新タナ私ハ防空棲姫   作:深海提督

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駆逐艦ノ名ヲ借リタ化ケ物

秋月として活動し始めてから数時間、いきなり佐世保鎮守府の提督から演習をするように言われた。

 

相手は正規空母の蒼龍と軽空母の瑞鳳だ。

 

こちらは私と照月、初月の3隻だが正直私1人で充分だけど、そんな事を言って少しでも暴れたら怪しまれてしまう。

 

「秋月姉、そろそろ出撃するよー」

 

「了解、初月は大丈夫?」

 

「ああ、問題ない」

 

「それじゃあ、私が先行するわ。付いてきなさい」

 

ゆっくりとタービンの回転数を上げ、前進する。

 

「防空駆逐艦秋月、出撃します!」

 

「同じく防空駆逐艦照月、抜錨!!」

 

「初月、出撃するぞ!!」

 

 

 

 

ヒトマルマルマル

 

今日は雲一つない晴れ晴れとした空が広がり、海も穏やかで絶好の運動日和になっていた。

 

そんな平和そのものの海の上を三隻の艦娘が海面を走るように進んで行った。

 

そして出撃してから数分が経つと、何処からかプロペラ音が聞こえてくる。

 

普段なら電探を使って何処から艦載機がやって来るのかを調べるのだが、今回はその必要はない。

 

何故なら、空を見上げると九六式艦戦が群れを成して私達に向かって来ていたからだ。

 

「秋月姉!艦載機がやってきたよ!」

 

「対空射撃、よーい!」

 

「待ちなさい」

 

10cm高角砲を艦載機に向けている2人を止める。

 

「今回の対空砲撃、私1人でやらせてくれないかしら?」

 

「え?まぁ…私は構わないけど…」

 

「僕も構わないけど、撃ち漏らしがあったら撃たせてもらうさ」

 

「ありがとう、それじゃあ…少し離れなさい」

 

そう言って2人を少し離れた位置に移動させると、4inch連装両用砲を携えて艦載機の方へと向かって行った。

 

ちなみに私の禍々しい艤装は、秋月型の制服に搭載された特殊な機能のお陰で他人には普通の連装砲ちゃんにしか見えない。

 

2人が離れ、艤装の動作チェックを済ませると、4inch連装両用砲を艦載機の群れに狙いを定めた。

 

「それじゃあ…対空戦闘用意…4inch連装両用砲…薙ギ払エ…!!」

 

大きな砲撃音が響き渡り、砲弾が艦載機に向かっていくと、砲弾は散弾のように一斉に散らばり始めた。

 

一機、また一機と撃墜していき、1つは艦載機の爆発に巻き込まれ、1つは黒煙を出しながら燃えいき、1つはシャボン玉が割れたように空中でバラバラになっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…!?……蒼龍さん!!」

 

「…もしかして瑞鳳も…!?」

 

「はい…全機…撃墜されました…」

 

「こっちもよ…」

 

「…どうします?」

 

「そうねぇ…」

 

離れた位置で困り果てている空母2人を尻目に妹2人は私の側に戻り、カッコイイものを見た子供のように無邪気にはしゃいでいた。

 

「秋月姉すごーい!」

 

「まさかあの数の艦載機を撃墜するなんて…やはり姉さんは防空駆逐艦の誇りだ」

 

「フフ…それ程でも…」

 

やはり空母二隻程度なら全て撃墜する事ができるようだ。

 

しかし、まだ気になる事が残っている。

 

「…照月、演習だから別に砲撃しても構わないんでしょ?」

 

「え?まぁそうだけど…」

 

「…照月、少し砲撃してくるわね」

 

「え!?ちょっと秋月姉!?」

 

私は自分の性能を確かめる為に、飛龍と瑞鳳に接近していく。

 

 

 

 

ポーン……ポーン……

 

空母の2人がいるであろう方角に進んでいくと、深海水上レーダーに2つの点が現れた。

 

確認の為に提督から支給された双眼鏡を覗くと、演習相手である蒼龍と瑞鳳が居た。どうやらまだ改二にはなってない様子。

 

「さて…」

 

戦闘で重要になってくるのは、自分の攻撃が届くかどうかだ。

 

泊地を救助した時は接近しながら砲撃していたので、自分の攻撃射程などを考えていなかった。

 

そんな不安要素である射程を確かめるなら今だと思うと、照準を飛龍に合わせる。

 

「4inch連装両用砲…撃テッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ!?い、今の砲撃音は!?」

 

「大和クラスの砲撃音でしたけど…ッ!!蒼龍さん避けて!!」

 

「へ?」

 

次の瞬間、蒼龍は今まで味わった事のない痛みと衝撃に襲われた。

 

「キャーッ!!」

 

「蒼龍さーん!!」

 

「着弾確認……」

 

蒼龍に着弾したのを確認すると、蒼龍の元に寄る。

 

沈んでしまっては困るのでかなり手加減したが、調整が難しく大破まで追い込んでしまった。

 

「大丈夫ですか?」

 

「秋月…もしかして…今の砲撃……」

 

「ええ、勿論手加減はさせてもらいました」

 

「えぇ…本当に貴女が…ガクッ」

 

すると蒼龍は、あまりの衝撃で気絶してしまった。

 

「あらら…瑞鳳さん、手伝ってください」

 

「はっ、はい!!」

 

1回の砲撃で正規空母を大破まで追い込む実力のせいか、思わず敬語になってしまう瑞鳳。

 

私は通信機を近づけると、照月に連絡する。

 

「照月、先に帰投してドックを空けるように伝えといて。私達は少し遅れるから」

 

「…?分かった、初月と伝えてくるね」

 

「…あっ、あの、貴女…本当に駆逐艦なの…?」

 

通信が切れると、蒼龍の反対側の肩を組んでいる瑞鳳が問い掛けてきた。

 

「ええ、歴とした駆逐艦ですよ?」

 

「それなのにあの火力…」

 

「一撃の威力が高い駆逐艦はソロモンの悪夢以外にもいるじゃないですか。夕立や綾波の砲撃以外は魚雷カットインですけど」

 

(ソロモンの悪夢と比べても圧倒的に貴女の方が高いけど!?)

 

「ふふ…そんな事ないですよ?」

 

「心が読まれてる!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…どうしてこうなった……」

 

提督が見たのは、演習から帰って来た秋月と瑞鳳、大破した蒼龍だった。

 

「すみません、私がやってしまいました」

 

「秋月が…?瑞鳳、後で照月と戦果報告を頼む」

 

「あっ、はい…」

 

「結果次第では秋月を編成に組み込む事にするかもしれん…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、結果はどうだったんだ?」

 

「はい。私と蒼龍さんが放った艦載機が全機撃墜されました」

 

「しかも対空砲火をしたのは秋月1人で…」

 

「1人で…?照月と初月は何もしていないのか?」

 

「はい…その後一人で飛龍さんの所に向かったと思ったら、蒼龍さんを抱えて帰って来たんです」

 

「……これは期待できるぞ…」

 

 

 

 

 

 

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