反省も後悔もしていない。
タグにも記載しましたが、本作は物語の都合上原作キャラが全員進級しています。
つまり、まりなさんも1つ歳を取ったということおっと誰か来たようだ
4月と言えば進学や進級、就職等一定の区切りを意味する時期だ。新入生と新社会人の中には真新しい制服やスーツに体が馴染めていないという人が数多くいるらしい。
馴染めていないという点では俺も新しい制服に馴染めていなかった。前の学校は一般的な黒の詰襟の制服だったけど、今の制服はグレーのブレザーに、ストライプの赤いネクタイ、黒と赤系のチェック柄のズボンという出で立ちだ。最近まで黒一色だったのに随分カラフルになったと思う。
場所は羽丘学園高等部
俺は
父さんに対して会社から昇進を伴う異動の辞令が出されたのが去年の10月中旬。
その夜、父さんの口から昇進話を聴いたときは驚いたが、同時に不安がよぎったのも事実だった。ずっと地元で育ってきた俺にとって慣れ親しんだ土地を離れるなんて想像すらしていなかったし、何よりもまったく新しい環境で上手くやっていけるか不安だった。けれど、友達に転校する話を打ち明けたところ反応は想像と少し違っていた。残念がる奴もいたけど一番多かったのは羨望の声だったように思う。“東京”というインパクトが強かったのかみんなは口々に“スゲー!”とか“いいなー!”とか中には“勝ち組じゃん!”とか言う奴もいた。内心もっと名残惜しんで欲しいとか思ったけど離れ離れになって泣きじゃくる小学生でもない歳だし、やっぱり東京に対する憧れをみんな持っているんだなと感じた瞬間でもあった。
さて。地元から上京しておよそ3週間。俺にとっては春休みが明けて4月最初の登校になる。今日から通うこの学園は、10年近く前まで中高一貫の女子校だったこともあり男女比は4:6と女子が多く在校生は高等部だけでも軽く千人を超える。
今は教室の中で担任の神田先生が生徒に話しをしているらしく時折話し声が漏れてくる。
『噂を聞いてる人もいると思うけど、なんとこのクラスに転校生がやってきました!』
『おおー!』
『本人も初めての転校ということなので、みんな仲良くしてあげてね!』
神田先生の声が聞こえた直後にひと際大きい歓声が上がる。それほどはしゃぐことでもないような気もするが、よくよく考えてみれば仕方ない事なのかもしれない。小中学校でも転校生がやってくることは珍しいことなのに、高校で転校してくる生徒はそれよりも珍しいことだと、手続きした際に学年主任の先生が言っていたのを思い出す。
「それじゃあ湯島くん入ってきて」
「はい」
扉から顔だけを出し笑顔を浮かべながら入室を促され返事をしてから教室に足を踏み入れる。入った途端室内が一瞬ざわついたが、気にせず教壇の前まで進んでチョークを手に取り黒板に『湯島健貴』と自分の名前を書き前へ振り向く。
「それじゃみんなに自己紹介して下さい」
「今日から羽丘学園に転入することになった
「湯島くんは親御さんの仕事の都合で上京してきました。まだこの学園のことも知らないことばかりなので、皆さんはその都度教えてあげて下さい。――それじゃあ湯島くんの席は、今井さんの隣が空いているからそこに座ってね。今井さん、彼のことよろしくね♪」
「は~い!」
神田先生が指で指し示したのは窓際の一番後ろの席で、向かって左側の席には“今井さん”と呼ばれた見た目ギャルっぽい女子が笑顔で手を振りながら座っている。
指定された席まで進み机の上に学校指定の鞄を置き、その中から教科書の類と筆記用具を取り出し引き出しにしまう。この日、1時間目の授業は神田先生が担当する英語からだ。
「何かわからないことがあったら遠慮なく聞いてね」
「ん?」
授業に備えて前を向いていると隣の席から話し掛けられた。声がした方向に首を向けるとやはりというか今井さんだった。
「えーっと、今井さん……だよね?」
