狭霧と浩介が鋏の妖怪をあと一歩の所まで追い詰めた時だった。
ガサガサッ
浩介「ッ!?気をつけて雨野さん!何かいる!」(ガチャッ
狭霧「何!?」
突然茂みから音が聞こえて浩介は反射的にショットガンの銃口を向けた。
狭霧も目の前の妖怪を警戒しながらも茂みの方へ視線を向けた。
ガサガサッ ガサガサッ
茂みからの音は徐々に大きくなっていき、そしてそれは姿を現した。
???「・・・・・」
現れたのは黒い何かだった。
全長はおそらく50センチ程度。
球体を半分に切った形状で2つの黄色い目がついている。
最大の特徴は漆を塗ったかのように艶々に輝いておりゼリーのようにプルプルと揺れている。
狭霧「・・・何だあれは?」
浩介「分かんないけど・・・黒いスライム?」
現れたのがあまりにも予想外すぎたため狭霧と浩介もリアクションに困ってしまう。
黒い何かは辺りをキョロキョロと見渡すと鋏の妖怪が視界に入った。
しばらくジーッと見た次の瞬間、
???「!!」(バッ
狭霧「なっ!?」
浩介「えぇっ!?」
突如妖怪へと飛び込んだと同時にまるでアメーバのように体の体積を広げた。
ベチャッ!!
そして妖怪を包み込みその場に落ちた。
妖怪が足掻いているのか、黒い何かを内側から切ろうとしているようだが中々抜け出せそうになかった。
狭霧「うらら!何だあの黒いのは!?どうなっている!?」
うらら『ウチにも分からんわ!取り敢えず解析してみるわ!』
浩介「まさか、食べてるんじゃ・・・!?」
突然の出来事に狭霧も浩介もうららも理解が追い付かなかった。
そんなことなど余所に黒い何かの動きがピタリと止まった。
中にいる妖怪も出ることを諦めたのかまったく動く気配がなかった。
狭霧と浩介は警戒をしながらそれぞれ武器を構えた。
その時だった。
ブシャァァァァァッ!!!!
狭霧・浩介『!?』
まるで噴水の如く黒い何かから液体が吹き出して先程呑み込まれた鋏の妖怪が現れた。
狭霧と浩介は鋏の妖怪の姿を見て唖然となってしまった。
先程の様子とはまったく異なり、刃も獣の歯のように鋭利になっており禍々しい霊力が溢れ出ていた。
今まで食らっていたダメージなど忘れていたかのようにピンピンしており今にでも襲い掛かってきそうな様子だった。
狭霧「何だあれは!?」
浩介「なんか凄くヤバい状況になってんだけど!?」
うらら『気ぃつけや2人とも!霊力が桁違いに上がっとるで!』
一気に形勢逆転へと追い込まれてしまうものの狭霧と浩介はここで妖怪を倒さなければならないと考えた。
もしここで撤退したり逃がしたりしてしまえば街の人たちが危険に晒されてしまうから。
ズドォン!!
先手必勝と言わんばかりに浩介が弾丸を撃ち込むも、
「・・・・・」
まったく効いている様子ではなかった。
浩介「そんな!?」
さっきまで効いていたのに急に効かなくなってしまい焦燥の顔になっていた。
妖怪はその隙を見逃さず一気に浩介との間合いを詰めて刃を振り下ろした。
ギィィィン!!
狭霧「くっ!」
しかし狭霧が咄嗟に浩介と妖怪の間に入りクナイで刃を受け止めた。
ギギギッと金属が擦れる音が響く中、
ガキィィィン!!
狭霧「ぐぁぁぁ!?」
浩介「雨野さん!」
妖怪は力任せに刃を振り下ろしクナイごと狭霧を斬りつけた。
斬られた箇所は破けて肌が露になった。
このままではマズイと思った浩介は妖怪に霊力爆散装置を投げつけると、
ドカァァン!!
