新人アークス、アウル【完結】   作:フォルカー・シュッツェン

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初任務

初めての任務で降り立ったのは「惑星ナベリウス」の「森林エリア」だ

森林と言うだけあって緑豊かだが、鬱蒼とした雰囲気ではない

開放的なところもあり、日差しの照っている場所や木陰になっている場所もある

とても過ごしやすく、人間にとって快適な場所だ

だからなのか、新人はまずはここで任務にあたることが多いようだ

 

「見たところダーカーの姿はないみたいだけど、この辺りを調査すれば良いのですか?」

 

私はユカミに問う

 

「そうです、まずは慣れるためにも散歩をするのです!」

 

散歩…そんなのんびりしていても良いのだろうか

まぁここでじっとしていても始まらないのは確かだ

私は歩き始めた

 

見た感じは穏やかな森林だが、ここに住む生き物は原生種と言い、凶暴で襲いかかってくることが多いらしいので注意を怠るわけにはいかない

それにダーカーも現れるのだ

いざという時はこのカタナを振るって戦う…つまりは斬り殺さなければならないのだ

私は殺すのが好きではない

護衛や傭兵として戦場に出ていたのだから人を殺すことは多々あった

しかしそれを喜んだことは1度もない

心苦しくなったりはしないが可能な限り殺したくはないと思う

特に原生種には何の罪もなく、ただ侵入者を排除しようとしているだけだろう

ここに於いては私達の方が異物なのだ

 

しかし、そうも言っていられない

ここにはダーカーが出るのだ

私もダーカーの脅威については耳が痛いほど聞かされた

様々な種類がおり、それぞれが特殊な戦闘能力を有している

だが最も恐ろしいのはその「侵食性」にある

これは有機物無機物問わず、あらゆるものに侵食しその存在を侵すのだ

…そう、ダーカーとは所謂寄生生物のようなものなのだ

通常であれば寄生する対象は限られているし、栄養や住処とするのが目的である

しかしダーカーは何にでも寄生するし寄生した対象をダーカーにしてしまうのだ

寄生されると凶暴性が増し、何にでも襲いかかるようになる

そうなったらもう殺す以外にその存在を救う術はない

中にはそれ意外の方法で救う者もいるらしいのだが、それが出来るのは守護輝士と呼ばれるものだけらしい

とにかく私にはダーカーに侵されたものを救うには殺す以外に出来ることはないのだ

それに躊躇しているとこちらが死ぬ

だからもしダーカーやそれに侵されたものが現れた際には躊躇いなく…殺す

 

「マスター…なんだか怖い顔してますよ」

 

ユカミが悲しそうな声をあげる

いけない、思考に釣られて表情が険しくなっていたようだ

 

「ごめんなさい、思ったより緊張してるのでしょうか」

「ならいいんですけど…大丈夫ですか?」

「ええ、大丈夫です。行きましょうか」

 

私はユカミを促し、先を行く

覚悟を決めるのも良いが、深刻になりすぎるのも良くない

折角快適な森林にいるのだ

少しは森林浴を楽しまないと損だろう

私は深く息を吸う

とても美味しい空気が肺いっぱいに広がる

…落ち着く

私はこういう緑豊かな場所が好きだ

心が安らぐ

いくらか落ち着いた私は周囲への警戒を緩めずにユカミに話しかける

 

「そう言えばなんですけど、ここは惑星ナベリウスの森林エリアと聞いたんですが」

「はい、そうなのです!どうかしたのですか?」

「わざわざ『森林エリア』って言うのは森林以外にもあるってことですか?」

「そうです、ここナベリウスには森林、凍土、遺跡の3つのエリアが存在しています」

 

ふむ…森林と凍土はまだ分かる

しかし遺跡とは何の遺跡なのだろうか

聞いてみるとこの遺跡とはとても強力なダーカー、ダークファルスというらしい、を封印した跡地なのだそうだ

今は封印も解けているしそもそもそのダークファルスが消滅しているので一般アークスでも行けるらしい

ダークファルス、か

いつか私も戦う時が来るのだろうか

戦わずに済むのならそれに越したことはないのだが…

 

その時、前方に気配を感じた

私は近場の岩に身を隠し様子を見る

ユカミがついてきて、何事か聞いてくる

 

「急にどうしたのですか、マスター?」

「向こうの茂みに何かいると思うんだけど…どうかな」

 

