新人アークス、アウル【完結】   作:フォルカー・シュッツェン

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束の間の平和 前

模擬戦を行った翌日、私はまずヒューイの元を訪れていた

同じ医務室に居て近かったためだ

 

「失礼します。ヒューイさん、大丈夫ですか?」

「おお、アウルか。先日の模擬戦はお疲れ様だ!」

「お疲れ様です。しかし少しやり過ぎてしまったと思いますし、謝罪させて下さい」

「はっはっは、気にするな!俺はお前の強さに感激すると同時に感謝しているのだ。俺もまだまだ強くなれるし、一から鍛え直したいと思えたからな!」

「…強いですね、貴方は」

「まぁなんだかんだ言って俺もアークスの代表のようなものだからな。皆の前に立ち、導いてゆかねばならん。なればこそ、強くあらねばな!しかし本当に強いな、流石に手も足も出ないとは思わなかったぞ」

「それはアークスがダーカーを相手にすることを前提に研鑽を積んできたからです。それに対して私は人間を相手にすることを前提として学んできました。その違いによるところが大きいでしょう」

「なるほどな…言われてみれば最初にレギアスの右腕を破壊した技や俺を床に叩きつけた技なんかは見たことも聞いたこともないものだった、あれは何なんだ?」

「あれは関節技と投げ技ですね。詳しくは言えませんが、どちらも地球に伝わる技です」

「なるほどな…俺の知らない技も沢山ありそうだ、もし良ければ教えてくれないか!」

「ごめんなさい、私の技は全て人体破壊に特化したものですのであまり教えたくはないのです。こんなものを伝え、広めてもろくなことがありません」

「そうか、それは残念だ。それで、レギアスのところにもいくのか?」

「ええ、彼にも謝らなければなりませんしね」

「あいつもそんなこと気にしていないと思うぞ。むしろ教導部司令として示しがつかない姿を見せた、とか言うだろうさ。」

「そうだと良いのですが」

 

私はヒューイに別れを告げ、レギアスのいる技術治療室にいった

技術治療室は言ってしまえばキャストの病院のようなものである

そこでレギアスは修理を終えて右腕の稼働チェックをしていた

 

「おはようございます、レギアスさん」

「…ん?あぁ、君か。先日の模擬戦では世話になった」

「こちらこそ。それよりごめんなさい、その右腕やり過ぎてしまいました」

「そのことか。気にすることは無い。ある意味未知なる者との戦いだったのだ、我らも傷を負うことは覚悟していたさ。それに教導部司令として、此度の模擬戦は非常に参考になるものだった。むしろ感謝しているよ」

「そう言って頂けると助かります。それで、右腕の動作は問題ありませんか?」

「あぁ、これといって支障はない。君こそ、あの後怪我などしなかったかね?」

「問題ありません。一撃たりとも急所に貰う訳にはいかなかったのでかなり本気で躱してましたしね」

 

そう、あの時一撃でも急所に喰らっていれば私の負けだった

いくら身体が頑丈でもフォトンによって強化された攻撃を受ければ只ではすまないし、更に創世器だ。アークスの使う武装の中でも特に強力なものだったので、たった一撃でも急所に入れば私は戦闘不能に陥る

ヒューイの拳打も軸をずらして急所から外し、更に勢いを削いでいなければ危なかった

それでもあの時私は一瞬倒れそうになるほど強力だった

 

「なるほど…いくら君が身体能力に優れていると言っても限界はあるということか。しかしそれでも…私は恐ろしいと感じたよ。最初に接近してきた時、私は油断などしていなかっと思うがそれでも君の動きが見えなかった。更に私を吹っ飛ばしたあの攻撃…真後ろに向かってどのようにすればあれ程の威力が出るのか、私には理解出来なかった」

「フォトンがなかった分私は身体の動かし方や力の出し方、伝え方についてかなり詳しく学んだだけですよ。それらを駆使しなければ貴方達を相手にするなど到底出来ませんでしたし…」

 

実を言うと私は割と本気だった

普段は相手を壊してしまわないよう結構手加減するのだが、今回はそんな余裕がなかった

…流石にヒューイを投げ飛ばし続けた時は本気でするわけにはいかなかったが

奥の手を使うことはなかったものの久しぶりに本気で戦った気がする

 

「そうか、君も全力だったのだな」

「勿論です。今回私が勝てたのは単に相性が良かっただけです。私がオラクルで生まれ育っていれば負けていたかもしれません」

「君はアークスの戦い方を知っているが我らは君の戦い方を知らない…ということか」

「更にダーカーを相手にするか人間を相手にするか、という前提の違いですね」

「なるほど、合点がいった。だが君の実力がなければ無理であったことも確か。その強さ、そしてそこに至るまでの努力は素直に賞賛したい」

「ありがとうございます。しかしそれはお互い様ですよ。相性が良かったにも関わらず私は本気を出さなければなりませんでした。それは貴方達の強さが本物であったが故です」

「そう言って貰えると助かるよ」

 

私はレギアスと握手をして技術治療室を後にした

さて、どうしようか

傷は癒えたとはいえまだ戦闘行為を行うのは危険だろう

となれば任務に行くことも出来ない

…ユカミを誘ってショッピングにでも行こう

これまでそこそこ任務をこなしてきたし、今回の模擬戦のように特別に何かを頼まれることも何度かあった

それに対する報酬も貰っているのでそれなりにメセタに余裕はある

私好みの家具や服を揃えるのも良いだろうし、任務の助けとなるようなものがあれば欲しい

そう思った私はユカミの待つマイルームへと歩を進めた

 

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