緋扇邸のオオカミくん   作:アニアス

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今回は長編のオリジナル回です!


第41話 新聞記者

~ゆらぎ荘~ 午後2時

 

トントントントン・・・

 

かるら「大きさはこのくらいでいいじゃろ」

 

雲雀がゆらぎ荘に戻って数日後、ゆらぎ荘の厨房でエプロンを付けたかるらが料理を作っていた。

雲雀がコガラシに告白したと知ったかるらは追い越される訳には行くまいとコガラシに料理を振る舞うことにした。

何故料理なのかというと、マーレに相談したら『男を落トスナラマズは胃袋!』とアドバイスを貰ったことがきっかけだった。

ちなみに今作っているのは肉じゃが。

下ごしらえとして野菜を切っている。

 

秋宗「張り切ってんなお嬢」

 

すると、かるらの様子を見ようと秋宗が厨房へと入って来た。

 

かるら「秋宗か、すまぬが今は手が離せぬのじゃ。後にしとくれ」

 

声で秋宗と分かったが、手を止めずにせっせと野菜を切っていった。

 

秋宗「しかし少し驚いたな。お嬢が肉じゃが作れるなんて」

かるら「コガラシ殿の希望じゃからのう。この日のためにどれだけ練習したと思うとるのじゃ」

 

肉じゃがはコガラシのリクエストのため、かるらは作り方だけでなく食材にまでこだわりコガラシに美味しい肉じゃがを食べさせようと頑張ったのだった。

 

秋宗「けど張り切りすぎてコガラシの腹壊すんじゃねぇぞ」

かるら「そんなことなど有り得んわ!お主は妾が失敗するとでも思うとるのか!?」

 

秋宗にからかわれたことに怒ったかるらは持っていた包丁を向けた。

 

かるら「まったくお主と言うヤツは!妾を何だと思っておるのじゃ!」

秋宗「傲慢ストーカー天狗」

かるら「よーし、肉じゃがの肉はオオカミの肉にでもするかのう」

秋宗「ごめんなさいお嬢、マジで・・・」

 

堪忍袋の緒が切れてしまい、包丁が秋宗の首に当たった。

このままでは本当に肉じゃがの肉になってしまいそうなため、からかい過ぎたことを謝罪した。

 

かるら「ならば食事後の菓子を買うて来い」

秋宗「はぁ!?何で俺が!?」

かるら「文句があるのか?」

秋宗「あぁいや・・・はぁ~分かりましたよ」

 

罰としてお菓子を買いに行かせることを命じられた秋宗は渋々引き受けて厨房を後にした。

 

 

 

 

 

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買い出しを頼まれた秋宗はスーパーへ向かうために町中を歩いていた。

 

秋宗「めんどくせ~、でも流石に俺も言い過ぎたな~」

 

愚痴を溢しながらも秋宗先程のことを反省している。

いくら幼なじみといえど言い過ぎたからだ。

 

千紗希「あ、西条くん!」

 

不意に後ろから聞きなれた声をかけられた秋宗は振り向くと千紗希が立っていた。

 

秋宗「なんだ宮崎か、買い物か?」

千紗希「うん、ノートが切れちゃったから。西条くんも買い物?」

秋宗「あ~買い物っつーか、罰っつーか、まぁそんな感じだ」

千紗希「?」

 

曖昧な答えを言う秋宗に千紗希は首を傾げてしまう。

そんなこともあり秋宗と千紗希は一緒に歩くことになった。

 

千紗希「へぇー、緋扇さん肉じゃが作ってるんだ」

秋宗「あぁ、それで少しからかい過ぎて・・・」

千紗希「それは西条くんが悪いよ。緋扇さんが真面目に作ってるのに」

秋宗「宮崎もお嬢の味方かよ?もし肉じゃがが旨かったらお嬢とコガラシの距離がグッと縮まるんだぞ。コガラシ取られちまうぞ」

千紗希「なっ!?///もう!今度は私をからかわないでよ!///」

秋宗「ハハッ!ワリィワリィ」

 

頬を膨らませて怒っている千紗希に秋宗は笑って謝った。

そんな2人が歩いていると、

 

カランカランッ

 

秋宗・千紗希『ん?』

 

前を歩いていた男性が何かを落としていた。

2人がよく見るとそれは万年筆だった。

しかし男性は万年筆が落ちたことに気がついていないのか、そのまま歩いて行ってしまっていた。

 

秋宗「気づいてねぇのか?」

千紗希「と、届けないと」

 

万年筆を拾った秋宗と千紗希は早足で男性へと歩いていった。

 

秋宗「すんません!少しいいですか?」

???「んん?」

 

