「……以上となります」
「そうか、わかった。初めての実戦にしてはやるじゃないか、流石だね」
私は初任務を終え、今シャオに報告をしたところだ
ここは艦橋と呼ばれており、普通のアークスが入ることはまずないとのこと
私は特殊なケースである為ここに通されているのだろう
「ともかく、お疲れ様。君の部屋も用意してあるから、ユカミに案内してもらって今日は休んで」
「分かりました、わざわざありがとうございます。では、これで失礼しますね」
私は艦橋を出た
すると外でユカミが待っていてくれた
「お疲れ様です!報告は無事終わりましたか?」
「ええ、初めてにしては良くやったと言ってくれましたよ」
「そうでしたか、それは良かったです!でも確かにマスターは初めてとは思えないほど凄い動きだったのです」
確かにそうかもしれない
元々戦うことに慣れているとはいえ、フォトンでの戦闘は初めてだ
その割にはフォトンは身体に馴染むし扱うのに苦は感じなかった
まぁまだ私には教えられていない技などもあるようでそれを扱うには武器にフォトンを注いだり身体に張り巡らせたりするのとは比べ物にならないほど難しいようだが…
しかし慣れないことをしたせいか疲れてしまった
シャオの言葉に従い今日は休むことにしよう
「ユカミ、シャオが私の部屋を用意してくれたらしいんだけど案内してもらってもいいですか?」
「はい、お任せ下さい!今日はもう休まれますか?」
「ええ、流石に疲れてしまいまして。部屋がもう使える状態だと良いんですけれど…」
「大丈夫なのです、私が簡単に準備しておきました!一通りの家具は揃っているので生活は出来ると思います」
ユカミは胸を張って言った
なるほど、最初に遅れた理由の中には部屋の準備もあったのか
これはとてもありがたい
「そうだったのですね、ありがとうございます。何から何までごめんなさいね」
「いえいえ、私はマスターをサポートするのがお仕事なのです!だから気にしないで欲しいのです」
ユカミは私に気を遣わせまいとそう言ってくれた
とは言え助かっているのは事実であるし、感謝の気持ちを忘れてはいけないだろう
私はユカミに案内して貰いながら自分の部屋への道を進む
初めて来た時も思ったがやけに大きく広い
私がオラクルに来てから大半の時間をここで過ごしているが、ここは宇宙船の中なのだ
主にアークスが任務に赴くために来るゲートエリア、買い物などが出来て任務前の準備を整えることも出来るショップエリアを初めとして、ここには一般市民の居住区や仕事をする会社などがある街、アークスの居住区に会議室や管制室、メディカルエリア(病院のようなものだろう)にカフェやエステといった施設まである
地球にいた頃の常識からは考えられないほど大きな宇宙船である
更にこの宇宙船は同じものが全部で10隻あり、Ship1から10と言われることが多いがそれぞれに呼称があるらしい
1から順に
・フェオ
・ウル
・ソーン
・アンスール
・ラグズ
・ケン
・ギョーフ
・ウィン
・ハガル
・ナウシズ
というようだ
現在私はShip7、ギョーフにいる
勿論宇宙船は宇宙空間にあるわけで本来なら無重力状態のはずである
慣れないと自由に動くこともままならず、生活など出来るわけがない
しかし今私は普通に歩いているし地球にいた頃と変わらない重力を感じている
これはこの船の内部全域へ適度に重力空間を展開し、普通の生活が送れるようにしてあるためである
その気になれば宇宙空間にすら重力を展開し、戦闘を行えるようにすることが可能らしい
つくづくアークスの技術力には驚かされる
一体どのようにしてこんな技術を開発したのやら…
軽く聞いたところによるとこれらは全てフォトンのおかげらしい
フォトンはこちらの宇宙ではどこにでもある自然のエネルギーらしく、戦闘以外にも様々な用途に用いられているそうだ
「着きましたよ、マスター。ここがマスターのお部屋、マイルームです!」
どうやら着いたみたいだ
アークスは各々の部屋のことを「マイルーム」と呼称している
略して「マイル」などとも言っているのを聞いたことがある
「ありがとうございます。入るのに鍵とかはいるのかな?」
「いいえ、マスターであればこのマイルームには鍵なしで自由に出入りできます!マスター以外の人はマスターの許可がなければこの部屋に入ることは不可能なのです!」
私は鍵が要らないがそれ以外の者は私の許可がなければ入れない?
…地球でいう指紋認証や声紋認証のようなロックがかけられているのか
しかしその割にはそのような機器が見当たらない
これもまさかフォトンによるものだったりするのだろうか?
地球人である私には理解出来なさそうだ
「つまりこの部屋は安全なのね」
「そうなのです!」
元気一杯にユカミは答える
彼女を見ていたら細かいことがどうでもよく思えてくる
不思議と落ち着く
とにかく入ってみよう
私はマイルームのドアに近づく
するとドアは滑らかに左にスライドし、開いた
部屋の中を軽く見て回ってみる
見たところワンルームにトイレと風呂が別についており、簡単なキッチンのようなものもある
普通に生活は送れそうである
「まだこれだけしかありませんが、パスを購入すればお部屋の数や外の景色を変えることも出来ますし、ルームグッズも色々とありますよ!」
「そうなんだ…って外の景色を変えられる?」
「はい、今は初期状態ですが海にしたり森にしたりも出来ますよ!」
そんなことまで可能なのか
ということは今窓の外に見えている景色は本物ではなくホログラムのようなもの、なのだろうか
そんなことまでする必要はないような気もするが…
よく見ると広いベランダのようなものもある
一部屋だけでは少々狭いものの身体を休めるのに問題は無い
「あ、あとパスの購入で一部屋一部屋を広くすることも出来ますよ!マスターの思い通りにコーディネイトして下さいね♪」
「そうなんですね、色々と教えてくれてありがとうございます。取り敢えず今日はあのベッドで休もうかな」
「はい、ゆっくりお休みになって下さい!」
「今日は一日本当にありがとう。貴女もしっかり休んでくださいね」
「お気遣い感謝です!では失礼します」
ユカミはぴょこんとお辞儀をし、マイルームを出た
とても元気がよく可愛らしいのでつい言葉が崩れてしまう
まだ初日だと言うのにあの娘の元気さに助けられているのか
どうやら私の思ってる以上に私は疲れているようだ
明日はメディカルチェックを受けた後この船の施設を色々と回ることになる、しっかり休まなければ
私は着物を脱ぎ襦袢に着替える
流石にあの着物を着たままでは寝にくい
私の服は和なのにベッドという洋の寝具で寝るのは変な感じがするがそれは追々揃えていけば良いだろう
身体を横たえ目を閉じる
寝る前に考え事をする癖がある私は今日の任務でのことを思い出しながら思考に耽る