俺たちは、忍びに囲まれてしまった。しかも、かなりの手練れだと見える。もしかしたら上忍、いや、火影クラスかもしれない。螺旋丸とか、撃ってくるかもしれない。冗談は、この辺にしておこう。様子を見るに、かなり用意周到な奴らだ。俺たちの計画が、漏れていたのかもしれない。
正直言って、俺たちに勝算はない。とんだ厄日だ。こんな事なら、占いでも見てくれば良かった。見てれば、ラッキーアイテムで回避出来たのに。こんな状況なのに不思議と、落ち着いている。慣れというのは、恐ろしいな。味方もかなり静かだ。訓練で、心を消していたのだろう。さて、ここで取れる行動は三つ。
一つ、無茶を承知で突っ込む。
二つ、自害する。
三つ、命乞いをする。
うん、どれも死ぬやんけ。あいつらは、俺たちの首を、本気で取りに来ている。でなきゃ、あの人数で来るはずがない。様子を見るに全く油断していない。俺たちは、見るからに子供なのに、油断していないということは、奈落を甘く見ていないのだろう。
さて、どうするか。
後らに振り返り、味方の様子を見る。
味方を見るにやる気満々だ。
思わず笑ってしまう。
選択肢四つ目
任務を遂行する。任務つまりターゲットの暗殺。王の首を取れば戦は、終わる。将棋でも同じだ。全員が構える。俺たちは、駕篭に向かって走る。任務遂行の為なら、死をも恐れない奈落の兵士。全く恐ろしい。
一人、また一人と倒れて行く。だが、誰も見向きもせず、ターゲットだけを見る。
けれど、届かない。数が違いすぎる。今度は完全に囲まれた。残っているのは、四人。対する相手は、ニー、シー、ロー、ハー
数えるのがめんどくさい。まぁ、ざっと三十人くらいだろ。子供相手に、大層なこって。
「アジトは、何処だ」
忍びのリーダーらしき人物が尋ねる。
俺たちのアジトは、俺たち組織の人間以外知らない。他からしたら、喉から手が出るほど、欲しい情報だ。リーダーらしき人物が刀を振るう。
三人
「もう一度聴くアジトは何処だ」
仲間を目の前で切られても、動揺一つしない。
「もういい、死ね」
そう言って、俺たちを斬ろうとする。
けれど、俺たちの倒れていた、仲間の一人が、そいつの足をナイフで斬る。
「うっ、っ」
軽傷だが、隙は作った。
その隙に、煙玉を叩きつける。ここは、逃げるのが得策だろうが、こいつらは逃げない。
ターゲットを殺すまでは。そして、一人が気配を消し、駕籠まで近づく。
骸だ。
そして、骸が駕籠を、一刀両断する。
だが、駕籠の中には誰も居なかった。どうやら俺たちは、最後まで踊らされていたらしい。
「クックク、ハッハッハハ」
敵の大将が大声で笑う。
「終わりだ」.
「やれ」
背後から忍びが近づく。
骸の首が斬られる。ら
俺は、その瞬間スローモーションに、見えた。
俺は、人を斬るのが怖い。
物凄く怖い。
死ぬほど怖い。
怖くて仕方がない。
この世界で殺す事は、必要なのかもしれない。
けれど、
もし、殺してしまったら人間じゃなくなってしまうかもしれない。
それが怖くて、仕方がない。
けれど、
骸を、見捨ててしまったら本当の意味で、人間じゃ無くなってしまうかもしれない。
わからなかった。
どれが正しい選択なのか、わからない。
けれど、
救えるのに、救わないのは、人間ではない。
もし、それが人間だというなら。
俺は、人間なんて辞めてやる。
俺は、骸を斬った忍びの首を跳ねていた。
その瞬間、辺りが静かになる。
そのあと、俺は骸を持ち上げ、少し離れた場所に置く。
「書き取り、まだ終わってないだろ」
骸の頭を優しく、撫でる。
幸い、まだ息はある。
俺があと少しでも遅かったら、首を間違いなく跳ねられていただろう。
「少し、待っててくれ」
そして敵の方を見る。
体が軽い。まるでここが俺の居場所だと、体が言っているようだ。
歩いて、敵の方に向かう。
俺は、鞘から黒雨を抜く。
呼吸を整える。
俺は、目を閉じるり
「やっやれ!」
男の合図で敵が、一斉に掛かってくる。
俺は、ただ、
斬る!!
剣先を悟らせないような、剣筋。
その刃は刹那の如く。
敵が俺を囲むが、関係ない。
的確に急所を斬り、即死。
一人、また一人と、人が死んでいく。
刀が手に馴染む。
「ひっひるむな」
敵の大将と思われる人物が、声を上げる。
俺は、止まらず戦場を駆け抜ける。
敵がクナイを投げてきても、薙ぎ払い
敵が囲もうと、その刃は止まることを知らない。
守る事が、殺す事だと言うなら、喜んで殺そう。
俺は敵を、ただ斬って斬って斬りまくる。
敵が骸の方に走る。
今の俺の唯一の弱点。
敵は、動けない骸に向かって、全力疾走している。
俺は、落ちている刀を思いっきり投げつける。その刀は、脹脛に刺さり、動きが止まる。
その隙に一瞬で近づき殺す。
刺した刀を抜き次の敵を見る。
「化け物め」
誰がこぼしたか分からないが、まさしくその通りだった。
黒い服と黒い髪を返り血で真っ赤に染め。
一人殺したら、次のターゲットにすぐさま移行する。
一人の子供が、大人何十人も斬っていく姿は、化け物そのものだった。
俺は淡々と斬っていく。
「助けてくれ!」
敵が、そう叫ぶ。
「たのッ」
俺は、喋っている途中で、そのまま切り捨てる。
気づいたら死体の、山の上に立っていた。今度は、ちゃんと覚えている。二年前、朧が言っていた事は本当だったのかもしれない。
俺は泣きながら笑った。守れた事、死ななかった事、泣けた事が嬉しかった。人を斬った事が、人で無くなってしまった事が、悲しかった
色んな感情が重なった。
けれど最後は、
寂しかった。
俺はその場で意識を失った。
誤字あったら言ってください