双海   作:文月りんと

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新潟県 養護施設内地下空洞/とある海岸


10.双海/11.守人

Xライダーとスネークオルフェノクが、巧がいる地下空洞までやってきた。至る所で激しい戦いが繰り広げられており、内部の様子を見ていると、今にも崩れ始めそうだった。

『巧、無事か!』

Xライダーがファイズに呼び掛ける。

『…じ、神さん! こっちに来るなァ!』

巧の声がした方向を向くと、既にファイズはアークオルフェノクに首を捕まれていた。ミシミシと骨が軋む音が聞こえる。

『いかん! ハァッ!!』

Xライダーはライドルを使って、目の前にエックスを描くと浮かび上がったマークを、ライドルで振り抜いた。そして、Xマークは、アークオルフェノクの背中に直撃し爆発する。爆発の衝撃で、ファイズが解放されたのを確認すると、二人は近くに駆け寄った。

『ゲホゲホッ…』

『巧、大丈夫みたいだな』

『…フン、面白い。だが、ダメージなど我には無駄なものよ』

言葉通りアークオルフェノクは、無傷だった。アークオルフェノクをよく見ると、Xライダー達にも腰に小さな装置が装備されているのが判った。

『フフフ、この装置のおかげでな、我は無限にエネルギーを精製できるのだ…』

『装置? まさかそれは…』

Xライダーには、アークオルフェノクが装備した装置に心当たりがあった。それはRS装置と呼ばれるもので、かつてXライダーがGOD機関と死闘を繰り広げた際に生み出されたものだった。ただ、キングダークとの戦いの最中、RS装置が完全に破壊されたのを記憶していた。

『RS装置は、一文字先輩の手で破壊されたはず…』

『甘いな。冴子の記憶では財団Xなる組織がこの装置の小型化に成功し、我に取りつけたという話だったぞ…』

アークオルフェノクは捕食した冴子の記憶から、その言葉を告げた。

『成る程な。それで巧に破れたはずのお前がこうして蘇ったというワケか。ならば、その装置、尚のこと放ってはおけないな!! ライドルホイップ!!』

ライドルのHのボタンを押すと、ライドルの先端が尖り、剣状の武器へと変身した。

『タァッ!!』

Xライダーはピンポイントに小型化したRS装置に狙いをつけ、目にもとまらぬ斬撃を繰りだした。

『何ッ!!? グッ、エネルギーが!!』

Xライダーは見事にRS装置のみを破壊する事に成功した。アークオルフェノクの身体の色が赤から白へと戻っていく。

『今だ、巧!』

『あぁ、言われなくても!』

ファイズはファイズブラスターの中央部のボタンから、103のコードを入力する。

【BLADE MODE】

ファイズブラスターをフォトンブレイカーモードへ変形させると、ブラスターからビーム状の赤い刃を出現させた。

『うおおおおおおりゃぁぁぁぁ!!!』

『グッ…しまっ!!!』

ファイズは最後の力を振り絞り、怯んでいたアークオルフェノクを両断した。

『ぐあぁぁぁぁぁ!!!』

アークオルフェノクの身体は真っ二つに割れ、やがて灰化していった。

『はぁはぁはぁ………』

『やったな、巧。遂にケリをつけたぞ』

『…あぁ、ありがとう神さん。でも、オレだけじゃ、やられてたぜ…』

目の前で完全に消え去ろうとしていたアークオルフェノクを見つめながら、巧は友の事を思いだしていた。

(あの世で見てたか、木場、草加…。ようやく終わったぞ…) 

 

-------------------

 

戦いから一ヶ月が経過した。巧は一人、浜辺で寝転んでいると、そこへ敬介が近づいてきた。

「巧、また此処にいたのか。おまえあれからずっと海ばかり見ているよな。もしかして、海が好きになったのか?」

「神さんか。あぁ、アンタのおかげでな」

巧は満足そうな顔をしていた。戦いの後、敬介、巧、海堂の三人はオルフェノクの王の血のサンプルを発見し、地下施設もろとも破壊した。

それからすぐに別れたが、海堂はとにかく元気そうだった。約束通り、ご飯もおごってもらった。心地良い気分で、ふと眠気が襲ってくる。もしかしたら、これで自分も本当の意味で死ねるのかもしれない。

でも………。

(…ゴメンな。まだそっちには行けそうに無いみたいだ。俺にはまだ人々の夢を守るって約束が出来ちまったからな…)

目をパチリとあけ、巧は海とそして、青空を見た。

「夢を守る…か」

「急にどうした?」

「いや、独り言だよ」

「そうか。…なぁ巧、今のおまえさんには、やるべき事があるんじゃないのか? たとえばクリーニングの配達とか…」

「………あ、いっけね! 今、配達の途中だった!!」

巧は急いで起ち上がると敬介に背中を向け駆け出した。だが、二、三歩走ったところで立ち止まり振り返る。

「そうだ。神さんに伝えなきゃいけない事があったんだ。もしまた、財団Xみたいな連中が悪さしてる話があるなら、オレも呼んでくれ。借りは返さないとな」

「ん? おまえさんと会った時からそのつもりだぞ、後輩」

「あぁそうかい! そいじゃ、行ってくるよ!」

「行ってこい。………気をつけてな、夢を守る仮面ライダー」

さざ波にかき消されるような小さな声で、敬介はそう呟いた。 

 

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