緋扇邸のオオカミくん   作:アニアス

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第5話 時迫る儀式

秋宗「とまぁ、俺はお嬢と姐さんと幼なじみになった訳だ。まぁ今はもう父さんと母さんの仕事も落ち着いてきて定期的に連絡はとってるけどな」

 

 

 

秋宗は自分の生い立ちのことをコガラシに全て話した。

秋宗の話を聞いていたコガラシは少し羨ましかった。

 

 

コガラシ「なるほど、そんなことがあったのか。親がいるなんて、羨ましいな」

 

 

秋宗「・・・そういやお前、小さい頃家出をしたそうだな」

 

 

コガラシ「・・・そんなことまで調べたのかよ」

 

 

秋宗「言っただろ?俺は徹底的に調べあげるタイプだって」

 

 

 

 

コガラシは霊に取り憑きやすい体質で、子供の頃、動物の霊に憑かれて幼稚園の先生に噛みついてしまった過去がある。

コガラシは誰にも迷惑をかけないようにと、一人で家出をしてきたのだ。

当時の幼い子供にしてはあまりにも残酷な決断であった。

 

 

コガラシ「でも、ゆらぎ荘に来て、幽奈に出会って、狭霧に呑子さん、夜々に仲居さん、宮崎にこゆず、朧に雲雀。気がつけば、俺の周りには人が集まって、今日は俺の誕生日を祝ってくれてさ。嬉しかったんだ。ここまで俺のことを思ってくれてさ。」

 

 

 

秋宗「へぇ、嬉しかった、か」

 

 

 

コガラシ「・・・だから、そんな皆を危険な目に合わせて、皆が俺のために準備してくれた日を滅茶苦茶にして、すげぇ怒ってるからな、俺」

 

 

 

秋宗「・・・流石はあの八咫鋼の力の宿しているだけのことはあるな」

 

 

 

 

椅子に縛りつけられているにも関わらず、コガラシの気迫に秋宗は少し戦慄した。

秋宗はもうコガラシに本当のことを話してしまってもいいだろうと思った。

 

 

 

 

秋宗「・・・コガラシ、お前に話してやるよ。お嬢がお前に執着する本当の理由を」

 

 

 

コガラシ「緋扇の、本当の理由?」

 

 

 

コガラシは自分の力だけが狙いかと思っていたが、どうやらそうでもないようだ。

 

 

 

秋宗「お嬢がお前に執着する理由、それは・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お嬢は、あんたの大ファンなんだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コガラシ「・・・・・はぁ?」

 

 

 

コガラシは予想外過ぎた理由に思わず首を傾げてしまう。

 

 

 

秋宗「一応聞いておくけど、2年前のこと覚えてるか?その頃お前、修学旅行で京都行く予定だっただろ?」

 

 

コガラシ「あ、あぁ。確かその時、妖怪たちが合戦してて、新幹線が止まったことがあったな。その時は荒れてて、合戦を止めたけど」

 

 

秋宗「その合戦、東軍と西軍の天下分け目の合戦で、当時のお嬢もその場にいたらしくてな。突如乱入してきたお前の気迫に一目惚れしたらしいんだよ・・・」

 

 

 

秋宗はコガラシに色々なことを説明した。

かるらがその後、コガラシを必死に探したこと、数ヵ月前にコガラシを偶然見かけたこと、コガラシの日常をいつも影から見ていたこと、かるらの自室にはコガラシの写真やらプリントされた抱き枕があること、もはやストーカーの領域である。

 

 

 

コガラシ「でもちょっと待てよ。確か緋扇のやつ、父の仇とか言ってなかったか?」

 

 

秋宗「あぁ、実はあの合戦の後、お館さん、お嬢の親父さんがすっかり丸くなっちまってな、『八咫鋼がお館様の牙を折りおった!』って連中が騒いでな。ちゃんと生きてるから大丈夫だ」

 

 

 

その時

 

 

 

バァン!!