ユカミには高性能センサーが備わっている

普段は半径10m以内にエネミーがいれば自動的に反応するようにしている

しかし索敵範囲を広げるとかなりの広範囲に渡り周囲の状況を知ることが出来る

 

「索敵完了しました。前方20m地点に原生種の反応があります、どうしますか?」

「その原生種はダーカーに侵食されてるのですか?」

「いいえ、どうやら正常なようです」

「それなら無理に倒すこともないですね、違う道を行きましょう」

「了解しました、マスター。ではこちらに…」

 

その時だった

 

「マスター、危ない!」

 

ユカミが私の後ろを見てそう叫ぶ

私は前方に跳ぶように移動し、身体を反転させる

すると何もない空間から何やら黒い蜘蛛のようなものが現れた

蜘蛛にしてはかなり大きいし、見た目もかなり違う

似ているのはその骨格くらいのものだ

全体的に黒く、赤い線が入っている

 

これがダーカーなのか

確かこれはダガンと呼称されるダーカーである

資料で観たのだが危険性はダーカーの中でも低いらしい

それでも研修生や新人アークスなどがこいつにやられた例はいくつもある

何より資料で観るのと実物とこうして対峙するのでは感じるものがまるで違う

油断は禁物と言うことだ

更に現れたのはそいつ一体ではない

虚空より次々と現れ、周囲を囲まれてしまった

気配をまるで感じなかった、不意打ちに遭う可能性も高いということか

 

「マスター、囲まれてしまいました!突破しましょう!」

 

ユカミはそういい、既にその両手に銃を構えている

私もカタナを抜く体勢を取る

まさかこんな急にフォトンを扱った初めての実戦が訪れようとは思わなかった

私は習った通りに意識を集中し、身体に膜を張るようにフォトンを纏った

次に手に持つカタナへとフォトンを流し込む

 

「マスター、来ます!」

 

ダガンの一体がこちらに向かってその脚をかかげ振り下ろしてくる

私は避けようとしたがそれよりも早く銃弾がダガンの脚を撃ち抜き、体勢を崩す

なるほど、確かに恐ろしく正確な射撃だ

あの細い脚先をダガンの動きも計算に入れて予測し、撃ったのだ

…負けてられないな

私は体勢を崩したダガンに向かってカタナを抜くと同時に斬り付ける

するとダガンの身体は霧散した

思ったよりも簡単に倒せるようだ

しかし油断は出来ない、未だ周囲を囲まれているのだ

 

「ユカミ、私は今ので感覚を掴めました。ここからは手分けしてやりましょう!」

「分かりました、気を付けて下さいね!」

「貴女も、ね!」

 

私は地を蹴り駆け出す

抜き身となったカタナを両手で握り、振り下ろす

また一体のダガンが消える

その隙に別の個体が襲ってくる

私はその攻撃をカタナで去なし、よろけたところを薙ぎ払う

脚が2本吹き飛ぶ

薙ぎ払った勢いそのままに身体を回転させ突きを放つ

 

これでこちらに残るダガンはあと4体だ

カタナを構えるとダガン達はこちらの様子を伺うような素振りを見せた

その隙にユカミの様子を横目で見る

するとユカミは銃を連射しながら身体を回したり転がったりなどしながら確実にダガンを撃ち抜いていく

聞いていたとおり戦闘能力も高いようだ

あちらが心配いらないと分かり私は自分の相手へ意識を集中する

 

全てのダガンを倒したのを確認し、一息つく

この程度の戦闘であれば疲れなど感じないはずだが、フォトンを使うことに慣れてないせいか少し疲労を感じた

 

「どうやら全て倒せたようですね…ユカミ、貴女も怪我などありませんか?」

「はい、大丈夫です。この程度の相手に遅れなど取りません!」

 

彼女の言う通り強くはなかった

ユカミはダーカーを含めた各エネミーの情報が予め入っているが、私は正真正銘初めての戦闘だったのだ

その生態も能力も分からない状態での戦闘

通常であれば怪我の一つもするだろう

しかし私に奴らの攻撃はかすることもなかった

それだけダガンの攻撃は読みやすかったし、何より攻撃パターンが少ない

 

「取り敢えずお互い無事だったし、任務を続行しましょうか」

「はい、分かりました!」

 

その後も私達は森林を探索した

途中、ダーカーに侵食された原生種も確認したのでその場で斬り伏せた

 

そして私達は最深部らしき場所へと到達した

そこで私達が見たのは…

 

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