姓名:蒋欽 字:公奕 真名:
性別:男 年齢:17歳
容姿:黒い肩ぐらいまでの長髪、三白眼
服装:黒いフード付きパーカー風上着に黒いカーゴパンツ風のズボン
仕官後は上着に赤いラインが追加
生前は暗殺者であり、ありとあらゆる『軌道』が視認出来る特殊な『眼』をもっていた。
死後、神農を名乗る存在により『眼』を持ったまま記憶だけを失くし転生。
両親を流行病で亡くし、実家を親族に乗っ取られ、命まで狙われるが送られた刺客を尽く返り討ちにし、刺客としてやってきたゴロツキたちを配下として山賊デビュー。以後、近隣の賊を打倒して呉郡一帯の侠客の元締めに近しい立ち位置を得る。
その後、討伐軍を率いてきた孫堅ら秣陵軍と戦闘。配下の殆どは離散し、蒋欽自身も韓当に敗れ(凌操もこの後に)捕縛。韓当の要請に応じ、孫家へと仕官する。
元々、職務に対して忠実な気質であったためか張昭、張紘ら二大文官に早いうちから評価され、韓当、程普、黄蓋ら武官筆頭の面々からも気に入られる。が、孫権からは『成り行きで賊をやっていた』と言う一点により警戒されており、それは現在も続いている。
「聞けば聞く程興味を唆るな、天の国の話と言うものは」
「そう?」
俺が孫家へと降って既に三ヶ月が経過した。ある程度家風にも馴染み、先達たちともだいぶ打ち解けて来たと思う。その中でも最も馴染んだのが北郷一刀、世に伝う天の御使いと呼ばれる人物だ。と言っても年齢は同い年、かなり気安い友人としての付き合いをしている。
「そう言えば三番街の饅頭屋で蜜柑饅と言う新商品を出すみたいだぞ?」
「へぇー、それは面白そうだなぁ」
最初は多少の警戒を伴っていた。そもそも『天の御使い』と言う胡散臭い呼び名を持つような存在だ。妖術使いのような力を持っていたりするのではないか?とも思った時もあったが・・・・実のところ、頭の回転が良いお人好し、と言うのが最終的な評価だ。文字は読めない、この国の常識が欠如している、だが妙に聡いところがある。知識にも偏りがあるが、時に周囲を驚かせるような発想をする事もある。
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「風水様、こちらの精査を」
「うむ・・・・飛鷹の作る書類は抜けが無く、文字も綺麗じゃから大助かりじゃわぃ」
張紘、字を子綱。真名を
「そうまで言って頂けると手伝ったかいがあるというものです」
「うむうむ、近頃の若手にはこういった内政仕事は不人気でなぁ。重要度を理解出来るような地位になった頃に、兼業出来るように育てるしか無いんじゃよ。出来れば専業でやってくれる若手を、雷火と育て上げたいもんじゃがなぁ」
孫家に臣従し、向こうから接してきてくれたのが一刀とこの風水様だった。一刀は生来のお人好しから、だっただろうが・・・・
『蒋欽、少しお主の知恵を借りたいんじゃが時間はあるかぁ?』
何でも、俺が縄張りにしていた地域での施政状況を知りたいとの事だった。直接見に行く事は稀にあるが、その時にはどれだけ悪政を敷いていたとしても覆い隠そうと思えば隠せる。小狡い人間はそういった小細工だけは得意であり、確たる証拠がつかめない。だから現地で暮らしていた俺の証言が欲しい、と言う事だったのだ。
その時以来、風水様は小さな仕事を俺に持ってくるようになった。それが徐々に増えてきて、今では周りの文官と同等の仕事を預けられるようにもなった。そのおかげか、文官勢とは距離がかなり縮まった気がする。
「飛鷹はおるか?」
扉を開けて現れたのは、風水様と並ぶ文官の長。張昭、字を子布。真名を雷火、外見詐欺の方である。何せ見た目は俺や一刀よりも若く見えてしまうのだから。だが経験と知識の蓄積、効率的な運用の手腕は積み重ねた年月相応であり、孫堅様に真っ向から意見を言える数少ない人材でもある。
「はっ、ここに」
「おったか。風水、飛鷹を借りていっても構わんか?」
「一段落着いたとこじゃ、構いやぁせんが・・・・」
「なら借りるぞ」
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「すまんの、わざわざ連れ回して」
「いえ、何時もの事ですから」
あのあと、俺は雷火様と連れ立って近隣の豪族たちへの挨拶回りへと赴いていた。と言うのも、俺が仲謀様の直属武官となった事の喧伝が主目的との事らしい。自慢する訳で無いが、『呉郡の鷹の目』と言えば『江東の虎』程では無いとは言え、結構な勇名として揚州に広まっていたらしい。様々な意味合いで『力が無い』と言われていた仲謀様に『呉郡の鷹の目』が助力する、と喧伝する事で仲謀様にはそれだけの『器』があり、また従えるだけの『力』もあるのだ、と思わせるのが目的だったようだ。
「孫家の未来のためにも、必要な事だと理解もしています」
「うむ、皆がお主のように聞き分けが良く、なおかつ協力的であればワシも苦労しないんじゃがな」
そこは孫家の気風である、としか言えないだろう。当主である文台様からして誰よりも自由人であるし、長女の伯符様、三女の尚香様もその気質を受け継いでいる。宿老の一人、公覆様も文台様に近しいし徳謀様もそんな気質がある。文嚮、子烈もそれぞれ公覆様、徳謀様の直下に近しいから影響されつつある。昂さんもどっちかといえば、こちら側に近いだろう。
仲謀様は他の家族に似ず生真面目だ、公瑾殿もそうだし興覇、幼平、子明、柚杏も真面目な分類に入るだろう。風水様、雷火様は当然であるが、ややどっちつかずなのが伯言ぐらいだろうか?いや、アレは性癖が特殊なだけだからどうなのだろうか?
