ライダーマンによって助け出された剣崎は、周りを見渡す。
自分が捕らえられていた場所は研究所のようだった。辺りを見渡すとそこかしこで戦闘が繰り広げられた後がある。どうやら怪人達とも戦闘したような形跡があった。おそらく目の前のライダーマンとの戦闘で発生したものだろう。
「剣崎! 無事か!」
聞き覚えのある声がライダーマンの後ろから聞こえる。
「か、烏丸所長! どうして此所に?」
「今は所長じゃないさ。君を捜していたんだ。君を捜す時に役に立つと思って、新たに開発した君限定のアンデットサーチャーを持ってきていてね。試作段階だから、まだ範囲は制限されるんだが、無事見つかって本当によかった」
烏丸は小型端末のような形の装置を見せびらかす。どうやらこの装置によって、自分を見つけることが出来たようだ。
『その手錠は、すぐに破壊してしまおう。ちょっとじっとしていてくれ。
メカニカルアーム!』
ライダーマンはそう告げると、右手の肘に何かカードリッジを突き刺し、腕の形状を変化させた。
『すぐに終わらせる。ジッとしててくれ』
メカニカルアームの先端に小さな機器が装備されており、その機器が剣崎の手足にある手錠へ伸びていく。すると、ものの数秒で壊れてしまった。
「すげぇ…」
『さぁ、急ごう。此所に長居していると…』
ギチギチと虫の口をこすり合わせた音が聞こえてきた。
『いかん、ヤツラだ!』
剣崎や烏丸には見覚えのあるダークローチがそこにいた。相変わらず何体も同時に出現しており、嫌でも昔の出来事を思い出す。
「今度はダークローチ!?」
「剣崎、コレを使ってくれ!」
烏丸が持っていたジュラルミンケースを剣崎へ放り投げる。剣崎はケースを受け取ると、その場で開いた。
「これはブレイバックルにスペードのラウズカード、ラウズアブソーバーまである! すげぇ、一式揃ってるじゃないですか!」
『今の君にはそれが必要だろうと思ってね。準備をしておいた』
「よおしっ、これなら!」
剣崎は腰にブレイバックルを置くと赤いベルトが出現し、腰に巻き付けられていく。
「変身ッ!」
【Turn Up】
ブレイバックルの中央が回転し、スペードのマークが出現した。またバックルから出現した青色のスペードマークに向かって、剣崎が飛び込む。次の瞬間、剣崎の姿は仮面ライダーブレイドへと変身した。
『ライダーマン、ここはオレに任せて下さい!』
『了解だ。さぁ、烏丸さんこちらへ』
ブレイドはすぐさま、手に持っていたブレイラウザーから二枚のカードを取り出すと、カードリーダーに連続で滑らせていく。
【SLASH】
【THUNDER】
ブレイラウザーに雷鳴が走る。
【ライトニングスラッシュ】
『ウェェェェェェイ!!』
自身も電流を帯びながら、ブレイドはダークローチに斬りかかっていく。
『ギャアアアアアッッツ!!』
ブレイドは、目にも留まらぬ速さで全てのダークローチを葬っていった。
『さぁ、急ぎましょう!』
『剣崎君、いけませんよ。その牢から出ては…』
また背後から天王路の声が聞こえた。振り返ると、天王路は既にケルベロスカノーネとなっていた。
『しかも、忌々しいライダーシステムまで身にまとっているとはね』
『天王路!』
ブレイドはケルベロスカノーネを睨みつける。
「天王路だと? 彼は君達に敗れ、いなくなったはずじゃなかったのか?」
『ええ、そうなんですが…』
ブレイドの言葉に、烏丸も驚きを隠せない。
『今、剣崎君に逃げられては計画が水の泡になってしまうのだよ。不死の存在アンデット、その力を利用して我々は次のステージへ登る準備をしているのだから』
『我々? やはりお前達のバックにいるのは財団Xのようだな』
そう言いながら、ライダーマンもメカニカルアームを解除している。