 

 

 

???「おい西条!しっかり八咫鋼を見張っておるか!?」

 

 

 

突然、部屋のドアが開かれて、スズメが入ってきた。

 

 

 

秋宗「・・・あのさスズツキのおっさん、姐さんにも言ったけど部屋入る前はノックしろよ」

 

 

???「やかましい!お主が八咫鋼の見張りを怠りゲームに集中しとるのではないかと思うて来てみれば!八咫鋼と仲良く話などしよって!それでも緋扇邸の用心棒か!」

 

 

 

スズツキと呼ばれた雀は秋宗の部屋に入るなり、説教を始めた。

このスズツキは天狗界でも下位に当たる雀天狗という妖怪なのだが、術者としての才能をかるらから認められており、かるらの側近を務めている。

 

 

 

秋宗「悪かった悪かった。そういやおっさん、なんか野暮用とかで襲撃来れなかったみたいだけど、もしかして例の儀式の準備を?」

 

 

スズツキ「あぁ、あと少しで終わるところだ。後は明日を待つだけ。とにかく、しっかり見張りをしておくのだぞ!」

 

 

 

スズツキは秋宗に念を押して部屋を後にした。

ここでコガラシは気になることがあった。

 

 

 

コガラシ「おい、儀式ってなんだよ?」

 

 

秋宗「ん?あぁ、気になるか?じゃあ教えてやるよ。儀式ってのは・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

~ゆらぎ荘~ 夜明け

 

ゆらぎ荘の大広間では、かるらたちの襲撃を受けていた皆がいた。

呑子と朧はまだ回復しておらず寝込んでおり、ちとせは全員の看病をしてくれた為、疲労がたまり眠っていた。

起きているのは、狭霧、夜々、雲雀、千紗希、こゆずの5人である。

そして、大広間の扉が開かれて幽奈が入ってきた。

 

 

 

幽奈「皆さん、もう起きられたのですか?」

 

 

狭霧「幽奈・・・!」

 

 

夜々「おはよう」

 

 

雲雀「雲雀たちも今起きたところだよ」

 

 

千紗希「・・・冬空くん、大丈夫かな?」

 

 

こゆず「大丈夫だよきっと!コガラシくんなら無事だよ!」

 

 

 

心配する千紗希をこゆずは必死に励ましている。

 

 

 

幽奈「・・・やっぱり、夢じゃなかったんですね。

・・・京都ですよね、ちょっと行ってきます」

 

 

狭霧「待て幽奈!一人でどうにか出来るとでも思っているのか!?」

 

 

雲雀「そうだよ!相手は京都の大妖怪!しかも強力な鵺に狂暴なオオカミ人間までいるんだよ!?」

 

 

 

狭霧と雲雀が必死に幽奈を止める。

昨夜の出来事を体験しているからこそ一人でいかせるなど無謀である行為だ。

それでも幽奈は、

 

 

 

 

 

 

幽奈「私は何度もコガラシさんに助けてもらいました。今度は私がお救いする番です!出来るかどうかなんて関係ありません!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

狭霧「・・・そうだな、ならば私もいこう!」

 

 

雲雀「とーぜん雲雀も行くもん!」

 

 

夜々「夜々も!」

 

 

千紗希「私も行きたい!力にはなれないけどしれないけど、じっとしとくよりはマシだから!」

 

 

こゆず「千紗希ちゃんが行くならボクも!」

 

 

 

幽奈の熱意に当てられて、4人もコガラシを助けに行くことを決断した。

 

その時、部屋に白い渦が現れ一通の手紙が落ちてきた。

 

 

 

幽奈「これは、手紙!?」

 

 

雲雀「なんて書いてあるの!?」

 

 

千紗希「これって、結婚式の招待状?」

 

 

 

 

手紙にはこう記載されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

平成29年 1月吉日

新郎 冬空コガラシ

新婦 緋扇かるら

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!??』

 

 

 

ゆらぎ荘に5人の驚きの声が響いた。

 

 

 

 




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