(没作品集) 異世界転生譚-1st. World Trigger   作:無狼

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第9話「鋭線の時間/曲線の生命/統一されし角度/壊された刻はどこへ熔けゆく」

 

 

・・・俺に何が起きた?ノイズ・・・目の前がよく見えない、なんだ・・・

よく聞こえない、よく見えない、よく分からない、何が、あった。

 

何か白昼夢が見えたかと思ったんだが、何かが見えた気がしたんだが、

俺は何もできなかった・・・気がついたら、ここはどこなのだろう。

どこかへ落ちていて、浮かんでいて、引っ張られていて、押されてる。

 

・・・小神林はどうした?俺は・・・何をしていたんだろう、何を・・・

 

「・・・あぁ、記憶を取り戻してもらってたのか、・・・だけどなんだろう、この嫌な予感は・・・」

 

 

 

 

時を遡れば、今から30分前。

小神林との談笑を終えて、実験試作室にルーター接続させたパソコンを介して、

記憶定着装置「メモリー」と、記憶忘却装置「イレイザー」をそれぞれ動かしていた。

といっても、それぞれペン程度の大きさだが・・・・・・小神林にはこう言われていた。

 

「建悟。今から貴方は、矛盾する記憶と貴方"自身"に嘖まれることになる。」

 

・・・どういう意味だったんだろうか。今となっては、知ることができない。

それはなぜか。

 

奴らが迫ってたんだ。彼女の、背後に。

 

「ルミネセンサー」

いや違う。この世界ではそう喚ばれていたが、もっと違う。

あいつらは・・・「――――――の猟犬」

あいつらは、あいつらは! そうだ、あいつらに・・・俺は弄ばれた!

俺が望んだ世界を!まんまと騙しやがった!あいつこそが!あいつらこそが!

俺の時間を!俺の―――

 

 

 

この世界線での小神林は、「最後の希望」を託した。

なぜなら、この世界は「平成25年6月2日」ではなかったのだ。

西暦・・・そんなものは崩壊していた。全て、建悟に悟られないための配慮だった。

 

あたい、全て貴方のために嘘をついたよ?昔の貴方の記憶から解析して、再現して。

あぁ、後ろからもうルミネセンサーたちが迫ってる。あの腐臭が、凍てついた視線が近くに・・・

最後に、最後にあたい、貴方に感謝が言えてよかった。

・・あたいの最後の記憶、貴方に全てを託したからね・・・

 

「・・・はは。ダメだなぁ、あたい・・・」

「次の世界では幸せになって。建悟・・・。」

「愛してました。もっと、――――、貴方と共に歩・・・」

「―――――」

「」

 

最後の人類の一人は、誰にも知られること無くその命を散らした。

――――――――――

大洪水はやがて全て吞む。

大噴火は全てを焼き払う。

大地震は立つ者震え穿ち。

大崩壊は世界の終わりを。

 

方舟は裂けた塔を載せて、時を咲かす。

彼らはこの丸い世界から消えて、角の世界へと身をやつした。

 

楽園は焼き払われ、神託は意味を失い、預言者は偽る。

反逆者は反故に見舞われ、誰も彼も理解ができなくなる。

反逆の王らは反逆者を率い、鋭き世界へと自ら幽閉した。

 

我々は破壊こそが真意。生命を超越し、時間を破壊する。

時間を生きる者らを鉄拳制裁し、破壊することで我々を充たし殖やす。

――――――――――

『Access...』

『CODE:1000110 1100101 1101110 1110010 1101001 1110010』

『能力を追加。』

『名称:鋭空間干渉』

『効果:曲線時間と対になる鋭角時間への干渉能力』

『SE発現:プレコグニション(寿命視)を獲得。』

『対象の寿命を視ることが可能となりました。』

『戦闘能力を更新。』

『プレコグニションによる、攻撃意思に応じた寿命の変動を確認可能。』

『"WORLD TRIGGER"使用時、鋭角時間を用いた遠隔血鎖刃が可能となりました。』

 

 

『Now...RE;LOADING』

――――――――――

「・・・ハッ!」

 

飛び起きた先は、同じ病院の先。

辺りを見回す。同じ光景だ。

 

小神林「・・・あれ、建悟?おはよう?」

建悟「御厨か・・・御厨!?」

  「あれからどうなった!? 今は何年の何月何日だ!」

小神林「え、あ、け、建悟・・・?」

建悟「・・・・・・。・・・(どういうことだ。昨日の御厨と違う?)」

小神林「・・・え、えと、2013年だよ。6月2日・・・」

 

建悟「・・・平成25年か?」

小神林「うん、そうだけど、どうかしたの・・・顔、険しいよ?」

 

・・・。

これ、何が起きてるんだ?

 

ナース「・・・院長、どうされますか?」

小神林「え?ええ、そうね、いつも通りお願い・・・」

 

二人の寿命が、見える。

一人は80年6月4日13時間52分14秒、小神林は・・・あと10秒!?

 

建悟「・・・。いや、もうその必要は無い。」

ナース「え?」

御厨「え、どういう意味?」

建悟「・・・!御厨、しゃがめ!」

 

 

5秒、4、3・・・直感だが、分かる。猟犬どもだ。

『寿命』とは別に、何かを得たらしい。"私"は。

戦い方を思い出した。Xnij(俺)は「ブラックトリガー」となったのか。

私は知っている。なぜ、「2013年6月2日に戻ってきたのか。」

 

私は・・・この世界を、救いに来た。

 

 

建悟「ぐ、っ!」

輸液カルテルと点滴針を抜いた勢いで、自らの血を依り代として【血鎖】を産む。

御厨のうなじから喉元を狙っているのだな。猟犬どもめ。

 

御厨「・・・!」

御厨もしゃがんでくれた。戦友としてのカンのおかげで、意図を察してくれたらしい。

「こいつ、ルミネセンサー・・・なんで!?」

 

違う。そいつは。

「ティンダロスの住人。猟犬。鋭角の時間を超えた不浄な存在だ。」

「我々と対になる『生命体』。そして、私の前の世界の」

「我が宿敵の一つだ。」


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