凄まじい爆発が起こった。
狭霧と浩介は爆風で飛ばされてしまうも妖怪と距離を取ることができた。
浩介「ゲホゲホ!ごめん雨野さん!アイツと距離を取るにはこれしか思いつかなくて・・・!」
狭霧「気にするな・・・!はぁ、はぁ、むしろ、助かったぞ・・・!」
フラフラに立ち上がりながら爆発が起きた場所を見ると煙から妖怪が飛び出した。
握る箇所に少しヒビが入っているだけでなんともない様子だった。
うらら『2人とも!あの黒いヤツの正体が分かったで!』
狭霧「本当か!?」
狭霧と浩介はうららの言葉に耳を傾けた。
何か突破口が見つかるかもしれないと思い話を聞くことにした。
うらら『あの黒いヤツの正体はべたべたや!』
浩介「べ、べたべた・・・?」
うらら『べたべたは人間や動物、はたまた妖怪を呑み込んで狂暴化させてしまうんや!』
つまり先程の黒い何か、べたべたは妖怪を食べたのではなく妖怪を呑み込んで狂暴化させたのだった。
狭霧「べたべたの弱点は!?」
うらら『べたべた自体の攻撃力はそこまで高くはないんやけど、べたべたが何かを呑み込んだらソイツごと倒すしか方法がないんや!』
浩介「ってことは現段階で突破口は、無い・・・?」
べたべたはもう既に妖怪を呑み込んで狂暴化させているため妖怪ごと倒すしか方法がない。
狭霧と浩介は苦虫を噛み潰したような表情になってしまう。
うらら『せやけどまだ勝つ見込みはあるで!べたべたが呑み込んだ妖怪の正体さえ分かればソイツの弱点を狙えば大丈夫や!ウチも急いで解析するから2人とも頼むで!』
狭霧「・・・あぁ分かった。どちらにせよコイツはここで食い止めねば!」
浩介「そうだね・・・!」
まだ勝機は無くなってはいない。
狭霧と浩介は再び妖怪と戦闘を繰り広げた。
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???「マサカ、ベタベタ1匹に苦戦スルナンテ、アノ2人タイシタコトナイネ。折角コノ小サナ島国に来タノ二、コレジャ拍子抜ケヨ」
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一方、誅魔の里にいる雲雀はコガラシのことを綺麗さっぱり忘れようと友人の巴と葉月と共にショッピングを楽しんでいる。
最初は普通にショッピングを楽しんでいたのだが、
雲雀「うぅっ・・・!ぐすっ・・・!」
巴「雲雀・・・!?」
突然涙を流してしまい巴と葉月が慰めていた。
今までのコガラシとの思い出が走馬灯のように頭の中に写り込んでいき忘れようにも忘れられなかった。
そして昨日浩介が言っていたことを思い出した。
浩介『確かに好きな人からフラれるってのは凄く辛いことだと思うよ。けどさ、そこから逃げるだけじゃ何も解決しないと思うよ』
雲雀(平賀くんの言う通りだった!こんなことしても、コガラシくんのことを忘れられる訳がないって・・・!でもどうすればよかったの!?どうすれば・・・!?もう分かんないよぉ・・・!)
いつの間にかコガラシのことをこんなに好きになっていたのかと雲雀は自分でも驚いてしまう。
コガラシのことが頭からまったく出て行かない雲雀はどうすればいいのだろうと切羽詰まった時だった。
うらら『雲雀!?聞こえるか雲雀!?』
雲雀「!?」
突然雲雀の頭の中にうららの声が聞こえてきた。
雲雀「う、うららちゃん!?どうしたの急に!?」
巴「雲雀!?」
葉月「あ、もしかして霊視通信!?」
雲雀だけにか聞こえていないためか、巴と葉月にはうららの声が届いていなかったがすぐに霊視通信だと理解した。
うらら『キツイ時に堪忍な・・・!狭霧と平賀くんがピンチなんや!』
雲雀「えっ!?」
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場所は戻り森の中。
浩介「ガァッ!?」(ズダァン!
狭霧「グッ!?」(ズダァン!
狭霧と浩介は妖怪に吹き飛ばされて木に叩きつけられていた。
あれから10分は経過しているものの、まったく突破口が見つからず防戦一方を強いられている。
狭霧の霊装結界もボロボロになり浩介の霊力補給装置も使いきってしまい圧倒的に不利な状況に陥っている。
そこでうららはコガラシや秋宗、雲雀たちに打診して駆け付けさせるようにした。
狭霧「何ということだ・・・!」
浩介「べたべたに呑み込まれると、こんなに強くなるなんて・・・!」
息切れが激しい2人の体力は見るまでもなく限界に陥っていた。
しかし決して諦めることなく武器を強く握りしめた。
うらら『2人とも!すぐに雲雀がそっちに来る!それまでもう少しの辛抱やで!』
狭霧「何!?」
浩介「雲雀さんが!?」
うららの言葉に狭霧と浩介は耳を疑ってしまう。
何故雲雀がすぐに来られるのかというと狭霧の元へ転送できる緊急用の霊符を持っているため、それを思い出したうららは苦汁の選択として雲雀にここへ来させるように促したのだった。
狭霧「うらら!雲雀の気持ちを考えろ!」
浩介「そうだよ!雲雀さんはそれどころじゃ!」
うらら『そんな気ぃ遣える状況ちゃうやろ2人とも!』
狭霧と浩介は雲雀のことを考えて来させない方がいいとうららに抗議した。
しかしそれが妖怪にとって好機となってしまった。
キィィン!!
浩介「あっ!?」
妖怪は浩介との間合いを詰めてショットガンを弾いた。
ショットガンは浩介の手から離れて遠くへと転がってしまい、浩介は丸腰になってしまった。
そして妖怪は刃を大きく開いて浩介を切ろうとした。
狭霧「平賀浩介!」
浩介(あ、もうダメだこれ・・・!)
回避は出来ないと理解してしまった浩介は覚悟を決めて目を瞑ったその時だった。
ギャリィンッ!!
転送霊符で来た雲雀が浩介の前に立ち手裏剣を手に妖怪に攻撃を食らわした。
不意討ちを受けた妖怪は堪らず3人から距離を取ってしまう。
浩介「あ、ありがと、雲雀さん・・・!」
狭霧「助かったぞ・・・!」
雲雀「早く倒しちゃお!」
雲雀は狭霧と浩介に背中を向けたまま妖怪と対峙した。
うらら『みんな!べたべたが呑み込んだ妖怪が解析できたで!』
解析が終わったうららは3人にどんな妖怪かを伝えた。
うらら『妖怪の名は縁切鋏!その呪いを受けたら想い人との縁を断ち切られて二度と会えんようになる!』
狭霧・浩介『!?』
雲雀(ッ!?コガラシくんに、二度と会えなくなる・・・!?)
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???「今度はアメノヒバリが来タネ。マァゼイゼイワタシを楽シマセテヨ」
感想の程、よろしくお願いいたします。