新人アークス、アウル【完結】   作:フォルカー・シュッツェン

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突入

2日後、私は艦橋にいた

ここは普通のアークスは入れないが、今日は入室を許可されている

私の他にはユカミ、守護輝士の2人、そして地球人の八坂火継、八坂炎雅、鷲宮氷莉、シエラがいる

これからマザークラスタの本拠地へと突入するのだ

私は1つ不安に思っていることを聞いた

 

「ところでマザークラスタの拠点は月にありますが…重力は問題ないのでしょうか?」

「それは問題ないぜ、アウルさんよ。何しろ奴らは月に地球と変わらない重力を生み出してやがるんだからな」

 

炎雅が答える

アークス並の技術力を有する、ということか

 

「そうでしたか。とんでもない技術力ですが…まぁ好都合ですね」

「あの〜」

氷莉が声をあげる

 

「アウルさんって地球の方なんですよね?どうしてアークスになったんですか?」

「そうですね…それは生きて帰って来れたらにしましょうか」

「ちょっと、それって死亡フラグってやつじゃないの?不吉だからやめてよ」

 

火継に批難されてしまった

確かにこういうのを死亡フラグと言うのは聞いたことあるが…あまり馴染みがない

 

「さぁ、皆さん。そろそろ行きますよ!準備は良いですか?」

 

皆大丈夫だと伝えると、シエラは何やら端末を操作した

 

「では、行ってらっしゃいませ!ご武運を!!」

 

私達はまずキャンプシップへと転送された

そこからまずは地球のある宇宙へとワープする

まさかこのような形で地球を外から見ることになるとは思わなかった

こんなに美しい惑星だったのか

そして月に近づいていく

かなりの速さだ

それでもやはり月までの距離は遠く、中々着かない

その間私達は各々武装のチェックをしたり談笑などで時間を潰した

私もこの日の為に選りすぐった刀を握る

ジグに頼み、地球のものとほぼ同じ質量と形のものを作ってもらった

それでいてフォトンを流しても安定するという高性能なものだ

かなり扱い安く、助かっている

私が作ろうとしている新クラスはもう殆ど完成しているがなるべく使わないようにしたい

いわば奥の手だ

ミシャーはダブルセイバーを軽く振って動作を確認している

燃え盛る炎の意匠が目を引く

クヴェレスカーレットと呼ばれるかなり、いや最強と言っても過言ではないほど強力なダブルセイバーのようだ

炎雅は銃器を弄り、火継と氷莉は互いに身を寄せ合っている

マトイは目を閉じ、瞑想しているかのように見える

暫くすると

 

『皆さん、もうすぐ到着しますよ。準備をお願いします』

 

シエラからの通信が入った

皆それぞれ降りる準備を整え、その時を待つ

そして遂に月へ降り立つ時が来た

 

本拠地へ入ってみると…形容し難い空間が広がっていた

守護輝士によるとここは旧マザーシップと呼ばれる場所に酷似しているらしい

しかしゆっくり話をしている暇もないようだ

前方にいきなりダーカーのようなものが出現する

ダーカーと形は同じなんだが、色がまるで違う

ダーカーは黒、赤、黄色で構成されている

だが今出てきた奴らは基本的に水色だ

どうやらこいつらはエスカダーカーと言い、性質はダーカーと異なるが動きはほぼ同じだという

つまりダーカーを相手にするのと同じようにして良いと言うことか

各々武装を構える

火継と氷莉は武器を構えると同時に衣装までもが変わっていた

これがエーテルによる具現武装か

火継は神々しい刀を、氷莉は禍々しい大剣をその手に握る

炎雅はサブマシンガンを両手に持ち、トリガーに指をかけている

いつの間にか周囲を囲まれてしまっている

かなりの数だが7人もいればそこまで苦ではないだろう

自然と円を描くように集まり、外側を向く

そして合図をしたわけでもないのに一斉に駆け出した

 

 

 

 

「こいつで全部か?」

「そうみたい…流石に数が多いよ」

「そうだね、私ちょっと疲れちゃった」

 

地球人メンバーが息をつく

確かに多かった

倒しても次々現れる

それでも倒すしかなかった私達はひたすらに倒し続けた

そしてやっと落ち着いたのだ

 

