緋扇邸のオオカミくん   作:アニアス

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今回はオリキャラが多数登場します!


第50話 通達

~緋扇邸~ 午前9時

 

秋宗「ご心配お掛けして!申し訳ありませんでした!!」

 

緋扇邸の我琉駄の仕事部屋にて、秋宗が我琉駄とスズツキ、そして三羽烏に頭を下げて大きな声で謝っていた。

炎焔との激闘から数週間、療養のおかげで身体も万全の状態へと戻り歩けるどころか走れる程まで回復することができた。

そして秋宗は改めて謝罪したいということでこの場を設けさせてもらったのであった。

 

我琉駄「いや、もう反省しているならそれでいいんだけど」

スズツキ「まったく!貴様というヤツは!今回は本当に危なかったのだぞ!」

 

我琉駄はもう怒っていない様子だったがスズツキはまだ怒り足りないようだった。

それもそのはず、殆ど瀕死の状態で帰って来たのだから怒るのも無理もない。

しかし秋宗のことが心配だったからこその態度である。

 

秋宗「ホントに、返す言葉もないです!すんません!」

「もうええですって西城はん」

「そうです、こうして無事に復帰できたのですから」

「しかし、数週間経ったにも拘わらずこの件はいまだに注目を集めているようです」

 

そう言って黒服の1人は『霊界新聞』と表紙に記載去れた雑誌の1面を秋宗に見せた。

そこには『龍・炎焔敗れる!』『現れる西軍の超新星!』など秋宗と炎焔との激闘が詳細に記載されており最後の一撃のシーンの写真までもが掲載されていた。

 

秋宗「あの人ちゃっかり仕事してんな~」

 

本来の取材の記事は前菜扱いでこっちをメインディッシュに持っていった京太郎に秋宗は思わず苦笑いを溢してしまう。

 

我琉駄「まぁ今回の件は夏希たちに知らせたから近い内に来る筈だよ」

秋宗「はい・・・」

 

その時だった。

 

ドドドドドド・・・

 

『ん???』

 

何やら不審な音が聞こえて来て全員が耳を澄ますと、

 

バァンッ!!

 

マーレ「秋宗ーーー!!」

秋宗「か、母さっ」

 

ガシャーーーン!!

 

突然扉が開きなんとマーレが入ってきて秋宗に飛び付きながら壁に激突し、我琉駄たちも突然の出来事に唖然となってしまう。

 

マーレ「聞イタワヨ秋宗!強イ敵ト闘ッテ怪我シタッテ!大丈夫ダッタ!?」(ギュゥゥゥ!!

秋宗「ア"ッ、ア"ァ・・・!!」

「いや今の一撃で死にかけてますけど!?」

 

入って来たや否や、マーレは秋宗を抱き締め泣きながら心配するも締める力が強すぎる為、秋宗は窒息してしまいそうだった。

せっかく復帰したのにまた療養しなければならないと悟った黒服たちは慌ててマーレを引き剥がした。

 

秋宗「ゲホッゲホッ!母さん!?もう日本に来たのかよ!?」

夏希「僕もいるよ」

 

秋宗がマーレがこんなに早く来たことに驚いていると夏希もマーレに続いて入って来た。

 

秋宗「父さん・・・!」

我琉駄「夏希!もう着いたのか・・・!」

夏希「まぁね。はい手土産のロマネ・コンティ」

 

そう言って夏希は我琉駄の机の上に手土産として持ってきたワインを置いた。

そして頭を抑えながら秋宗は気まずそうな表情をしていた。

自ら危険なことへ足を突っ込んでしまったのだから一体何を言われるのだろうと不安になっていた。

 

夏希「・・・秋宗」

秋宗「!!」

 

夏希に名前を言われるだけで思わず身体が飛び上がってしまう。

きっと怒られるのだろうと覚悟を決めると続けてこう言われた。

 

夏希「いろいろ言いたいことはあるよ。誰にも言わないで危険な人物と闘うなんて許されることじゃない。でも・・・」

 

ギュッ

 

秋宗「!!」

夏希「無事で、良かった・・・!」

 

そして夏希は優しく秋宗を抱きしめた。

その声は震えており自分の息子が無事だったことに心から安堵している様子だった。

 

秋宗「・・・わりぃ父さん、心配かけて」

 

その光景に三羽烏の黒服たちは涙を流していた。

 

