進水してから10分後、私はふと思った。
艤装はどうやって出すかだ。
艦娘はアニメのように装着すると思うが、私は深海棲艦だ。艦娘のように艤装が用意されているはずはない。だとすれば…
「艤装……装着……」
ガコンッ……
言葉に反応したのか、背後から一瞬にして艤装が現れ、装着された。
その時、私の頭の中にとある宇宙刑事がよぎった。
艤装は見た目とは裏腹に、リュックに国語辞典を2冊くらい入れた位の重さだった。
主砲は4inch連装両用砲+CICが二門、対空電探が一つ付いている。やはりイベント時に防空棲姫に装備された艤装と全く同じだった
ピコンッ……ピコンッ……
すると、対空電探に幾つもの赤く光る小さな光点が現れた。どうやら艦娘達の艦載機らしい。
耳を澄ますと微かにプロペラ音が聞こえてきた。しかし1つ、また1つと、プロペラ音が増えていき、音だけで確認出来なくなると、電探に表示された光点を確認しながらと、警戒態勢になる。
10機…20機…と数が増えていき、そして、ちらりと表示された数を確認すると、約50個ほどの赤い光点が電探に表示されていた。
そして、青い空に浮かぶ大きな積乱雲を眺めると、約50機もの艦載機がこちらの方へ向かってきていた。
展開した艤装を確認し、主砲に弾を込めると、ゆっくりと砲口を艦載機に向けていく。
「…馬鹿ナヤツネ……」
砲撃の知識は無いに等しいが、高度を保って接近してくる艦載機にそれとなく狙いを付けると…
「4inch連装両用砲…撃テェー!!」
二門の主砲から放たれた砲弾が艦載機にめり込むように機体に入ってくると、大きな爆発を上げ、多くの艦載機が巻き込まれていった。
そして、空にあれほど飛んでいた艦載機が一機も残らず、虫のように海面に落ちていった。
(マァ…コンナモンカネ……)
初めての砲撃の余韻に浸っていると、かなり離れた場所に居る艦娘の艦隊がこちらに近づいてくる姿がうっすらと確認できた。
赤城「!?」
吹雪「赤城さん…?どうかしましたか?」
赤城「…先程発艦した艦載機が全機撃墜されました…」
吹雪「え!?全機ですか!?」
加賀「……こちらもダメです…」
摩耶「なっ…!?加賀さんの方もかよ…っ!!」
加賀「…どうやら送られてきた情報だと、一隻の深海棲艦が撃墜したらしいわ…」
摩耶「一隻だって!?何かの冗談だろ!?」
吹雪「赤城さん…どうしましょう…はぐれた睦月ちゃんと夕立ちゃんを置いて撤退する訳には…」
赤城「……敵艦、発見です」
赤城の見つめる先には、一隻の深海棲艦がこちらを見つめていた。
摩耶「チッ…!!あの深海棲艦か!!」
加賀「赤城さん、どうしますか…」
赤城「……」
吹雪「赤城さん、私があの深海棲艦を引きつけます。赤城さん達はその隙に睦月ちゃんと夕立ちゃんを探してください!!」
赤城「吹雪さん!?そんな無茶です…!!」
摩耶「待ってくれよ赤城さん、私と吹雪があの深海棲艦を引きつける…」
赤城「摩耶さん…!?」
加賀「……赤城さん、信じてあげてもいいんじゃないかしら?」
赤城「加賀さんまで…」
吹雪「お願いします!!」
赤城「……分かりました。2人の事は私と加賀さんに任せてください」
吹雪「ありがとうございます!!」
摩耶「よしっ!!それじゃあ…行くぜ、吹雪!!」
吹雪「はい!!」
そして、2隻の艦娘は、未知の深海棲艦に挑みに行った……