緋扇邸のオオカミくん   作:アニアス

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ヤバい、完全に遅れちまったよ・・・
ホントにすんません!

目次に主人公のイメージ画を載せたので確認してください!


第42話 極悪非道の龍・炎焔

ゆらぎ荘へと向かっていた秋宗と千紗希だが、2人の前に中国の極悪武道家霊能力者、龍・炎焔が現れた。

 

炎焔「フッフフ~」

 

炎焔はニコニコの笑顔を秋宗たちに向けていたが、どこか不気味さも感じる笑顔だった。

 

千紗希「西条くん・・・!」

秋宗「まさかいきなり出会うなんてな・・・!」

 

京太郎から炎焔のことを聞いている千紗希は恐怖で震えておりその場から動くことができなかった。

秋宗も御三家と同等の実力を持っている炎焔に冷や汗をかきながらも冷静を装っている。

 

秋宗「・・・俺らに何か用か?」

 

動揺を隠しながら秋宗は炎焔に話し出した。

 

炎焔「エットネ~、チョトワタシに着イテキテホシインダケド、イイカナ?」

 

炎焔は片言の日本語で陽気なテンションで秋宗たちに着いて来てほしいと言った。

 

秋宗「断る、って言ったら・・・?」

炎焔「ン~・・・」

 

中国の霊能力者を1人残らず殲滅させた極悪人の言うことなど聞く気はない秋宗は炎焔の誘いを断る意思を示した。

炎焔は腕を組んで考えると、

 

炎焔「イイヨ!見逃シテアゲル!」

秋宗・千紗希『えっ!?』

 

道を開けて秋宗たちを通そうとした。

炎焔の行動に秋宗と千紗希は呆気に取られてしまう。

極悪人がまさかあっさり見逃すとは思わなかったからだ。

 

秋宗「意外だな、最強の座を狙ってるアンタのことだからここでやり合うと思ったんだが」

炎焔「ワタシはソコマデ常識知ラズジャナイネ。ココデ闘タラ騒ギ起キテシマウヨ。ワタシトシテはソレハマズイコトネ」

 

いくら最強の座を狙ってるとはいえマトラのようになりふり構わず闘う程、炎焔は常識知らずではないらしい。

秋宗は警戒しながらも炎焔が嘘を言ってるようには思えなかった。

 

秋宗「・・・じゃあ遠慮なく通るぞ。宮崎、俺を壁にして歩け」

千紗希「う、うん!」

炎焔「ドーゾドーゾー!」

 

秋宗と千紗希は炎焔を警戒しながらゆっくりと歩き出した。

千紗希は炎焔から秋宗を壁にして隣を歩いていた。

一歩二歩とだんだん炎焔との距離が縮まっていきそして、

 

スッ

 

そのまま炎焔を通り過ぎて行った。

これには秋宗も本当に驚いてしまった。

嘘をついているようには思えないといえど人の本心とは誰にも分からないもの。

だからこそ炎焔があっさり見逃す行為に内心動揺してしまう。

 

秋宗「大丈夫か宮崎?」

千紗希「う、うん!大丈夫だよ・・・!」

 

このままこの場を離れて一刻も早くゆらぎ荘へ向かおうとした時、炎焔が口を開いた。

 

炎焔「アッ、ソウイエバサ。キミタチにカワイイ金髪のヤンキー後輩イルヨネ?」

 

ピタッ

 

秋宗「・・・どういうことだ?」

 

炎焔の言葉を聞いて秋宗は歩みを止めて振り向き千紗希も止まって振り向いた。

『金髪のヤンキー後輩』というワードからは秋宗も千紗希も1人しか思い浮かばなかった。

 

炎焔「ドシタノ?ワタシタダ後輩の話をシタダケヨ」

 

2人の反応を見て炎焔はクスクスと笑った。

 

炎焔「別ニコノママ行テモイイヨ。デモソノ間にトドロキシオンチャン、コノ町の人タチが大怪我シチャウカモネェ」

 

言い換えてしまえばこのまま立ち去れば他の人たちを襲うということ。

炎焔はお茶目に笑いながらとんでもないことを口にしていた。

 

千紗希「な、何でそんなことを平然とやるって言えるの!?さっき騒ぎは起こしたくないって!」

炎焔「事故ッテコトにスレバヨクナイ?」

 

勇気を振り絞って千紗希は炎焔に反論するもののあっさり返されてしまう。

 

秋宗「・・・極悪人とは、まさにこのことだな」

 

