新人アークス、アウル【完結】   作:フォルカー・シュッツェン

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ブレイバーへ

数日後、私は初任務にて着ていた和服を取り出した

ユカミも装甲を装着している

また実戦に出るのかと思われるかもしれないが、そうではない

今日はクラス設定をし、スキルとPA(フォトンアーツ)を使えるようにするのだ

カタナを主力として扱うのでやはりブレイバーになるのが正解だろう

その為、アザナミとイオが立ち会って協力してくれるらしい

 

「準備できましたか、マスター?」

「ええ、ばっちりですよ」

「では、行きましょう!」

 

私はカタナを佩き、部屋を出た

私達はイオとアザナミとショップエリアにある青部屋で待ち合わせをしていた

青部屋とはショップエリアにある2つの色つきの部屋の1つで、もう1つは赤部屋という

名前の通り部屋中がその色1色で染まっており、待ち合わせや集合に使われることが多いらしい

私達は青部屋についた

 

「やっほ〜!待ってたよ〜」

 

部屋に入るとアザナミが元気よく挨拶してきた

 

「おはようございます。2人とも、今日は私の為にわざわざありがとうございます。よろしくお願い致します」

「あ〜ダメダメ、固いよ!そんな畏まらなくて良いからさ、気楽に行こうよ」

「そうだぞ、オレたちはアークスで同じブレイバー仲間だろ」

「そうですね、ごめんなさい。では、行きましょうか」

 

私達はまずはゲートエリアのクラスカウンターへと行く

そこでブレイバーを自分のクラスとして登録した

そして基礎的なスキルを習得し、訓練所へと赴いた

 

「さ〜て、まずはブレイバーとしての基本的なカタナの扱い方だね。ブレイバーでカタナを扱う際に重要なのは抜刀術だよ」

「抜刀術が?」

「そ、何せカタナのPAはぜ〜んぶ抜刀術だからね」

 

全てが抜刀術?

随分と極端な話だ

 

「しかし全てが抜刀術となると、重要になるのは寧ろ納刀の方では?」

「お、よく分かったね〜!そうなんだよ、PAを放った後に素早く納刀しないと次のPAが撃てないのよね。まぁPAはその気になれば自分でも作れるから、やりづらければ作っちゃうのもありだよ」

「自分で作れる…そう言えばブレイバーはアザナミさんが作ったんでしたね。もしかして今あるPAは…」

「その通り!ほぼほぼ私が作ったものだよ。私でも出来たんだからきっとアウルなら簡単に出来るようになるよ」

「そんなことありませんよ、私なんてそれほどでは」

「な〜に言ってんだい、PAもスキルも使わずにロックベアを初陣で倒したんでしょ?純粋なカタナの扱いなら貴女の方が上手いと思うよ。そのうち教えて欲しいくらいだね」

「では、いずれそうなれるように頑張りますね。それで、まずはどんなPAがあるか教えてもらっても良いですか?」

「おっけ〜!じゃあまずはこれ、見ててね」

 

アザナミは抜刀術の構えを取り、そこから更に深く腰を落とした

次の瞬間―

彼女の姿は遠く離れた場所に移動しており、そこから横に薙ぎ払うように抜刀した

どうやらまずは高速で移動し、敵の後ろ側に回り込む

私の目が正しければその間にも1度抜刀と納刀をしているように見えた

そして回り込んだ後に渾身の一撃を叩き込む技のようだ

 

「どう?」

「凄く早い技ですね…それもフォトンの力で?」

「そうだよ〜、だって生身でこんなスピードも威力も出せないでしょ」

 

私の持つ技術を総動員すれば生身でも出来ると思うが、それは伏せておこう

 

「このPAではね、カタナだけじゃなくて足にもフォトンを結構な量使わなければいけないんだ。でもその分相手に視認されることもなく接近出来るし、威力も結構あるから始動にもってこいだよ」

