緋扇邸のオオカミくん   作:アニアス

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今回はオリジナル回でオリジナルキャラが登場します!


第52話 狢

学校も無事に終わり只今下校中の秋宗たち。

今日は金曜日のため明日の土日に何をしようかというテーマで盛り上がっていた。

 

「コガラシさん、明日バイトがないのですか?」

「あぁ、店長から休んでいいって言われてな」

「確かに貴様は働きすぎだから少し休んだ方がいいな」

「そういえば明日って誅魔忍の任務無かったよね?」

「せやな。なんか久しぶりの休みの気がするわ」

「うん、おばば様からお休み貰ったから服とか買いに行こうと思ってて」

「雲雀ちゃん、私も一緒に行っていい?」

「夜々も行きたいの」

「西条はやっぱゲームか?」

「あぁ、ペルソナの新作をぶっ通しでクリアする予定だ」

「相変わらずッスね・・・」

「あんまやりすぎると視力落ちるぞ」

 

それぞれ土日に何をするのか話していると浩介がふとあることを思い出した。

 

「ねぇ秋宗くん」

「どうした?」

「ちょっと気になってることあるんだけど、秋宗くんのお見舞い行った時、やたらデカイ花束あったんだけど、あれって誰から?」

 

浩介が緋扇邸で療養中の秋宗のお見舞いに行った時、まるで開店祝いの花輪のような大きな花束があったのを思い出し一体誰からのだろうと疑問に思っていた。

 

「そういえばあったね、思わず二度しちゃったけど」

「やっぱお母さんからッスか?」

「あぁ~あれか。あれは中学からの友人からの見舞いの品だ」

「中学からの?」

 

中学からの友人というと、この前かるらの口から出た同じ緋扇軍に所属している茜という人物のことなのだろうかとコガラシたちは察した。

しかしかるらの話によるとあまり彼女のことを良く思っていないらしく謎に包まれた印象しかなかった。

 

「あの~、その方とはどういう関係なのですか?」

「どういう関係って言っても、ただの友人ってだけだぞ」

 

その時だった。

 

「え~?ただの友人じゃなくてぇ、すっごく仲がいい恋人でしょ~?」

 

『!!??』

 

突然秋宗の背後から女子高生が肩を組んで引っ付いて来た。

いきなりのことにコガラシたちは驚くも思わず声が出なかった。

まるで誅魔忍のように気配を消して背後から近づいていたことに誰も気がつかなかったのだから。

 

クリーム色のウェーブが掛かった髪を靡かせ、ブラウンのベストの上からフード付きの上着を羽織っており、見るからにチャラい雰囲気を漂わせていた。

 

「・・・来るなら連絡くらいしとけ」

「いいじゃん別に~!ウチとアッキーの仲なんだから~!」

 

落ち着いて返す秋宗にお構い無しに女子高生は背中から右腕へ移り自分の胸を押し付けるように抱き寄せた。

 

「お、おい西条?誰だそいつ?」

「・・・さっき話しただろ。中学からの付き合いの友人」

 

置いてけぼりにされているコガラシたちに秋宗は女子高生に紹介を促した。

 

「初めまして~!アッキーの彼女にして緋扇軍所属の狢の半妖JK!光明院茜(こうみょういん あかね )ちゃんでーす!気軽に茜ちゃんって呼んでいいからね~!」

 

女子高生、光明院茜は明るく陽気に自己紹介をした。

 

『か、彼女ぉ!!??』

 

自己紹介の際、秋宗の彼女だと言った茜にコガラシたちは思わず目を見開いてしまう。

 

「秋宗くん彼女いたの・・・!?」

「ふざけんな西条!こんな美少女の彼女いたの黙ってたのかよ!?」

 

浩介は驚きのあまり言葉が詰まるも兵藤は目から血の涙を流さんとする勢いで怒りを露にしていた。

一方千紗希と柳沢はハッとなりチラリと紫音の方へ視線を移すと、

 

「・・・・・」

「紫音ちゃん!?」

「しっかりしろ紫音!」

 

まるで死んだ魚の目のように呆然となっており、2人は声を掛けたり肩を掴んで揺さぶったりと正気を戻そうとした。

驚いているコガラシたちに秋宗はため息をつきながら弁解をした。

 

「違ぇよ、コイツが勝手に言ってるだけだ。彼女じゃねぇよ」

「でもいずれそうなるもーん」

「取り敢えず離れろ」

 

いつまでもベタベタ引っ付いてくる茜の手を振りほどき彼女でないことを説明した。

それを聞いたコガラシたちは茜が勝手に言っているだけかと納得して落ち着きを取り戻した。

 

「にしても狢の半妖か。狢なんてあんまり見かけたことないわな」

「言われてみたら、確かにそうだな」

 

