新タナ私ハ防空棲姫   作:深海提督

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鎮守府ノ秘密

「あ…暁ちゃん…トイレはそっちじゃないですよ…?」

 

「しっ知ってるわよ!ただ向こうが気になっただけよ!」

 

梁の上に乗り、移動すると、暁と電の姿が確認できた。どうやらトイレらしい。

 

トイレはここから100m離れており、それまでの道に他の艦娘の部屋がないので人気が一切無い。

 

トイレから離れている部屋の艦娘達は基本消灯時間になる前に行くのだが、歓迎会ではしゃいだせいか、消灯時間までの感覚が鈍っていた。

 

 

 

 

 

 

ギィィィィ……

 

 

 

 

 

 

一歩、また一歩と足を踏み出すと床が軋み、ギシギシという音が廊下に響く。

 

佐世保鎮守府が建設されてから130年以上経っており、何度か改装や補修をされているが、ここの床はいつも軋んでしまうらしい。

 

「うぅ…怖いのです…」

 

「だっ、だらしないわね!これくらいで怖がっていたら立派なレディーになれないわよ!」

 

トイレに近づくに連れ窓が少なくなり、いよいよトイレが見えてきたと思ったら、窓がトイレの前にしか無くなっていた。

 

トイレより先は真っ暗になっており、かなり近づかないと奥に見えない程であった。

 

さて、そろそろ脅かしてやろう。

 

トイレの先まで行くと、音を出さないように梁から降り、暁と雷にゆっくりと近づいていく。

 

 

 

 

 

 

「…あれ……暁ちゃん、トイレの奥に誰か居るのです。」

 

「ほっ本当!?よかったぁ…」

 

安心したのか、トイレに向かう足取りが軽くなる。

 

しかしその安心感は、すぐに恐怖に変わることになった。

 

ゆっくりと近づいてくるその人影は、全身が黒く、顔には目や口などのパーツが無かった。

 

その不気味な姿を見た暁は一瞬の内に悟った。

 

殺される

 

「いっ………嫌ーっ!!!!!!!」

 

暁が電の手を引っ張り、走り出すと全速力で部屋に向かっていった。

 

「嫌ーっ!!!!!!!」

 

「フフフ……アハハハハハハッ!!」

 

あまりにもいいリアクションをするので、思わず笑ってしまう。

 

そして、全速力で走って追いかけて行く。

 

「来ないでーっ!!」

 

暁の悲鳴は鎮守府中に響き渡り、眠りについていた艦娘や提督も思わず驚いてしまう程だった。

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…はぁ…はぁ…」

 

「いっ…一体何だったのです…?」

 

「私が知りたいくらいよ!」

 

部屋に戻り急いで扉に鍵をかけると、荒くなった息を落ち着かせる。

 

「あんなのが出るなんて聞いてないわよ!?」

 

「あ、あのお化けの事を青葉さんに伝えて新聞特集で採用されれば間宮さんの餡蜜無料券が貰えるのです!」

 

「なんで急にポジティブになるのよ!」

 

「それよりも暁ちゃん…」

 

「何よ!?」

 

「床が濡れてるのです…」

 

部屋の床を見てみると、ポツポツと水滴が暁の走ってきた道筋に落ちており、水滴は暁の下半身から出ていた。

 

「あっ…ああ………」

 

そして暁は、思わず座り込んでしまった。

 

(ヤバイ…凄イ楽シイ…)

 

思わず笑ってしまい、梁の上に登った後もくすくす笑っていた。

 

(オット…イケナイイケナイ…仕事ヲ忘レル所ダッタ…)

 

すぐさま我に返り、気持ちを仕事モードに切り替えると、提督が廊下を歩いている姿を確認する。

 

提督が一人歩いていると、鎮守府の外に出た。

 

何故こんな夜中に外に出るのだろうか、恐らくは何か知っていると考え、後を付ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空は曇っており、暗くなっているお陰で姿を隠しやすく、バレる事無く尾行する事が出来た。

 

そしてたどり着いた場所は工廠だった。すると、提督は工廠の扉を軽くノックした。

 

「俺だ」 

 

「提督、お待ちしておりました」

 

扉が開くと、工作艦の明石が迎えていた。私は工廠の屋根に登り、高所窓から覗いた。

 

「どうだ、何か有力な情報は吐いたか?」

 

「いえ、かなり強固で1ヶ月経った今も反抗的な反応をしてきます」

 

工廠の奥に進むと牢屋が現れ、中には傷や火傷痕などでボロボロになった港湾棲姫と離島棲鬼が入っていた。

 

「そうか……姫級と鬼級は貴重な情報源だ。壊すような事はするなよ」

 

「分かっていますよ、私も色々調べてみたいですからね」

 

そう言うと、提督は工廠を後にした。

 

「さて……私も寝ますか…もう眠くて眠くて……」

 

そして明石も工廠から出ると、鎮守府に戻っていった。

 

 

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