新タナ私ハ防空棲姫   作:深海提督

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姉妹艦ト演習

「…秋月姉…本当に秋月姉なの…?」

 

部屋の中で私の姿を見て立ち竦んでいる1人の艦娘、照月はそう言った。

 

「ええ、正真正銘、あなた達の姉よ」

 

すると、照月の目が潤み始め、竦んでいた足を動かし、ゆっくりと私に近づいてくると

 

「…秋月姉…秋月姉ーっ!!」

 

私の体を強く抱き締め、胸に顔を埋めながら涙を流し始めた。

 

一体何があったのか、照月を撫でながらこの部屋に居るもう1人の艦娘、初月に声を掛けた。

 

「…初月、私が来る前にはこの鎮守府に秋月は居たのかしら?」

 

「…居なかった。4年間、この鎮守府には秋月型は僕と照月姉さんしか着任する事はなかった…」

 

「そう…」

 

どうやら照月と初月の姉である秋月の存在自体は4年前からあったらしいが、何故か何処の鎮守府にも秋月が着任する事がなく、姉妹艦である2人は寂しい思いをしていたようだ。

 

4年間もどこかに居るはずの姉に会えないで、家族のような人が妹である初月しか居なかったと思うと、少し悲しくなってきた。

 

「…照月、私も会えて嬉しいわ…」

 

「秋月姉ぇ…秋月姉ぇ…」

 

すると、私と私を抱き締めている照月の姿を、初月は見詰めていた。

 

「…初月もおいで?」

 

「っ…姉さん……」

 

1人で少し寂しそうだった初月を来るように誘うと、嬉しそうに背中に抱きついてきた。

 

人間の頃の私は一人っ子だったから分からなかったけど、こんなにも身近に自分を信頼して、必要としてくれる人がいるのは、とても嬉しい事なんだと感じる事ができた。

 

「…よかったな…照月、初月…」

 

そんな私達を見て、空気を読んでくれたのか、菊月は静かに部屋から去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

30分後

 

「秋月姉…むにゃむにゃ……」

 

「秋月姉さん……」

 

気が付くと、照月と初月が私を抱き締めたまま寝てしまった。

 

泣き疲れたのか、それとも姉との再会に安心したのか…

 

「…仕方ない妹ね」

 

私は寝てしまった2人をベッドに寝かせ、部屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

部屋を離れた私は、鎮守府内にある資料室の中に居た。

 

資料室の中はいくつも本棚と椅子とテーブルが置かれており、市民図書館のような内装をしていた。

 

本棚の中は、艦娘の種類や装備、深海棲艦についてなどの、戦闘についての資料で埋め尽くされている。

 

私は真面目に勉強しに来た訳じゃない、知りたい事があるのだ。

 

知りたい事とは、私が防空棲姫として生まれる前に現れた深海棲艦についてだ。

 

もしも私が提督をしていた時通りなら、防空棲姫の情報やそれ以降に出現した深海棲艦の情報が載っているはずだと考えていた。

 

しかし、私の考えは意外な結果で裏切られる事になった。

 

深海棲艦についての資料を見て回った結果、防空棲姫以降の深海棲艦はゲーム通り現れ、情報が載っているのだが…

 

防空棲姫と防空埋護姫についての情報が何一つ載っていなかった。

 

どうして防空棲姫と防空埋護姫についての情報が無いんだと思いながらも、もう一度全ての資料を確認したが、やはり見つからなかった。

 

一体この世界には何が起きているのかと考えていると、アナウンスから天龍型の二番艦である龍田の声が聞こえてくる。

 

「秋月さん、至急執務室に来てくださ〜い。提督がお呼びですよ〜」

 

私は読み漁っていた資料を急いでしまうと、注意されない程度に執務室に向かって走っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

呼び出しから1分掛けないで部屋の前まで行くと、走って荒くなった呼吸を整え、ノックをすると、執務室の中に入っていった。

 

「失礼します。提督、お呼びでしょうか?」

 

「ああ、いきなり呼び出してすまない」

 

提督が何か忙しそうにテーブル上の書類を整理しながら私に返事を返すと、提督は2つの資料を渡してきた。

 

1つは艦娘が行う演習について、詳しくルールが書かれた本、2つ目は海軍大演習と書かれた資料だった。

 

「提督、この資料と本は…」

 

「実は近々大規模な演習があってだな、それに出場する艦娘を決める為に、秋月には今から演習を行ってもらいたい」

 

「え、演習ですか!?一応…私は別に構いませんが…」

 

「すまない、こちらに来て初日にそんな話を始めてしまって」

 

「いえ…いいんですよ。これなら所属の分からない私を保護してくれた恩を返せるので」

 

「ありがとう…さて、早速だが、演習は今から二時間後に行われる。秋月は照月と初月の2人と組んでもらう。相手は空母の飛龍と瑞鳳の2人だ」

 

「分かりました、それでは演習までに準備をしておきます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

演習の準備の為に2人を起こそうと部屋の扉を開けると、そこには照ベッドで気持ちよさそうに寝ている照月の姿が。

 

「んー…むにゃむにゃ…もうお腹いっぱい……」

 

一方初月は静かに眠っていた。

 

「すぅ…すぅ……」

 

これは照月を起こすのは少し苦労しそうだなと思うと最初は初月を起こし始めた。

 

「初月、起きなさい。」

 

「ん…秋月姉さん…おはよう……」

 

「二時間後に演習があるから準備しなさい」

 

「分かった…」

 

「照月も起きなさい」

 

「んにゅ…秋月姉…?どうしたの…?」

 

「二時間後に演習があるから、準備しておいて」

 

「えぇ…まだ眠い……」

 

「私も一緒だから…ね?」

 

「本当!?分かった!」

 

急にやる気になったわね…そんなに私と居るのが嬉しいのかしら……

 

 

 

 

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