緋扇邸のオオカミくん   作:アニアス

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第3話 オオカミ人間の力

オオカミ人間

欧米地方に伝わる妖怪。

プライドが他の妖怪たちよりも一段と高く、闘争を好む者もいれば、一人となる者もいる。

欧米では、満月の夜にはオオカミ人間が血を求めて人間のいるところへ赴き、人間の血を1滴残らず飲み干すと言われている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在、ゆらぎ荘の露天風呂では、かるら率いる宵ノ坂と冬空コガラシたちが対立していた。

しかし、緋扇かるらの用心棒、西条秋宗の姿が愕然と変わっていった。

西条秋宗は、欧米に伝わる妖怪、オオカミ人間なのであった。

 

 

マトラ「いや~、それにしても相変わらずえらい変わりようだな秋宗!やっぱりオオカミ人間の変身はいつ見てもすごいな!」

 

 

 

秋宗「やめてくれ姐さん、地味に痛い」

 

 

 

マトラはバンバンと秋宗の膝当たり辺りを強く叩いている。

 

 

 

雲雀「オオカミ人間!?そんなの初めて見るよ!」

 

 

仲居「私も初めて見ます!てっきり外国にしかいない妖怪かと」

 

 

呑子「それにしても、あんなに大きくなれるものなの?」

 

 

 

 

雲雀と仲居さんは、いや、幽奈たちは初めて見るオオカミ人間に動揺を隠せなかった。

 

 

 

秋宗「・・・いいことを教えてやるよ、オオカミ人間は昼間だろうがいつでも変身できるが、夜に変身すると狂暴性が10倍!さらに満月が出ていれば50倍にまでも膨れ上がるんだよ!」

 

 

 

秋宗の言葉にさらに驚いてしまう幽奈たち。しかし、

 

 

 

コガラシ「・・・だからなんだよ。俺も最初は驚いたけど、こっちは妖怪やら黒龍神やらと相手してきたんだよ。今さらオオカミ人間ごときで逃げ腰になるかよ」

 

 

 

彼だけは、冬空コガラシだけは冷静さを取り戻していた。そして拳を構えて

 

 

 

コガラシ「悪いが、一気にカタつけさせて貰うぞ!!」

 

 

 

ダンッ!!

 

 

 

コガラシは駆け出して一気に秋宗の間合いまでの距離をなくした。

 

 

 

秋宗「何っ!?」(油断はしなかったが、一気にここまで距離をなくせるのか!?流石はあの黒龍神を倒しただけのことはある!)

 

 

 

コガラシ「オラァ!!」(ズドォン!!!

 

 

 

コガラシの拳が秋宗の脇腹にクリーンヒットした。

コガラシは『肉体派霊能力者』。

殴って霊を成仏させることができる為、妖怪退治も常に拳で対応してきた。

 

 

 

幽奈「やった!コガラシさん!」

 

 

夜々「案外対したことなかったね、オオカミ人間」

 

 

狭霧「所詮はただの見せ掛けだったか」

 

 

 

幽奈たちは勝利を確信していた。

なぜなら、コガラシが今まで拳で倒せなかった者などいなかったのだから。

 

 

しかし、勘違いをしていないだろうか?

コガラシの拳は確かにクリーンヒットしたが、果たして秋宗には効いていたのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かるら「・・・愚か者どもが、秋宗を甘くみすぎていたようじゃのう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

秋宗「・・・・・一気に距離を詰めてきたスピードは確かに驚いたけどよ、これがお前の全力ってことでいいんだな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コガラシ「なっ!?嘘だろ!?」

 

 

 

そう、効いていなかったのだ。

 

 

 

雲雀「コ、コガラシくんの拳が、効いていない!?」

 

 

朧「馬鹿な!?あり得ない!!」

 

 

 

朧には信じられない光景であった。

かつてコガラシの拳は自分の主である黒龍神・玄士郎をも倒したことがあるのだ。

しかしその拳があの秋宗とかいうオオカミ人間には効いていない、それどころか退いてもいない。

 

 

 

秋宗「なぁ冬空、お前さっきさ『悪いが、一気にカタつけさせて貰うぞ!!』とか言ってよなぁ」(がしっ

 

 

 

秋宗はコガラシの頭を掴み、そして、

 

 

 

ドスッ!!

