ザビ家末弟の奮闘記   作:ボートマン

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第5話

第二次降下作戦が終了し数日が経ちドムの量産が開始された頃、北米大陸のキャリフォルニアベースにいるガルマ大佐から通信が来て俺は通信に出ていた。

 

「レイン、元気だったか?」

 

「はい。ガルマ兄様もお変わりはなく。」

 

「そうか。レイン、話の前に謝らせてくれないか?」

 

「謝らせてくれとはどういうことですか兄様?」

 

突然ガルマが謝らせてくれと言われ、俺は何のことだと思った。

 

「ドムの件だ。」

 

ドムの件と言われ、俺はあの事かと思い出した。

 

「お前の機体を姉上が私に譲るように言ったそうではないか。」

 

そう第一次降下作戦の翌日にキシリアから、俺の乗機であるドムをガルマに譲ってくれと言われたことを思い出し、最初は面倒だと思ったがドムの量産が開始されている今では忘れていた。

 

「兄様は私と同じで初陣となります。キシリア姉様はそんなガルマ兄様を大切に思っているからあのようにしたんです。だから、あまり姉様を責めないで下さい。」

 

俺の言葉にガルマは少し考えた後、仕方ないという表情をしていた。

 

「全く、お前は相変わらず優しいな。」

 

「いえ、それほどでも。」

 

「話は以上だ。レイン、これから忙しくなるが共にジオンの勝利のために戦おう。」

 

「はい。わかりました兄様。」

 

そう言って俺は通信を切った。

 

「第二次降下作戦も終了したか。これから忙しくなるな」

 

そう言って俺は一枚の設計図を手に持った。

 

その設計図には書かれているのは俺が主導で開発が進められているMS−09K−2ドム・キャノンであった。

 

ドムが量産されている今では、ザクキャノンではドムの機動性に対応できないため、現在開発が進められている。

 

とはいえ、ベースのドムはすでにあるので、あとは主武装のツインキャノンの開発と起動実験だけだ。

 

そう思いながら俺は書類を整理していた。

 

それから数日が経ち、第三次降下作戦開始が近づいてきている時、開発部から報告がきた。

 

ついに試作型ドム・キャノンが完成したらしい。

 

俺はすぐに格納庫に向かうことにした。

 

格納庫では整備員が試作型ドム・キャノンの起動実験のため、忙しなく動いていた。

 

整備員が格納庫に入ってきたレインを見ると敬礼し、俺は気にせず準備を進めるように言った。

 

俺は小隊の整備主任であるルーベ・アルセルトに近づき、準備がどれまで進んでるか聞くために近づいた。

 

「ルーベ主任、準備はどこまで進んでる?」

 

声をかけられ先ほどまで指示を出していたルーベは、近づいてくるレインに気づいた。

 

「中佐!来てたのかい?」

 

「ああ。私もこの機体の開発に関わったから気になってね。」

 

「へえー。中佐も気になるんだね。」

 

お互い何事もなく話しているが初めて会った時はルーベが慣れない敬語を使っていて、俺があまり無理して敬語を使わなくていいと言った瞬間、今のように気軽に話している。

 

ちなみにルーベは見た目がボーイッシュの為男に間違えられやすく、以前一人の整備員がルーベのことを男だと思っていたと言った時、ルーベはその整備員に馬乗りししこたま殴っていた。

 

この事からここにいる整備員達は、ルーベを男と言って馬鹿にしないと心に決めたそうだ。

 

「それでどこまで進んでるんだ?」

 

「ほとんど準備は完了してるけど、パイロットがまだね。」

 

どうやら起動実験のためのパイロットが来ていないため実験ができないようだ。

 

「私が乗ろうか?」

 

「え、中佐が!そりゃぁ乗ってくれるのは嬉しいけど・・・」

 

やはり実験で怪我されるわけにもいかないが、これ以上時間をかけるわけにいかずルーベは悩んでいた。

 

「あまり気にする必要するな。ルーベが整備した機体なら問題ないさ。」

 

「そこまで言うなら仕方ないなぁ」

 

信頼されていることがわかると、ルーベは照れ臭そうにしていた。

 

そして、レインはパイロットスーツに着替えず、そのまま試作型ドムキャノンに搭乗し起動した。

 

『どう?』

 

機器を確認し、問題なことを確認する。

 

「大丈夫だ問題はない。」

 

『それじゃあ始めよっか』

 

「ああ、始めようか。」

 

それからレインはドムキャノンの走行、主武装のツインキャノンの実験を始めた。

 

実験は問題なく進み、無事に終了した。

 

「どうだった中佐?」

 

「何も問題は無かったよ。流石ルーベが整備した機体だな。」

 

「それ程でもないよぉ〜」

 

そう言いながらも嬉しそうにしており、レインをバシバシ叩いていた。

 

「今回の実験データは役に立つか?」

 

「うん。今回の実験データは絶対に役に立つよ。」

 

あとのことをルーベに任せ、レインは汗を流す為シャワーを浴びることにした。

 

シャワーを浴び終えたレインはドム三機を要請し、ドム・キャノン試作型を隊に配備するように根回しを行なった。

 

それから数日が経ち、ついに第三次降下作戦が開始した。

 

量産したドムを主力とした第4機動師団がオセアニア大陸及び中央・東南アジアに降下を開始し、ザクとは機動性や装甲が違う量産されたドムに連邦軍は為すすべもなく、ジオン公国軍はオセアニア大陸及び中央・東南アジアを制圧し支配下に置いた。

 

 

 


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