「うふふっ。もう少しよ。もう少しで王が目覚める準備が整うわ」
研究所らしき場所で、白衣姿の女でうっとりとしている。
「影山サン、ご気分は如何ですカ?」
そこへ白い服装の男がやってきた。彼は忽然とその部屋に現れた。
「ねぇ、毎度毎度、おかしな所から声をかけるのって、貴方の趣味なの? そうだとしたら、本当悪趣味ね」
「おやおや、それは申し訳ありませんネ」
「それで、ここに来たという事は財団Xのお偉い方の説得が成功したと、そう判断していいのかしら?」
「ハァイ。上はあなたの研究を認め、第二段階で移るいい機会だと、言っていましたヨ」
「そう…。ちなみに、貴方達の戦力も貸してもらえるのかしら? 前回も忌々しいファイズと【仮面ライダー】を名乗る輩に邪魔されて、本当にウンザリしたんだから」
実は以前、敬介と巧はこの女、影山冴子の陰謀を阻止すべく、戦いを挑んでいた。冴子はその時負った傷の治療で、三年もの間、王を復活させる為の計画を頓挫していたのだった。
「それは大丈夫デス。上から預かったマスカレイドドーパントに加え、このドライバーと強力な怪人も準備していますのデ」
白い服装の手には小さなジュラルミンケースがあった。
「結構。それじゃあ、組織からお借りした例の装置を使って、我が王を蘇らせましょう。オルフェノクがこの世界の征服をする野望を実現させてもらうわよ。…その前に、前祝いね」
いつの間にか手元にワインを用意していた冴子はワイングラスを男に手渡す。
「これハこれハ…。上物のワインのようですね。では、我々の未来に乾杯」
白服と冴子はグラスを合わせると、ワインを一気に飲み干した。
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「神さん! 海堂はまだ来ないのか!?」
「だから、そんなに焦るな。約束の時間までもうちょっとある。ほら、飯でも喰って、少しは落ち着けって」
敬介からおむすびが放り投げられた。巧は上手くキャッチすると、ちょうどよくお腹が鳴った。そういえば、朝から何も食べていなかったのに気がつく。
「あ………」
巧は無言でおむすびにかじりついた。咀嚼するよりも早く飲み込もうとしたその時。
「…ゲホッゲホッ!」
「あー急いで喰うからだ。ほら、味噌汁もあるから…」
敬介が持っていた水筒から温かい味噌汁を用意し、巧に手渡す。受け取った巧は湯気が立っているのに警戒して、口をつけずにいた。
「…大丈夫だ。猫舌のお前でも飲めるよう温度は調整してあるから。ま、ゆっくり飲めよ?」
喉のつまりが限界をむかえ、我慢の限界だと味噌汁をゴクゴクと飲み干した。
「…し、死ぬかと思った」
「あれ? たしかおまえ一度、死んでいるんじゃなかったか?」
「うるさい。あんたは一言余計なんだよ!」
「おい、上手そうな飯喰ってんじゃねぇか! 俺様にもおごってくれよー!」
喧嘩しながらも食事をする二人の元へ聞き覚えのある声の男がバイクでやってきた。
「海堂!」
巧は海堂の元へ駆け寄る。
「おお、しばらくぶりだな。巧ぃ、おまえはちーっとも変わらんな」
「あぁ、そういう海堂こそ。ギターケースでも担いで旅してそうだな」
巧と海堂は握手をした。
「海堂、約束の時間よりも早かったな」
「おう! そりゃあんな話を聞いたら、仕事を休んで来ないとな。俺様が来たからには、もう安心だ!」
海堂は既に、敬介とも顔見知りのようだった。どこで出会ったのか気になったが、巧は別の疑問を投げかけた。
「海堂、おまえ仕事って何してるんだ?」
「いやなー、俺様は今、デザイナーとしておまんまを頂戴しているのだよ」
「は? …嘘だろ?」
「いや、本当だ。おまえなんて、どうせ啓太郎のクリーニング屋でバイトの身なんだろ? それなりに稼いでいる俺様が今度おごってやるよ」
巧は唖然とした。
「さて、積もる話もあるだろうが、話を進めるぞ?」
「応よ! 聞かせてくれ!」