夕飯食べてけよ」

 

 

浩介「じゃ、じゃあ遠慮なく・・・」

 

 

こゆず「それなら浩介くん!七海ちゃんも呼んでよ!」

 

 

秋宗「絶対俺らのことイジってくるなアイツ」

 

 

 

今日の夕食は賑やかになりそうだとみんながワイワイ騒いでいると、マトラがあることに気がついた。

 

 

 

マトラ「・・・そういや秋宗たちって風呂どうすんだ?」

 

 

秋宗・紫音『え?・・・・・アッ!!///』

 

 

 

マトラに言われて秋宗と紫音はポカンとなるも一瞬で理解して再び顔が赤くなった。

繋がっている2人は離れることが出来ず今日は常に一緒に行動しなければならない。

それはつまり風呂も一緒に入らなければならないということ。

 

 

 

夜々「それなら大丈夫なの」

 

 

秋宗「夜々!?」

 

 

紫音「何か秘策でも!?」

 

 

 

自信満々に問題を解決出来ると断言する夜々に秋宗と紫音は期待の眼差しを向けた。

もしかしたら互いの裸を見ずに済むかもしれないからだ。

 

 

 

夜々「うららに頼んで転送用の霊札を持って来てもらうの、それなら服を簡単に脱げるの」

 

 

秋宗・紫音『・・・ん?』

 

 

 

夜々の解決策に秋宗と紫音は目を丸くしてしまう。

 

 

 

マトラ「アタシもそこを気にしてたんだよ。それなら何とかなるか」

 

 

呑子「そうねぇ。手が繋がってたら着替えられないもんねぇ」

 

 

朧「なら私が浦方から札を貰って来よう」

 

 

 

確かにブレスレットが繋がっている状態では服を脱ぐことが出来ないため転送用の霊札で服だけを転送させれば風呂に入ることが出来る。

マトラたちはこれで解決だと納得していたが、

 

 

 

秋宗・紫音((そ、それなんの解決にもなってねぇぇぇぇぇぇぇ!!///))

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

~午後7時~

 

あの後服を脱いで何とか互いの裸を見ずに済み風呂に入れた秋宗と紫音。

風呂から上がって5分経つにも関わらずまだ顔が赤い2人。

見えていなかったとはいえ互いに近距離で布一枚纏わず風呂に入ってしまったのだから無理もない。

 

そして今は夕食の時間。

今日はエビフライで七海も呼んで浴衣に着替えたみんなは机を囲み談笑しながら食事をしている。

 

 

 

秋宗「んんっ・・・くそっ・・・」

 

 

 

利き手の右手が塞がっている秋宗は反対の左手で箸を持たざるを得ないため、何とかエビフライを取るもののすぐに皿へと落としてしまう。

そのため他のみんなよりも箸が遅い。

 

 

 

マトラ「秋宗、エビフライ食べないのか?」

(ヒョイッ パクッ

 

 

 

秋宗の皿の料理がまったく減っていないのに気がついたマトラは平然と秋宗のエビフライを箸で取り口へと運んだ。

 

 

 

秋宗「あっ!?何勝手に取ってんだよ姐さん!」

 

 

マトラ「なんだ食べるつもりだったのか、ワリィな」

 

 

 

秋宗は勝手に自分のエビフライを食べたマトラを筆跡するも彼女は軽く謝っただけだった。

 

 

 

紫音「・・・・・」

 

 

 

秋宗の悪戦苦闘している様子を隣で見ている紫音は自分が食べさせてあげればよいのではないかと考えた。

みんなの視線が集中してしまう可能性は大だが秋宗が可哀想なため食べさせることを決めた。

 

 

 

紫音「あの、秋宗兄さん・・・」

 

 

 

紫音が秋宗に声を掛けようとした時だった。

 

 

 

ビュンッ

 

 

 

秋宗「ムグゥッ!?」

 

 

 

突如エビフライが宙に浮き秋宗の口へと吸い込まれるように飛んでいった。

その正体は、

 

 

 

七海「オオカミさん、ちゃんと口開けなさい」

 

 

 

七海がポルターガイストで飛ばしていたのだ。

秋宗はエビフライを噛んでゴクンと呑み込んだ。

 

 

 

秋宗「いきなり何すんだよ!?」

 

 

七海「だってオオカミさん食べづらそうじゃない。それにこんな可愛い美少女からアーンしてもらえるのよ?むしろ喜びなさい」

 

 

雲雀「こんな愛情のないアーン初めてみるよ」

 

 

呑子「言われてみればそうねぇ~」

 

 

七海「ほら、つべこべ言わずに口を開けて」

 

 

 

七海が手を翳すと秋宗の茶碗と箸が浮かび、箸がご飯を取り秋宗の口へと運んでいった。

秋宗もこの方法が食べやすいためされるがままに口に入ったものを食べていった。

 

 

 

コガラシ「にしてもポルターガイストをこんなに器用に扱えるなんざスゲェな」

 

 

