緋扇邸のオオカミくん   作:アニアス

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第46話 かるらの涙

~5分前~

 

浩介『うわぁ!?結構食らっちゃった!』

七海『何やってるの浩介!ネルギガンテが手を大きく振りかざしらた回避でしょ!』

夜々『回復するの』

紫音『イビルジョーが来たッスよ浩介兄さん!』

マトラ『リオレウス亜種まで来たぞ!どうすんだ!?』

こゆず『逃げて逃げて!』

 

肉じゃがを食べ終えたゆらぎ荘では、みんなが秋宗の部屋の207号室に集まっていた。

そこでは、浩介が小型テレビの前でコントローラーを操作してモンハンをしており、マトラたちがそれぞれ言い合っていた。

何故こうなったかというと、マトラが秋宗が持っているモンハンをやりたいと言ったことがきっかけでそれに便乗して浩介たちもやりたいと主張したためその結果、207号室にみんなが集まったのである。

マトラ、浩介、七海、紫音、こゆず、夜々と交代でコントローラーを操作しておりコガラシたちは観戦するという形になった。

 

狭霧『夜中だというのに元気だな』

雲雀『多分有り余ってるんだと思うよ』

幽奈『あの、コガラシさんはやらないのですか?』

コガラシ『俺はいい、あんまゲームなんてやらねぇからな』

 

マトラたちがハイテンションでゲームをしている様子を狭霧たちは呆れながらも少し苦笑いしながら見ていた。

 

千紗希『・・・・・』

 

一方千紗希は浮かない顔をしていた。

秋宗に口止めされてから数時間が経ったにも関わらず帰って来なければ連絡もないため心配になっていたのだ。

 

朧『どうした師匠?さっきから様子が変だぞ?』

千紗希『へっ!?』

 

そんな千紗希の様子を気にかけた朧がどうしたのかと聞いてきた。

 

千紗希『そ、そうかな?なんでもないけど・・・!』

朧『・・・ならいいんだが』

 

しかし千紗希は言おうにも言い出せない状況にいるため素直に話すことができなかった。

朧もこれ以上追及することもなかったため一安心していると、

 

スッ

 

トイレに行っていたかるらが襖を開けて部屋へ入って来た。

 

かるら『・・・皆、少しよいか?』

呑子『かるらちゃん?』

仲居さん『どうされました・・・?』

 

かるらの声のトーンが少し低く顔も険しくなっており、みんなは一気に様子が変わったかるらに注目し、マトラたちも思わずモンハンを中断してしまった。

盛り上がった空気から静かな空気へ変わった中でかるらが口を開いた。

 

かるら『千紗希、秋宗に会いに来たヤツはどんな容姿をしておった?』

千紗希『えっ・・・!?』

 

突然のかるらの質問に千紗希は一瞬固まり汗をかいてしまう。

 

マトラ『何言ってんだおひいさん、それは茜だったって話だろ』

 

秋宗に会いに来たのはチャラい人だったと千紗希から聞いたマトラは友人の茜だと思っていた。

しかし、

 

かるら『さっき茜に連絡したら、アヤツは秋宗に会いに来ていないと申しておった』

マトラ『・・・は?』

 

先ほどかるらはスマホでその茜という人物に連絡をしていたのだ。

いつまで秋宗を連れ回しているんだと文句を言うつもりだったのだが、彼女は秋宗に会っていないと答えたためかるらは秋宗に会いに来たのは違う人物だと理解した。

そもそも誰か会いに来たというのも信憑性に欠ける話へと流れていった。

 

マトラ『茜じゃねぇのか・・・!?』

雲雀『じゃあ違う人だったんじゃ・・・?』

朧『師匠、秋宗に会いに来た人物というのは誰なんだ?』

 

話を聞いたマトラとコガラシたちは秋宗の伝言を預かっていた千紗希へと視線を移した。

 

千紗希『えっと・・・その・・・!』

 

みんなからの視線を受けている千紗希の顔色はどんどん悪くなり本人も目がかなり泳いでいた。

 

かるら『何故容姿を言うのに渋る必要があるのじゃ?』

こゆず『千紗希ちゃん?』

コガラシ『宮崎、俺らになんか隠してんじゃねぇだろうな?』

幽奈『あの、千紗希さん?』

 