「邪魔な奴らもいなくなったしさっさと行きましょ」

「そうだね、行こうか。あ、皆は大丈夫?」

 

守護輝士達は息も切らさず先へ行こうとする

なるほど、流石は歴戦の勇士だ

元々戦いに身を置いているわけではない火継と氷莉は少し辛そうだ

炎雅は多少の慣れはあるようだがあの数は少々キツかったようだ

私はと言うと地球にいた頃から戦うことしか知らなかったし、アークスになってからも戦い続けてきた

更にフォトンも完全に馴染み、無意識に扱うことも出来るようになった

初めの頃に感じていたフォトンに不慣れなことによる疲れももうない

要するに守護輝士達と同じくこの程度では疲れていない

火継と氷莉を少し休ませて息を整えてから私達は先に進んだ

 

暫く進み続けると広場のような場所に着いた

道中にもエスカダーカーは出てきたので撃破しながらの行軍だ

そして…ここにはそんなものより遥かに厄介な者が立ちはだかっていた

 

「ほっほっほ、良くぞここまで来た。久しい顔も初めての顔もおるのぉ」

「アラトロンさん…」

「そちらについたか、娘っ子よ」

「ごめんなさい、私はもうマザーとは歩めません」

「良い良い、謝ることはない。主にとってそちらの方が本当の居場所であったというだけのこと」

「アラトロン殿、そこを通してはいただけませんか?私達はその先に用があるのです」

 

私は彼に問う

 

「ほっほ、面白い冗談じゃなアウルよ。この頑固爺が素直に通すと思うてか?」

「ま、そうですよね…では、容赦はしませんよ」

 

私は刀を霞に構える

そして小声で他の人達に囁く

 

「彼は私が相手をします。その隙に先へ行って下さい」

「本当に良いの?あのお爺さん、結構強そうだよ」

「彼の目的はおそらく時間稼ぎです。ここで私達を足止めしている内にマザーが何かを成すのでしょう。」

「なるほどね…じゃあ仕方ない、か。悪いけどあのお爺さんのこと頼んだよ!」

 

話を終えた私達を見てアラトロンが切り出す

 

「話は終わったかね、ではゆくぞ!」

 

彼は大槌を振りながら叫ぶ

 

「遠からん者は音に聞け、近くば寄って目にも見よ!マザークラスタ土の使徒、アラトロン=トルストイ。いざお相手仕る!!」

 

突然雷のようなものが落ち、轟音が鳴る

辺りには煙が立ち込め、アラトロンの姿が見えなくなる

暫くして晴れてくると

 

「おい、なんだよあれ…」

 

炎雅が驚きの声をあげる

無理もない

そこに居たのは明らかに人間ではなかったのだ

丸みを帯びたかなりの巨体がその身丈を超える大槌を持っている

 

「悪いが本気で行かせてもらうぞ、若者達よ!」

 

どうやらエーテルによる具現を利用して自らの姿を変えたようだ

雷神トールでも模したのだろうか

 

「では、さっき言った通りにお願いしますね」

 

私は皆に言うと、一呼吸置いてから突進した

同時に他の皆がアラトロンの横を抜けようとする

 

「行かせはせぬぞ!」

 

アラトロンが大槌を振るい、進撃を防ごうとする

 

「貴方の相手は私です!」

 

私はアラトロンへ向かって跳躍し、顔面へ向けて刀を振り下ろす

流石にそのまま喰らうわけにはいかないのか、防御された

更に私は猛攻を続け、皆が先へ行くための時間を稼いだ

やがてこの場には私とアラトロンだけになる

 

「ぬぅ、やりおるな」

「申し訳ありませんが、一対一(サシ)でいかせていただきますよ」

「仕方あるまい…では主を倒してから向かうとするかのぉ!」

 

アラトロンは大槌を私へ振り下ろす

私はそれを刀で去なし、返す刃で斬り付ける

アラトロンは見た目より軽やかな動きでそれを避ける

私達はそのまま激戦を繰り広げた

 

守護輝士達がマザーを止めてくれることを願いながら

 

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