死闘の後俺は、灰色の髪の男の部下に止められ、檻に戻される。どうやら、まだ檻の中での生活は、続くらしい。
「おかえりなさい」
松陽が俺にいう。
「ああ」
いつもなら、無視をしていただろうが挨拶は、一般常識なので返す。
「どうでした?」
松陽が、俺に尋ねてきた。今日の事を、聞いているのだろう。
「生きづらい世の中だ」
素直に、そう思った。下手したら、俺は死んでいたかもしれない。そう考えると、今日は眠れそうにない。
「ここだけが世界じゃないですよ」
松陽が笑って答える。
一度、聞いて見たいことがあった。
「あんたは、なんで檻にいるんだ」
一ヶ月、一緒にいたが、こいつが悪いことをする奴には、見えない。
「そうですね、強いて言うなら世界が私を拒んだからでしょう」
笑顔で返す。素直にすごいと思う。笑顔で、そんなこといえる奴は、中々いない。
「世界か」
俺は、何も知らない。
この世界の事。
生きる為には、やはり必要な事なのかもしれない。
「私が教えて差し上げますよ」
こいつは、エスパーか何かか
「頼む」
「ですが、その前に貴方の名前をまだ聞いていません」
そういえば、そうだ。俺は今日名前をもらった。俺は、貰った名前を教える。
「夜城、夜城という名を貰った」
「いい名前ですね。私の事は松陽とお呼び下さい、
夜城」
「わかった」
「…」
俺が返事をすると、松陽は不満そうに睨んでいる。
「?」
何で睨んでいるのか、わからない俺は、クエスチョンマークを浮かべる。
「そこは、「わかった松陽」と言うところですよ」
「ウザい」そう思い、目を閉じる
意外と寝れた。
それから、俺は松陽に文字、歴史、文化などを教えて貰った。文字は、今までいた世界と似て非なるものだったので、一から覚え直す。
全く知らない歴史、全く知らない文化を知れるのは、中々面白かった。授業を始めてから一週間が経過しようとした頃に、骸が俺たちの食事を持ってきた。骸とは、あれ以来会っていない。骸は興味深そうに、俺たちを見ている。どうやら、気にしていないようだ。
「今夜城くんに、勉強を教えているんですよ」
松陽が骸に教える。
「勉強?」
どうやら、勉強というものがわからないらしい。
「文字の読み書きや、この世界の歴史、文化を教えているんです」
丁寧に教える。
「そう」
「骸さんも、参加しますか?」
松陽が勉強に誘う。
「いい」
ただ、そう言って走っていった。
けれど翌日も、興味深そうに見ている。次の日もその次の日も。その都度松陽が声をかけるが、断られる。
そして、さらに一週間が経過した時。
いつもと同じように興味深そうに、俺たちの様子を見ている。
「楽しいの?」
俺に訪ねてきた。
「楽しくは、ない」
思った事を答える。
「なんでやるの?」
まぁ確かにそうなるな。
「楽しくは、ないけど面白いから」
「面白い?」
「この世界が、どう出来てどうなっているのかが知れる。
どのように、どんなふうに、何が起こったのか分かる」
「それを、知って何になるの」
「わからない、
けど知ってて損は、ないだろ」
「…」
「見るか?」
骸はコクリと頷く。
俺は、メモをしたノートを見せると、興味深そうに見ている。
「読めない」
読めないのかい!
「じゃあ勉強が必要ですね」
そう言って松陽は、また笑った。
誤字あったら言ってください