緋扇邸のオオカミくん   作:アニアス

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第57話 伝説の将軍と孔雀軍司

無事に夜叉鮟鱇を退治した秋宗たちは狭霧と浩介の2人と合流するために集合場所へ向かっていた。

 

『今日はありがとさんな冬空くんに西条くん!』

「相変わらず凄かったねコガラシくん!一撃で倒しちゃうなんて!」

「んなことねぇよ、雲雀だって強くなってるしよ」

 

先程の任務についてコガラシたちが色々話している中、秋宗は1人腑に落ちない顔をしていた。

 

「ん?どうした西条?」

「いや…1つ分かんねぇことがあるんだ」

「分かんないこと?」

「夜叉鮟鱇に喰われた霊が言ってたことだ…」

 

 

 

『そ、それが…顔は見えなかったのですが、間違いなく………バニーガールと、軍服の格好でした!』

 

 

 

「バニーガールは女性スタッフとして、軍服の女って誰のことだったんだ…?」

 

スタッフの話では夜叉鮟鱇の元へ誘導した女性は2人。

1人のバニーガールの女性は操られていた女性スタッフ。

もう1人の軍服の女性は姿を現さなかった。

しかも廃墟に現地入りしていた女性スタッフは1人だけ。

一体スタッフが見たその軍服の女性とは何者なのだろうと秋宗はずっと疑問に思っていたのだ。

 

「あっ!確かにそう言ってたね…!」

「けど妖怪倒した後、廃墟の中に他の気配なんて無かったぞ?」

『ウチも一応近くを式神に調べさせたけど霊気も何にも探知しなかったで』

「じゃあ単に1人を2人と見間違えただけか?それにしちゃあ軍服なんて言葉出て来ねぇだろ」

 

軍服の女は本当にいたのか、それとも単なる見間違いなのか話し合っている内に狭霧と浩介の姿が見えてきた。

 

「あ、狭霧ちゃん!浩介くん!…あれ?」

 

雲雀が声を掛けた時、2人以外に誰かいることに気がつき近づいて確認すると、そこには霊界新聞の記者の京太郎がいた。

 

「京太郎さん…!」

「やぁ秋宗くん!龍・炎焔以来だね~!」

 

京太郎は少し驚いている秋宗に笑顔で手を振った。

 

「何であの人ここにいんだよ…?」

「実は、ここで貴様らを待っていたら偶然出くわしてだな…」

「秋宗くんたちが来るなら、一緒に待っとくて言ってね…」

 

小声でコガラシが狭霧と浩介に事情を聞くと2人は言葉を詰まらせながら答えた。

 

「何でまた来てんすか…?」

「いや~実は最近いいネタを収穫できなくてね~、秋宗くんたちなら何か持ってると思ってさ~。常日頃からトラブってるみたいだし」

「アンタは俺らのことなんだと思ってんすか?そんなの最近ないですよ…」

 

京太郎は取材を試みようとするも秋宗がそれを拒み、それでも引き下がらずを繰り返していると、

 

『な、なんやこれ!?』

 

霊視通信越しでうららが驚きの声を上げたため秋宗たちはどうしたのだろうと耳を傾けた。

 

「う、うららちゃん?どうしたの…?」

『そ、それが!そっちに無数の霊力反応があるんや!それも、ドえらい数やで!』

「何だと!?」

 

うららから無数の霊力反応があることを知った秋宗たちは驚きの顔になってしまう。

任務を終えて周辺確認を行ったにも拘らず、まるで風のように無数の霊力反応が現れたのだから。

 

「その霊力反応ってどこ!?」

『な、何か、動きが軍隊みたいに列を成して何処かに向かっとるみたいや!この方向は…雲雀たちがさっきおった廃墟や!』

「えっ!?でもあっちは…!」

 

秋宗たちが帰った時、廃墟にはまだ姫沙羅を含めた番組スタッフたちが残っていた。

もしまだ帰っていなかったら謎の無数の霊力反応と鉢合わせをしてしまう。

 

「姫沙羅さんたちが危ない!」

「どっちにしろ放っておく訳にはいかねぇな…!」

「あぁ!」

「けど、何でその廃墟に向かってるんだろう…?」

「考えるのは後だ!一刻も速く向かうぞ!」

「いいネタになりそうだからついて行くね!」

 