『天王路、難民キャンプのみんなをどうしたんだ!』
『あぁ、彼らならもうすぐ消える。今まさにこの施設で【石】の素材になっている途中なのだよ。あと、何人残っているかな? 君の知っている人間は…』
ケルベロスカノーネが手を掲げると先日、天王路が身につけていた指輪よりも、大きな結晶の指輪が身につけられていた。
『ふざけるな、そんなことはさせない!!』
ブレイドはブレイラウザーにラウズカードをスラッシュする。
【TACKLE】
ブレイドの身体が赤くなって、ケルベロスカノーネに突撃していく。
『ウェェェェイ!!!』
しかし、ケルベロスカノーネに裏拳を放たれ、ブレイドは近くの壁へ激突した。
『ちくしょう…』
『やれやれ。剣崎君。その程度で私を止める気なのかね? 笑わせないでくれ』
『剣崎君、焦ってはダメだ』
ライダーマンがブレイドの肩を掴むと耳元で告げた。
『君は今、キングフォームになれるか?』
『!? は、はい。多分なれると思います』
『よし。なら、私が時間を稼ぐから、その間にキングフォームへ』
『了解!』
こそこそと相談している二人を確認したケルベロスカノーネは、砲撃態勢へ移行するべく、チャージを始めた。
『君たち、そういう相談はもっと隠れてするものではないのかね? まる聞こえというのも芸が無いではないか』
『剣崎君、頼んだぞ! 烏丸さんは私の後ろへ! アレを使います!』
「アレか! わ、わかった!」
ライダーマンがそう叫ぶと烏丸は急いで、ライダーマンの後ろへ向かった。
『遅い、時間切れだ』
発射のチャージが溜まったのか、ケルベロスカノーネはあの攻撃を発射する。
その時……。
『シールドアームッ!!!』
ライダーマンの叫びと共に変形した右手が輝き出す。
『何ッ!?』
次の瞬間、ケルベロスカノーネは光の鎖によって、縛られていた。砲撃も不発に終わっていた。
『馬鹿な! 一体、何が起きた!?』
無理に動こうとすると身体が締めつけられ、身動きが取れない。正にシールドという名のごとく、ケルベロスを封印しているようにもみえた。
『今、私が装備しているのは対アンデット用に開発された特殊兵装だ。試験無しの一発勝負だったが、成功したようだな!』
『ぐっ! この鎖は封印用のカードと同じ効果だとでもいうのか!?』
『さぁ、剣崎君、今度は君の番だ!』
『応ッ!! キング、また力を貸してもらうぞ!!』
そう告げると、ブレイドの左腕に装備したラウズアブソーバーには既にスペードのQのカードが装填されていた。続けて、ブレイドはブレイラウザ―にKのカードを読み取らせた。
【EVOLUTION KING】
ブレイドの身体をスペードのカードが包んでいく。金色の身体となった仮面ライダーブレイドキングフォームがそこに立っていた。
『力が…力がみなぎる!! いくぞ! ケルベロスカノーネ!』
ブレイドキングフォームは、五枚のカードをキングラウザーのカードリーダーへと滑らせていく。
【SPADE TEN】
【SPADE JACK】
【SPADE QWEEN】
【SPADE KING】
【SPADE ACE】
【ロイヤルストレートフラッシュ】
ブレイドは目にも止まらぬ速さでケルベロスカノーネに向かって突撃していった。
『ハァァァァッ! ウェェェェイ!!!!』
光の一閃が見事にケルベロスカノーネに直撃する。
『グゥッ! 馬鹿な…この私が破れるだと…。フフフッ、まだだ、計画は続いている。私はあくまでも駒の一つでしかないのだから…フフフフフ…ハハハハッ!!』
斬撃をお見舞いされたケルベロスカノーネは、不気味な笑い声を響かせて爆散した。
『…天王路。アンタがまた甦る事があったなら、次もオレが地獄へ送り返してやるぞ』