既に戦闘が終わった後なのか、スネークオルフェノクは地面に倒れていた。
『ちくしょう、情けねぇなぁ…』
ロブスターオルフェノクが繰りだした白刃の猛襲により、スネークオルフェノクは敗れてしまったようだ。ロブスターオルフェノクはスネークオルフェノクの近くへ座り、耳元で囁いた。
『ウフフッ。久しぶりに会ったと思ったら、いきなり攻撃してくるんだもの。積極的なのはいいけれど、私も体が反応しちゃったわよ?』
『海堂! 大丈夫か!』
『だぁー、もう遅せぇぞ、巧!』
施設内にファイズとXライダーがやってきた。スネークオルフェノクは、蓄積されたダメ―ジで身動きできないようだったが、威勢だけはまだ衰えてはいなかった。
『あら、忌々しい仮面ライダーさん達。二人とも満身創痍って感じじゃない? 女の邪魔ばかりしてると、嫌いになっちゃうわよ?』
ロブスターオルフェノクは手元の武器で、リズムを取りながら、挑発してくる。
『嫌いになって結構。最初からおまえさんの事は好いちゃいないよ』
ライドルを回しながら、Xライダーはそう答えた。
『あら、あなたなら年上が好みだと思ったのにね』
『余計なお世話だ』
「冴子さん、遊んでないで、早めにケリをつけて下さいヨ」
『今度は誰だ?』
「誰でもいいでしょウ? ここはワタシに任せて、貴女は王を蘇らせてくださいネ」
いつの間にか現れた白い服装の男は、やれやれといったジェスチャーをしながら、ロブスターオルフェノクに催促した。男の服装を見る限り、財団Xの幹部のように不思議な白いスーツの出で立ちをしているのが、把握出来た。
『有難う。それじゃあ、頼むわね』
ロブスターオルフェノクの姿が霧のように消えていく。
「さぁ、仮面ライダーさん達。ここからはワタシがお相手しますヨ」
白服の男はそう言うと、自分の首元へ注射のようなものを施す。
「ンー、これが…オルフェノクの血ですカ。すこぶる気持ちがいいですネ」
よく見ると男の腰にファイズドライバーのようなベルトが巻き付いている。
手にはファイズフォンに似た携帯電話まで装備していた。
「さて、これならワタシにも、このサイガドライバーを使いこなせる事ができるでしょうカ」
ファイズが変身した時のように、サイガフォンから電信音が木霊する。
『なんだ、そのドライバーは!?』
巧はこれまでファイズドライバー、カイザドライバー、デルタドライバーの三種類のドライバーを把握していた。だが、ファイズ達の目の前にあるそのドライバーは三種類のドライバーのどれにも該当しない別のドライバーだった。
【STANDING BY…】
ドライバーから聞こえてきた音声は禍々しい声だった。そして、315のコードを入力し、中央のバックルに装填する。
「…ヘンシン」
【COMPLETE】
白服の男に青いラインがまとわりつくと、次に現れたのは白い仮面ライダーだった。
『仮面ライダーに似ているが…。巧、ありゃなんなんだろうな?』
『知らねぇよ! ドライバーがもう一つあっただなんて、聞いてねぇぞ!』
二人の仮面ライダーも驚きを隠せない。
『ハッハッハ。そうでしょうネ。これは幻のドライバーなのデス。その名もサイガドライバーと言いマス。我々、財団Xが再現したモノなのですヨ。しかしながら、欠点がありましてネ。装着者になるには、自分もオルフェノクにならねば、使いこなすことはできないのデス』
『成る程、それでオルフェノクの王の血を実験に使っていたのか…』
『それだけではないのですがネ…。さぁ、ワタシとダンスでも踊って下さイ!』
サイガとなった男は、二人の仮面ライダーに向かって意気揚々と飛んできた。
『おいおい、空を飛べるのか、アイツは!?』
Xライダーが叫んだ通り、サイガの背中には、飛行ユニットのフライングアタッカーが装備されていた。目にも留まらぬ速さで自分達のいる場所へ迫ってくる。
『なんだ、あのスピード!』
『こんな狭い中でよく飛んでいられるな!』
『面白いでしょウ? こんな武器もあるんですヨ!』
サイガは、フライングアタッカーの装備にあったブースターライフルを起動した。マシンガンのような銃撃が二人の仮面ライダーを襲う。
『させん! ライドル風車返し!』
Xライダーはライドルを高速回転させ、放たれた銃撃を弾き返していく。
『おおっ、素晴らしイ』
『巧、コイツは俺が引き受ける! 今のうちにおまえは影山の陰謀を阻止しろ!』
『でも、神さん一人でアイツに勝つのは…』
『いいから、行け!!』
『………』
ファイズは室内の先にあるドアまで全速力で駆け出した。その様子を見ていたサイガは、フライングアタッカーの出力を上げ、ファイズに迫る。
『ダメですよ? 足止めをするのがワタシの役目なんですカラ!』
『そうはさせん!』
Xライダーはライドルのボタンを押し、形状をスティックからロープへ切り替え、サイガに向かって投擲した。
『グッ!! これは!?』
見事にXライダーの放ったロープがサイガの体に巻きつき、締めつけていく。
『大丈夫だ。俺も仮面ライダーとして、新参者にお灸をしてやらんと気がすまんからな! ハァッ!!』
『グォォォォッ!!!』
ロープに捕まったサイガを地面に叩きつけると、土煙があがった。
『さぁ、今だ!』
『わかったよ。海堂、すまねぇがもう少し休んでろ! ………神さん、死ぬなよ』
『あぁお前もな、俺達が合流するまで頼んだぞ!』