「そ! アタシ、今井リサ。気軽にリサって呼んで」
「了解。なら俺のことは健貴で良いよ。みんなそう呼ぶし。これからよろしく」
「りょーかい。これからよろしくね、健貴!」
少し会話した感じだと典型的なギャルというわけじゃなくて、見た目だけのなんちゃってギャルのような気がする。ガチのギャルだったらこんなフレンドリーに話しかけてこないと思うし……。なんてことを考えているうちに授業が始まった。
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「ぷはぁ」
4時間目の授業が終わり、礼をして椅子に腰を落としてから天井を見上げてため息を吐いた。普段の授業ならこんな体たらくにはならないが、今日ばかりはいつもとわけが違う。何せ初めての転校、初めての環境、初めてのクラスメイト達。これでストレスを感じないはずがない。
「お疲れの様子だねぇ健貴」
「まあね。これだけの疲れを感じたのは久々だよ。まさか転校がこんなにもストレスがかかるものだとは思いもしなかった……」
「あ~、大変だったもんねぇ。色々と」
事実、リサの言う通り色々大変だったのだ。例えば今の四時間目までは、各教科担当の先生に情報が回っていたのか力試しとばかりに問題の解答を求められ、一時間目の休憩時間には、俺の席に来た吹奏楽部の女子と軽音部の男子から熱烈な誘いを受ける等、毎時間多くのクラスメイト達に寄って集って質問攻めにされた。
「おかげで1日分の体力のほとんどを使い切った感じがするよ」
「でも今からお昼の時間だし、ごはんを食べれば少しは回復するんじゃない?」
「微々たる量だけどね。……そういえばこの学校って食堂あるんだよね? どこにあるんだっけ?」
前の高校は食堂がない代わりに購買部があったが、如何せん一か所しかなく昼休みになると大勢の生徒が押し寄せては列を作り食料を次から次へと購入していく為、タイミングを逃すと完売していたことなんてことがざらにあった。けれど、この羽丘学園は違う。食堂があるのだ。例え完売したメニューがあったとしても別のメニューを頼めば食事にありつけるのだから。
「案内してもいいけど、今日は使えないよ?」
が、リサから帰って来たのは予想外の言葉だった。
「……どうして?」
「どうして、って……だって、今日は1年生の番だし」
ここで俺はようやく思い出した。この学園の食堂には、ちょっとしたルールがあって指定の日でなければ食堂の利用ができないのだ。このルールは中等部と共通で、食堂の広さの問題で利用日は予め学園が決めており基本的にその日しか入れないようになっている。故に今日は1年生の利用日なので、2年生と3年生は使用不可。食事を摂るなら教室か中庭、もしくは屋上のいずれかとなる。
「……困ったな。失敗した」
「もしかしてお弁当持ってきてないの?」
「一応あるにはあるけど、食堂が使えるものだとばかり思っていたから、ちゃんとしたご飯持って来なかったんだ」
正直言うと食堂があると聞いていた時から楽しみにしていたのだ。なんせ前の学校は食堂がなく購買だけだった為、入学した当初は何気にショックだったのを今でも覚えている。だって中学には普通にあったから、高校にも普通にあるものだとばかり思うだろ? つまり、そういうこと。
「健貴ってもしかしてうっかり屋さん?」
「まさか。今回はたまたま忘れただけだよ」
「ホントかなー?」
「ホントだよ」
確かに日付とか曜日をたまにうっかり間違えることはあるよ? でも誰だって必ずやらかすことだと思うし、それでうっかり屋さん呼ばわりされるのは不本意なんだよなぁ。
「ところで健貴はお昼どこで食べるの?」
「やっぱり屋上かな。一度、屋上に行ってみたかったんだ」
食堂以外で転校手続き中に聞いていたときから魅力的に感じていたのが実は屋上だったりする。通常、ほとんどの学校だと屋上は設備や安全性の関係から立ち入りできない場所として知られているが、この学校は屋上に入ることができ、他の学校と比べて随分開放的な環境になっている。