かるらの視線が更に鋭くなりコガラシたちからも質問攻めされ、ついに、

 

千紗希『ご、ごめんなさい!!』

 

とうとう折れてしまい千紗希はかるらたちに頭を下げた。

それと同時にかるらたちは千紗希が隠し事をしていると理解した。

 

かるら『・・・知っとることを包み隠さず話せ』

千紗希『じ、実は・・・!』

 

声を震わせながら千紗希は正直に話し出した。

 

秋宗とゆらぎ荘へ向かっている時に中国から来た超極悪人の武闘家、龍・炎焔が現れたこと。

一緒に来なければ自分たちの身の周りの人たちを危険に晒すと脅され秋宗がたった1人で行ってしまったこと。

秋宗からこのことを口止めされていたことなど、ありのまま起こった出来事を全て話した。

 

狭霧『龍・炎焔だと!?』

コガラシ『知ってるのか・・・!?』

浩介『う、うん・・・!確か先月日本に入国してきたって情報だったんだけど・・・!』

雲雀『この町に来てるの!?』

 

どうやら誅魔忍軍の情報網で狭霧たちは龍・炎焔についてある程度知っている様子だった。

 

仲居さん『で、では秋宗くんは・・・!?』

朧『何も連絡がないとなると・・・!』

紫音『き、きっと大丈夫ッスよ!秋宗兄さんがやられるワケが・・・!』

 

仲居さんと朧が最悪の事態を想定するが紫音は即座にそんな訳ないと主張した。

 

マトラ『まだ見つかんねぇのかおひいさん!?』

呑子『かるらちゃん急いで!』

かるら『今探しとる!』

 

かるらが天通眼を使って秋宗を探すが中々見つからずマトラと呑子に急かされるも集中して必死になっていた。

 

すると何かを思い出したかのように七海がハッと顔を上げた。

 

七海『もしかしたらあそこかも!』

夜々『どこ?』

七海『この前タヌキちゃんとキツネちゃんで町外れにある廃倉庫でかくれんぼしたんだけど、オオカミさんそこにいるんじゃないかしら!?』

こゆず『あの大きな建物?』

 

かるらは七海の情報から町外れにある廃倉庫を天通眼で見ると、そこには血まみれで倒れている秋宗と青龍刀を振りかざしている炎焔とそれを見ている風と雷の姿があった。

 

かるら『いたぞ!秋宗じゃ!』(ギュラッ

 

秋宗を見つけたや否や、かるらは即座に神足通の門を出現させて廃倉庫と繋いだ。

 

ダッ!!

 

そして繋がったと同時にかるらとマトラは駆け出して神足通へと突っ込んで行った。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

そして現在。

 

かるら「貴様ら!!」

マトラ「秋宗に何してんだ!!」

 

神足通で廃倉庫へ到着するや否やマトラは炎焔を思い切り蹴り飛ばし、かるらも竜巻を起こして風と雷を吹き飛ばしたのだった。

 

秋宗「お嬢!?姐さん!?何でここに!?」

 

突然現れたかるらとマトラに秋宗は驚いてしまう。

 

更にそこへ、

 

コガラシ「西条!」

幽奈「ご無事ですか秋宗さん!?」

秋宗「ッ!お前ら・・・!」

 

神足通からコガラシたちがやって来た。

 

紫音「あ、秋宗兄さん!」

雲雀「大丈夫!?」

呑子「酷いわねこれ・・・!」

 

秋宗の重症の状態を見るや、紫音と雲雀は声を震わせてしまい、呑子は険しい表情になっていた。

そして秋宗はかるらとマトラ、コガラシたちが何故ここへ来たのか理解した。

 

秋宗「・・・喋ったな宮崎」

千紗希「だ、だって!もう隠しきれなくて!」

 

口を割った千紗希をジト目で見るが、千紗希は少し反発して言い返した。

 

浩介「と、取り敢えず秋宗くんを運ばないと!」

 

酷い怪我を負っている秋宗を一旦運ぼうと浩介は自分の肩に秋宗の手を回して抱えた。

 

秋宗「ワリィな・・・」

浩介「いいよ、まずは怪我の手当をしてから」

マトラ「ちょっと待て」

 

浩介が秋宗をゆらぎ荘別運ぼうとした時、マトラが声で静止させて秋宗と向かいあった。

 

マトラ「・・・・・」

秋宗「ね、姐さん・・・?」

 

いつもと様子が違うため秋宗が声をかけると、

 

グイッ!