浩介「まぁ家でもテレビのリモコン操作したり片付けとかでも使ってるからね」

 

 

かるら「流石は家鳴、と言ったところよのう」

 

 

狭霧「だが行儀が悪すぎる。少しは自分の手を使え」

 

 

紫音「・・・・・」

 

 

 

七海のポルターガイストにコガラシたちが感心している中、コガラシにアーン出来なかった七海はトボトボとエビフライを食べるのだった。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

~午後10時~

 

ゆらぎ荘での秋宗の部屋、207号室では布団が2つ敷かれて1枚ずつに秋宗と紫音が横になっていた。

布団は引っ付けた状態で近距離でいるため一緒に寝ることになってしまったのだ。

 

 

 

秋宗「・・・ワリィな紫音、俺があんなこと言ったばかりに」

 

 

紫音「いいッスよ別に、もう過ぎたことなんで」

 

 

 

互いに目を合わさず天井を見上げたまま秋宗と紫音は話していた。

 

 

 

秋宗「・・・なぁ紫音」

 

 

紫音「なんスか?」

 

 

秋宗「お前さ、俺のこと嫌いじゃねぇのか?」

 

 

紫音「えっ?」

 

 

 

紫音は思わず秋宗の方を見てしまう。

 

 

 

秋宗「だってよ、お前の胸2回も揉んだりしたんだぞ?普通なら嫌いになるだろ?」

 

 

 

1回目は酔っ払った勢いの時、2回目はシャワークライミングの時で確かに紫音の胸を触ってしまっている。

しかし紫音は忘れたかのように秋宗と接している。

秋宗はどうしてもそこが附に落ちなかった。

 

 

 

紫音「ま、まぁ確かに秋宗兄さんには胸触られたりしたッスけど・・・///ほら!千紗希姐さんだってコガラシ兄さんに裸見られてようと接してるじゃないッスか!///それと同じッスよ!///」

 

 

秋宗「・・・そんなもんなのか」

 

 

 

当時のことを思い出し顔を赤くしながらも紫音は秋宗のことをまったく拒んでないと説明した。

秋宗はまだ納得できないところもあるがこれ以上は深く聞かないことにした。

 

 

 

紫音「それに・・・///なんたって、自分は秋宗のことが・・・///」

 

 

秋宗「何か言ったか?」

 

 

口をモゴモゴと動かしながらポロッと本音を溢してしまうが秋宗はよく聞き取れなかったため何を言ったのかと聞こうとするも、

 

 

 

紫音「い、いえ!///何でもないッス!///んじゃお休みなさいッス!///」

 

 

 

紫音は勢いよく布団を頭まで被り無理やりにでも寝ようとした。

秋宗も瞼が重くなってきたためそのまま眠りについてしまった。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

チュンチュン、チュン・・・

 

 

 

紫音「んん・・・」

 

 

 

スズメの鳴き声が聞こえそれを目覚ましにするかのように紫音はゆっくりと瞼を開いた。

窓から朝日の光が差し込み部屋を明るくしていた。

 

 

 

紫音「もう朝ッスか・・・あっ!そういやブレスレット・・・!」

 

 

 

眠気が吹き飛んだ紫音は上半身を起こして自分の左手を確認すると、秋宗と繋がっていたコネクトリングが離れ、それどころかリング自体も2人の手首から外れていた。

 

 

 

紫音「よかったッス~!もう外れたんスね!」

 

 

 

紫音は左手首をグルングルンと回しながら解放感を味わった。

秋宗はまだ眠っておりスゥ、スゥと寝息を立てていた。

 

 

 

紫音「秋宗兄さんはまだ寝てんスか・・・」

 

 

 

ここは秋宗を起こしてコネクトリングが外れたことを教えるべきだが紫音は無理に起こすのもどうかと思い秋宗が起きるのを待つことにした。

 

 

 

紫音「・・・・・・」

 

 

 

紫音は自分の左手を見ながら昨日の秋宗の右手の温もりを思い出した。

もうあんな長時間秋宗と手を繋ぐ?機会なんて滅多にないだろう。

そう考えてしまった紫音は、

 

 

 

紫音「も、もう少しだけ///もう少しだけなら、いいッスよね・・・?///」

 

 

 

紫音は再び布団へ横になり、横向けに眠っている秋宗の胸に顔を埋めた。

昨日と違い更に近距離にいるため秋宗の呼吸やら心臓の音などが聞こえており、紫音の心臓はバクバクの状態になっている。

 

 

 

紫音(万が一、秋宗兄さんが起きても///寝惚けてたって言えば///大丈夫な筈ッスから・・・!///)

 

 

 

離れたくない。

このまま一緒にいたい。

ずっとこの時間が続いてほしい。

 

いろんなことを思いながら紫音は好きな人が起きるまで近距離で接するのだった。




~オマケ~

一方、207号室の襖の向こうでは、


ジーーーーーーッ


七海「フフフッ、これはネタになるわ」


隙間から七海がビデオカメラを回して一部始終を録画していたのだった。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。