「だったら一緒に屋上で食べない? 案内してあげる!」
「いいの? 助かるよ」
俺はリサの提案に乗った。なんせ引っ越してきてから日が浅い上に、人間関係が白紙の状態なのだ。これからのことを考えれば断らない理由がなかった。
「それとなんだけど、親友が一緒でも良い?」
「いいよ。親友ってどんな人?」
リサの親友……となると、やはりギャル友達だろうか。
「それは会ってからのお楽しみ☆ さ、早く行こ。食べる時間なくなっちゃうよ?」
意味ありげにはぐらかされたが、リサの人柄からして紹介したいという親友は変な人間ではないだろう。むしろ社交的な彼女とは正反対の人物だったりするのかもしれない。俺はリサの親友に興味を抱きつつ鞄の中に常備してあった食料と水筒を取り出してリサと一緒に屋上へ向かった。
屋上に向かうルートはたいしたものじゃない。そのまま高等部の本校舎を一番上の階まで上がるだけ。扉のドアノブを捻り屋上へ足を踏み入れる。周辺には転落防止のため一面にひし形のフェンスが張り巡らされているが、その奥からは周囲の景色が一望でき、程近くの距離に花咲川女子学園が、目を凝らせば遠くに聳え立つ東京スカイツリーを捉えることができる。
隣に立つリサは右手を額の前に掲げながら周囲を見回している。
「さーて。友希那はどこかなー?」
屋上には少なからず生徒がおり思い思いに食事をしながら談笑をしている姿が見える。
「あっ、いたいた。友希那ー!」
リサが“友希那”と呼んだ人物が目的の人物だろう。遠くの景色を眺めながら髪を靡かせていた少女を見やる。
艶のある美しい銀髪と整った顔立ちをした女の子だった。リサが明るく社交的な女の子とするなら、友希那と呼ばれた女の子は対照的に、暗いとは言わないまでも無表情というかあまり感情を面に出さないタイプだが、それでいて意思の強さを感じさせる女の子というのが一目見て直ぐにわかった。
「ごめんね、友希那。待った?」
「別に待ってないわ。……それよりその人は?」
彼女の指摘はもっともだった。見ず知らずの人間を普段から親しい友達が連れてきたら困惑するに決まっている。
「実は、今日アタシのクラスに入って来た転校生なんだー。ほら、健貴。自己紹介、自己紹介」
「俺は湯島健貴。これからよろしく」
「……そう。私は湊友希那」
他者に対して壁を作っているのか素っ気なく自己紹介をした少女。人を比べるのはナンセンスだけど、やはりリサとは対照的だ。屋上に来るまでの間に、リサが紹介したいと言っていた親友はどんな人なのだろうと考えていた。ギャルかもしれないし、ボーイッシュな人、あるいは引っ込み思案な人なのかもしれないと。色々想像したが、結局のところ相手の見た目や性格なんて俺は気にしない。大切なのは、相手がどんな人間なのかということだ。
俺は徐に右手を差し出しながら少女に告げた。
「湊さんさえよければ俺と友達になってほしい。こっちに引っ越してきたばかりだから友達がいなくてさ。……ダメかな?」
今の言葉に嘘はない。やっぱり友達がいないのは寂しいし、男子であっても女子であっても友達は欲しい。握手を求めたことに特別な意味はないけど、他人に対して心を許さないタイプの相手にはこうした方が良いと実体験として知っている。
「……ダメではないけれど……」
「ほら友希那! せっかく友達になろうって言ってるんだから、握手しなよ? 見た目はチャラいかもだけど健貴は良い人だよ?」
突然の提案に戸惑った湊さんにリサがすかさず助け船を出してくる。リサと知り合って数時間しか経たないが、良い人だと言われて悪い気はしなかった。
「……リサがそう言うなら」
リサに促され渋々といった感じで握手をしてきた湊さん。握った彼女の指は細く、白魚のような手で華奢だった。
