世界は酷く不安定だ
「またね」と別れた明日がないかもしれない
昨日笑いあった友がいなくなるかもしれない
当たり前の世界が別のものに変わってしまうかもしれない
それでも彼らは立ち上がる
それでも少女らは立ち向かう
これは理不尽な世界と運命に立ち向かう彼らと彼女らの、偶然の出会いの物語
鬱蒼と茂る森、日の光もわずかしか刺さず、視界に広がるのはただただ緑のみ。時折視界に入るのは緑一色の世界に不釣り合いなほどに毒々しい紫の果実
《ギィイィィィイ》
《シャアァアアア》
動くものなど存在しないと思われた緑の世界に響くけたたましい鳴き声、その源は灰色の甲殻を持つ丸いフォルムの異形
愛嬌ある見た目ながらどこか野生の獣のような雰囲気のある怪物が3匹森の地面を転がる
「うじゃうじゃ出てきやがって……お前たちの相手をしてる暇は無いってのに!」
異形に続いて現れたのは、果実よりもこの世界に不釣り合いな鮮やかなオレンジ色
一言で形容するなら「鎧武者」と呼ぶに相応しい、そんな見た目の人影がふた振りの刀を手に現れる
「ハァッ‼︎」
ザシュッ‼︎ ギィン‼︎
鎧武者が振るう刀が異形ーインベスの甲殻に確かなダメージを与えていく。既に弱っていたらしい2体の動きが止まる
「もらった‼︎」
《ソイヤッ‼︎》《オレンジスカッシュ‼︎》
動きを止めた2体にオレンジのエネルギーが充填された刀の斬撃が命中、インベス2体を爆散させる
「あと一体……ってしまった‼︎」
鎧武者が捉えた残る一体のインベスは近くになっていた紫の果実を貪っていた。食べ終わるが早いか、インベスの体は輝きシルエットを一気に変質させる
《グゥウウウゥウウゥ……》
光の晴れた中にいたインベスは丸いフォルムから全く異なる細長い姿に変わっていた。灰色の甲殻は青銅のような金属質なものに、赤く確かな殺意を秘めた赤い目を鎧武者に向けセイリュウインベスは低く唸る
「面倒なことになったな……‼︎」
《ガゥウッ‼︎》
セイリュウインベスの鋭いツメが鎧武者に襲いかかる。刀で押し返しを図るが、青銅色の外皮には刃が上手く入らずたまらず押し負け吹き飛ばされる
「…ッ……!やっぱり硬いな……だったら‼︎」
《パイン‼︎》
鎧武者が取り出したのは果物、パイナップルの描かれた錠前
それが開かれると同時に彼の頭上に巨大なパイナップルが出現する
《ロックオン‼︎》《ソイヤッ‼︎》
《パインアームズ‼︎粉砕、デストロイ‼︎》
頭上に出現したパイナップルが鎧武者の頭にすっぽりと被さる
そしてそれは本来あるべき鎧の形に変化していく
そこに立つのは鎧武者ではなく重厚な鎧を纏った闘士とも言うべき姿ー否、彼の名は仮面ライダー鎧武。武者でも闘士でも無い、現代の戦士である
「これでもくらえ‼︎」
鎧武は手にしたパインの形をした鎖鉄球ーパインアイアンを素早く振り回してセイリュウインベスに叩きつける。先程とは明らかに違い、鈍い音と共によろめく
「よし‼︎ここからは俺のステージだ‼︎」
更にパインアイアンがセイリュウインベスに叩きつけられ、たまらずインベスは吹き飛ばされる
「これで……あ?」
鎧武の動きが止まる。その目には確かな異常が写っていた
セイリュウインベスの落下点にジッパーが開くようにして穴が開いたのだ
「まずい‼︎」
穴の正体は「クラック」この森と「鎧武の生きる世界」を繋ぐ空間の穴である
そこにインベスが落ちたということは、鎧武の生きる現実世界に怪物が解き放たれたということになる
「やっちまった‼︎待て‼︎」
閉じかけたクラックに鎧武が素早く飛び込む
そこにもまた異変が広がっているとは知らずに
飛び込んだ先で鎧武を待ち受けていたのはー自由落下、つまり予想外の高所に放り出されたのだ
「は?え?嘘だろおおおおおおおおお⁉︎」
情けない悲鳴と共に落下した鎧武の意識は一瞬見えた極彩色の地面を最後にブラックアウトした
「………?はっ⁉︎」
青年ー葛葉絋汰はしばしの失神から目を覚ます
瞬間的に先程までの一部始終を思い出す
「あいって……流石に全身が痛いな……」
そう彼こそが先程戦っていた仮面ライダー鎧武、その人である
流石に高所落下のダメージが効いたようで変身が解除されてしまっていたのだ
「何も高いとこに出なくても……って、ん?」
明瞭になった絋汰の意識はあることを捉える。捉えてしまう
自分の立つ地面が極彩色で、かつ波打っていることに
「なんだこりゃ⁉︎」
当然の反応だろう。彼の生きる世界、現実世界にこんな地面はありえない。よく見ると木の根のようなパイプが波打ち組み合わさったような構造になっている
「沢芽市じゃない……?ならヘルヘイムからまだ出てないのか?」
明瞭になりかけた絋汰の意識が更に混乱していく。そこに更なる追い討ちがかかる
「ん……?なんか急に暗くなってきたな……ってなぁッ⁉︎」
急に暗くなった視界、その原因は絋汰の上空からかかる巨大な影
巨大な何かがそこにいた
真っ暗な空に映える白基調の丸っこいフォルム。どこか女性のように思えるシルエット。目も手も足もないそれはインベスが可愛く思えるほどの異形だった
しかも当のインベスの何百倍も巨大である
「イ、インベス……⁉︎こんなデカイのが⁉︎」
異形はその言葉に無言で布のような部分を叩きつけて返してきた
「ぬわぁッ⁉︎」
地響きとともに抉れた地面を見て絋汰は嫌でも気づく
(こいつ、こっちを殺す気か……‼︎)
絋汰の背に冷や汗が滲む。インベスはどこか生物的な殺意を向けてくる生き物であったが、目前のこの異形は殺意も何もなく、機械的に絋汰を殺しにきた
彼にしてみればひたすら不気味である
睨みつける絋汰を敵と視認したのか白い異形はゆっくりと絋汰に近づいてくる。負けじとオレンジロックシードを構えて覚悟を決めた絋汰の耳に突拍子も無いものが入ってきた
「勇者、パーーーンチ‼︎」
ズドォン‼︎
明るく快活な女の子の声、それに不釣り合いな重い打撃音、白い異形の撃墜音、絋汰の耳にはそれらが同時に入ってきた
盛大に肩透かしをくらって呆ける絋汰の目の前に軽い足取りで小さな人影が降りてきた
赤い髪と淡いピンクの特徴的な服が目立つ小さな女の子が
「………へっ?」
「………え?」
間の抜けた絋汰の声に気づいたのか、少女が絋汰の方を軽く振り向き目を丸くする
これが仮面ライダーと呼ばれる若者たちと勇者と呼ばれる少女たちのファーストコンタクトとなった
拙い文章ですみません……初投稿です
ほぼ鎧武側のシーンでした……戦闘シーン難しいですね…
不定期投稿ですが完結させるつもりなので温かい目で見守ってください(〃ω〃)