知らない天井だ。
まぁ、一度言って見たかっただけ、なのだが。
俺は周りを見渡す。どうやらここは、ソールソサイティーでも、教会でも、ないらしい。奈落の医務室だ。俺は、手をグーパーと動かす。
「生きてる」
声に出ていた。
「そうね」
誰かが返してくれる。俺は声のした方を見る。骸だ。どうやらお互い、死なずに済んだらしい。
俺は、自分の体を見る。包帯でグルグル巻きにされていた。こんな重傷を、負った覚えはない。いや、覚えてないだけかも、しれない。あの時は、必死だった。傷なんて、気にしてる場合じゃ、なかったかもしれない。骸も、首にグルッと、包帯を巻いている。あの時の傷だろう。もう少し動くのが早ければ、傷を負わせることも無かったかもしれない。すると、骸がもぞもぞと、何かを取り出す。ノートだ。
「書き取り、終わった」
そう呟いて、俺に見せてきた。恥ずかしくて、死にそうだった。まさか聞こえていたとは。
「起きたみたいだな」
そう言って誰かが近づいて来た。朧だ。
「お前たちを、正式に奈落の一員として向かえる」
「任務は、失敗した」
俺が朧に言った。
「いいや、成功だ。確かに暗殺は失敗したが、あいつらは、人員を失った。それは、かなりの損害だ。崩れるのも時間の問題という訳だ」
「そうか」
別に嬉しくはない。最初から、奈落に入るつもりは、無かった。
「付いて来い」
朧は、そう言って部屋を、出て行った。俺達は、体を起こし着いていく。体が重い。怪我よりも、筋肉痛が痛いと感じた。着いた場所は、別の医務室だった。
「お前らは、正式に奈落に入った。よって八咫烏の紋章を入れてもらう」
まぁ要するに、刺青を入れるという事だ。
正直言って、入れたくはない。刺青を、入れていい事はない。銭湯にも、入れなくなるらしいし、何より厨二病だと、思われる。まぁ、強制なので、何処に入れるかを考える。出来るだけ、見えないところに入れよう。足の裏とか、駄目なのかなぁ。
「何処に入れるんだ」
聞いてみた。
「基本的に見えるとこなら、何処でも構わない」
どうやら、足の裏は駄目らしい。なので俺は前腕にする事にした。骸は何処にするのかと思い、聞いてみる。
「首筋」
と、だけ答える。傷を刺青で隠すのだろう。
「悪い」
あの傷を負わせたのは、俺のせいだ。傷は、消えるかもしれないが、早い段階で隠したいのだろう。
「別に、そういう意味じゃない。ただ、この傷は覚えておきたいから」
首を押さえながら、答える。
俺たちは、それぞれ刺青を入れる。これで正式に天照奈落に入ったわけだが。檻の中での生活は、続くらしい。
そして、一年が経過した。え、早すぎる。
いやいやこんなものだから。精神と時の部屋も、外界の1日は一年もあるから。そんな、訳で今俺たちは勉強をしている。
「どうしたんですか?」
松陽が俺に尋ねる
「いや、外ってどうなってるのかと思って」
今、外の勉強をしている。俺たちは任務以外、アジトの外に出る事を、禁止されている
「では、行ってみては?」
「は?」
軽く言った言葉に驚いた。
「いや、この間テレビで見たんですよ」
「?」
何の話か分からなかった。
「プリズンブレイクです」
「そっちかよ」
「外」
そう呟いたのは、骸だった。
「外に、行きたいのか?」
俺が尋ねる。
「別に、私の居場所は、ここだけだから」
寂しそうに、そう言った。
「居場所なんて、作ればいいんですよ。今はまだ一つかもしれませんけど、時期に沢山増えていきます。ねぇ夜城」
松陽がそう言って、俺に賛同を求める。
「ああ、」
俺も答える。
「…」
骸は、黙っていたが。少し嬉しいそうだった。無表情だが、少しづつ感情が分かるようになってきた。
「では、みんなでプリズンブレイクしましょう」
松陽が張り切って言った。
「檻に入ってるのは、俺と松陽だけだけどな」
俺が突っ込んだ。俺も少しづつ、変わっているのかもしれない。いや、変わらせられているの方が、正しい。
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