遂にこの日が来た
アースガイド本部への突入の日だ
私達は各々準備を終えて艦橋に集合していた
「集まったね。今からアースガイドへの突入を開始するよ、皆覚悟は良いかな?」
「大丈夫ですよ、シャオ。とっくの昔に出来ています」
「愚問だな」
「出来てるわ」
「ちょっと怖いけど…やります!」
「あの野郎をこの手でぶっ飛ばすまでは止まらねえよ」
皆がそれぞれ返すとシャオは満足したように頷き、言った
「よし、それじゃあ突入開始だ。健闘を祈る」
かつてアーデムが座り、全てを執り仕切っていた場所まで来た
ここに来るまでに何かしら障害があると思っていたが、何があったのか中は蛻の殻だった
「ねぇ…ここまで人がいないと逆に不気味なんだけど」
火継がそう言った
そう、普通の職員すら1人もいなかったのだ
これはおそらく…
「アーデムが何かをしたに違いないな」
樒が応える
「何かって、何よ」
「人間が1人もいなくなるような…何か、だ」
「あんまり考えたくないかも…」
「アーデムの野郎…一体何をしてやがる」
「しかしここにもいないとなると何処に…」
沈黙が続く
それを破ったのは炎雅だった
「あそこしかねえな…」
「知っているのですか?」
「あぁ、アースガイドの中でも1部の人間しか知らない場所があるんだよ。前に1度だけアーデムから話に聞いたことがある」
「場所は?」
「分かるぜ」
「ではそこに向かいましょう。どのみちここでじっとしていても埒が明きません」
私達は炎雅先導の元隠し通路へと向かった
そしてそこを抜けると…………なんだ、これは
そこは少し薄暗く、そしてかなり広い空間だった
何処か神聖なものを感じさせる雰囲気が漂っており、幾何学模様にヒカリゴケが生えたかのような石(?)造りの大掛かりな階段がある
ここまで摩訶不思議な光景は中々見れるものでは無い
「ここがアースガイドの最重要機密なんだとよ。話には聞いてたが実際に来てみると…なんつーか奇妙な場所だな」
「そうですね…私も流石にここまで不思議な場所を見たのは初めてです」
炎雅と話していると樒が口を開いた
「階段があって下に降りていくようだが、この先には何があるんだ?」
最もな疑問だ
ここまでして隠したい何かがあるのだろうか
「さあな…そこまでは俺も知らねぇ。ま、行ってみるしかないだろ」
そう言って炎雅は虚空から銃を取り出す
火継と氷莉も剣を取り出し、戦闘準備を整える
「では、行きましょうか」
私が先頭に立ち、階段を降り始めた
暫く階段を降りていたが特に何も起こらなかった
このまま何事もなくアーデムの元へ辿り着ければ良いのだが、そういうわけにもいかないのだろう
斯くして、そいつ等は現れた
「な、何よあれ!」
火継が刀を構えつつ言う
西洋のプレートメイルのような身体で、頭には勿論兜がある
この場と似たような神聖さを感じさせるこいつも幻創種なのだろうか
しかし、他のものと比べて何処か違和感があるな…
そう考えながら私は奴らに向かって踏み込み、手に持った刀で抜くと同時に斬り付ける
同じように樒も2体の奴らに刀を突き立てていた
「こいつらか何かなんてどうでも良いことだ。敵であると分かれば良い、殺すだけだ」
突き刺した刀を抜きながら樒が言う
確かにその通りなのだが些か極端だ
しかし今はそれを議論している時間はない、どこからともなく奴らが大挙してやってきたからだ
「いくらなんでも多すぎるだろ!」
炎雅が文句を言いながら銃を放ち、撃ち落としていく
「炎雅はそのままこちらに着く前の敵を撃ち落として下さい!ユカミは炎雅に近づく奴らの排除、樒は最後列で後方の警戒と対処を!」
「分かった!」
「分かりました!」
「了解」
3人がそれぞれ返答をし、指示通りに動いてくれる
正直指揮を執るのは得意ではないのだが、この際四の五の言っていられない
「アウル、私達は!」
火継が聞いてくる
「貴女達は私と共に最前線で道を切り開いて貰います。遅れないように着いてきて下さい!」
「了解!」
「分かりました!」
2人が返事をし、武器を構えるのと同時に私は駆け出した
前に立つ敵を斬り伏せ、後に続く者達の無事を確認しながらの行軍を続けること5分ほど
速さを落とすことなく進行し続けたおかげでかなり奥まで進むことが出来たようだ
おそらく最深部までそう遠くはないはず
何故なら…今私達の前にはマザークラスタを裏切り、アースガイドとなった人物がいるからだ
「久しいな、1人見ない顔がいるが歓迎しよう」
「オフィエル…貴方がいると言うことはアーデムの所までもう少しということですか」
「それに答える義理などない。私はアーデム卿より何人も通すなと仰せつかっている、それだけだ」
私がオフィエルと話していると火継が怒りの籠った声を上げた
「オフィエル…私はあんたを許さない!あんたのせいで分かり合えたマザーは死んだし、何より私の1番大切な友達を傷付けた!!」
「火継ちゃん…」
「落ち着きなさい、火継」
私は彼女を宥める
「でも…!」
「いいから落ち着きなさい、火継。怒りのままに刃を振るえば必ず後悔しますよ…私のように」
「…っ」
少し強めに言ったことが奏を功したのか、火継は一旦クールダウンしてくれたようだ
「オフィエル、貴方に1つ聞きたいことがあります」
「…何かね」
「貴方は、何がしたいのですか?」
「質問の意図が分かりかねるな」
「そのままの意味ですよ。子供を洗脳し、かつての同胞や標を裏切ってまで叶えたい…貴方の望みはなんなんです?」
オフィエルは氷莉を洗脳し操ったり裏切りなど悪逆な行為を躊躇いもなく行っていた
それはそんなことをしてでも実現したいことがあるからに違いない
万が一にもその行為をやりたいがためにやっただけであるならば…その時は有無を言わさず地獄に招待する
だがもしも目的があり、その目的が彼なりの正義によるものであった場合…やり方を間違えただけだ、殺すこともないだろう
それをはっきりさせるために聞いておきたい
外道は殺すべきだが…出来ることならもうこれ以上人を殺したくないのだ
その問いに対して彼が出した答えは…
「…人類は行き詰まっている」