 

秋宗「うおっ!?」

 

突然マトラが秋宗の胸ぐらを掴み引き寄せ、無理やり立たされてしまった。

 

マトラ「秋宗・・・お前な・・・!」

 

いつも笑顔で前向きなマトラが今は目がつり上がり声のトーンが低くなっており完全に怒っている様子だった。

 

秋宗「姐さん、怒ってんのか・・・!?」

マトラ「これが怒ってねぇように見えんのか?」

秋宗「・・・見えねぇ」

 

ここまで怒っているマトラを今まで見たことがない秋宗は少し動揺していた。

 

コガラシ「西条、何で俺らに知らせなかったんだ?」

 

それに怒っているのはマトラだけでなく、コガラシたちも少し怒っている様子だった。

みんなからの視線をチクチクと受けた秋宗はゆっくりと口を開いた。

 

秋宗「・・・お前らを、巻き込みたくなかった」

かるら「・・・・・」

秋宗「相手は目的のためなら関係ねぇ人たちを巻き込む狂気に満ち溢れた連中だ。そんなのを相手したら、間違いなく無事じゃ済まねぇだろ」

 

龍三姉妹と闘っている最中でも連絡は出来たのだが、これ程までの実力者が相手となれば重症を負ってしまう可能性が高い。

だから秋宗は連絡をするのを止めたのだった。

 

秋宗「それに、今日はお嬢がコガラシのために肉じゃがを作ってるし、姐さんも呑子さんのアシスタントしてるしよ。そんな2人の邪魔なんかしたくなかった」

マトラ「・・・秋宗」

 

フッと笑っている秋宗を見て、マトラは怒ろうにも何と言えばいいか直ぐに出て来なかった。

 

秋宗「俺なんかがいなくても、お嬢はコガラシと結ばれればそれで幸せ」

 

 

 

 

 

パァンッ!!

 

 

 

 

 

秋宗「ッ!!?」(ドサッ

 

 

 

話している途中、ずっと黙っていたかるらが秋宗の頬にビンタをかました。

その拍子に秋宗はその場へ座り込むように倒れてしまう。

 

幽奈「か、かるらさん!?秋宗さんは重症なんですよ!?」

 

アワワワと慌てふためいている幽奈を他所にかるらは秋宗にこう言い放った。

 

 

 

 

 

かるら「このっ!!大馬鹿ものが!!」

 

 

 

 

 

今までにないかるらの大怒声が倉庫中に響き、幽奈たちは身体が跳ね上がったり耳を塞いだりとしており秋宗に至っては面食らった表情になっていた。

 

かるら「何1人で勝手に突っ走っとるのじゃ!!」

秋宗「お、お嬢・・・」

かるら「妾がコガラシ殿と結ばれればそれでよいと思っとるのか!?そんなワケあるか!!」

 

秋宗に怒鳴りながらも徐々にかるらの目に涙が溜まり声も震えてきていた。

 

かるら「幼き頃妾たちが交わした約束を忘れたのか!?」

秋宗「ッ!!」

 

小さい頃、何があっても3人ずっと一緒の約束をまだかるらが覚えていたことに秋宗は目を見開いてしまう。

 

かるら「例え妾がコガラシ殿と結ばれたとしても、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

貴様とマトラが傍にいなければ何の意味もないのじゃぞ!!勝手なことを言うでないわ!!」

 

秋宗に対して言いたいことを全て言い終えたかるらはとうとう涙を溢してしまい顔を手で覆ってしまう。

気品がよく弱みを見せることなど滅多にないかるらがここまで泣き崩れた姿を見て秋宗は心の中で反省した。

巻き込みたくないから自己犠牲覚悟をした行いが逆に幼なじみを悲しませる行いになっていたのかと。

 

秋宗「・・・すまねぇお嬢」

 

足に力を入れてなんとか立ち上がり秋宗はかるらに頭を下げた。

かるらは涙を拭いて秋宗をジト目で睨み、

 

かるら「・・・今度の日曜、買い物付き合ってもらうからのう」

秋宗「・・・あぁ」

 

心配かけさせた罰として日曜日に買い物に付き合うように約束をした。

 

グッ!