ここで立ち去ってしまえば目の前のコイツは紫音を始めとした兵藤や柳沢、この湯煙温泉郷の人たちに手を出してしまう。

そう考えた秋宗はここから逃げる訳にはいかなくなってしまった。

 

秋宗(とは言うものの、どうしたもんか・・・相手は御三家と同等の実力者。ここはお嬢たちに連絡するのがいいかもしれんが・・・)

 

1人で闘うよりもかるらやコガラシたちを呼ぶことが懸命だと考えるが呼ぼうにも呼べなかった。

今日はかるらがコガラシの為に肉じゃがを作っている。

もし今起こっていることを話してしまえば今日までのかるらの努力が無駄になってしまうため秋宗はそんなことはしたくなかった。

何より相手は得体が知れないためかるらたちを呼んだとしても無事では済まない気がしてならない。

 

色々考えた末、秋宗が出した答えは、

 

秋宗「・・・お前に着いて行けばいいんだよな?」

炎焔「ソダヨー」

秋宗「・・・分かった。但し宮崎は見逃せ」

炎焔「オッケー!」

千紗希「西条くん!?」

 

1人で行くことを決めて千紗希を見逃すように頼んだ。

炎焔は即答で2つ返事で承諾した。

秋宗は千紗希にお菓子が入った袋を持たせ面向かってこう言った。

 

秋宗「宮崎、お前はゆらぎ荘に行って何事もなかったように平然としてろ。お嬢に俺のことは西軍の知り合いと一緒に飯食いに行ったと言っとけ」

千紗希「でも西条くん1人じゃ危ないよ!」

秋宗「俺が信用出来ないか?」

千紗希「それは・・・!」

 

秋宗の圧に呑まれて千紗希は言葉を詰まらせてしまう。

確かに自分が行ったどこでどうにもならない。

かえって足手まといになってしまうと。

 

秋宗「・・・心配すんな。俺はコガラシと母さん以外には負けねぇよ」

千紗希「だけど・・・!」

炎焔「ネーマダー?」

 

秋宗が千紗希に更に念を押したと同時に痺れを切らしたのか、炎焔が少しイラつきを含ませながら声を掛けた。

 

秋宗「・・・ワリィな、今終わったところだ。待たせて悪かったな」

 

これ以上相手を不機嫌にさせないように、秋宗は千紗希との話を切り上げて炎焔と向き合った。

 

炎焔「ソレジャ、行コッカ!」

秋宗「あぁ」

 

炎焔が歩き出したと同時に秋宗はその後ろをついて行った。

 

千紗希「さ、西条くん・・・!」

 

何もできない千紗希は秋宗の背中を見送ることしかできなかった。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

秋宗「そうか、この間のべたべた操ってたのはテメェだったって訳か・・・」

炎焔「マァネ~。ホンノ挨拶ッテトコロヨ」

 

帰宅時間で人混みが少し激しい商店街の大通りを秋宗と炎焔は並んで歩いていた。

歩きながら話していく内に炎焔は自ら日本に来た目的を話してくれた。

 

炎焔は元々有能で将来を期待されていた素晴らしい武道家の霊能力者で周囲の人々からも高く評価されていた。

しかし炎焔自身はどこか腑に落ちずにいた。

武道家の大会で優勝しても、将来を期待されても、周りからどれだけ評価されようと、炎焔は満足感というものがまったく沸いて来なかった。

一体自分は何を求めているのだろうと炎焔は苦悩し続けた。

 

そんな日が続いたある日のこと、炎焔は指名手配犯を捕まえる任務に赴いた。

しかし炎焔は力加減を誤ってしまい、指名手配犯を殺害してしまった。

炎焔の同期の武道家たちは『仕方がないことだ』『君は何も悪くない』『気にすることはない』と誰一人責めることはなかった。

 

しかし炎焔は不思議な感覚に呑まれていた。

指名手配犯を殺害してしまった時、炎焔はまるで空を飛んでいるかのような解放感が込み上げてきたのだ。

 

そして炎焔は気づいてしまった。

 

自分が求めていたのは将来でも人望でもない。

人を血に染めた時の快楽感なのだと。

 

そこから炎焔は狂気の快楽に目覚めてしまった。

同期の武道家から名の知れた霊能力者、挙げ句の果てには自身の師までも手にかけてしまった。

強ければ強い相手ほど、血に染めた時の快楽は格段に違うものらしく炎焔はついに中国の霊能力者たち全員を倒してしまった。

 

それでもまだ足りず、何処かに強い相手がいないかと探している時に、風の噂で日本に強い霊能力者たちがいると聞いた炎焔は中国を抜け出し今に至ったのである。

 

