(没作品集) 異世界転生譚-1st. World Trigger   作:無狼

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[◻︎◻︎◻︎◻︎] (壊れ往く)

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(異常な記録データを検知。読み込み中…)

 

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それから建悟は歩き続けた。

ふと建悟は"遠い先が手元に見える"事を思い出し、左眼を集中させた。案の定何も見えず、本当に何も見えないのかより見ようと眼を意識させると…

 

ゴロッ。

義眼のある右目に異物が入った違和感と痛みから思わず手で抑えたが、すぐに痛みも引いてすーっと違和感も消えていったので気に留めない事にした。

 

「…うん?」

また"見え方"が違っていた。

周囲に白く霞が集まった人状のモヤモヤから妖怪アニメに出てきそうな青い火の玉まで、さまざまな"モノ"が砂浜や海の上をゆらゆらと漂っていた。

初めはよく分からなかった建悟も火の玉を見て"人魂"と察したところ、不規則に漂う全てそれらが様々な霊格と想いを宿した人魂や霊魂だったと、頭の中で理解してしまう。その中に…見覚えのある顔を見つけた建悟は気が狂ったように我武者羅に慰霊の海岸を走り抜けて走り抜けて、何度も転んで全身を擦りむいてもなんども立ち上がり、逃げる。

 

「なぜだ!なぜ…なぜ…なぜ、なぜっ!」

何度も何度も柔らかい砂浜に拳を叩きつける。

理由は分からないが、そこにいた無数の人魂から"慣れ親しんだ感覚"や"その人の雰囲気(霊格)"がハッキリと"その人"だと本能で理解する事ができた。

そのいずれも全員が"死に、様々な想いが残された、彷徨う残滓の存在"であり、今の建悟には記憶が妙に朧気(違和感を覚えている)で名前を思い出せないが、その中で……大切だった人たちが…

「…俺が死んだときに何があったんだ、何でみんな死んだんだよ…」

 

思わず目元から熱い涙が零れ落ちて…涙だと分かってから、あまりの遣る瀬無さと虚しさから、ポタリ。ぽたりと零れ落ちてゆく。

「…あんまりだろ…なんなんだよ、俺が知ってるワールドトリガーと違い過ぎるだろうが…」

「なんでなんだ! なんで俺は死なきゃなんないんだ! なんで…なんで! 俺が何をしたってんだ! なんでこんな目に遭わなきゃいけないんだよ!!」

 

…虚しくも、虚空に消えて往く。

もはや無駄だと知ってても、不平不満を言わずにはいられない。

ようやく掴んだ幸せがこうも呆気なく、それどころか酷い仕打ちを何故受けなければならないのだろうか?

無意味に木霊する建悟の声もやがて疲れ果て、ついに虚無の世界と感じて絶望と死の願望を望み始めるようになる…。


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