 

マトラ「アタシが言いたかったこと全部おひいさんが言ってくれたな。まぁいいや、アタシも一緒に行くぜ!秋宗の奢りで焼き肉な!」

 

そこへ笑顔に戻ったマトラが秋宗とかるらの肩を組み買い物に着いていくと言った。

 

かるらとマトラを見て秋宗は思わず少し笑ってしまい3人ずっと一緒の約束を絶対に守りきると誓った。

 

七海「じゃあ私は駅前の喫茶店のDXパフェを奢ってもらうから。タヌキちゃんも食べたいよね~?」

こゆず「うん!スゴく美味しそうだったよね!」

浩介「僕は海外映画のDVDを5本お願い」

呑子「私お酒~!」

夜々「お寿司!」

秋宗「オイさりげなく何追加で頼んでんだ?迷惑掛けたけど嫌だからな」

『え~~~~~!!??』

秋宗「え~じゃねぇ!殆どお前らが欲しいもんだろ!」

仲居さん「でも迷惑を掛けたのは事実ですから、このくらいは当然かと」

秋宗「・・・正論すぎて何も言えねぇ」

 

冷えきっていた空気が一気に和み気づけば思い切り盛り上がっていた。

コガラシたちも苦笑いをしており一件落着。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

炎焔「何和ンデンダオ前ラァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

ボォォォォォォォォォッ!!!!

 

 

 

 

 

『!!??』

 

 

 

 

かに思えた矢先、突然響いた怒声に秋宗たちが振り向くと、そこには天井を突き抜ける程の火柱が上がっておりその中心に先ほどマトラに蹴り飛ばされた炎焔が立っていたが完全に怒り狂っていた。

 

ビュォォォォォォォォォッ!!!!

 

風「ブッ飛バシダ挙ゲ句放置トハイイ度胸ジャネェカ!!!!」

 

バリバリバリバリバリバリィ!!!!

 

雷「ここまでコケにされたのは生まれて初めてかも・・・!!」

 

更に突風を起こしている風と電気を纏っている雷も傍に立っておりこちらも完全にキレていた。

 

狭霧「なんという凄まじい霊力だ・・・!」

雲雀「て言うか何でが3人もいるの!?」

秋宗「三つ子だったんだよアイツら」

朧「では炎を出しているのが龍・炎焔というやつか」

 

龍三姉妹のとてつもない霊力に狭霧たちは身を固めてしまう。

 

浩介「どうしよう!?冬空くん女の人殴れないから何の役にも立たないし!」

七海「そうね、女性が相手ならやっさんは無能同然だものね」

コガラシ「お前ら何か俺に恨みでもあんのか?」

 

更に浩介と七海がさりげなくコガラシをディスり空気が張り詰めていながらも何処か抜けているという微妙な状況になっていた。

 

炎焔「モウ狂気ノ快楽トカドーデモイイ!オマエラムカツクカラ殺ス!イラツクカラ殺ス!眼球抉ッテ顔ノ皮剥イデ殺シテアゲルヨ!!」

風「ソノ通リダゼ炎姉!手足引キ千切ッテ肉削イデ心臓ムキ出シニシテヤル!!」

雷「少なくとも、あなたたち全員楽に死ねると思わないで・・・!!」

 

完全に頭にきている龍三姉妹は秋宗を含めこの場にいる全員の抹殺すると断言し、それぞれの殺し方にかるらたちは身構えてしまう。

 

秋宗「ま、やるしかねぇわな・・・」

 

しかし、頭を掻きながら秋宗は龍三姉妹と向かいあった。

今までにないほどの霊力を見て窮地だと思うがここで退くワケにもいかなかった。

 

炎焔「取リ敢エズ、オ前カラヤッテヤルヨ!」(ブンッ

 

ガァン!!

