黒魂   作:枯れ木の小説

9 / 12
サンタは赤い


帰還

知らない天井だ。

まぁ、一度言って見たかっただけ、なのだが。

俺は周りを見渡す。どうやらここは、ソールソサイティーでも、教会でも、ないらしい。奈落の医務室だ。俺は、手をグーパーと動かす。

 

「生きてる」

声に出ていた。

「そうね」

誰かが返してくれる。俺は声のした方を見る。骸だ。どうやらお互い、死なずに済んだらしい。

俺は、自分の体を見る。包帯でグルグル巻きにされていた。こんな重傷を、負った覚えはない。いや、覚えてないだけかも、しれない。あの時は、必死だった。傷なんて、気にしてる場合じゃ、なかったかもしれない。骸も、首にグルッと、包帯を巻いている。あの時の傷だろう。もう少し動くのが早ければ、傷を負わせることも無かったかもしれない。すると、骸がもぞもぞと、何かを取り出す。ノートだ。

 

「書き取り、終わった」

そう呟いて、俺に見せてきた。恥ずかしくて、死にそうだった。まさか聞こえていたとは。

「起きたみたいだな」

そう言って誰かが近づいて来た。朧だ。

「お前たちを、正式に奈落の一員として向かえる」

「任務は、失敗した」

俺が朧に言った。

「いいや、成功だ。確かに暗殺は失敗したが、あいつらは、人員を失った。それは、かなりの損害だ。崩れるのも時間の問題という訳だ」

「そうか」

別に嬉しくはない。最初から、奈落に入るつもりは、無かった。

「付いて来い」

朧は、そう言って部屋を、出て行った。俺達は、体を起こし着いていく。体が重い。怪我よりも、筋肉痛が痛いと感じた。着いた場所は、別の医務室だった。

「お前らは、正式に奈落に入った。よって八咫烏の紋章を入れてもらう」

まぁ要するに、刺青を入れるという事だ。

正直言って、入れたくはない。刺青を、入れていい事はない。銭湯にも、入れなくなるらしいし、何より厨二病だと、思われる。まぁ、強制なので、何処に入れるかを考える。出来るだけ、見えないところに入れよう。足の裏とか、駄目なのかなぁ。

「何処に入れるんだ」

聞いてみた。

「基本的に見えるとこなら、何処でも構わない」

どうやら、足の裏は駄目らしい。なので俺は前腕にする事にした。骸は何処にするのかと思い、聞いてみる。

 

「首筋」

と、だけ答える。傷を刺青で隠すのだろう。

 

「悪い」

あの傷を負わせたのは、俺のせいだ。傷は、消えるかもしれないが、早い段階で隠したいのだろう。

「別に、そういう意味じゃない。ただ、この傷は覚えておきたいから」

首を押さえながら、答える。

俺たちは、それぞれ刺青を入れる。これで正式に天照奈落に入ったわけだが。檻の中での生活は、続くらしい。

 

そして、一年が経過した。え、早すぎる。

いやいやこんなものだから。精神と時の部屋も、外界の1日は一年もあるから。そんな、訳で今俺たちは勉強をしている。

 

「どうしたんですか?」

松陽が俺に尋ねる

「いや、外ってどうなってるのかと思って」

今、外の勉強をしている。俺たちは任務以外、アジトの外に出る事を、禁止されている

「では、行ってみては?」

「は?」

軽く言った言葉に驚いた。

「いや、この間テレビで見たんですよ」

「?」

何の話か分からなかった。

「プリズンブレイクです」

「そっちかよ」

「外」

そう呟いたのは、骸だった。

「外に、行きたいのか?」

俺が尋ねる。

「別に、私の居場所は、ここだけだから」

寂しそうに、そう言った。

「居場所なんて、作ればいいんですよ。今はまだ一つかもしれませんけど、時期に沢山増えていきます。ねぇ夜城」

松陽がそう言って、俺に賛同を求める。

「ああ、」

俺も答える。

「…」

骸は、黙っていたが。少し嬉しいそうだった。無表情だが、少しづつ感情が分かるようになってきた。

「では、みんなでプリズンブレイクしましょう」

松陽が張り切って言った。

 

「檻に入ってるのは、俺と松陽だけだけどな」

俺が突っ込んだ。俺も少しづつ、変わっているのかもしれない。いや、変わらせられているの方が、正しい。

 

 




誤字あったら言ってください
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。