 

 

 

コガラシ「がはぁ!?」

 

 

秋宗「その言葉、そっくり返してやるよ」

 

 

 

自分の膝にコガラシの顔を叩きこみ気絶させた。

 

 

 

幽奈「コガラシさん!!」

 

 

千紗希「冬空くん!!」

 

 

 

二人が声に出してコガラシに呼びかけるも気を失ってしまって起きる気配が一向にない。

そして秋宗は気絶しているコガラシを肩に背負う。

 

 

 

マトラ「相変わらずえげつねぇなぁ」

 

 

秋宗「俺は目的の為ならどんなことでもするからなぁ、分かってるだろ姐さん」

 

 

呑子「コガラシちゃんを、返しなさぁい!!!」

 

 

 

今度は呑子が秋宗に突っ込んでいった。しかし、

 

 

 

マトラ「やっと来やがったな!宵ノ坂!!」

 

 

そこにマトラが立ちふさがった。

 

 

 

呑子「どいてぇ!!」

 

 

 

呑子は拳をマトラに振りかざしたが、マトラは額で受け止めたのであった。

 

 

 

マトラ「・・・こんなものなのか?」

 

 

 

対したことのない呑子の力にマトラは怒りを覚えた。

呑子の先祖は酒呑童子。

酒を飲めば飲むほど強くなる鬼のことである。

呑子も酒を飲めばマトラと互角に戦えるのだが、かるらが起こした突風により、日本酒の入っていた瓶が全部割れてしまったのである。

つまり

 

 

ガシッ

 

 

 

呑子「あら~?」

 

 

 

マトラは呑子の背後に周り、彼女の腹に手を回して、

 

 

ズドォン!!

 

 

ジャーマンスープレックスを決めて、呑子を気絶させた。

 

 

 

秋宗「やるな姐さん、じゃあさっさと緋扇邸へ帰るとするか」

 

 

朧「貴様だけは逃がさん。そして冬空は渡さん」

 

 

 

秋宗の背後に朧が回り込み、刀身へ変えた右腕で斬りかかるが、

 

 

ズバゴォン!!

 

 

 

秋宗「俺の背後とりたかったら、気配だけじゃなくて、匂いも消すことだな」

 

 

 

朧の刀身が当たる前に裏拳を当て朧を撃沈させた。

オオカミとしての嗅覚が鋭いのか、感が鋭いのかはわからない。

 

 

 

雲雀「何なの、コイツら、あの二人を圧倒するなんて」

 

 

 

今の状況ではマトラと秋宗を止める術はないだろう、誰もがそう思う。

 

 

 

かるら「よくやったな、マトラ、秋宗」

 

 

秋宗「いやいや、其ほどでもねぇさお嬢」

 

 

マトラ「こんなものかよ、御三家の力は?・・・ああそうか!!確か酒呑童子って酒飲んだら強くなるんだよな!?んじゃあ飲み行こうぜ!そのあとに再戦しよう!」

 

 

 

マトラはまだ暴れ足りないせいか呑子を飲みに誘おうとする。

 

 

 

かるら「お前のワガママに付き合うつもりはないぞ、マトラ」

 

 

マトラ「えぇ~?じゃあおひいさんと秋宗先に帰ってなよ」

 

 

秋宗「姐さん、まさか京都まで在来線で帰るつもりか?」

 

 

マトラ「ぐっ!?しゃあねぇ帰るかぁ」

 

 

 

かるらが扇子を振るうと白い渦の様なものが現れ、かるらをはじめ、愚痴をこぼすマトラ、気絶しているコガラシを肩に背負っている秋宗が渦に入ろうとする。

 

 

 

幽奈「あ、あの!!」

 

 

 

幽奈が三人を呼び止めて、

 

 

 

幽奈「コガラシさんを、どうなさるおつもりですか?」

 

 

 

幽奈の質問にかるらは気絶しているコガラシを見ながら

 

 

 

かるら「そうじゃな、せいぜい可愛がってやるとするかのう」

 

 

 

不敵な笑みを浮かべながらそう答えた。

幽奈はコガラシが殺されてしまうと思い霊力を一気に放出した。

すると近くにあった数個の岩が浮かび上がった。

 

 

 

秋宗「・・・ポルターガイストか」

 

 

幽奈「そんなの、ダメです~!!」

 

 

 

幽奈は岩をかるらたちにぶつけるために飛ばした。

 

 

 

狭霧「幽奈に続けぇ!!」

 

 

 

狭霧、夜々、雲雀も攻撃を繰り出した。

 

 

しかし

 

 

 

ブワァッ!!

 

 

 

かるらが扇を振るうと突風が起こり、攻撃を防いだだけでなく、幽奈たちまでも吹き飛ばしてしまう。

 

 

 

秋宗「諦めろ、もうこいつは、お嬢のものになるんだからな」

 

 

最後に言い残して三人はコガラシを連れて渦の中に入ると渦も綺麗に消えてしまった。

 

 

 

幽奈「そんな、そんな、コガラシさあぁぁん!!」

 

 

 

幽奈の叫び声は暗闇の空へと消えていってしまった。




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