マーレ「マッタク、秋宗ッタラホントニヤンチャナンダカラ」

夏希「いやマーレも人のこと言えないよ。若い時僕に内緒でよく喧嘩に行ったでしょ」

マーレ「ソ、ソウダッタカナ~?」

スズツキ「あのお二方、ここで痴話喧嘩はお止め頂いてもよろしいでしょうか」

 

そしていつの間にか夏希とマーレが口喧嘩をしている光景へと変わりスズツキは仲裁に入ったことによりその場の空気が和んでいった。

 

秋宗「おっさん、ゆらぎ荘に行きてぇんだけど、神速通頼めるか?」

スズツキ「あぁ、構わんぞ」

我琉駄「あ、ちょっと待って秋宗くん」

 

復帰したことをコガラシたちに伝えに行こうとした時、不意に我琉駄が呼び止めた。

まだ何かあるのだろうと疑問に思っていると我琉駄が引き出しを開けて手紙を差し出した。

 

秋宗「これは・・・?」

我琉駄「君宛の手紙だ。取り敢えず読んでみて」

 

そう促され秋宗は手紙を受け取り封を開けて内容へ目を通すとそこには、

 

 

 

秋宗「・・・え?」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

その頃ゆらぎ荘では、炎焔襲撃に関係したメンバーが揃って雑談をしていた。

 

コガラシ「えっ?マーレさんたち日本に来てんのか?」

かるら「うむ。先程父上から連絡があってのう。今は緋扇邸にいるらしいぞ」

京太郎「え!?モンスタークイーンが来てるの!?これは取材のビッグチャンスじゃん!」

雲雀「て言うか何でこの人当たり前のようにゆらぎ荘にいるの?」

浩介「さぁ・・・?」

 

ギュラ

 

みんなが大広間でワイワイ話していると神速通の門が開きそこから秋宗が出てきた。

 

マトラ「おっ!秋宗!」

呑子「退院おめでとー!」

紫音「お体はもう大丈夫ッスか?」

秋宗「・・・・・」

 

みんなから心配の声を掛けられるも当の本人は呆然となりながら自然に紫音の隣に座った。

 

紫音「あ、あの~秋宗兄さん・・・?」

夜々「どうしたの?」

朧「両親から叱られたのか?」

秋宗「・・・・・」

 

秋宗の様子に心配になるもまるで周囲の声が聞こえてないかのように目が点になっていた。

そんな秋宗の様子を見てこゆずと七海は両隣へ行き頬を思いっきり引っ張った。

 

こゆず「秋宗くーん」

七海「おーいオオカミさーん」

千紗希「って2人とも何やってるの!?」

仲居さん「怒られますよ!?」

秋宗「・・・・・」

 

しかしそれでも反応せずどうしたものかと悩んでいると七海が明後日の方を指差しこう叫んだ。

 

七海「アー!あんなところにバニーガールがいる!」

狭霧「いや、そんな子供騙しで騙される訳が」

秋宗「どこだ?」

幽奈「反応した!?」

 

やはりオオカミはウサギが好物なのだろうか、七海に促され周囲を見渡した。

そして自分がゆらぎ荘に来ていたことに少し驚いてしまう。

 

秋宗「あれ?俺いつゆらぎ荘に来たんだ?」

コガラシ「今気づいたのか」

かるら「どうしたのじゃ秋宗?様子がおかしいぞ?おじ上殿とおば上殿に絞られたのか?」

秋宗「いや、そういう訳じゃなくてだな・・・」

 

頭を掻きながら言葉を詰まらせている秋宗の様子を見て何かあったのかと全員が悟った。

 

マトラ「秋宗、一体どうしたってんだよ?」

秋宗「・・・お前ら、落ち着いて聞いてくれ」

 

いよいよ訳を話そうとする秋宗に全員が注目すると、彼はこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

秋宗「俺、幹部に昇格しちゃった・・・」

 

 

 

 

 

『・・・えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!??』

 

 

 

突然の報告に全員の衝撃の声がゆらぎ荘中に響き渡った。

 

幽奈「か、幹部になったんですか秋宗さん!?」

雲雀「大出世じゃん!?」

かるら「待て秋宗!一体どういうことじゃ!?」

秋宗「今回の件の功績が認められたらしくて、その証拠に、ほら」

 

そう言いながら我琉駄から貰った手紙を見せると、

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

西城 秋宗 殿

 

貴殿を幹部への昇任を

認めることとする

 

