新人アークス、アウル【完結】   作:フォルカー・シュッツェン

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待ち望んだ再会

アークスシップに戻ってきた私達はシャオに報告を済ませた

その後ミシャーのマイルームで今後どうしていくかを相談しようと思った…のだが

 

「何故貴女までいるのですか?」

「あら、危ないところを助けてさしあげましたのにつれないんですね」

「それはそうですが…」

 

そう、何故かファレグまで付いてきたのだ

 

「ねえねえ、アウルとファレグって知り合いなの?」

「ええ、一応古い仲ではありますね」

「じゃあさ、アウルに聞きたいことがあるの。ファレグって何者なの?全力で挑んでも攻撃を凌ぐのがやっとってくらい強いのにエーテルもフォトンも使ってないなんて」

「…正直、私にも分かりません」

「え?」

 

そう、私にも分からないのだ

彼女とは私がまだ小さい頃からの知り合いなのだが何年経っても彼女の見た目は変わらない

永年益寿と言うのも無理がある

その強さも10年やそこらで得られるものではない

あの地獄の修行に耐え、幼い頃から実戦で練磨された私を圧倒するのだ

只者でないこと以外は分からない

 

「そっか…ほんと、何者なんだろう」

「なんかアーデムさんがファレグさんのことをアイブズって呼んでたけど何か関係あるのかな?」

 

マトイが何気なしに言った

アイブズ?

まさか…いや、そんなわけないか

 

「それよりも、これからどうするのか話すのでしょう?」

「そうだね、次の行動を決めてなるべく早く動こう」

「その前に1つ宜しいでしょうか?アウルさんにお話があります」

 

ファレグが制止する

私に話とはなんだろうか

 

「なんでしょう、ファレグ」

「トゥリーのことです」

「!?」

 

私は目を見開いてファレグに詰め寄った

 

「何か知っているのですか!?」

「まぁまぁ、少し落ち着いて下さい。折角のお綺麗な顔が台無しですよ」

「これが落ち着いてなどいられるものですか!しかし何故その話を私にしてくれるのです?」

「貴女はあの時わざわざアラトロンを助けに戻って下さいましたでしょう?一時的なものとはいえ彼は仲間でしたから。仲間を助けて頂いたお礼と思っておいてください」

「なるほど、そういうことですか」

「さて、早速お話したいところですが…ここで話しては彼女達の邪魔になりますし場所を変えましょうか」

 

その通りではあるが…これからアーデムをどうするかを話すのに別の話の為に抜けなければならないのは心苦しい

たがそれでもこの情報だけは欲しい

私にとっては何よりも優先すべきものだ

申し訳ないが後のことは任せよう

私とファレグは私のマイルームへと移動した

 

「それでファレグ、トゥリーは今どこに」

「順を追ってお話しますわ。私が東京を散歩していたら突然強烈な殺気を感じたのです。振り向いてみたら日本の甲冑を着込んだ少女が私へ刀を向けて突進して来ました。そのまま戦って話を聞いてみるとどうやらアークスが私を敵視したようでして。そして独断で私を殺しに来たようです」

「ちょっと待って下さい、まさかその少女が…」

「ええ、そうですよ。その少女こそトゥリー、貴女の妹君です」

 

なんてことだ、彼女もアークスになっていたのか…通りで見つからないわけだ

地球ばかり探していたのが裏目に出たようだ

 

「しかしなぜトゥリーが…」

「それは分かりません。ご自身でお確かめなさいな」

「それで、トゥリーは今どこに?」

「ラグズにいると言ってました。後は貴女の意思に任せますので、では」

 

ファレグは優雅に礼をして去った

後に残された私は色々と考える

私の今の目的は妹を探すことであり、彼女の居場所を掴んだのだから真っ先に向かうべきだ

しかし…私の知っているトゥリーはかなり殺意が強く危険な人物だ

あれから十数年経った今はどうなのか知らないがファレグの話を聞く限りではあまり変わっていないだろう

となれば会いに行った私にも襲いかかってくる可能性がある

それに私のことを覚えていなかったり恨んでいることもあるかもしれない

だからいざ会えるとなると…少し怖い

更にアーデムのこともある

まぁ彼女に協力を要請するのもありだが、素直に応じてくれるだろうか

…悩んでいても仕方ない、か

会ってみなければ分からないのだから会うしかあるまい

覚悟を決めた私はラグズへと向かう許可をとるためシャオに会いに行った

 

「なるほどね、灯台元暗しとはこのことか」

 

シャオは少し呆れた感じに言った

 