若干1名面白がっている者がいるが秋宗たちは無数の霊力反応の正体を知るべく再び廃墟へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

一方廃墟では番組スタッフたちが撤収作業に取り掛かっていた。

 

「その機材は向こうだ!」

「照明とマイクの数の確認お願いします!」

「廃墟中のすべての隠しカメラの回収終わりました!」

 

照明やカメラなどの機材の確認を行っている離れた場所で姫沙羅はアナウンサーと話をしていた。

 

「流石です姫沙羅様!あんな怪物を倒してしまうなんて!」

「えぇ!あの程度のこと、私にとっては雑作もありませんわ!」

 

アナウンサーに褒められ調子に載っていた姫沙羅はあることないことをペラペラと喋っていた。

 

(ふふっ、本当は妖怪を退治したのはあの子たちですけれど、やはりこんな生活はやめられませんわねぇ!)

 

心の奥底では手柄を横取りしたことに多少の罪悪感を抱いてるものの、このようにちやほやされる生活など今さらやめられる訳もなくこれからもテレビで活躍していこうと思っていた時だった。

 

「ん…?」

 

何かに気がついたスタッフが手を止めて辺りを見渡した。

 

「どうした?」

「いや、何か聞こえませんか…?」

「え?」

 

それにつられて他のスタッフたちも手を止めて耳を澄ますと何かの音が聞こえそれは姫沙羅にも聞こえていた。

よく聞くとそれは足音で1つ2つという括りに収まらない大勢の足音だった。

 

「えっ…!?ちょっと、何これ…!?」

「どうなってるんだ!?」

「姫沙羅様!これは一体…!?」

「わ、私にも何がなんだか…!?」

 

段々と近づいて来る足音に姫沙羅どころかスタッフたちも動揺する中、茂みから何かが姿を現した。

 

それは歩行している人骨だった。

しかも戦国時代の兵が着るような鎧を身につけており刀を腰に差していた。

しかも一体だけでなく2体3体と次々に茂みから隊列を成して現れた。

 

「ひぃ!?」

「何だよあれ!?」

「オイ!向こうからも来てるぞ!」

 

スタッフが指を差した先に向こうからも同じような人骨が現れ、それぞれが刀や槍、弓などを装備している。

突然現れた人骨たちに姫沙羅とアナウンサー、スタッフたちは一塊に集まることしかできなかった。

そして人骨たちは廃墟ごと姫沙羅たちを取り囲んだ。

その数は見えているだけで軽く200は越えていた。

 

「き、姫沙羅様!何なんですかこの状況!?」

「え、えぇっと………!?」(私も知りたいですわよぉ!一体何ですのあの骨!?)

 

アナウンサーが怯えながら姫沙羅に話しかけるも、彼女は冷静を装いながら内心ではとても動揺していた。

 

すると、一体の人骨が手にしている法螺貝を吹くとそれを合図にするかのように取り囲んでいた人骨たちの一部が道を開けると、向こうから何かが近づいてきていた。

茂みから出て月明かりに照らされながらそれは姿を現した。

 

現れたのは人骨だが、他の人骨たちと比べて大柄で2メートルを越え頭部は下顎がなく骨格も禍々しく目の箇所は鬼灯のように赤く光っていた。

着ている鎧も光沢を発しながら黒く光り背中のマントを靡かせていた。

 

「こ、これって、ドッキリ………!?」

「んな訳ねぇだろ!骨が動いてんだぞ!」

「てことはやっぱ妖怪!?」

「お、落ち着いてくださいまし皆さん…!」

 

スタッフたちが激しく動揺する中、姫沙羅は声を震わせながら落ち着かせた。

 

それをよそに大柄な人骨は廃墟を見やり声を発した。

 

「………どうやら、夜叉鮟鱇がやられたというのは、事実のようだな」

 

人骨の頭部から発せられる低い声は姫沙羅を恐怖で震え上がらせるのには十分だった。

大柄な人骨は廃墟をじっと見た後、姫沙羅たちへ視線を戻した。

 

「我が見た限りでは、夜叉鮟鱇を倒せる程の霊力があるとは思えん…やはり、一時的に霊力が上がったと考えるのが妥当か」

 

