オデッサ基地内で一人の女性士官が、兵にある場所に案内されていた。
「(ったく!あの女いったいどういうつもりなんだい?)」
自分の上司であるザビ家の人間であるキシリアの顔を思い出しながら、声に出したいが女性は内心で悪態をつく。
もし口に出してしまえば、ただでさえ立場が悪いのに更に立場を悪くしてしまう。
その女性の名はシーマ・ガラハウ。
ジオン公国軍海兵隊に所属し、自らの部隊であるシーマ艦隊の指揮官でもある。
本来なら彼女や彼女の率いる部隊は作戦命令がでるまで宇宙で待機しているはずだった。
ところが、彼女の上司であるキシリア・ザビからの命令で地球に降りたのである。
だが、何の詳細を教えられないまま地球に降りるよう命令されたため、キシリアの意図がわからずシーマは困惑していた。
「ここだ、入れ。」
基地を案内していた兵士の声に気づきシーマは部屋に入る。
部屋の中にはまだ年若い白髪の青年が座っていた。
その青年はドムの開発者でありキシリアの弟でもあるレイン・ザビであった。
「よく来てくれたねシーマ少佐。気にせずにかけてくれたまえ。」
気にせずとレインは言うが、シーマにとっては自分の上司の弟でありザビ家の人間であるため気が気でない状態であった。
とはいえ下手に気に触ることをするわけにはいかず、用意された椅子に座る。
「さて、今回少佐に来てもらったのは、我が独立部隊に少佐の部隊を加えたく思い呼んだんだ。」
レインの言葉にシーマは驚いたような表情をしていた。
レインの言うことはシーマだけでなく自らの率いる艦隊までも引き抜くということである。
「信じられないという表情だね。」
「そ、それは!」
シーマは連邦との開戦直後に行ったサイド1・2・4に対して毒ガスを流し込んだことや、これまで破壊工作等などの汚れ仕事を行なっていたため、シーマや海兵隊は周りの兵士達から忌み嫌われることとなった。
実際ここまで案内した兵士もここに来るまですれ違った兵士も、シーマが海兵隊に所属する人間だとわかるとすぐさま軽蔑する様な視線を向けていた。
そんな自分や部下達を引き抜くということが信じられなかった。
「シーマ少佐が驚くのも無理はない。実はキシリア少将にも相談した時も驚かれてね。」
「あの、大佐はなぜ自分達を?」
おずおずとシーマは自分達を引き抜いた理由を聞いた。
「ふむ。海兵隊に関しての話を聞けば、軍内では海兵隊に良くない話しか聞かされたよ。」
その言葉にシーマは表情暗くした。
「しかし、私は逆に優秀だと思ったよ。」
「え?」
突然の賛美の言葉にシーマは気の抜けた声が出てしまった。
「汚れ仕事だと言われているが、それらをこなす海兵隊を私は逆に優秀だと思ってね。だから、私は海兵隊を指揮する少佐やその部下達が欲しくなったんだ。」
レインの言葉にシーマは正直言って理解できなかった。
これまで多くの破壊工作や人には言えないような事をしてきた自分達に、これほどの賛美の言葉を言われたことはなかった。
「というわけで、少佐や少佐の部下達はこれからは私の隊に加わってもらう。」
「りょ、了解しました。」
「他の隊員と顔合わせは後日行う。それまで少佐は自分の部下達に今回の事を伝えてもらう、下がっていいよ。」
「はっ!」
敬礼して退室するシーマの表情は暗くなく若干明るくなっていた。
「ふぅー、疲れたー。」
シーマが退室したことを確認したレインは椅子にもたれかかった。
「やっぱり慣れないなこういうこと。」
原作のキャラクターと顔を合わせて話すのはそう慣れる事ではない。
ガトー達と顔を合わせても内心では喜びと同時に緊張してしまう。
「これでシーマが死亡することは無くなったかな?」
シーマは毒ガス事件や海兵隊の事で、誰からも忌み嫌われ助けられることもないまま死んでしまった。
「とはいえ優秀な部下を手に入れることができたのは良いことだな。」
シーマ自身もそうだがその部下達も、汚れ仕事をやるだけあって新兵に比べ実力はある。
「これからは大変だが、生きるために頑張らないとな。」
そう決心すると扉がノックされた。
急いで座り直し服が乱れていないか確認した。
「入れ。」
入って来たのは基地に駐在する兵士だった。
「レイン大佐、ガルマ准将から指令書お渡しします。」
「ご苦労。」
労いの言葉を送り、兵士は敬礼して部屋を退室した。
「これはまた・・・」
指令書には近々北京基地を攻略することが書かれており、その攻略作戦にレインの部隊も参戦することが書かれていた。
色々とあって投稿するのに遅れてしまいお待たせして申し訳ありません。
それと新年明けましておめでとうございます。
そういえばコードギアスの最新作見ました。
とても最高でした。今度書いてみようかなと考えています。