私は行き止まりへと辿り着いた
そこは円形をしており、外側に岩が多少あるくらいでその他には何も無い
私は任務を切り上げようとユカミに通信しようとした
だが通信はユカミの方から入った
『マスター、地中にダーカーの反応があります!しかもこれは…』
ユカミが言い終えるより私の足裏が地面の鳴動を感じるのが先だった
地面の中を移動している、それも早い
そして私の真下にまで来たのを感じた
ー危険だ
私は直感的に危機を感じ取り、後ろへ跳んだ
次の瞬間、先程私がいた場所に何かが地面より飛び出した
その体躯は地上に出ている分だけでも大きく、地中にある部分も含めればどれほどの大きさになるのか想像もつかない
何よりの特徴は鍬形虫のような巨大な顎を持っていることだろうか
『そいつはグワナーダと呼称される、ダーカーの大型種です!』
遂に現れたか
いつ来るのかと思っていたが、まさかこんな時に来るとは
今日初めて実戦で扱うクラスと武器で戦うしかないので、苦戦しそうだ
「こいつの主な攻撃方法は?」
『見ての通りあの大きな顎で斬り裂いてきます。さらに地面へと潜り、奇襲をしかけてくる上に触手を地面から出して攻撃や拘束も行ってきます!』
「なるほど…地面に潜られてはこちらから攻撃も出来ませんし、中々に厄介な相手ですね」
『ええ、しかし隙がないわけではありません。奴の触手を地上に出ている間に破壊できれば奴は怯み、地上に柔らかい部位が出てきます。それを狙うのが一般的な倒し方です』
見たところ硬い外皮に覆われているように見えるが、それは普段から地上に出す部位だけだと言うことか
「分かりました、やってみます。ユカミは周囲の警戒をお願いします、何かに突然乱入されては困りますからね」
『分かりました、ご武運を!』
私は周囲の警戒をユカミに完全に任せ、意識の全てをグワナーダとの戦闘に集中させる
初めての大型ダーカーとの戦闘だ
その上こいつは地中に潜るという厄介な行動をしてくる
例えるなら蟻地獄の究極進化系といったところか
ここが円形で邪魔になる岩などがないところを見ると、こいつが破壊し餌場となるこの場所を整えたのかもしれない
つまりここは奴の独壇場、更に私の武装は慣れきっていないライフル
普通に不利だ
まずは相手の動きを見極めなければならない
私は観察を初めた
グワナーダが突進してきた
その大顎をこちらに向け、挟みこもうとしているようだ
当然挟まれてやる義理もない
私はそれを避け、尚も直進し続けるグワナーダに向けて発砲した
しかし、あまり効果はないように見える
やはりあの外皮に攻撃してダメージを通すのに、今の武装では力不足なのか
私が今持っているアサルトライフルは初期武装のようなものだ
小型ダーカーには十分だったが大型には効かないのか
大きい方のライフルであればダメージも通るかもしれないが奴の攻撃を避けながら扱うには少し大きすぎる
やはりユカミの言う通り地面から出てくる触手を破壊するしかないのか
しかし今のところそれらしいものは出ていない
奴にとって触手は攻撃手段であると同時に攻撃される部位でもあるのでそう気軽に出してはこないのだろう
しばらくの間グワナーダは突進や地面に潜って下から突き上げたりしてきたがその全てを躱し、少しだけ撃ち込んでいた
やがてこのままでは少しずつとは言え、自分の方が削られる一方だと悟ったのだろうか
私の近くに触手が出てきた
そのまま私へ向けて殴打をしてくる
当然私はそれを避けるのだが、そしたらその着地点にまた別の触手が攻撃をしかけてくる
…複数を同時に扱えるのか
そうして私の意識を本体から少しでも離してから本命の攻撃をしかけるつもりだろう
案の定、私が本体から目を離した瞬間奴はこちらに突進してきた
しかし私は地面の振動や音などで相手の位置を把握しているのでそれも躱すのに難はない
ーだが
私が着地した時足に何かが絡みついた
奴の触手だ
脚にぐるぐると巻き付けるのではなく、まるでクレーンゲームのように爪で私の足をがっちりと掴んでいる
拘束とはこういうやり方だったのか
てっきり巻き付けてくると思っていた私はその油断を突かれ、動きを封じられてしまった
全力で足を剥がそうとしてもびくともしない
ここでもたついていればすぐにグワナーダがあの大顎で挟みに来るだろう
私は自分も負傷する覚悟で足の触手に向けて銃を放つ