「なるほど…いい技ですね」

「でしょ?まぁ取り敢えずやってみてって言いたいところなんだけど…さ」

「どうかしたのですか?」

「アウルの実力を確かめるためにも1度受けてみてもらうよ」

 

アザナミの目が鋭くなり、口元に笑みが浮かぶ

なるほど、1番分かりやすい方法だ

私の実力に応じて何を教えるのか、その方針を固めるつもりだろう

アザナミの足に力が込められて、駆け出す寸前だ

その1.5秒後にこちらに突進してきた

先程の技を見る限り通り抜けざまに1度斬るはずだ

私は鞘ごとカタナを抜き、その抜き打ちに備える

アザナミの姿が眼前に迫った

すると思った通り彼女は抜刀した

それに合わせて私は鞘に収まったカタナを振り、抜ききる前の彼女のカタナに当てた

そのまま姿勢を低くし重心の下に入る

あの高速で移動しながらの抜刀だ、体勢は非常に崩しやすいだろう

思った通りアザナミは体勢を崩し、狼狽する

その隙を突いて私は彼女の身体を持ち上げ、カタナを振ることで飛ばす

アザナミは信じられないという顔で空中にいる

だが落下を始める頃には体勢を立て直し、綺麗に着地する

観戦していたイオも目を丸くしていた

ユカミは共に戦った経験から私の能力を多少知っている為か、そこまでの驚きはなかったようだ

 

「いやぁ、驚いたねぇ…接近する時に斬るのは言ってなかったのに、どうして分かったの?」

「どうしても何も、見えていましたから」

「あれが見えたって…どんな動体視力してんのよ」

 

アザナミは半ば呆れた感じで言った

 

「でもまぁ…実力は分かったよ。私なんかよりよっぽど強いだろうし、全部教えちゃっても問題なさそうだね」

「ありがとうございます。お願いしますね」

 

やはり実力に応じて教える範囲を決めるつもりだったのか

その後も様々なPAを教えてもらった

サクラエンド、ツキミサザンカ、ゲッカザクロ、ハトウリントウ、カンランキキョウ、フドウクチナシ、ヒエンツバキ、カザンナデシコ、シュンカシュンラン、アサギリレンダンを教わった

ちなみに最初にやっていたのはグレンテッセンと言う

そしてサクラエンドとカザンナデシコはカスタマイズして性能を変え、零式と呼ばれるものにすることが可能だ

零式にすると挙動や威力などが変わる

今のところはこれらがカタナのPAの全てらしい

先に教わった通りその全てが抜刀術となっていた

そしてカタナに関するスキルの使用方法なども教わった

 

「私が教えられることはこれで全部かな。それにしても飲み込みも早いね〜!教え甲斐があるよ」

「色々とありがとうございます。おかげで私もアークスらしい戦いが出来るようになりましたよ」

「いやいや、いいってことよ♪さ、次はイオの番だよ〜!」

「いや、そうなんだけどさ…なんか、オレに教えられることなんてないような気がして」

「何言ってんの、バレットボウのこと教えれるでしょ?」

「でも今アウルは射撃武器は…いや、教えてみれば使えるようになったりする、のか?」

「可能性はあるかもしれません、お願いできますか?」

「分かった、やれるだけやってみるよ」

 

そして今度はイオが弓の扱いを教えてくれることになった

 

「ところで、バレットボウは持ってるのか?」

「いえ、持ってないですね」

「そうか、じゃあ一先ずこれを使ってくれ」

 

イオは簡素な弓を渡してくれる

 

「それやるよ。練習用にでも使ってくれ」

「いいのですか?これは貴女のものなのでは…」

「良いんだよ、実はそれ初期武装でさ。性能はお世辞にも良いとは言えない。でも動作の確認とか、練習用には結構もってこいなんだよ。オレはもう要らないからさ、使われずに置いとくくらいならアウルに使ってもらった方が、こいつも喜ぶだろ」

「なるほど…分かりました。ありがたく貰いますね」

「礼なんか良いよ。それより装備してみてくれ」

 

私は弓と矢筒を背中に背負った

 