秋宗に呼ばれた男性は立ち止まってそのまま振り返った。

 

男性の見た目は四十過ぎで少し老けているが黒髪のオールバックのおかげで若々しさもあった。

服装は白のTシャツに青のジーンズと実にシンプルで背中にリュックを背負っていた。

 

???「えーっと?オジサンに何か用でも?」

 

突然呼び止められた男性は動揺することなく笑顔で秋宗と千紗希に接した。

 

秋宗「これ落としましたよ」

 

そう言って秋宗は先程拾った万年筆を男性に差し出した。

 

???「えっ?オジサン万年筆落としてたの?」

千紗希「はい、そうですけど・・・」

???「あぁそうなんだ!いや~ありがとう!わざわざ届けてくれて!」

 

千紗希に言われて男性は秋宗から万年筆を拾ってどこも壊れていないか確認した。

男性を余所に秋宗はこそこそと千紗希に話した。

 

秋宗「あの万年筆、結構いいヤツだぞ」

千紗希「そ、そうなの?」

秋宗「間違いねぇよ。父さんも似たのを持ってるから。確か数百万はする代物だぞ」

千紗希「えぇ!?ホントなの西条くん!?」

???「ん?西条くん・・・?」

 

万年筆の値段を聞いて千紗希が驚いて声を上げた時、男性が千紗希の声に反応して万年筆から2人へと視線を移した。

 

???「もしかして・・・西条秋宗くん・・・?」

秋宗「へ?」

 

男性が自分のフルネームを喋ったことに秋宗は動揺してしまう。

 

秋宗「何で俺の名前を・・・!?」

???「やっぱり!オジサンちょうどキミを探してたんだよ!」

千紗希「西条くんを・・・?」

 

男性が何故秋宗を探していたのか千紗希にも秋宗自身にも分からなかった。

 

???「あぁゴメンね、少し興奮しちゃって。オジサンはこういうものなんだ」

 

動揺している2人に男性はポケットから名刺を取り出して秋宗に渡した。

受け取った秋宗は名刺の名前を声に出して読み上げた。

 

秋宗「えっと何々?霊界新聞営業部、有馬京太郎《ありまきょうたろう》さん?」

京太郎「そうです。オジサンが有馬京太郎です」

 

男性、京太郎は胸を張って堂々と答えた。

 

千紗希「霊界新聞って、何?」

 

初めて聞く単語に千紗希は首を傾げてしまう。

 

秋宗「あぁ霊界新聞ってのは、簡単に言えば霊能力者や妖怪側で起きた出来事が載っている新聞のことだ」

京太郎「まぁあながち、間違ってはいないね」

 

秋宗の簡潔な説明に京太郎はうんうんと頷いた。

 

秋宗「んで、その有馬さんが俺に何か用で?」

 

京太郎が自分に用があるのかと秋宗は少し警戒しながら聞いてみた。

 

京太郎「大した用事はないよ。ただ少~しだけ取材を受けてくれないかな~?って」

秋宗「取材・・・?」

 

取材の依頼してくる京太郎に秋宗は疑問に思ってしまう。

自分なんかよりも八咫鋼のコガラシや宵ノ坂の呑子の方がまだネタになるだろうと。

 

京太郎「うん、少し話題になってるあのモンスタークイーンの息子の秋宗くんの取材を個人的にしたくてね」

秋宗「そんな理由で・・・?」

千紗希「西条くん話題になってるんだ」

 

知らぬ間に話題になっていることに秋宗は少し驚いてしまう。

 

京太郎「ってコトで、少し喫茶店に行こうよ。もちろんそっちのお嬢ちゃんも。万年筆拾ってくれたお礼も兼ねて、ね?」

 

勝手に秋宗が取材を受けることで話を進めて京太郎は秋宗と千紗希を喫茶店に誘おうとした。

 

千紗希「どうする・・・?」

 

こちらが取材を受ける義務はないが少し考えた秋宗は、

 

秋宗「・・・断る理由もないですし、分かりました。受けますよ取材」

 

京太郎の取材を受けることにした。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

京太郎「ほほう。黒龍神とやり合うなんて流石だね~」

秋宗「最終的にトドメ指したのはコガラシですけど」

京太郎「にしても千紗希ちゃんもスゴいねぇ。普通の人なら幽霊なんて怖がって軽蔑するってのに友達になるなんて」

千紗希「そ、そんなことないですよ。それに、幽奈さんは優しい幽霊ですから」

 

喫茶店へ入った秋宗と千紗希は飲み物を注文して京太郎の取材を受けていた。

最初は秋宗がメインだったがいつの間にか千紗希も取材を受けることになった。

そして一通り取材を終えた京太郎は手帳を閉じた。

 

