時刻は19時。防空棲姫になってから5日目になるのだが、未だに夢ではないかと疑う自分がいる。
私は港湾棲姫と離島棲鬼が捕らわれている佐世保鎮守府に向かう事になった。
作戦は佐世保鎮守府付近の砂浜まで近づき、艦娘に変装した私を遠征から帰投する艦隊に発見してもらい、鎮守府内に潜入する。
そして佐世保鎮守府内に捕らわれている2人を見つけ出し、救助する。これが今回の作戦内容だ。
泊地から、いくつかの潜入任務で必要な道具と、地上での生活には欠かせない物が入ったバッグを渡されたが、道具に関してはどれもどんな仕組みでそんな効果を出しているのか分からないような物ばかりだった。
極めつけは私が今着ているこの服である。
私が今着ている黒と灰色の柄の迷彩服。泊地はこの迷彩服をスピリッドと名付けているらしい。夜間では周りの景色に溶け込み、姿を隠す事ができる。
近接戦で相手を拘束する事によって相手からスタミナを奪う事ができるらしい。そして足音、着水音などを消す事ができるらしい。
制作したのは人間の作ったゲームにどハマりした集積地棲姫らしい。
次に秋月型の制服。服単体では効果がないが、私が普段付けている艤装と組み合わさる事で、艤装の姿が秋月型の艤装のように見えるようになる。
いったいどのような仕組みでスタミナを奪うのか、どうして秋月型の艤装に見えるようになるのかは分からないが、妖精のいる艦これの世界なので不思議ではないと考えた。
佐世保鎮守府はここから10時間掛かる距離で、6時半に遠征部隊が鎮守府に帰投するので、それまでには砂浜に到着しなければいけない。
泊地の基地から出撃してから10時間経ち、時刻は5時になると、佐世保鎮守府と隣接している砂浜に到着した。空はまだまだ暗く、人影は一つもない。
ここまでは作戦通りだが、次が問題だ。スピリッドの迷彩服から秋月型の制服に着替えなければいけない。
そう、ここで。
いくら人が居ないとはいえ、流石に恥ずかしい。これではまるで露出狂だ。
人に見られない事を祈りながら、急いで制服に着替える。
10分後、なんとか見られる事なく着替え終えた。そしてどこからか流れ着いたように見られるように制服を砲撃によってボロボロになったように炎で制服を焦がし、破いていく。
6時になり、ボロボロになった制服を身に着け、艦娘がやってくるまで砂浜に倒れていることに。
「……?ねぇ、砂浜に誰か倒れてない?」
「ん…ああ、倒れてるな」
「菊月…なんでそんなに冷静なの…?」
遠征から帰投した望月、菊月、三日月は、ドラム缶を引き連れながら砂浜に倒れている人に近づく。
「この人・・・秋月型の制服を着ているけど、もしかしたら照月の知り合いかも…」
「その可能性はあるな。三日月、資材を運ぶのを頼めるか?私と望月はこの人をドックに運ぶ」
「分かったわ、頼んだわよ」
……しまった…どうやら寝てしまったようだ。
けど…なんだか体が温かい…
「……ここは…」
目を開くと、アニメで見たことのあるお風呂のような修理ドックに入っていた。どうやらここは佐世保鎮守府のドックらしい。
「お、目が覚めたか」
すると、隣から声が聞こえてくる。白髪に黒い制服に着ている駆逐艦がこちらにやってきた。
「私が菊月だ、共にゆこう。あんたは?」
「私…私は秋月。秋月型防空駆逐艦、一番艦、秋月」
「秋月か、ここは佐世保鎮守府のドック、砂浜で倒れているところを見つけてな、ここまで運んで来た」
「そう…ありがとうございます」
「そうだ、司令官が秋月に会ってみたいらしい。ドックの前で待っている。着替え終わったら案内する」
そういうと、菊月はドックを後にした。