「仕方ありますまい、今の家風を無理矢理に修正したとして・・・・それが『孫家』だと、胸を張って言えますか?」
「・・・・頭の痛い事に否、としか言えんな」
「無理に矯正を考えず、少しでも理解し手伝ってくれる者を増やす事に腐心すべきでしょう」
「じゃな」
孫家は言ってしまえばまだ走り出したばかりだ。これから、徐々にさきの事を考えれば良い。
SIDE 蓮華
「ごめんなさいね、みんな仕事で疲れてる時に集まってもらって」
夜半、私の部屋には風水、思春(甘寧)、悠那(徐盛)、
「前置きは結構、飛鷹・・・・公奕の事じゃろう?蓮華様」
真っ先に口を開いた風水の言葉に、私は無言で頷いた。有り体に言ってしまえば、私は公奕の事を心良く思っていない。思春も、悠那も、
「蓮華様の危惧は分からぬでも無い、じゃが考えすぎじゃよ。公奕は確かに主義も主張も無く、成り行きで賊の長をやっていたと言う点で思春や悠那、陽と同じ扱いをしろと言うのはどだい無理な話じゃ・・・・じゃがのぅ、あやつが臣従し既に三月じゃ。孫家の臣として、十分過ぎる働きをしており兵士たちや民からの信望も厚い。儂も、ここにいる皆もその事は認めておる。その公奕を、いつまでも蓮華様一人が認めぬ、と声高に言い続けておる・・・・それがどういう意味を持つか、分からぬ訳でもありますまい」
分かっている。公奕の実力も、功績も、認めるに十二分なものであり、本来ならば私直属の武官と言う立場もあるのだ、真名を預け合うほどの信頼関係を築いていなければならないはずなのだ。だが・・・・私は、公奕の事がイマイチ分からない。一度たりとも喜怒哀楽の表情を見せた事は無く、常に冷めた眼をしている。そんな彼を信用しきれていないのだ、私は。
「ふむ・・・・蓮華様、一つ提案して宜しいか?」
そう言って、手を挙げたのは風央だった。私は、ゆっくりと首を縦に振る。
「一度、公奕と直接話をしてみては如何か?二人きりで」
「二人きり、で?」
「然り。恐らく蓮華様は公奕と直接語り合う、と言う事はしてこなかったのではありませんかな?」
「・・・・・・・・ええ」
確かに、語り合う事はおろか二人だけになる状況と言うのを意識的に避けていたかも知れない。
「であれば尚更、我ら武人は刃を交わせば」
「文官である儂らは仕事ぶりからおおよその事は分かります」
「ですが直接に刃を交わす事も無く、彼の仕事の仔細を見る事も少ないのであれば語る事で読み取るしかありますまい」
「そう、ね」
孫家の、『江東の虎』の娘が直属の武官と不仲。そんな噂が囁かれ始めている事も分かっている。それは孫家にとっての不利益に違いない、監視のために置いたと言うのは孫家の家臣たちは理解しても民はそうは取らない。風水や風央の言うとおり、公奕と直接語り合い、続けて手元に置くのか、他の手段を取るべきなのかを、決めなければならないのだろう。
「風水、風央、早速明日にでも公奕の仕事を調整して一日空けて欲しいのだけれども」
「はっ、御意に」
「仰せのままに」
「思春、悠那・・・・明日は公奕の分の仕事を請け負って欲しいのだけれども・・・・」
「お任せを」
「はいはい、任せて下さいねー」
明日の面談で、公奕の事が少しでも理解出来れば・・・・良いのだけれども。
第五話でした。
多分、蓮華様は原作の一刀の時もそうでしたが思想、実力の両方で認めさせれば結構距離を近づけてくれる人だと思うんですよね。でもそうなる前はバリバリ警戒してくる、どれだけ周囲が認めていても自分が認めなければーってタイプだと思ってます私は。
で、次回は蓮華様と主人公の面談回になります。
盆休みも終わり、明日から仕事再開なのでゆっくり考えながら執筆を進めたいと思います。
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