 

秋宗「ッ!?しまった!」

 

秋宗は炎焔が行った行動を見て焦りを露にしてしまった。

何故なら炎焔が近くの柱に取り付けられていた赤いスイッチを押したからだ。

そう、スプリンクラー作動のスイッチを。

 

炎焔「聖水ガ効果抜群ダトイウコトハ明ラカ!コレデ終ワリヨ!」

幽奈「せ、聖水?」

かるら「ッ!おば上殿が前に申しておったオオカミ人間の弱点のことか!」

秋宗「そうだ!あれスプリンクラーの作動スイッチなんだ!」

 

かるらもマーレから聖水のことは聞いていたため秋宗が聖水を浴びたのだと理解した。

今の満身創痍の秋宗が聖水を浴びたらどうなるか、火を見るよりも明らかであった。

 

炎焔「マズハ1人!アーハッハッハッハッハッ!!」

秋宗「クソォッ・・・!!」

 

これで秋宗はリタイアだと確信した炎焔の笑い声が倉庫中に響き秋宗は苦痛の表情を浮かべていた。

もはや絶体絶命、と思っていたが、

 

炎焔「アーハッハッハッ・ハ・・ハ・・・ハ?」

 

シーン・・・

 

コガラシ「・・・何も起きねぇぞ?」

 

一向にスプリンクラーが作動せず時間だけが流れ炎焔も笑うのが止まってしまった。

何故スプリンクラーが作動しないのか、秋宗にも準備していた龍三姉妹にも分からなかった。

 

炎焔「ナ、何デ・・・!?」(カチッカチカチッ

風「聖水ハマダアッタ筈ダゾ!?」

雷「どういうこと?」

 

スイッチを連打するがスプリンクラーが作動する気配がまったくせずどういうことなのだと焦っていると、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???「いや~、どうやら間に合ったみたいだね~」

 

 

 

突然男の声が聴こえ全員が振り向くとそこには、

 

 

 

 

 

秋宗「有馬さん!?」

 

京太郎「よっ!さっきぶりだね秋宗くん!千紗希ちゃんも!」

 

昼に秋宗と千紗希を取材した霊界新聞の記者、有馬京太郎が立っており、笑顔で人差し指と中指を立ててフッと前に振った。

 

雲雀「だ、誰・・・?」

千紗希「えっと、霊界新聞っていう新聞の記者の人らしいんだけど」

 

突然現れた京太郎のことなどコガラシたちが知るワケもなく首を傾げてしまう。

 

秋宗「何でここに・・・!?」

京太郎「いや~実はね、本社に帰ろうとしたら森の奥から煙が上がっているのが見えてね、何か事件かもしれないと思ってオジサンはその場所へ走って行ったのさ。そしたら秋宗はボロボロだわ龍・炎焔がいるわ実は三姉妹だったわで驚きの連続だった」

 

どうやら秋宗がスプリンクラーを浴びた直後に京太郎は隠れて様子を伺っていたらしい。

 

京太郎「まぁ何とかして秋宗くんを助けようと思ったんだが、生憎オジサンには霊力がこれっぽっちもないし霊感も精々幽霊さんとお話できる程度。そんなオジサンにできることといえば、外に置かれていた貯水タンクとスプリンクラーを繋ぐバルブの栓を閉めるくらいだよ」

秋宗「有馬さん・・・!」

 

秋宗を龍三姉妹が追い詰めている最中、京太郎は外に設置されていたスプリンクラーのバルブの栓を閉めていたのだ。

京太郎が自分を助けてくれたことに秋宗は思わず笑顔になってしまう。

 

炎焔「ヨ、余計ナコトヲ!コノ卑怯モノ!」

京太郎「卑怯?オジサンから言わせてみれば、君たちの方がよっぽど卑怯だよ。君たちも武闘家なら聖水なんて頼らずに、正々堂々と勝負したらどうだい?」

 

炎焔から卑怯者と言われるも京太郎はあっさり論破して憎たらしい笑みを浮かべた。

それにより龍三姉妹の怒りを買ってしまった。

 

炎焔「・・・分カタヨ。オ望ミ通リ、正々堂々ト勝負シテアゲルヨ・・・雷」

雷「了解」(ダッ!

 

炎焔が雷に指示を出すと京太郎へ一気に駆け出した。

 

京太郎「えっ!?ちょっ、ちょちょちょちょっと待って!オジサンホントに霊力ないんだって!やめてぇ!こっちこないでぇ!お願ぁい!」

 

完全に調子に乗っていた京太郎は一気に青ざめてしまい慌てふためくも雷は聞く耳もたず。

手から威鳴を出して京太郎へと振るった。

 

ガキィィィン!!