京太郎「いや~どれもこれもいいネタばっかりだよ!やっぱりこの町に来て正解だった!」

 

面白い話ばかりで京太郎はとても満足な表情をしていた。

 

千紗希「そ、それはどういたしまして・・・」

京太郎「キミたちの記事は数日後に載せるから楽しみにしててよ」

秋宗「分かりました。それじゃあ俺たちはこれで、行こうぜ宮崎」

千紗希「うん」

 

買い物の途中だったためそれに戻ろうと椅子から立ち上がり店を出ていこうとした時だった。

 

京太郎「あぁちょっと待って2人とも」

 

急に京太郎が呼び止めたためまだ何かあるのかと秋宗と千紗希は顔を見合わせてしまう。

 

京太郎「取材を受けてくれたお礼に、オジサンが飛びっきりの情報を教えてあげるよ」

秋宗「情報、ですか?」

 

新聞記者なのだから何か情報を握っていても同然かと秋宗は思った。

 

京太郎「実はね・・・」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

一時間後、喫茶店を後にした秋宗と千紗希はそれぞれ必要なものを買い揃えてゆらぎ荘へと向かっていた。

 

千紗希「いいのかな?私までお邪魔しちゃって」

秋宗「大丈夫だ、お嬢結構作ってたから宮崎の分もあるさ」

 

何故千紗希も行くことになったかというと、秋宗が千紗希を夕飯肉じゃが誘ったため一緒に行くことになったのだ。

千紗希は最初遠慮したもののこゆずに会えるという秋宗の言葉に揺らいでしまい行くことにした。

今は午後4時で空は茜色に染まっている。

そろそろかるらも肉じゃがを作り終えているだろうと思い秋宗と千紗希は人通りが少ない道を歩いていると、

 

???「ハァ~イ!ソコのオフタリサン。チョトイイデスカネ?」

 

急に声を掛けられたため2人が前を見るとそこには1人の少女が立っていた。

 

少女の見た目は秋宗たちと同い年で真っ赤なポニーテールが風で靡いており目はぱっちりと開いている。

服装はタボタボコーデのオレンジのパーカーにレザーショートパンツのボトムで生足が露になっている云わばボーイッシュのファッションだった。

 

秋宗「なっ・・・!?」

千紗希「さ、西条くん・・・!あの人って・・・!」

 

秋宗と千紗希は少女の顔を見て動揺が隠せなかった。

何故ならその少女の顔は見覚えがあったからだ。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

喫茶店から出ようとした時、京太郎に呼び止められて再び椅子に座った時だった。

 

京太郎『実はね、この日本にとんでもない人が来てるんだ』

秋宗『とんでもない人?』

 

ハリウッドスターでも来るのかと秋宗は思うが霊界新聞の記者の京太郎が言うことなのだからこっち関連の有名人なのだろうと理解した。

京太郎はリュックから一枚の写真を取り出して秋宗と千紗希に見せた。

写真には1人の少女が写っていた。

 

千紗希『この子は・・・?』

京太郎『今、中国を騒がしている超極悪人』

秋宗『中国?』

 

秋宗は中国と超極悪人の2つの言葉に反応した。

写真の少女は中国人ということなのだろうが、見た感じは活発な女の子というイメージが強くとても極悪人には見えなかった。

 

京太郎『この子、武道家の霊能力者でね、かなりの実力の持ち主なんだ。その実力は御三家とほぼ同等と言えるかも』

秋宗『御三家と同等・・・!?』

 

つまりコガラシや呑子と互角ということ。

秋宗はこんな子が相当の手練れなのかとジッと写真を見た。

 

千紗希『あ、あの、極悪人っていうのは・・・?』

京太郎『オジサンの情報によると、どうやらこの子は最強の座を目指してるようでね。そのために中国にいた霊能力者を1人残らず殲滅しちゃったんだよ』

秋宗『えっ!?』

 

京太郎から少女のことを聞いて秋宗は再び驚きを露にしてしまう。

それと同時に少女が極悪人と言われている理由を理解した。

 

京太郎『つまり、今後は気を付けた方がいいってこと。まぁ出くわすなんてことはないと思うけど。ちなみに、この子の名前は・・・』

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

秋宗「龍・炎焔(ヴォン・フォンイェン)・・・!!」

 

 

 

炎焔「オ!ワタシノコト知テルノ!?嬉シーネー!」

 

 

 

少女、龍・炎焔は笑顔で秋宗たちに手を振った。

しかし、その笑顔はどこか不気味だった。




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