狢とは、化け狸のこゆずや妖狐のミリアのように誰にでも化けることができる妖怪。

違いがあるとすれば葉札なしで化けることができるくらいである。

 

「けどよ、緋扇軍にこんなヤツっていたか?」

 

コガラシが今までの記憶を辿っていくも、茜がいた記憶が一向に出て来ず、他のみんなも同じ様子だったを

 

「そりゃそうだよ。コガッチたちに会うの今日が初めてだもん」

「コ、コガッチ?」

 

いきなり馴れ馴れしくあだ名で呼ばれたことにコガラシは少したじろいでしまう。

 

「だって八咫鋼のコガッチを誘拐して結婚しようってかるかるの計画なんて成功する訳ないじゃん」

「確認だが、かるかるというのは緋扇かるらのことか?」

「そうだよさぎりん。それ以外にないでしょ」

「さ、さぎりん・・・!?」

 

茜の性格や言動から察するに、からかい好きのマイペースの持ち主でどんな相手でもフレンドリーに接する性格だとコガラシたちの中で決定づけられた。

 

「それにしてもアッキー、ちょっと聞きたいんだけど?」

「なんだよ?」

「何で小学生と一緒に帰ってんの?」

 

そう言った茜の視線の先にいたのは紫音だった。

 

「なっ・・・!?じ、自分は小学生じゃねぇッス!湯煙高校1年の轟紫音ッス!」

 

紫音の身長は秋宗たちの中でもかなり小柄で中学生ではないかと見間違える程である。

しかし小学生と言われたことに紫音は反発して高校生だと断言した。

 

「またまた~!そんな嘘お姉さんについたらダメだよ~!」

「紫音は高校生だぞ」

「・・・えマジで?」

「マジだ」

 

最初は信じなかったが秋宗に言われた茜は紫音をジーッと見やり、そして、

 

「・・・発達性障害患者?」

「誰が発達性障害患者ッスか!?」

 

小柄な理由を病気の一種なのかとポロッと口に出してしまい、余計に紫音の火に油を注いでしまった。

 

(何なんスかこの人!?小柄な自分を馬鹿にして!それに、秋宗兄さんとあんなにベタベタして!///)

 

自分の想い人に人目を気にせずベッタリと引っ付く茜に紫音は腹を立て初対面にも拘わらず嫌いな人と認定してしまった。

 

「茜、一体何しに来た?」

「そんなのアッキーに会いに来たに決まってんじゃん」

「お前がそれだけの理由で会いに来たとは思えねぇ。お前なら緋扇邸に俺を呼び出すとかする筈だ。面倒くさがりのお前がわざわざ湯煙町に来るなんざ考えられねぇ」

「・・・流石アッキー、勘が鋭いねぇ~」

 

長い付き合いだからこそ秋宗は茜が他の目的のために湯煙町へ足を運んだことを見抜き疑いの目を向けた。

そして問い詰められた茜はニヤリと笑い本当の目的を話し出した。

 

「実はお願いがあって来たんだけど、皆これ知ってる?」

 

そう言って茜は自分のスマホをいじり画面を全員に見えるように見せた。

画面にはネットニュースの記事が表示されておりそこに記載されている見出しをコガラシが声に出して読み上げた。

 

「これで被害17件目、名古屋切り裂き事件?」

 

これによると、先々週辺りから名古屋で人々が次々に重症を負う被害が何件も発生しており、その共通点として被害者が全員男性でまるで鋭利な刃物で斬られたような怪我を負ってしまっているようである。

 

「友達の彼氏がこの事件に巻き込まれちゃってさ、何とかしてくれないかって頼まれちゃってねぇ。で、ウチの調べた情報だと結婚詐欺の被害にあって自殺した幽霊が悪霊になって形振り構わず男を襲ってるみたいなんだよねぇ~」

「男に恨みを持つ悪霊か・・・」

「なんか聞くだけでゾッとするな」

 

男に対し激しい憎悪を抱いている悪霊に兵藤は巻き込まれたら堪ったもんじゃないと身震いしてしまう。

そして秋宗は茜が何をしに来たのかを察した。

 

「つまりあれか?この悪霊を俺に退治してほしいと?」

「そゆこと~!」

「・・・はぁ。分かった、とっとと退治してやんよ」

 

明日の予定が狂ってしまったことに少し落ち込むも、この事件を放っておくわけにもいかないため秋宗は悪霊退治を引き受けた。

 

「ありがとアッキー!それからコガッチとすっちーとさとるんも来てほしいんだけど」

「は?俺も・・・?」

「すっちーって、僕のこと・・・?」

「何で俺まで・・・!?」

 