 

雷「ッ!!」

朧「させんぞ」

 

しかし、神足で雷と京太郎の間に立った朧により威鳴が防がれてしまった。

 

朧「誰だか知らぬが、秋宗を助けてくれたことに礼を言う。下がっていろ」

京太郎「は、はい!じゃあお願いね!」

 

朧から言われて京太郎は少し離れた場所に置いてあるドラム缶に身を隠した。

 

朧「さて、私の恩人である秋宗を痛め付けた報い、その身を持って受けてもらうぞ」

雷「・・・やれるものなら、やってみなさい。貴女は私に追い付けはしない」

 

朧と雷が互いに睨み合い距離を置きながらもジリジリと間合いを詰めていった。

 

炎焔「ドコマデモ邪魔バカリシテ・・・!」

 

せっかく京太郎を仕留められると思ったのに朧が助けに入ったため炎焔のイライラが更に増してきていた。

 

秋宗「龍・炎焔」

炎焔「!」

 

名前を呼ばれ振り向くと秋宗とかるらとマトラの3人が立ちはだかっていた。

 

秋宗「俺はもう、テメェを許す気はねぇ。ここでテメェを完膚なきまで叩きのめしてやる!!」

かるら「もはや貴様に勝ち目などないぞ。貴様が相手にしているのが一体誰なのか、思い知らせてやるわ!」

マトラ「さっさとコイツぶっ倒して帰ろうぜ!」

 

満身創痍にも関わらず秋宗のとてつもない覇気に炎焔は身震いしてしまう。

もしかしたら自分はとんでもないのを敵に回してしまったのではないのかと。

 

紫音「あ、秋宗兄さん・・・!」

 

後ろから紫音が声を掛けてきたため振り向くととても心配な表情をしていた。

 

秋宗「・・・心配すんな」(ワシャワシャ

紫音「わっ・・・!?」

 

安心させようと秋宗は笑いながら頭を少し乱暴に撫でた。

 

秋宗「コガラシ、紫音を頼むぞ」

コガラシ「おう」

 

女性を殴れないコガラシは千紗希たちに身の危険が及ばないように守る役目につき紫音もコガラシの元へ戻っていった。

 

そして、

 

秋宗「よし・・・いくぞ!!」

かるら「うむ!!」

マトラ「っしゃあ!!」

 

ダッ!!

 

秋宗たち3人は一斉に炎焔へと駆け出して行った。

 

風「行カセネェゾ!!」(ビュォォォッ!!

 

しかし、風が立ちふさがり旋風迅で殴りかかるが、

 

ギィィィィン!!

 

風「ナッ!?」

浩介「そのまま走って!」

 

咄嗟に浩介がショットガンを盾にして旋風迅を防いだ。

その隙に秋宗たちはそのまま通りすぎていった。

 

風「コイツッ・・・!」

 

風はもう片方の腕で浩介に殴りかかるが、

 

シュンッ

 

風「!!」(キィン!

 

右からクナイが飛んで来たため風が片腕を翳すと風の流れでクナイの軌道が逸れた。

 

狭霧「私たちが相手だ!!」

雲雀「覚悟してよね!」

 

そこへ霊装結界を纏った狭霧と雲雀がクナイと手裏剣をそれぞれ構えて風を取り囲んだ。

 

風「チィ!誅魔忍風情ガ!」

浩介「僕も忘れないでよっ!」

 

ガンッ!!

 

風「グッ!?」

 

気が反れている隙をつき浩介は押しきりショットガンで顔を殴り距離を取った。

 

風「テメェラ~!!」

 

邪魔をされた挙げ句殴られた風は完全に怒りが頂点を越えていた。

狭霧と雲雀、そして浩介は風の怒りに押されながらも対峙した。

 

そして秋宗たちはようやく炎焔の元へたどり着いた。

 

秋宗「行くゾ炎焔!!」

 

炎焔「イイヨ!コレデ決着ツケテアゲルヨ!!」

 

ついに、この闘いに終止符が打たれようとするのだった。




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