新人アークス、アウル【完結】   作:フォルカー・シュッツェン

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今回で「新人アークス、アウル」最終話となります
ここまでのお付き合いありがとうございました!
アウル先生の次回作にご期待下さい(˘ω˘)


全ての終焉、そして…【最終話】

白い天井、身体にかかる白い布団

目を覚ましたとある女性に見えた最初の光景だった

 

「これは…私は確かにあの時彼女に殺されたはず」

 

とある女性―ファレグは身体を起こして疑問を口にした

その声に答える者はおらず、これがあの世の光景なのかとすら思った

しかしそれはどうやら違うようである

部屋の扉が開き、1人の女性が入ってきた

俗に言うナース服を着ており、ここが病院であることを想起させる

 

「おや、起きられたんですね。具合は如何ですか?」

 

「少し気分が優れませんね。ところで、私はどうして生きているのです?確実に死んだと思ったのですが…」

 

「私も正直、どうして貴女が生きているのか分かりません…分かるのは貴女が生きているのはアウルさんのお陰だと言うことです。テクニックと法術を併用して命を繋いだとかなんとか…」

 

「なるほど、そういう事ですか……無理矢理にも程がありますね」

 

アウルの本質は殺し屋であり残虐極まりないものだが、同時に護り屋としての矜恃や慈しみを持っている

故に法術、仏の力を借りて奇跡を起こす術、を扱うことが出来る

とは言え本質が本質だけにその威力は低いのだが…

どうやらどうにか命を繋ぐことには成功したらしい

 

「しかしどんな戦いをしたらあんな傷だらけになるんですか…あそこまで血だらけで損傷した身体は初めて見ましたよ、肉が丸ごと抉られるなんて…」

 

そう言って看護師、フィリアは軽く身震いをした

ファレグの負った怪我を思い出したのだろう

 

「まぁ…本気で殺し合いましたので。そう言えば、アウルさんは生きているのですか?」

 

「はい、生きています。彼女も相当の怪我でしたが…」

 

それはそうだろう

ファレグの腕が貫通したのだ、身体に風穴が空いていることになる

アウルが生きているのは呪いの副作用に加えて内蔵に傷を一切負っていないことによる

ファレグの貫手を喰らう直前に特殊な呼吸法で全ての内蔵を肋の中に押し込めたのだ

内蔵を破壊した感触がしなかったから間違いない

 

「私の怪我はもう殆ど治っていますよね?退院はいつになるのでしょう」

 

「確かに怪我は治っていますし、すぐに退院しても問題はないですが…あれだけの怪我だったんです、暫くは様子を見た方が良いと思います」

 

「そうですね…では、アウルさんの所に行くのは良いでしょうか?彼女には命を救われた恩があるので」

 

「…貴女を殺しかけたのも彼女なんですが。暴れたりしないのなら行っても大丈夫です」

 

「分かりました、では行ってきます」

 

ファレグは病室を出てアウルの元へと向かった

部屋に入ると目の色は戻ったものの、未だ白い髪のアウルがベッドに腰掛けて煙草を吹かしていた

普通こういったものは禁止されているはずだが…いや、何か違う

微かに漂う香りが従来の煙草のものではない

むしろ薬草に近い香りだ

 

「ご機嫌よう、アウルさん。お怪我は大丈夫ですか?」

 

「あぁ、もう殆ど完治したようなものだ。医者には大事を取って暫くは入院していろと言われたがな。…そんなにこの煙草が気になるか?」

 

「えぇ、気になりますわ。どうやら普通のものではないようですが」

 

「流石に分かるか。これは私が調合したハーブ煙草だ。身体に悪影響が出るどころか内蔵を鍛えて怪我の治りを早くしたりなど、良い効果を及ぼす。暫く食事は取るなと言われたからこういったもので治りを早くしなければな。お前もどうだ?」

 

「あら、よろしいので?」

 

「勿論だ。ここの医者にも渡して分析してもらった、これなら吸って良いし寧ろ吸って早く治せと言われた」

 

「ではお言葉に甘えまして…これ、どうやって吸ったら良いのでしょう?」

 

「そうか、吸ったことないんだな。まずはこっち側を咥えて火を……」

 

アウルの隣に座ったファレグに吸い方を説明して暫くは無言でいた

程なくして徐にファレグが口を開いた

 

「爽やかでとても良い風味がしますね。これならずっと吸っていたいくらいです」

 

「流石に吸いすぎると毒だぞ。こいつは速攻性ですぐに血中に吸収されるからな」

 

「そのようですね…しかしこんなものをどうやって作ったんです?」

 

「暗殺者として名を馳せた母親から毒物に関する教育も受けている。後はそれを応用して逆の効果を持たせれば良い」

 

「あらあら、口で言うほど簡単ではないでしょうに」

 

その後もなんて事ない話を続け、時間が過ぎていく

時間も時間なのでそれぞれの部屋へと戻り、寝ることにした

 

彼女達が退院したのはそれから一週間後のことだった

ファレグはすぐさまどこかへ姿を消してしまった

一方髪の色も戻ったアウルはと言うと…

 

「…酷く叱られたみたいだな。自業自得と言えばそれまでだが」

 

「全くだ…何もあんなに寄ってたかって叱らなくても……」

 

妹の樒に慰められているような感じになっていた

何故こんなことになっているかと言うと、無茶をして大怪我を負ったアウルに対してアークスの者達が総出で叱りつけたのである

それも心配心から叱る者ばかりで中には涙を流しながら最後には嗚咽になる者さえいる始末

そして先程地球組が来てたっぷりと叱られたのだ

 

「まぁ確かにあの塔で倒れ伏す姉上達を見た時は死んでいると思ったしな。ここの者達はああした怪我に慣れていない」

 

「それはそうなんだが…ファレグのお陰で今回の騒動は無事に解決したようなものだし全力で殺り合うのがあいつの望みだったし仕方がないと思うんだが…」

 

珍しく少し拗ねているようである

何十人もの人に何時間も続けて説教を喰らったのだから無理もない

謝罪を含めた報告をシャオにしに行った時には既にアウルは疲れきっており、その姿を見たシャオが苦笑をするほどであった

 

こうして地球の騒動は完全に解決し、アウル達は平穏な日々を過ごしていた

しかし、何も無い訳では無い

火継の持つ具現武装の能力の解析を行い、それを利用して深淵なる闇を完全に消し去る作戦が立てられている

その作戦では守護輝士の2人とアウルが実行部隊として深淵なる闇との決戦を行うことになっている

小難しいことは守護輝士に任せ、アウルは純粋にその戦闘力で相手を打ち砕くのが役目だ

刻一刻とその時は近付いており、アウルもその日に向けて鍛錬を重ねてコンディションを整えている

 

この時のアウルは、いや誰しもが予想だにしていなかった

よもやあんなことになるとは……

 

 

 

 

 

 

 

新人アークス、アウル【完】




活動報告は見てね(・ω・)
見てなくてなんでだと言われても知らないです
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