「今は地球の方が大変ではあるけれど…でも君がどうしても果たしたい目的だし、今までも君には色々と助けてもらったからね。いいよ、取り計らっておくから行っておいで」

「ありがとうございます、シャオ。なるべく早く戻ってきますね」

 

許可を貰った私は早速船に乗り込んだ

程なくして宇宙空間へ出てラグズへと向かう

ラグズに着いた私はそのまま会議室のような場所へ通される

そこに…彼女はいた

任務帰りらしく、甲冑を着込んだままだ

彼女はこちらを見て、頬当てを外した

 

「貴様は、誰だ?」

 

予想はしていたが分からないのか…結構なショックだ

 

「久しぶりですね、トゥリー」

「何故その名前を…まさか、貴様は!」

「そのまさかですよ」

「ドゥヴァ、なのか」

「はい」

「そうか、そうなのか…」

 

トゥリーは暫く考える素振りを見せた

 

「そのオッドアイも紫の髪も…記憶にある姿と同じ…そうか、ようやくなのか……」

 

その後彼女はゆっくりと近づいてきた

殴られるだろうか

それも仕方ない、あの時私はトゥリーを守りきることが出来なかったのだ

恨まれていて当然…

その時彼女が突然抱きついてきた

 

「やっと…やっと会えたな、姉上」

「トゥリー…私を恨んでいないのですか?」

「なぜ恨む必要がある?あの時姉上は私を逃がそうと必死だったではないか。感謝こそすれ、恨むことなどない」

「そう、ですか」

「あぁ。それと一つ気になるのだが、いつからそんな敬語で話すようになったんだ?なんだか別人と話しているようで落ち着かないぞ」

「あぁ、そう言えばそうですね…ごめんなさい。ちょっと待ってて下さいね」

 

私は1度目を閉じ、深く深呼吸をする

そして目を開く

 

「すまない、すっかりあの話し方が癖になってしまっていたようだ。これでいいか?」

「それでこそ姉上だ」

 

トゥリーは満足そうに言って離れた

 

「それで、姉上の名前は?」

「名前?今更なぜ」

「今の名前だよ。今もドゥヴァって名乗ってるのか?」

「そういう事か。その名前はもう捨てた、今はアウルと名乗っている」

「アウル…いい響きだな。まぁ私は姉上と呼ぶからあまり口にすることはないかもしれないが」

「なんならお姉ちゃんと呼んでくれても良いんだぞ?」

「…そんな気恥しい呼び方出来るか」

「ふふ、そうむくれるな。それで、トゥリーの今の名は?」

「樒だ。私は日本に暫く居たからそこで貰った」

「お前にぴったりな名だ、樒」

「そうだろうそうだろう」

 

私達は久し振りに会話をした

あれから十年以上経っていると言うのにお互い変わってないようだ

その事に安心すると共に今更ながら再会出来た喜びが込み上げてくる

とめどなく溢れるその想いを止めず、そのまま身を委ねることにした

私は樒を抱き締めた

私より小柄なその身体を包み込む

樒は最初こそ驚いたが、拒否することはなく彼女も私の背中へ手を回した

 

「会えて良かった、本当に…諦めることなく探し続けた甲斐があった」

「心配かけてすまない。私も姉上と会えて嬉しいぞ。これからは共に戦えるのだな」

「ああ、思えば長かったな…今まで1度も共闘も敵対もしなかったからな」

「早く姉上と任務へ行きたいぞ」

「そう焦る必要もない、とびっきりのものがある」

「お、それはなんだ?まさか今騒がれてる地球での騒動か?」

「その通り、ではあるのだが結構厄介なことになりそうなんだ。アーデムを知っているか?」

「アースガイドの最高責任者アーデム=セイクリッドのことか?あれほどでかい組織だ、知らないわけあるまい」

「敵はそのアーデムだ」

「…アースガイドが敵ということか?」

「いや、アーデムだけだ。今ある情報を元に推理すると…どうやら奴は神を具現しようとしているらしい」

「馬鹿げた話だが、アーデムならやりかねない辺り恐ろしいな」

「まったくだ」

「それで、その決戦に私も参加して欲しいと?」

「あぁ。一緒に来てくれるか?」

「愚問だな」

「恩に着るよ」

 

その後私は樒を連れてギョーフへと戻った

ミシャーの元を訪れると大方の作戦は決まったようで、私達も敵の本陣へ突入するメンバーに入れてもらえた

今度こそ間に合ってみせる

必ずアーデムを止め、地球を護る

そう心に決めた私は準備を整え、決戦の日を待つ

 

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