「よし、じゃあまずはバレットボウを構えてくれ。そしたら矢筒から矢を取って番えるんだ。やり方は分かるか?」

「ええ、大丈夫です」

 

私は矢を取った。何やら普通の矢ではないように感じる

 

「そいつは半分フォトンで出来てるんだ。だから矢筒から矢を取っても自動的に補充される。その代わりフォトンの消費が多いから枯渇には気をつけてくれ」

「なるほど、そういうことですか」

 

私は矢を番えた

「そのまま矢にフォトンを流すんだ。そうそう、上手いぞ」

 

イオは私の隣で自分もやりながら教えてくれる

実際にやっているところを見ながら出来るので非常に分かりやすい

 

「良いぞ、そのまま十分にフォトンを注げたら矢を放つんだ。…今だ!」

「ふっ!」

 

イオの合図に合わせ、私は矢を放つ

矢は思ったよりも綺麗に飛ぶ

ある程度進めば速度を失い、下降するのは地球と同じようだ

 

「なんだ、出来るじゃないか。じゃあ簡単なPAもやってみようぜ」

「そうですね、お願いします」

「基本的にはさっきと殆ど一緒なんだけどな。ちょっと見ててくれ」

 

イオは矢を取り番えた

弓を横に構え、力を溜める

そして放たれた矢は、可視化するほどのフォトンを纏い下降することなく飛んでいく

そのフォトンの奔流は矢が見えないほどだった

 

「まぁこれは単純に流し込むフォトンを多くするだけ、ではないんだ。どちらかと言うとユカミが使う銃に似てるかな」

「どういうことですか?」

「私のように銃を使う者はフォトンを弾として放ちます。つまりはフォトンで弾丸を形成するのです。銃はそのフォトン弾の入れ物であり、撃ち出すのを効率的に行う為の道具なのです」

「そういうことだ。つまりこのPAはフォトンで矢を形成するんだよ。アウルの視力なら見えたんじゃないか?オレがさっき放った時、フォトンの中に矢がなかっただろ」

 

確かにイオの言う通り、矢本体が見えなかった

ということは矢は分解され、フォトンそのものになったということか

 

「ということは…私には難しいかもしれないということですか」

「まぁそうなるな。取り敢えず、1度やってみてくれないか」

「分かりました、では」

 

私は矢を番え、フォトンを流して矢を形成しようとした

しかし…どうにも上手く出来ない

フォトンが形を為そうとはするのだが矢の形にはならない

歪で、とても飛ばせそうにない

 

「う〜ん…やっぱり難しいか」

「そのよう、ですね」

「じゃあ1度流してるフォトンを自分に戻してくれ。難しければそのまま放っちまって良いからさ」

「分かりました」

 

私はフォトンを戻した

やはり私に射撃武器は扱いが難しいようだ

 

「まぁまだフォトンが馴染んでないんだもんな。むしろそれでそこまで出来るってのが凄いよ」

「そうね、その実力なら守護輝士にだって劣らないアークスになるかもね〜」

「守護輝士、ですか」

「確かに、マスターならなってもおかしくはないのです!」

 

その後私達は模擬戦を行い、私がPAやスキルを戦闘の中で使えるように協力してくれた

この2人には感謝しなければ

これで私もちゃんとしたアークスとして戦うことが出来る

 

ひとしきり動いたあとシャワーを浴び、さっぱりしてから皆でご飯を食べに行った

4人で談笑しながら食べるご飯はとても美味しく、軽口や冗談なども交えながら会話と食は進む

こんな食事をしたのは産まれて初めて…だろうか

食事を美味しいと思ったことは何度もあるが楽しいと思ったのはこれが初めてである

食事を終えてからもしばらく談笑した後、私達は別れた

まだ寝るには早い時間であったため少し買い物をしてから帰った

 

今日は本当に楽しかった

私は襦袢に着替え、ベッドに入り目を閉じる

PAやスキルの習得、模擬戦で疲れたのかすぐに眠りについた

 

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