「赤城さん、もっと艦載機飛ばしてもいいんですよ?」
「無茶言いますね…!加賀さん、全機発艦しますよ!」
「了解……!」
会議を終えた次の日、私は演習相手になるであろう飛龍と翔鶴に備えて訓練していた。
訓練の内容は単純で、私1人に対して空母の2人が模擬艦載機を飛ばし、攻撃を仕掛けてくるのを撃墜する。ただそれだけである。
俗に言う習うより慣れろってやつだ。根性論は人間の頃から嫌いだが、これに関しては一つ一つ相手の航空戦術を見るより艦載機の動きに慣れていく方が効率的だからだ。
「……なんて…言ってみたけど…」
手で太陽を隠しながら空を見上げると、視界に入るのは炎を纏いながら流れ星のように海面に向かって落ちていく幾つもの艦載機だった。
(……ソウイエバ…私一航戦2人相手ニ全機撃墜シタンダッケ…)
一方、艦載機を飛ばしていた一航戦は……
「赤城さん…模擬艦載機、全機撃墜確認です…」
「……」
「赤城さん……?」
「……代行…って…まだ間に合いますかね…」
「赤城さん!?」
自信をなくしていた。
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一方、佐世保鎮守府から遠く離れている横須賀鎮守府でも訓練が行われていた。
「でえぇぇい!」
摩耶が海上を勢いよく駆けていくと、天龍が引き連れている浮きに向けて模擬魚雷を放つ。
そして天龍に向けて、魚雷の命中本数を確認しようと大声で叫ぶ。
「天龍!どうだ!?」
「いや……惜しいんだが、ギリギリで逸れてるな…」
ゆっくりと天龍の元に寄っていくと、舌打ちをしながらもため息を吐く。
「クソが……相手はあの大和型だからな…1本でも多く当てないといけねぇのによ…!」
横須賀鎮守府は何度も演習で大きな成績を残しているが、毎度の如く佐世保が率いる武蔵に壊滅させられそうになっていた。
そこで提案されたのが、最優先で武蔵を轟沈判定まで持っていくという作戦である。
少しでも火力の出る武装で武蔵の耐久を削り、轟沈判定になった所を一気に攻め落とすというのが詳しい内容であった。
「それにしても……どうして妙高さんはあんなに綺麗に当てられるんだ…?」
「なんでも、長い間出撃していると自然と命中率が上がっていくから特別な事は別にしていないらしいぜ」
摩耶が着任する前に行われた前回の演習では、艦載機による攻撃で武蔵の視線を逸らしている内に魚雷を命中させ、耐久を削った所を爆撃機でトドメを刺したらしい。
その時に魚雷を命中させたのも妙高だった。
「でもよぉ…ならなんで妙高じゃなくて、着任してから1ヶ月しか経ってないあたしなんだよ…」
「提督が言うには、トラック泊地の方から増援要請が来ているらしくて、妙高が向かってるから次に雷撃能力が高いあんたが選ばれたって事だ」
説明し終えると、箱からタバコを1本取り出し、咥えると、マッチ棒で火を点ける。
「なるほどな……なら、あたしが頑張るしかないのか……」
そう言って天龍から1本貰うと、ゆっくり吸い始め、移動しながら再び模擬魚雷を装填した。