大柄な人骨の言動を聞き姫沙羅は冷や汗をかいてしまう。

あの大柄な格好は自分が霊能力者と見抜き分析をしているのだと。

 

「い、一体何だよお前たちは!?」

 

すると恐怖で震えていたスタッフの1人が勇気を振り絞り大柄な人骨に口を挟んだ。

 

「そうだな、では名乗るとしよう………」

 

そした大柄な人骨は一間置き自らの名を名乗った。

 

 

 

 

 

「我は百奇夜皇総大将!!髑髏将軍!!」

 

 

 

 

 

大柄な人骨、髑髏将軍の名前を聞いた姫沙羅は目が点になっていた。

 

(ど、髑髏将軍…?どくろしょうぐん……どくろ、しょうぐん………)

 

頭の中で何度も髑髏将軍を連呼した後、更に冷や汗をかき顔も青ざめてしまった。

 

(ど、どどどど、髑髏将軍~~~!!??)

 

霊能力者の端くれである姫沙羅は髑髏将軍について思い出したのであった。

 

今から50年前、日本の土地を次々に侵略していった組織が存在した。

その名を『百奇夜皇』

その百奇夜皇を率いていたのは何百年も生き続けた怪物『髑髏将軍』

その強さは桁外れで、圧倒的数の暴力で侵略を計ったり、髑髏将軍1人で数十万を越える軍勢を全滅したりと今でも伝説として語り継がれている。

当時の東軍や西軍、誅魔忍軍が応戦するも返り討ちにあってしまい、終いには世界を守る組織『黒衣機関』も動く事態となるも止めることができなかった。

そこで東軍と西軍、誅魔忍軍、そして黒衣機関が髑髏将軍率いる百奇夜皇を止めるべく連合軍を結成し大戦争を仕掛け激闘が繰り広げられた。

そんな日が続いた頃、突然髑髏将軍が姿を消し百奇夜皇もまるでそこにいなかったかのように姿を消してしまい連合軍の勝利ということになった。

一部の噂では尻尾を巻いて逃げた、誰かが髑髏将軍を討ったと広まり、長い年月が経ち髑髏将軍の脅威などすっかり忘れられてしまった。

 

(な、何故髑髏将軍がここにぃ~~~!!?)

 

何故倒された筈の髑髏将軍が目の前にいるのか姫沙羅にはまったく理解できなかった。

そんな姫沙羅などお構い無しに髑髏将軍は話を続けた。

 

「我の夜叉鮟鱇はそこらの霊能力者が簡単に倒せない強さを持っていたが、まさか貴様のような小娘に倒されるとはな…一体何者だ…!?」

(ヒィィィィィィ!!殺されますわぁぁぁぁぁ!!)

 

赤く光る目がこちらを凝視していることに姫沙羅の足の震えは止まらなかった。

相手は日本を侵略しようとした何百年も生きる伝説の猛者、対してこちらは霊と話すことしかできない下級霊能力者。

その差は天と地、いや太陽と地下道というべきである。

もう番組スタッフたちにバレても構わない、今は自分の命が大事だと思った姫沙羅は夜叉鮟鱇を倒したのは自分ではないと言おうと決めた。

 

「あ、あの…私は…!」

「あなたこそこの方を誰だと思っているのですか!?」

「へ?」

 

白状しようとしたした時、アナウンサーが前に出て髑髏将軍に口を挟んだ。

 

「こちらの方は日本一の美貌と実力を兼ね備えた霊能力者にして千年に一人の逸材!如月姫沙羅様ですよ!」

(待ってくださいましぃ~~~!!)

 

勝手に割り込んだ挙句、如何にも実力を兼ね備えていそうな自己紹介をしたアナウンサーに対し姫沙羅は内心で盛大に突っ込んでしまう。

姫沙羅の正体を知らないアナウンサーは彼女ならばこの状況を解決してくれると思い込んでいるため自信を持って髑髏将軍に反論できたのである。

 

「如月、姫沙羅…?そのような霊能力者など聞いたことがないが…我が表舞台から身を引き50年、その間に現れた逸材だとでもいうのか………?」

(向こうは向こうで深読みしていらっしゃるぅ!?)

