Xライダーとスネークオルフェノクが、巧がいる地下空洞までやってきた。至る所で激しい戦いが繰り広げられており、内部の様子を見ていると、今にも崩れ始めそうだった。
『巧、無事か!』
Xライダーがファイズに呼び掛ける。
『…じ、神さん! こっちに来るなァ!』
巧の声がした方向を向くと、既にファイズはアークオルフェノクに首を捕まれていた。ミシミシと骨が軋む音が聞こえる。
『いかん! ハァッ!!』
Xライダーはライドルを使って、目の前にエックスを描くと浮かび上がったマークを、ライドルで振り抜いた。そして、Xマークは、アークオルフェノクの背中に直撃し爆発する。爆発の衝撃で、ファイズが解放されたのを確認すると、二人は近くに駆け寄った。
『ゲホゲホッ…』
『巧、大丈夫みたいだな』
『…フン、面白い。だが、ダメージなど我には無駄なものよ』
言葉通りアークオルフェノクは、無傷だった。アークオルフェノクをよく見ると、Xライダー達にも腰に小さな装置が装備されているのが判った。
『フフフ、この装置のおかげでな、我は無限にエネルギーを精製できるのだ…』
『装置? まさかそれは…』
Xライダーには、アークオルフェノクが装備した装置に心当たりがあった。それはRS装置と呼ばれるもので、かつてXライダーがGOD機関と死闘を繰り広げた際に生み出されたものだった。ただ、キングダークとの戦いの最中、RS装置が完全に破壊されたのを記憶していた。
『RS装置は、一文字先輩の手で破壊されたはず…』
『甘いな。冴子の記憶では財団Xなる組織がこの装置の小型化に成功し、我に取りつけたという話だったぞ…』
アークオルフェノクは捕食した冴子の記憶から、その言葉を告げた。
『成る程な。それで巧に破れたはずのお前がこうして蘇ったというワケか。ならば、その装置、尚のこと放ってはおけないな!! ライドルホイップ!!』
ライドルのHのボタンを押すと、ライドルの先端が尖り、剣状の武器へと変身した。
『タァッ!!』
Xライダーはピンポイントに小型化したRS装置に狙いをつけ、目にもとまらぬ斬撃を繰りだした。
『何ッ!!? グッ、エネルギーが!!』
Xライダーは見事にRS装置のみを破壊する事に成功した。アークオルフェノクの身体の色が赤から白へと戻っていく。
『今だ、巧!』
『あぁ、言われなくても!』
ファイズはファイズブラスターの中央部のボタンから、103のコードを入力する。
【BLADE MODE】
ファイズブラスターをフォトンブレイカーモードへ変形させると、ブラスターからビーム状の赤い刃を出現させた。
『うおおおおおおりゃぁぁぁぁ!!!』
『グッ…しまっ!!!』
ファイズは最後の力を振り絞り、怯んでいたアークオルフェノクを両断した。
『ぐあぁぁぁぁぁ!!!』
アークオルフェノクの身体は真っ二つに割れ、やがて灰化していった。
『はぁはぁはぁ………』
『やったな、巧。遂にケリをつけたぞ』
『…あぁ、ありがとう神さん。でも、オレだけじゃ、やられてたぜ…』
目の前で完全に消え去ろうとしていたアークオルフェノクを見つめながら、巧は友の事を思いだしていた。
(あの世で見てたか、木場、草加…。ようやく終わったぞ…)
-------------------
戦いから一ヶ月が経過した。巧は一人、浜辺で寝転んでいると、そこへ敬介が近づいてきた。
「巧、また此処にいたのか。おまえあれからずっと海ばかり見ているよな。もしかして、海が好きになったのか?」
「神さんか。あぁ、アンタのおかげでな」
巧は満足そうな顔をしていた。戦いの後、敬介、巧、海堂の三人はオルフェノクの王の血のサンプルを発見し、地下施設もろとも破壊した。
それからすぐに別れたが、海堂はとにかく元気そうだった。約束通り、ご飯もおごってもらった。心地良い気分で、ふと眠気が襲ってくる。もしかしたら、これで自分も本当の意味で死ねるのかもしれない。
でも………。
(…ゴメンな。まだそっちには行けそうに無いみたいだ。俺にはまだ人々の夢を守るって約束が出来ちまったからな…)
目をパチリとあけ、巧は海とそして、青空を見た。
「夢を守る…か」
「急にどうした?」
「いや、独り言だよ」
「そうか。…なぁ巧、今のおまえさんには、やるべき事があるんじゃないのか? たとえばクリーニングの配達とか…」
「………あ、いっけね! 今、配達の途中だった!!」
巧は急いで起ち上がると敬介に背中を向け駆け出した。だが、二、三歩走ったところで立ち止まり振り返る。
「そうだ。神さんに伝えなきゃいけない事があったんだ。もしまた、財団Xみたいな連中が悪さしてる話があるなら、オレも呼んでくれ。借りは返さないとな」
「ん? おまえさんと会った時からそのつもりだぞ、後輩」
「あぁそうかい! そいじゃ、行ってくるよ!」
「行ってこい。………気をつけてな、夢を守る仮面ライダー」
さざ波にかき消されるような小さな声で、敬介はそう呟いた。