5 調査 高知市 郊外
風見と真司が再会をする数分前、風見もまた、結城と共に真司が調べていた同じ事件の調査に来ていた。町外れのブティック店に辿り着いた二人は、鏡の前に立っている。
「ここが本郷先輩や、一文字先輩の言っていた場所だな…。しかし、財団Xのヤツらが回収した例の光の玉ってのいうのと、どう関係している?」
「風見! これを見てくれ!」
それは鏡の前に落ちていた一枚の名刺だった。
「…OREジャーナル? まさかさっき俺に絡んできたアイツが…」
「彼もまた事件に巻き込まれているのかもしれないな」
結城は頷きながら、鏡を見つめる。
「…にしても、アイツはトラブルメーカーなのか?」
もし巻き込まれていたのだとしたら、おそらく一刻を争うだろう。だが、手がかりがこの鏡のみでは対処が難しい。
「どうだろうな。僕は念のため、周辺の調査をしてこよう。おそらくこの状況を財団Xもモニタリングしているはずだ。風見、くれぐれも注意してくれ」
「そういうおまえもな、結城」
にやりと微笑みで返事した結城は、その場から去っていた。結城と別れた風見は、名刺が落ちていた鏡をジッとにらみつけていた。
(少しばかり見直す必要があるみたいだな。あの真司ってヤツを。この場所に辿り着くにもある程度の情報を掴んでいなければ、辿り着けなかったはず。それに…)
鏡の横には、キーホルダー付きのカバンが落ちているのを見つけた。
「これは、まだ真新しいモノだ…。だとすると…」
その時、鏡の中に光の玉が出現し、風見もまた真司のように鏡の中へ吸われてしまうのだった。
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「なんだよ、風見さん! そういう事だったのか!」
風見から手当を受けながら、事の顛末を聞いた真司は風見に感動し、いつの間にか風見の事を、さん付けで呼んでいた。
真司が風見から怪我の手当を行ってもらった後、アンタは命の恩人だ!と、言わんばかりに感謝を述べ、それからというもの、妙に馴れ馴れしくもなっていた。
そんな真司の様子を見て、溜息をつきながらも風見は安堵した。
「その様子なら、もう大丈夫そうだな」
「あぁ、おかげさまで動ける程度には回復したぜ! さぁ、次はあの女子高生の子を探さないとな!」
自分の怪我よりも、他人を心配する心に少し感心しつつも、風見は表情を変えて、忠告を促す。
「城戸、おまえは元のブティック店の鏡まで戻れ。ここから先はオレに任せろ」
真剣な眼差しで見つめられた真司だったが、風見には真司の目の中に炎が一瞬見えた。
「ごめん。こればかりは助けてくれた風見さんでもはい、わかりました、なんて言えない」
「オマエ、どうなっても知らんぞ?」
「望むところだ!」
にらみ合う二人だったが、風見は真司を認めることにした。
「…わかった。ならついてこい。だが、今後は自分の身は自分で守れよ」
『…仲良しな所、すまないが、邪魔をさせてもらうでおじゃる!』
風見や真司でもない、背後から第三者の声がした。
「おい! あれって!」
声の主は謎の男だった。男の横にはミラーモンスター達。そしてミラーモンスターに抱えられた女子高生がいた。男の様子を見ると、不思議な装束に身をまとい、例の【光の玉】まで所持していた。
『ホホホ…。まさか予定になかったイレギュラーがお前達じゃったとは、大きな収穫でおじゃる』
謎の男は笑っていた。喋り方が聞き慣れない感じだ。
『そこの貴様は【仮面ライダー】のようでおじゃるしな』
「!」
「仮面ライダー?」
頭に疑問符が浮かび上がるような真司に対し、風見はハッとした表情で、謎の男を睨みつける。
「…フッ、貴様らに名乗る名などないと思っていたが、こちらの正体を知っているのなら、もう隠す必要はなさそうだな!」
そう言いながら、風見の周りにそよ風が吹き始める。
「さぁ、その子を返して貰おうか、アマダム!」
「変ンンン身ッ!」
風見は真司の横で、呼吸を整え両手で真一文字を描くポーズをした。
そして…。
「ブイスリャァ!! トォォーッ!!!」
瞬く間に変身した風見の腰に二つの風車を装備したベルトが出現し、天高く飛び上がった。ベルトから赤い光が出ると、風見の姿が変わっていく。緑色のスーツ、両肩に白いマフラー、バッタのようにもトンボのようにも見えるその姿。
変身した風見が着地すると、白い手袋をキュッと下げ、アマダムと呼んだ謎の男を睨んだ。
『おまえは、仮面ライダーV3じゃな?』
アマダムはV3に向かって、先程と同じように笑った顔だ。
『いかにも、私が仮面ライダーV3だ!』
「……やっぱさっき、俺を助けてくれたのって、風見さんだったんですね」
唖然としながらも、真司は先程自分を助けてくれたのが、風見だったことを認識した。
『我が輩が辛酸をなめてまで作り上げたこの【ニューミラーワールド】を貴様なんぞに邪魔されては困るのでおじゃる!』
そう言うと、アマダムは両手を合わせ、呪文を唱えはじめた。
『…はんにゃーはーらーみーたー! フンッ!!』
ぐらぐらとした地響きと共に、真司の足下が崩れていく。
「ちょ! マジかよ!!」
ちょうど一人分の穴が空き、真司は穴から落ちてしまった。
『城戸ーッ!』
V3の声も虚しく、真司は目の前から消えた。
『…すまない、城戸。先にあの子を助けないと、オマエに顔向けできんからな』
城戸を助けたい想いを振り切り、V3はアマダムに目を向けた。
(それに、オマエはこの程度じゃくたばらないって、信じているぞ)
V3は不思議とそんな気がした。
『ほっほっほ。弱いモノは我が輩のごちそうになるのじゃ。もちろん、この女子も同様に。じゃが、おまえは邪魔者! 消し去ってくれるぞ!』
『やはりあの鏡を使って人々を誘い出し、先ほどの怪人達を操って、人々の命を奪い、貴様の力として蓄えていたか!』
『いかにも! ふーいーくーくーふーいーしきしきそく…』
アマダムが先程とは異なる呪文を唱えはじめる。すると、ミラーモンスターの数も増えていく。
『さぁ、行くぞ!』
V3は単身、ミラーモンスターの大集団に向けて駆け抜けていった。