更に茜はコガラシと浩介、兵藤にも一緒に来て欲しいと頼みこんだ。

悪霊関連のことならコガラシと浩介はまだ分かるが幽霊すら見えないほどの霊力しかない兵藤も来る必要はないだろうと疑問に思ってしまう。

 

「だって被害にあってるのは男オンリーだよ。大勢いた方が悪霊の出現率がグーンって上がるじゃん」

「まぁ、そりゃそうだけどよ・・・」

「俺は別にいいぞ?特にやることもねぇし」

「僕も大丈夫だよ。それに悪霊も放って置けないし」

「・・・ちょっと怖ぇけど、俺もいいぜ!」

 

茜の説得が効いたのか、悪霊を野放しに出来ないのか定かではないが、コガラシたち3人も意見が一致し一緒に行くことを引き受けた。

 

「で、では私も一緒に行きます!」

「ダメダメ!何言ってんのゆなゆな!?女の子はウチ1人で十分!これ以上増えたら出現率が落ちちゃうよ!」

 

何やら必死そうに同行しようとする幽奈を止めて茜は女の子は1人でいいと断言した。

 

「じゃあ明日10時に駅集合、遅れたらだめだからね。じゃあねアッキー!明日はよろしく~!」

 

そして茜は集合時間と場所を伝えてその場を走り去って行った。

まるで嵐のように去って行った茜の背中をコガラシたちは呆然と見送った。

 

「悪いなお前ら。茜の身勝手に付き合わせてしまって」

「気にすんなって」

「そうだよ、明日は特に何もなかったからね」

「な、なぁ3人とも。いざって時は俺を守ってくれるよな・・・!?」

「何なんスかあの茜って人!初対面で人を馬鹿にして!」

「落ち着け紫音、突っかかったらキリねぇぞ」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

翌日

高層ビルが立ち並ぶ名古屋。

その中でも一際存在感を主張している名古屋駅の人混みに紛れ、秋宗とコガラシ、浩介と兵藤、そして茜の5人が外へ歩き出た。

 

「ここが名古屋か・・・!」

「初めて来たけど思ったより人が多いね」

「流石は日本五大都市」

「はぐれたら終わりだな」

「おーい4人ともー!こっちこっちー!」

 

名古屋の人の多さに秋宗たちが呆気に取られていると既に茜が遠くの方まで行ってしまっており慌てて追いかけて行った。

 

「ごめん茜さん、こんな都会来るの初めてだったから」

「いいよいいよ、気持ちは分かるし」

「それで?悪霊が出現する場所の目星はついてるのか?」

 

名古屋の神出鬼没の悪霊についてどんな対策があるのか秋宗が聞くと、茜が衝撃の事実を告白した。

 

「あ~それなんだけどさ~・・・ゴメンみんな!悪霊っていうの嘘なんだ!」

 

『・・・は?』

 

突然手を合わせて謝りながらカミングアウトをした茜に秋宗たちは理解が追い付かなかった。

 

「どういうことだ光明院?」

「いやだから嘘なんだよ」

「友達の彼氏が被害にあったっていうのは?」

「作り話」

「じゃあ昨日のネットニュースは!?」

「あれは自作だよ~ん」

 

次々に嘘を明らかにする茜に黙っていた秋宗は頭にきてしまい彼女の頬を思いっきりつねった。

 

「てめぇ全部嘘なのかよ・・・!?」

「いひゃいいひゃい!いひゃいはっひー!ふぉふぇんっふぇふぁ~!」(訳:痛い痛い!痛いアッキー!ゴメンってばぁ~!

「ふざけんなよ!こっちはペルソナ我慢してわざわざ付き合ってやったんだぞ!」

 

ゲーム好きの秋宗にとってこのようなことは許されることではない。

しかしよくよく考えると、そんな事件が起きていたら間違いなくニュースで報道されている筈なのに全く取り上げられてないことに気がついた。

 

そして一通り頬をつねった秋宗はパッと手を離した。

 

「いったいなぁもう~!」

「ちゃんと話せ。俺だけなら兎も角コガラシたちまで連れてきた訳を」

「分かったよ~」

 

つねられた頬を押さえながら茜は秋宗たちを名古屋へ連れてきた理由を話し出した。

 

「実はウチの友達が霊界新聞に載ってたアッキーに興味持ってね。そんで会ってみたいって言ったから合わせて上げようと思って・・・あともう2人来るけど」

「・・・で、俺らを連れてきた理由は?」

「どうせなら面白くしようかな~?って感じで」

「お、面白く・・・?」

「茜ちゃん?それって一体・・・?」

 

「ふっふっふ~!初対面の男と女が同じ人数でやることって言ったら・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

合コンに決まってんじゃん!!」




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