夜戦突入
艦娘に見つからない場所を探し、小さな孤島を見つけた私は砂浜で横になり、一眠りするが一時間もせずに目を覚ました。
私の目の前には、砲弾が飛び交う戦場が広がっていた。
「オノレ…イマイマシイカンムスドモメ…」
いったい何時間経っただろう。昼から始まった砲雷戦が終わり、夜戦に突入するやいなや味方が全艦轟沈し、遂に私1人になってしまった。
このまま艦娘にこの海域を取られてしまうのだろうか…この美しい海がまた人間の手で汚されてしまうのだろうか…
私の前に居る旗艦らしき艦娘が砲を向けると、トリガーを指を掛け、私の人生はここまでかと覚悟した。
その時だった。
トドメを刺そうとした艦娘が激しく吹き飛ばされていた。
艦娘へ飛んで来た方を向くと、見たことのない深海棲艦が砲を艦娘に向けていた。
(着弾確認、敵重巡撃沈)
まさか夜戦が行われているとは思わなかった。襲われているのは、見る限り服がボロボロになっているのが姫級だろう。
今までは艦娘との無駄な争いを避けるつもりで砲撃はして来なかったが、1人沈めてしまえばもうそんな事は関係ない。
実際艦娘達は私に向かって砲を向けてきているのだから。
1度してしまったのなら、もう後戻り出来ないと思い切ると、私は艦娘に砲を向け砲撃していった。
1人、また1人と沈んでいき、最後の1人を沈めるのに5分もかからなかった。
空が少しずつ明るくなっていき、傷だらけになりながら頭を抱えている姫級の側に寄る。
顔を確認すると、イベント海域で彼女と数回程戦闘した事がある顔だった。
「ハジメマシテ…私ハ防空棲姫、貴女ハ泊地棲姫ネ…」
彼女の名を呼びながら手を差し出すと、手を握り立ち上がる。
「何故私ノ名前ヲ……ヒトマズ…感謝スル」
「イイノヨ、ソレヨリ貴女ハ何故コノ海域デ艦娘ニ襲ワレテイタノカシラ?」
「…ソノ話ニツイテハ、私ノ基地ニ着クマデノ間ニ話ソウ」
足に怪我を負っていた泊地棲姫をおぶると、私はゆっくりと泊地が配属されている基地へと歩みを進めていった。
話によると、5年ほど前にこの海域で重油を運んでいたタンカーが事故で転覆し、重油がこの海域を汚染した結果、生物が殆ど生きていけない環境になってしまった。
そして酷い事に、汚染された海域を除染作業をする事なくそのまま放置された。
一体この世界の法律や環境問題に対する意識は何処にあるのやら。
深海棲艦達は5年の月日を掛け、ようやく元の美しい海に戻した。
そんな矢先に艦娘達が泊地達を襲い、今に至るのだと言う。
「ナルホド…ソンナ事ガ…」
「ココマデ愚カナ行為ヲスル生物ハ珍シイガ…ソンナ人間ノ味方デアル艦娘ハヤハリ珍シク、愚カナ損害ダナ……」
こうして話を聞いてる内になんの変哲もない小さな孤島に着いた。
泊地の案内によると、基地は島の地下にあり、海中から入るそうだ。
そして潜る時に気付いたが、どうやら水中では普通に呼吸が出来るようだ。
深くまで潜って行くと、そこには大きな穴が空いており、高速道路のトンネルのようになっていた。
私は泊地を背負いながら泳いで行くと、トンネルの中に入っていった。