秋宗「テメェ予想以上のクソ野郎だな・・・!」

炎焔「何カヲ成スタメニハ犠牲ガツキモノネ」

 

自身の快楽のために仲間や師匠に手を出した炎焔に秋宗の怒りのメーターはMAXを切っていた。

 

秋宗「・・・ところで、今何処に向かってんだ?」

 

歩いていく内にいつの間にか商店街を抜けて再び人通りが少ない所へ入っていた為、秋宗はどこに行くつもりなんだと炎焔に聞いた。

 

炎焔「心配シナクテモ、モウスグ着クヨ」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

秋宗「・・・おい」

炎焔「ン~?」

秋宗「だいぶ町から離れたぞ、もうすぐ着くんじゃなかったのか?」

 

あれから数十分、2人は町から離れ森の中を歩いていた。

炎焔の狙いは自分を倒すことだと秋宗は考えてが、こんなところまで来て勝負できる場所などあるのかと疑問に思ってしまう。

 

炎焔「着イタヨー」

秋宗「ッ!これは・・・!」

 

そうこうしている内に炎焔の目的の場所に到着した。

 

そこにあったのは大きな廃倉庫だった。

コンクリートの壁は長い年月の影響であちこちにヒビが入っており、屋根も赤錆に覆われて、窓ガラスも割れており、人を立ち入らせない雰囲気を漂わせていた。

 

町の近くにこんな廃倉庫があったのかと秋宗は少し驚いてしまう。

 

炎焔「コッチコッチー」

 

炎焔は大きな扉の方へ歩き手を掛けると、

 

ギィィィィィィ・・・

 

と、その見た目とは裏腹の腕力で扉を開けた。

 

中に入ると錆び付いた鉄骨の柱、2度と動きそうにない機械など、いかにも古びた風景で錆の匂いが漂っていた。

 

秋宗「ここがお前の根城って訳か・・・」

 

人が住むには少しキツいかもしれないが身を隠すにはうってつけの場所だと思いながら秋宗は倉庫内を見渡した。

 

炎焔「ソンナコトドウデモイイデショ。早ク始メヨ」(チャキッ

 

そう言って炎焔は倉庫に置かれていた薙刀に似た長い柄の太刀、青龍刀を手に取り秋宗に向けた。

どうやら一刻も早く秋宗を血で染めたいらしくソワソワしている様子だった。

 

秋宗(青龍刀か・・・ヤツの力はまったく分かんねぇし、ここは攻撃を捌きながら様子を見とくか)

 

相手の実力は計り知れないため、秋宗は炎焔の攻撃パターンを観察して倒す作戦を立てた。

 

炎焔「・・・ネェ、一回シカ言ワナイヨ」

秋宗「?」

 

炎焔は青龍刀を高く振り上げた次の瞬間、

 

炎焔「避ケテネ?」

 

 

 

 

 

ズドォォォォォォンッ!!!!

 

 

 

 

 

秋宗「ッ!!?」

 

獣としての危険察知能力が反射的に働いた秋宗は咄嗟に炎焔の攻撃を避けることが出来たが、攻撃した箇所を見て唖然となってしまう。

 

青龍刀の振り下ろされた場所からまるで線を引いたかのように赤いラインが倉庫の外まで続いており、その線上にあった機械やら鉄骨、壁などが斬られ断面は溶鉱炉に入れられた鉄鉱石のように赤く熱を発してドロドロと溶けていた。

再び炎焔へ視線を戻すと青龍刀が炎を纏ってメラメラと燃えていた。

 

炎焔「ドォ~?私ノ秘術『獄炎花』ハ?」

 

炎焔は自分の炎系統の秘術を自慢するかのように余裕の笑みを浮かべた。

 

秋宗「こりゃあ最初から本気でやんねぇと不味いな・・・!」

 

様子を見る余裕なんて作れなくなった秋宗は始めから全力で行く作戦に切り替えた。

流石は御三家と同等の実力者と言われるだけあるため、一瞬でも隙を見せたらやられてしまう。

 

秋宗はオオカミ人間へと変身したと同時に氷河獣王を発動させた。

 

炎焔「フ~ン氷系統ノ秘術カ~。相性悪スギタネ」

秋宗「それはやってみねぇと分かんねぇだろ」

炎焔「アハハッ!ソレモソウネ!」

 

炎焔は青龍刀を構え秋宗も臨戦体制を取った。

ジリジリと空気が張り積める中、

 

炎焔「ハイヤァーーー!!」

秋宗「ドォラァ!!」

 

ドォォォォォン!!

 

2人の闘いが勃発した。




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