身体への負担はかかるが、奴の攻撃を受けるよりマシなのでライフルへ直接フォトンを補充し、撃ち続けた
それが功を奏したのか、拘束が剥がれる
私は急いでその場を離脱、間一髪で奴の大顎の攻撃を免れた
これは早急に触手の破壊を試みなければなるまい
私は攻撃対象を完全に触手へと定め、破壊していく
本体や他の触手からの攻撃を避けながらであるため、順調にはいかない
だが少しずつ削れてゆき、1本、また1本と破壊を完了していく
そして4本目を破壊した時、遂にグワナーダは怯み地中に潜んでいた柔らかい部位をさらけ出す
またとないこの好機を逃すわけにはいかない
私は大きいライフルへと持ち替え、フルオート射撃をする
5秒ほど撃ち続けていたが、奴は怯みから復活したようでまた潜ってしまった
あの1回のダウンで倒し切るつもりだったが、やはり出力が足りないか
グワナーダは私から離れた位置に出てきた
動きが鈍い
どうやら倒せはしなかったが、かなりのダメージは与えたようだ
それならもう一度同じことをすれば倒せるだろう
しかしそう上手くいくとも限らない、警戒は怠らないでおく
私はアサルトライフルに持ち替え、奴に少しずつ接近していく
奴には最早触手を自在に操る力も残っていないように見えた
それは私の見誤りだったのか、それとも最後の力を振り絞ったのか
グワナーダは大技をしかけてきた
顔がギリギリ出るくらいまで地面に潜り、待機する
その様は本当に蟻地獄のようだ
そして信じられないことが起こった
私の身体が、グワナーダに引っ張られている
足を踏ん張ってみてもダメだ
おそらくこのまま引っ張られれば、奴に挟み殺される
逆方向に走ることでなんとかその吸引効果に抗うことが出来た
しかし、それで終わりではなかった
今度は触手が地面から出てきて私へ攻撃をしかけてくるのだ
普段なら容易に避けられる攻撃も、こうも強烈に引っ張られている中では難しい
しかしこの触手を再び破壊できれば…私が触手を破壊するが早いかグワナーダが私を捕らえるが早いか
決死の勝負だ
私は外側に走りつつ触手目掛けて撃つ
しかし引っ張られている上に触手からの攻撃も避けなければならない
暫くはそうしていたがこれでは埒が明かない
そこで私は触手の攻撃に合わせて射撃することにした
そして一撃で破壊するため大きいライフルへ持ち替える
触手が私に伸びて来る度に特大の弾を放った
そうして暫くすると残り1本となった
ここで決めれば私の勝ちだ
私は最後の1本を撃ち抜き曝け出された弱点へ狙いを定める
銃を前方に突き出すように構え、フォトンを込めまくる
これはエンドアトラクトと呼ばれるライフルのPAだ
高出力の大きなフォトンの弾が貫通するので、連続でダメージが入りかなり強い
それを瀕死のグワナーダの弱点に撃ち込んだ
甲高い悲鳴を上げたグワナーダはそのまま動かなくなり、暫くすると霧散した
勝った…のか
一応警戒は解かずにユカミへ通信を入れる
「ユカミ、グワナーダの討伐に成功したようです。ここら一帯にダーカーの反応などはありますか?」
『いいえ、反応は完全に消失しました!お疲れ様です、マスター。周囲にも生物反応はありませんし、帰還をおすすめします』
「そうですね、流石に疲れましたし帰って休むことにしましょう」
私は迎えに来たキャンプシップへと乗り込み、帰路につく
それから数日はガンナーやファイター、ハンターといった別のクラスを試験的に使用して様々なクラスに触れていった
中でも扱いやすいかったのはブレイバーを除くと、ハンターとファイターだった
ハンターはソードが扱いやすかったしファイターはナックルが私の地球での戦闘スタイルに近かったのでしっくりきた
あとはバウンサーのジェットブーツだろうか
これは蹴りで戦うのでこれはこれで馴染んだ
しかしどれもカタナほどではないし、そのカタナにしてもまだ完全に私に合っている訳でもない感じがする
それをユカミやシャオに話すとどうしても違和感が消えないなら独自にクラスを開発するしかないとのこと
つまりは自分の戦闘スタイルをクラスにして他のアークスも使えるようにしなければならない
あまり私の技術を伝えるようなことはしたくないのだが…これから先どんな強敵が現れるかも分からない
その時に備えて作っておいた方がいいのかもしれないな
この時から私はクラス新設を考えるようになっていた