先代巫女と行く幻想郷生活 ―バタフライエフェクト― 作:篠崎零花
それでもよいという方はどうぞ
……どうしよう。
世界の外側ってどこなのか確かめられないし…。そもそも方法が…ねぇ。
「でも、外の世界だって楽じゃないのよ?…妖怪がいないからってなにも起きてないわけじゃないし、なにより幻想郷であんたの存在はよくないわ」
「…そうだとしても、頼むよ…最後の願いなんだ…」
ごめん、本当に外の世界を見たんだとしてもあなたは里の人間。
そんなあなたが妖怪になることはいけない、らしい。
……だから……悪いけど……
「―――往ね」
…里に再度よってみた。
この中にも、妖怪はいるんだもんね。なんとも言えないもんだよ。
「おー、霊夢。どうした?なんか暗いぞ」
「そうよ。どうかしたの?」
「……どうもしてないわ。とりあえず、私は先に帰ってるから…」
それだけ言って空経由で神社へ先に帰ることにした。
なにか後ろで言っていた気はするけど、きっと気のせいだ。
――神社についてなんとなくフッと思いついたことが1つある。
それは私が鳥居の向こうに行けばどうなるのか。
試しにやってみると戻ってきてしまった。
まあ、うん。仕方ないことなんだろうけど。
「…なるほど。私はもう幻想郷の住民だって言いたいのね」
――要するに、そういうことでしょう?
私はもう、“霊夢”だと。
博麗の巫女で、博麗大結界を管理している身では元の世界にすら逃がしてくれないんだっていうことを。
この箱庭の中で死ぬしかないんだ…。
あれからかなり時間がたった。
今までやっていたほとんどのことをやめた。
理由は簡単。やっていて急につまらなくなったから。
それで妖怪退治だけでなく、異変も放置するようになった。
だから最近は魔理沙や霊華がやっているらしい。
まあ、本人達から聞いたんだけど。
「……なあ、霊夢。本当に平気なのか?最近、またやつれたような気がするんだが…」
また、魔理沙か。
霊華もそうだけど、どうして私のことを気にするのだろうか。
……博麗霊夢だから?それともなに?
「……気のせいでしょ。んで、なんの用よ」
「い、いや。お前のことを気にしてだなぁ…!」
…あ、そう。
どの私を気にしてるんだか。
「そう。気にしてるなら帰って」
「おっ、お前…!」
まだなにか言っている魔理沙をほうって私は神社の奥へと逃げるように向かった。
霊華にも会ったけど、言葉すら交わさなかった。
なんで、こうなってしまったのだろう。
幻想郷に、いたから?
救いの手なんて、もう掴めないほど奥に逃げてしまったから?
でも、もうどうでもいい。
私は…私、は…
あれからかなりたった今。
私は何故か現代にいた。
なんで分かるかって?…この部屋を知らないけど、見覚えがあるような気がするから。
「……あー、大丈夫?突然こっちに引っ張られたからビックリしてるかもしれないけど」
「…な、なんともないわね。今のところは」
私がそういうと長袖ワンピースを着た少女…いや、学生だから女学生?
「ならよかった。ごめんね、こうするつもりなんてなかったし、しようとは思わなかったんだけど、もう1人の博麗の巫女も結界管理ができるようだから連れてきちゃった」
もう1人?博麗の巫女?
あぁ、もしかして霊華と名乗ったあの人のことかな。
「うん。そう頷くってことは薄々気づいたってことかな?…そう、多分その人。任せなきゃ
「……分かったわ。それで、どれに着替えるの?」
「えっ?これでしょ?」
そう言って見せてきたのは青と白のボーダー柄なワンピース。
冬だからなのか長袖だけど。
「これ以外にもあるんだけど、他はまた今度ってことで。あ、今3月だからすこーし暑いかな?」
…春かい。
「多分平気よ。…多分」
あ、ちょっと困ったように笑わないで?
薄手ならワンチャンあるだろうし。
2階建てだったらしく、部屋を出ると前にもう1つの部屋、右に階段が見えた。
「あ、こっちだよ。右側の階段をおりて…左に曲がると少しもしないで扉があるからそこがリビングだよ。そこに今母さんも父さんもいると思う」
「…もしかして、春休みとかってやつにでもなってるのね?」
そう聞いてみたらこっちに首だけ向けて頷いた。
あぁ…だから家にいるんだ。なるほどね。
リビングに通してもらうとこの子の両親がいた。
私がいることに驚いたみたいでそれぞれが反応してた。
そりゃまあ、驚くよね。普通は。
「幻想郷の子だけど、訳ありでこっちに呼んだんだ。母さん、父さん。養子にしてあげて」
「そう言われてもだな、突然現れた子供を養子にするのは厳しいぞ?」
「そうそう。まあ、××がその子を悪い子じゃないって言うのなら証明してみせて」
「母さん!いきなりの子だぞ。いいのか?」
あはは…そうなるよね。
でも、この子…初めて会った気がしない。なんでだろう?
「ええ。むしろ他人のような気がしないからなんとなく、ね」
「うんうん。父さんも多分そう感じてるでしょ?…それにタダで養子にしてあげなくてもいいよ。学校生活とかそれ以外の様子も見て考えてあげてもいいからさ。…その、ダメかな。姉妹みたいになりたいし…」
あ、父さんと呼ばれてる人がため息をついた。
というより、私が空気なような?
「しょうがないな…。お前、名前は?」
「えっ?……れ、霊夢。霊夢って言うわ」
「そうか。んじゃ、まず色々とやる。悪いがついてきてくれ」
そう言われ、××もついてくることになったのだけど、その時の顔は……安心したような笑みを浮かべているようにも見えた。
あれから春休みも終わり、ある場所に私は立っている。
髪型は相変わらず大きなふりふり付きのリボンで一部だけ結ってたり、邪魔なもみあげ部分を赤い髪飾りでまとめたりしてるけど、ある制服を着ている。
××と同じチェック柄のスカートの、だけどね。
「あー、朝の
そう言われた私は教室に入り―――
「初めまして。××霊夢です。今回、訳ありでこの学校に転入してきました。色々と迷惑かけるかもしれませんが、宜しくお願いします!」
―――これから、私の新しい…第3の人生が始まるんだ。
そう、何故なら私は現代で暮らすと決めたから。