宵ノ坂家当主

宵ノ酒 醸ノ介

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

かるら「こ、これは!西軍総大将殿の直筆の手紙!」

仲居さん「宵ノ坂当主ってことは、呑子さんのお父様ですよね?」

呑子「そうねぇ~」

マトラ「マジかよスゲェな!」

京太郎「これはまたまたいい記事が書けそう!」

 

手紙を見て幹部昇任の話が事実だと理解し更に盛り上がっていると秋宗が口を挟んだ。

 

秋宗「おい、お前ら勘違いしてんぞ」

『えっ?』

 

幹部へ昇格したのではないのかと首を傾げる全員に秋宗はこう続けた。

 

秋宗「この手紙はあくまで『軍を作ってもいい』ってことでまだ正式に幹部へ昇格した訳じゃねぇんだ。それに軍を作ったとしてもそん時は緋扇軍の傘下ってことになるんだ」

 

つまり軍を作ったとしても西軍の幹部になれる訳ではないということ。

それなりの功績を更に出せば正式に西軍の幹部になれるが決して簡単なことではない。

 

かるら「な、なんじゃそういうことか」

狭霧「まったく驚かせるな」

浩介「でも凄いよ!総大将に認められるなんて!」

秋宗「けど、まさか幹部昇格とはな。あんまり実感が湧いて来ねぇんだ」

朧「だから呆然となっていたのか」

マトラ「で、どうすんだ?軍を作んのか?」

 

マトラに近い内に軍を作るのかと聞かれた秋宗は首を横に振った。

 

秋宗「いや、俺はまだ緋扇軍でいい。軍を作るにはまだ早すぎる」

かるら「それがいい。焦っていては失敗するだけじゃからのう」

 

それに別に軍を作らなければならないということではない為、このまま緋扇軍でいいかもしれないと内心で思っていたのだった。

 

だが秋宗たちはまだ知らない。

今回の事件を日本各地の霊能力者たちが注目していることを。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「・・・・・」

「あ、またその記事見てるんですか~?」

「・・・えぇ、気になってしまいまして」

「凄いですよね~。西軍にこんな怪物がいたなんて」

「ですが、相手がどれだけ強敵だろうと雪崩様の前では」

「それはどうでしょう?」

「えっ?」

「なんと言っても彼は、マーレ・インフェルノの実の息子ですから」

「えぇっ!?」

「あのモンスタークイーンの・・・!?」

「おそらく彼は更に高みへと昇る筈。私でも苦戦してしまうでしょう」

「雪崩様なら大丈夫ですよ~!」

「そうです!こんな獣、雪崩様の敵ではありません!」

「・・・ふふっ、そう言ってもらえるだけでも嬉しいですよ」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「ふっふふふ~ん!」

「・・・ここ最近、随分とご機嫌ね」

「あれじゃないかな?ほら、霊界新聞に載ってた人のことで」

「そういえば、緋扇軍所属でごさったな」

「流石かおるん!分かってんじゃ~ん!やっぱり身内が注目集めるって自分のことみたいで嬉しいんだよね~!」

「いや、注目を集めてるのは西条秋宗さんだよね?」

「でも、龍・炎焔を倒すなんて。ちょっと会ってみたいわね」

「じゃあせっかくだから今度みんなに会わせてあげるよ!楽しみにしててね!」

「そこまで言うなら期待しておくでごさる」

「ふふふっ!待っててねアッキー!」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「・・・西軍にはかような強者が」

「ホント凄いよね~。それにいい面構えだ。思わずアタイも惚れちまう程のね」

「ほう、ならばヌシのその望み、我が叶えてやろうか」

「いいよそんな気遣い。それに気に入ったものは自力で手にいれるさ」

「さようか・・・」

「それよりも、いよいよお前さんの野望が始まるねぇ」

「うむ。ここまでの手助け、感謝するぞ」

「礼なんていいよ。50年前、お前さんの野望はある女に阻止された。その野望がようやく再開される。これ以上おもしろいことなんざないさ。だからアンタに手を貸した。それだけさ」

「それでも、礼は言わせてもらうぞ」

「はいはい、じゃあ受け取っておくよ」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「・・・随分大きくなったもんだなぁ」

「あの、彼と面識があるのですか?」

「あぁ、アイツの出産に立ち会った時な」

「それは面識があるとは言えないのでは?」

「細けぇことなんざ気にすんな。でも一度でいいから会ってみてぇな」

「・・・言って置きますが、勝手に行ったらダメですからね?」

「わーってるって!」

 

 

 

 

 




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