「改めてよろしく、湊さん」
「健貴、何だか固いぞー。アタシのことは“リサ”って呼び捨てにしてるんだから、友希那のことも“友希那”って呼んであげて。友希那もそれでいいでしょ?」
「好きにしてちょうだい。私は自分がどう呼ばれるかなんてこだわらないから」
「了解。じゃあ友希那で」
意外だったのは、湊さん……友希那が初対面であるにも関わらず、呼び捨てで呼ばれることをあっさりと許容してくれたことだった。てっきり“初対面の人間に呼び捨てにされる覚えはないわ”くらいのことを言われると想像していたけど、思いの外受け入れてくれたらしい。
「友希那と健貴が仲良くなったことだし、早速お昼ご飯食べよっか。アタシお腹すいちゃった」
「賛成」
「そうしましょう」
リサが手に持っていた手提げ袋からピクニックシートを取り出してその場に広げ、その上に向かい合うような形で座り込んだ。
リサと友希那はおそらく親が作ったであろうお手製の弁当を、俺は鞄に常備してあった栄養補助食品の“カロリースティック”を食べ始める。
「健貴はお昼それだけでいいの? よかったらアタシのお弁当少しあげようか?」
「大丈夫。これはこれで結構お腹膨れるし。授業も残り二時間だけだからそれまで保つよ」
今日の授業は、生物と古典が残っているのみで問題なく空腹を我慢できる。これが午後に体育の授業がある場合は流石にきついけどA組の時間割に午後の体育がないのは、ある意味ラッキーだった。
「あのね、友希那。健貴ってサックスとアコギとベースをやってるんだって」
「サックスとアコギとベース……」
会話をしながらも黙々と箸を進めていた友希那だったが、リサの言葉をきっかけに箸を停めて興味深げに俺の方を見る。
「複数の楽器を演奏できるのはたいしたことだけど、その中での専門は?」
「サックス。アコギとベースは人並みって感じかな」
「……そう。サックスと言っても種類があるわ。健貴が
友希那の言う通り一概にサックスと言っても様々な種類があってその数は9種類。深堀すればもっと種類があるけど、中でも世間一般に用いられているのは、高音から低音順にソプラノ、アルト、テナー、バリトンの4種類。
「アルトとテナー」
「得意なジャンルは?」
「ジャズ。ロックやポップスもできないこともないけど、ジャズが一番得意だし好きなジャンルだよ」
音楽の話しになった途端、今まで口数が少なかった友希那の口数が多くなった。友希那も音楽が好きなのだろうか。
「それは、アコギやベースでも同じということ?」
「うん。……アコギとエレキベースはこの手のジャンルだとマイナー扱いされがちだけど、ジャズプレイは可能だしね」
エレキを含むギターやエレキベースはロック等で活躍の場が多い反面、ジャズでは日陰者扱いされることが多いものの、かくいうサックスもジャズでは花形な楽器だけどクラシックではわりと日陰者だったりする。
「一度健貴の演奏を聴いてみたいものね」
「! アタシも聴いてみたいかも!」
「人並みに演奏できる程度だけど機会があればね」
この後も会話は続きリサから地元や地元に居た頃の質問をされ、それに答えるなどしている内に昼休みの時間はあっという間に過ぎて行った。
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3時間後。
帰りの掃除の時間も終わり生徒が続々と教室を後にしていく。
「お疲れ様、健貴。今日一日どうだった? やっていけそう?」
「なんとか。授業は前の高校と大差ないし、友達も二人できたから幸先イイ感じ」
「そっか。上手くやっていけそうで安心したよ」
「お陰様で。それとフォローしてくれてありがとう。あの時は助かったよ」
「どういたしまして。困ったことがあったらいつでも助けてあげる」
