「それじゃあ、おやすみなさい。」
「おやすみなさーい♪」
「すぅ…すぅ…」
歓迎会を終えて身支度を済ませると、時刻は23時を迎え、駆逐艦達の消灯時間になる。
鎮守府内でのルールは菊月から鎮守府を案内してもらった時に色々教えてもらった。
どうやらこの鎮守府は健康上には気をつけているようだ。
とても港湾と離島を捕らえているようには見えないが、やはり優しい奴には裏があるのだろうか。
さて、照月と初月が寝たことだし…
「サァ……捜索開始ヨ」
泊地から渡された道具が入っているバッグを取り出すと、スピリット迷彩とは違う服を取り出す。
そして、一瞬顔が固まった。
取り出した服をまじまじと見ると、顔が赤くなる。
「ドウシテ…コンナ恥ズカシイ服ナンテ持ッテルノヨ…」
そこには、アニメでしか見た事ない黒いラバースーツが入っていた。
スパイといえばラバースーツだと言って泊地がこっそりが、かなりいやらしい。
(泊地…帰ッタラ覚悟シナサイ……)
…と心の中で言ってみたのだが
「アラ…?意外ト…悪クナイワネ…」
体にぴったりとしているお陰か、体を隠しやすく、動きやすくなっていて思いのほか快適だった。
しかし欠点があるとすれば…胸が強調される所だ。これは恥ずかしい…
まぁ…見つからない限りは誰かに見られるわけでもないから…
「見ツカラナキャイイダケヨネ…」
自分を無理やり納得させると、バッグから薄い何かを取り出した。
取り出した物は仮面だった。持った感じは軽く、仮面に罅の模様が入っており、その上にボタンとそれを繋ぐ紐が飾られている。
この仮面を見たとき、何故か定規にコンパスを付けた凶器で人を傷つける自分の姿が頭によぎった。
私はこの仮面を人間の時によく見ていた物だった。イベント海域攻略中、入渠を待っている間にやっていたゲームのキャラクターが付けていた仮面だ。
記憶が正しければスージーという名前の殺人鬼だった。
どうしてこの仮面を泊地が持っているのか分からないが、悩むだけ無駄だった。
仮面を装着すると、穴が開いてる訳でもないのに前がよく見える。やはり深海の謎のハイテク技術…
仮面を付けたまま鏡を見ると、少し怖くなってきた。こんなのに夜出遭ったらトラウマになるレベルだ。
準備を済ませると、照月と初月を起こさないように部屋を出た。
廊下に出るとやはり誰も居なく、静まり返っている。電気は一切点いてなく、窓から差し込む月の光だけが廊下を照らしていた。
コツッ……コツッ……コツッ……
駆逐艦寮中に足音が響くが、返ってくるのは静寂ばかりだ。
そんな時だった。
コツッ…コツッ…コツッ…コツッ…
自分以外の足音が聞こえてきたのだ。どうやら2人居るらしい。
「暁ちゃん、早く前に進んでほしいのです…」
「しっ仕方ないじゃない…何故か足が震えているんだから!」
この話し声、どうやら暁型の暁と電らしい。
やはりまだ幼い2人にとっては暗い廊下はまだまだ怖いらしい。
その時、私の悪戯心に火が付いた。