「フフ…見ツケタ…」
「あっ…あっ…あっ…きゃああああっ!!」
「睦月ちゃん!早く逃げるっぽい!!」
睦月の腕を掴み走ろうとするが全く動けない。
「あっ…足が竦んで……」
防空の姿を見た睦月は逃げようとしたが、蛇に睨まれた蛙のように恐怖で足が震えていた。
「っ…!!睦月ちゃんから離れるっぽい!!」
すると夕立は、防空に12.7cm連装砲を向け、まるで狼のように威嚇してくる。
夕立はまだ改二にはなっていないが、その姿から夕立がソロモンの悪夢と呼ばれた所以が分かった気がした。
いくらこの体が駆逐艦の主砲で傷つかないと分かっていても、怖い物は怖いので装備している艤装を降ろした。
「ゴメンナサイ、誤解サレルヨウナ事ヲシテ…私ハアナタ達2人ヲ救助スルヨウニ頼マレタ者ヨ…」
摩耶から渡された電探と地図を見せ、救助しに来た事を睦月と夕立に話すと、2人は足をぺたりと地面に付けながら座り込んだ。
お互いに落ち着きながら話をすると、どうやら理解してもらえたようだ。
「そうだったんですか…良かった…襲われなくて……」
「皆は無事っぽい?」
「大丈夫ヨ、空母ノ2人ハ摩耶ト吹雪ニ護衛サレテイルワ」
「なら安心っぽい♪」
すると、雨が弱まり風も穏やかになってきた。
「ソレジャア…今ノ内ニ急イデ鎮守府近クマデ行クワヨ」
孤島を離れてから30分後、海水を浴びながらも鎮守府近くの海域までたどり着いた。
嵐で分からなかったが、鎮守府付近の海域に着くと、空は夕焼け空になり、日が落ちていた。
「やぁーと鎮守府近くまで戻って来れたっぽい…」
「防空さん、ありがとうございます。おかげで助かりました」
「イイノヨ、早ク鎮守府ニ戻ッテ入渠シナサイ」
「分かりました。お世話になりました」
「…ソレジャア、私ハコレデ…」
防空はタービンを動かすと、鎮守府付近の海域を離れた。
「防空さん、さようなら~」
夕立は、防空に向かって手を振ると、防空は夕日の中に消えていった。
(…サテ、コノ後ハドウスルカネェ……)
海域を離れ、嵐が止む頃にはもう夜になっていた。
あまりにも色々な事が起きすぎたが、防空棲姫になってからまだ1日も経っていない事に驚きである。
今日1日休まずに移動を続けていたが、流石に疲れた。どこかで休みたいものだ。
しかし、今の私はただの一匹狼。どこかに深海棲艦の艦隊でも居て欲しいと思いながら移動をしていた。
すると、近くの小さな孤島に着いた。此処なら艦娘に見つからないと思い、砂浜に横になり眠りについた。
しかし、一時間もしない内に目が覚めた。その理由は……
目を覚ました瞬間、私の側の砂浜は大量の砂を巻き上げ、爆発音が響き渡った。