 

アナウンサーが嘘をついているように見えない髑髏将軍は唸りながら用心深く姫沙羅を観察する。

どんどんカオスな方向へ展開が進んでいきどうしたものかと姫沙羅が焦っていた時だった。

 

 

 

「鵜呑みにしてんじゃないよ。何事にも慎重になるのはお前さんの悪い癖だよ」

 

 

 

突然女性の声が聞こえたかと思えば髑髏将軍の背後から1人の女性が現れた。

女性は腰まで伸びている翡翠色の髪を携え黒を基調とした軍服を着こなし帽子を被っている。

スカートから伸びている脚に胸元はシャツのボタンを外し敢えて強調するように見せており、大人の雰囲気を漂わせていた。

 

「だが朱雀よ、我にはあの者が偽りを語っているとは思えんのだが…」

「けどアイツから夜叉鮟鱇を倒せる霊力なんて感知しないだろ?連中を欺いている可能性もある筈だ」

「左様か…」

 

朱雀と呼ばれた軍服の女性から言われ髑髏将軍は目を覚ましたかのように冷静さを取り戻す。

軍服の女性を見て夜叉鮟鱇に捕まっていたスタッフたちが揃って声を上げる。

 

「あぁ!あの女!さっき廃墟にいた軍服の女だ!」

「あの髪の色間違いねぇ!」

「思い出した!私あの人について行ってそれで…!」

 

捕らえられたスタッフたちが見たもう1人の軍服の女とは目の前にいる女性のことなのであった。

そんな中、姫沙羅は目が点になるもまさかと思いながら軍服の女性に恐る恐る声を掛ける。

 

「あ、あの~…」

「ん?何だい?」

「もしや貴女はその…い、異次元朱雀、ですか…?」

「…へぇ、アタイもまだ有名って訳かい」

 

軍服の女性は姫沙羅が自分のことを知っていることに少し驚いてしまう。

それと同時に姫沙羅は心の中で再び驚きの声を上げる。

 

(こ、今度は異次元朱雀ぅ~~~!!??)

 

今から約10年前、とある妖怪が日本で霊能力者狩りを行っていた。

その名は『朱雀』

天狗界の上位に君臨する孔雀天狗の妖怪で片っ端から霊能力者を血に染め上げていった。

その脅威的な強さから『異次元朱雀』という通り名がつけられた。

しかし突如姿を消して行方知れずとなり霊能力者たちは朱雀の脅威を忘れかけていったのであった。

 

(髑髏将軍に引き続き、異次元朱雀まで出てくるなんてぇ!!)

 

伝説の怪物でも異常事態だというのに追い討ちを掛けるように霊能力者狩りを行っていた妖怪まで現れたため姫沙羅はパニック状態に陥ってしまう。

 

「けど、霊能力者はこの女以外にいないし。やっぱ霊力が一時的に向上したとしか考えられないしねぇ」

「ならば夜叉鮟鱇はこの者に倒されたということは事実のようだな」

 

一通り話した後、髑髏将軍と朱雀は揃って姫沙羅を見やる。

 

「姫沙羅様!この状況をどうにかして下さい!」

「お願いします姫沙羅様!」

「助けて下さい!」

 

更にロケスタッフたちも藁にすがる思いで姫沙羅に泣きつく始末。

 

(ど、どうして………!?どうしてこんなことになってしまいましたのぉ~~~!!??)

 

今まで世間を欺いてきたツケが回ったのか、髑髏将軍から敵と認識されてしまい姫沙羅は史上最高の窮地に追い込まれてしまったのであった。

今にも泣き出してしまいたいがグッと堪えて恐る恐る口を開く。

 

「ひ、1つ…宜しいでしょうか……?」

「む…?」

「な、何故…この方たちを捕らえたのですか…?」

 

髑髏将軍ともあろう者が目的もなくこんな廃墟に妖怪を置いておくなど可笑しいと思い質問をすると髑髏将軍はあっさりと返答した。

 

「夜叉鮟鱇にはここへ迷い混んだ人間たちから霊力を吸収し貯蔵する役割を担っていたのだ。尤も、霊力を吸収されてしまえば精神も崩壊し廃人となるがな」

「は、廃人………?」

 

髑髏将軍の夜叉鮟鱇は人間を捕らえ霊力を吸収する貯蔵タンクとなっているのだが、霊力を吸われた人間は精神にも影響が出てしまい廃人となってしまうらしい。

つまり秋宗たちがあと一歩遅かったらスタッフたちは廃人と化していたということになる。

 