実は休憩中にちょっとした一幕があった。休憩中、一度に質問が集中した際にリサが助け船を出して俺の席に群がっていたクラスメイト達を宥めてくれた。些細なことかもしれないけどもし隣の席がリサじゃなかったらあの場は収まっていなかったと思う。そういう意味では、今日の幸運はリサと出会ったことだと思う。そのおかげで友希那とも友達になれたのだから。本人は至って気にしていないようだけど、今度改めてお礼をしようと決めた。
「そうだ。友希那と帰るんだけど健貴も途中まで一緒に帰らない?」
打ち解けた空気のままリサがごく自然に下校のお誘いを提案してきた。女友達と一緒に三人で帰るシチュエーションは今までに何度もあったことだし特に断る理由もないのだが、今日ばかりは都合が悪かった。
「魅力的なお誘いだけど今回はパスで。この後職員室に用事があるからさ」
「あ、そっか。神田先生に呼ばれてるんだっけ」
「正解。そんな訳だからまた今度誘ってよ」
「りょーかい。じゃあまた明日学校でね!」
リサは自分の机の上に置いておいた鞄を手に取り空いていた方の手を振りながら教室を後にしていった。
リサと教室で別れてからしばらくして俺は職員室前の廊下を歩いていた。廊下の窓からはオレンジ色の光が差し込み徐々に1日が終わることを告げているかのようだ。
神田先生に呼ばれた理由は単純明快で、今日1日の感想だった。担任教師としては中途半端な時期に転校してきた俺に対するフォローの意味合いもあったんだと思う。何せ高校3年生という時期だ。嫌でも“進学”や“受験”というキーワードが関わって来る上に、慣れない環境で生活しなければいけない俺は、他の同学年の生徒に比べて不利な状況に置かれているのだから、生徒を預かる担任としては、懸念を抱いてしまうのも仕方ないのかもしれない。
「きゃっ!」
「うわっ!」
考え事をしていたせいで廊下の曲がり角から現れた生徒とぶつかり、同時に尻餅をついてしまう。
「いたた……」
「ご、ごめんなさい! 大丈夫ですか!?」
「大丈夫。気にしないで、尻餅ついただけだから。こっちこそごめんね。 怪我してない?」
「は、はい! 大丈夫です……あっ、プリント!」
俺と同様にぶつかって尻餅をついていたのは、栗毛で肩まであるショートカットの女の子だった。彼女の周りには抱えていたであろうプリントが散乱しており職員室に届ける途中だったらしい。俺は彼女よりも早く体を動かし散らかってしまったプリントを集め始めた。
「あ、ありがとうございました。集めるの手伝ってもらって」
「気にしなくていいよ。ぶつかったのは俺にも原因があるわけだし、これくらい手伝うのはむしろ当然だよ」
集めたプリントの向きを揃えて女の子に渡す。二人がかりで集めたので時間はさほど掛かることはなかった。
「あの、ところで先輩は……」
「ん? ああ、俺? 俺は3年A組の湯島健貴。今日この学校に転校してきたんだ。君は?」
「
話しによると彼女は生徒会で庶務を務めていて今は生徒会でまとめた書類を、職員室に届ける途中だったようだ。生徒会の仕事と言えば学校生活の充実を図ったり、文化祭や体育祭等のイベント行事に関する活動の雑務を日々こなすのが主な仕事。この羽丘学園の生徒会も例に漏れず日々奔走しているらしい。
「湯島先輩、もし学校生活で困ったりわからないことがあったら、何でも相談して下さい! 私にできることなら力になります!」
「機会があったら頼りにさせて貰うよ。生徒会の仕事頑張ってね」
「はい!」
つぐみちゃんの表情はやる気に満ちた顔でなんとも微笑ましく見えた。頼りにさせてもらうとは言ったが、実際に関わることはほとんどないだろう。でも、ああして一生懸命頑張っている後輩を頼りにさせて貰うのも悪くないなと感じてしまう。
職員室に去っていく彼女の背中を見送ってから俺はようやく学校を後にした。
ありがちな設定+ありがちな展開+ありそうでなかった設定で書いてみました
不定期更新でも頑張っていきたいと思います