「おい!! 大丈夫か!?」
見ると女子高生はバケモノの集団に囲まれており、尻もちをついて動けない状態だった。
「なんで、さっき見た【ミラーモンスター】がいるんだよ…」
真司は自分の口から【ミラーモンスター】という単語を口走った事に気がついていない。
「…あぁっ! お願い! 助けて!」
女子高生の悲痛な叫びに真司は、足下に転がっていた木材を手にして、バケモノの集団へ突撃していく。
「このぉ! おまえらどっか行けよ!!」
ブンブンと木材を振りかぶる真司。しかし、バキィ!っという木材がへし折れる音が木霊し、真司は思考が停止するのだった。
「え? おっ、折れたー!!!」
バケモノ達は女子高生から威勢の良い真司へターゲットをうつしていく。
「へっ、そうだこっちについてこい! モンスターども!」
勢いよく移動したのは良かったが、そこは袋小路だった。瞬く間にバケモノ達からの攻撃を浴び、真司は傷らだけになってしまった。
「……はははっ。これで俺の人生も終わりかなぁ…」
満身創痍となり、地面に座り込んでしまった。さっき見た変身した自分を思い出す。あんな風に自分の姿が変わるなんて事はなかったけれど、女子高生から怪物を遠ざける事はできた。
「あとはあの子が、無事に生きて帰れるといいけどなー」
それだけが心残りだった。
真司は、目の前のバケモノを一体でも道連れにすべく、周辺にある武器はないか確認する。
「…やっぱ、こんな場所じゃ、なにもないか」
『キシャァーッ!!』
奇声を上げながら、バケモノが突撃してきた。真司は目を閉じ、自分の最後を覚悟していた。
(俺の人生、悔いはありまくりだけど、またやり直せるなら、やり直したいなぁ…)
『はっはっは!』
「今の笑い声って…」
笑い声のした方向を見上げると、向かいのビルの屋上に小さく見える人影がいた。
『どうしたそこのひよっこ! 俺とにらみ合ってた時の方がもっと張り合いがあったぞ!』
人影はこちらに対して励ましの声をかけているようだ。しかし、ひよっこ、そしてあの声に聞き覚えがあった。先程空港前でケンカしたあの男性によく似ていた。
『さぁ怪人ども、ここからはオレが相手だ! トォーッ!!』
人影がジャンプをすると、ビルの外壁を足場にして、赤い円状にくるくると、回転し始めた。
『レッドボォォォンリングッ!!』
掛け声と共に真っ赤なタイヤのように目まぐるしい勢いで、こちらに迫ってきた。そして、ビルの外壁には巨大なトラックが通り過ぎた後に出来るタイヤ痕のようなモノを作っていく。その様子を見たバケモノ達が逃げようとするも、道の狭い袋小路に阻まれ身動きが取れなくなっていた。
『グワァァアッ!』
『ギャーッ!!』
数秒後、バケモノ達は謎の男から繰り出された技で葬り去られていった。
バケモノ達は倒されると、爆発を起こした。
「………」
その光景を見て、真司はまた何かがフラッシュバックする。今度は夢の中で見た相棒こと、赤龍が自分と一緒に戦っている。戦いが終わった赤龍と自分が見つめ合う。
(こりゃ一体なんなんだ? 俺にどうしろっていうんだよ?)
「…お…おい、気絶しているのか? しっかりしろ、城戸」
「……ッ! あれ? 俺は…」
聞き覚えのある男の声がした。
「ひよっこ、おまえ、悪運だけは強いようだな」
「…え? アンタは…」
やはり聞き間違えではなかったが、鏡の世界になぜ先程までケンカしていた男がいるのか、真司は困惑した。
「フン、仕方ないな。改めて自己紹介だ。俺は風見、風見志郎だ」