「だが、我の野望のための犠牲となるのだ。寧ろ大義であるぞ」

「50年前に途絶えてしまった将軍の日本征服の野望が動き出すんだよ。廃人になった連中には申し訳ないが犠牲になってもらったのさ。アタイは面白そうだから今は百奇夜皇の軍司をしているけどねぇ」

 

しかし髑髏将軍と朱雀は廃人と化してしまった人間のことなど知ったことではないと淡々と話を進め、寧ろ野望のための犠牲となったことを誇りに思えという口振りであった。

この2人にとって人間はどうでもいい存在なのだろう。

 

「………許せませんわ」

「ん?」

「お?」

 

それを聞いた姫沙羅はプルプルと身体を震わせてキッと髑髏将軍と朱雀を睨む。

 

「人々を道具としか思わないその諸行!許す訳にはまいりません!この如月姫沙羅が天誅を下しますわ!!」

 

人間を道端に生えている雑草のようにしか思っていない髑髏将軍と朱雀に自然と怒りが込み上げてきた姫沙羅は高らかに倒すと宣言をした。

 

「うぉーーー!姫沙羅様ーーー!」

「カッコいいですよー!」

「頑張って下さーい!」

 

その姿にスタッフたちは感激して声援を送る。

 

「この自信…まさかコイツ、ただの下級霊力者じゃないってことかい?」

「才ある鷹は爪を隠すとは、よく言ったものだ…」

 

更に髑髏将軍や朱雀でさえもその自信に満ち溢れた様子を見て警戒してしまう。

 

一方高らかに倒すと宣言した姫沙羅の内心はというと、

 

(や、やってしまいましたわぁ~~~!!私は!なんということをぉ~~~!!私の愚か者ぉ~~~!!)

 

勢いのあまり怒り任せでとんでもないことを口走ってしまった自分を責めている。

髑髏将軍率いる百奇夜皇に完全に宣戦布告をしてしまったため戦わざる事態へと進展してしまい後に引くことなどもうできないのである。

 

「では貴様の力、この髑髏将軍に見せるがよい!」

 

すると髑髏将軍が腕を上げると周囲で待機していた骸骨の兵士たちが一斉に動き出す。

 

(き、来たぁぁぁぁ!!)

 

もうダメかと思ったその時だった。

 

「ん?」

 

朱雀が何かに気がつき上を見上げると何かが宙を舞っておりそれがスタッフたちの足元へ落ちた。

するとそれから煙が吹き出しスタッフたちを飲み込んでいく。

 

「今度はなんだ…!?」

「あれ…?」

「なんだか、眠くなって…」

 

それと同時にスタッフたちを原因不明の眠気が襲いその場に倒れ眠ってしまう。

 

「えっ!?えぇっ!?」

「これは…?」

「一体どうなってんだい?」

 

突然のことに姫沙羅どころか髑髏将軍と朱雀も理解できなかった。

一体何が起こっているのだと少し動揺していた時だった。

 

 

 

「いや~凄いですわ姫沙羅さん、あの髑髏将軍に喧嘩売るなんて」

 

 

 

『!?』

 

 

 

唐突に声が聞こえ髑髏将軍と朱雀がそちらへ注目すると茂みから何人かの人影が現れる。

しかし姫沙羅にはその声に聞き覚えがあった。

 

「正気なの?百奇夜皇敵に回すなんて…」

「だったら隠れてきゃいいだろ」

「そういう訳にもいかないよ…みんなが戦ってるのに僕だけ戦わない訳にもいかないよ」

「弱気になるな。龍・炎焔の時を思い返してみろ。それと同じ空気だろ」

「それにコガラシくんもいるから大丈夫だよ!」

 

人影は計5人。

緊張感のない会話をしながらゾロゾロと現れる。

 

「………何者だ?」

 

勝負に乱入という水を刺された髑髏将軍は圧を込めながらその者たちに声を発すると、その内の1人が声を上げる。

 

 

 

「何者って言われてもねぇ、強いて言うなら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

姫沙羅さんの代行者ってところですよ」

 

 

 

声を上げた人物、秋宗はニヤリと笑いながら答えるのであった。




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